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子は鎹
190 罪をかぶせる
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まさしくは万事休す。
相応の事態が覚悟すべきだろう。
殺される覚悟も、殺す覚悟も、人死にを見る覚悟も、しなければいけない。
足の痛みからくるものとは別の震えが体を揺らす。
動けない佐之助さんの腰から刀を拝借して、抜き身で構えるが痛みと恐怖が混ざった震えのせいでカタカタと細かく音を立てる。
平時なら、木刀よりもしないよりも重たい真剣を持ったとしても音をならすことなんてないのにな……。
「安心しろ、ここで死ぬのはただ一人。まあ、もう一人には瀕死になってもらうけど、もう一人は多少の怪我で終わりだ」
誰がどれなんだか……。
でも、瀕死になるにしろ、多少の怪我にしろ、何かしらの情報の口止めは行うだろう。
「死ぬのは、そこの巻き込まれただけの一般人。瀕死になるのは永華・犬井、多少の怪我を負うのはララ・アリス」
ヘラクレスの次はララ?
……意図的か。
「なんなの……。私達に恨みでもあるわけ?」
「ヘラクレスのせいで参加の一部がつぶれてな、報復の一貫だ。大事な妹が精神壊して望んだ人生とは真逆の道を歩むんだ」
「兄さんはただ仕事を全うしただけじゃない……!」
「俺たちに手を出したのがダメだったんだよ」
バイスの町であったとき、ヘラクレスはギャングかなにかを一つ潰したと言っていたし、それか。
よりにもよって、面倒くさいのに眼をつけられてかわいそうに……。
いや、私が言えたことじゃないか。
「それ……それで、どうするつもりなのさ。ララをこのまま生かすって訳もないでしょう?」
足がズキリと痛んで言葉が詰まる。
あの黒服、私がいたがるの見てニヤニヤして……。
趣味悪い……。
「なんで敵対している人間にベラベラと作戦内容を説明しないといけないんだ?」
「冥土の土産に、と思って」
「ちょっと!縁起でもないこと言わないでよ!」
はは、確かにそうだけど、捕まったら死の未来しか見えないんだよねえ……。
「……まぁ、いい。ソイツはここで起こったことの全部を被るのさ」
「全部?」
「死んだ軍人達も、教師達も、そこの男も、お前も、向こうで教師と戦ってる自分の薄汚い欲のために離反した軍人が殺したことになる。お前らが言う“強欲の薬”の濃縮したものを、俺たちが忠告したのに速攻使ったバカだ」
……ザベル先生と戦ってるやつ、やっぱり強欲の薬を飲んでたんだ。
しかも“濃縮したもの”って、私が知ってるものよりも効果が強いんじゃ……。
十年以上、憤怒の薬を飲んでいたローシュテールがあれだったから速効性の薬の濃縮したものを飲んだ人はどうなる?
理性は一瞬で消しとんで、簡単に倒れない暴力の化身になる。
ゾワリと、悪寒が背中を走った。
「俺たちはこういうものがあるぞって言っただけで食いついてきて、しかも効果が強いのをご所望ってんだから仕方ないよな。で、薬を使った、あの男は持って十分もしないうちに死ぬ命だ。あの薬は最終的に人を腐らせるらしい」
何、その恐ろしい効果……。
いや、いや、待てよ?
ロ憤怒の薬を十年以上もの間、飲み続けていたローシュテールの体の内側のあちこちが生きているのも不思議なくらいボロボロなのって、ちょっとづつ体が腐ってたからってこと?
言葉がでない。
なんでこんなもの、作ったんだ?
「教師はネシャが殺すだろう。そこの男もネシャが殺したことにして、教師の死体共々ぐちゃぐちゃにする。ララ・アリスの精神を壊して、大量の血痕を残して永華・戌井は行方不明になる。いや、代わりの死体を用意するかも?まぁ、そうするとどうなると思う?」
「……さぁ?」
「ヘラクレスに嫉妬した軍人が力ほしさにご禁制の魔法薬に手を出して、参考人をつれてくる最中に副作用が出て暴走。君たちは逃げたが戦おうとした軍人はミンチにされて、君たちのために駆けつけた教師も守ろうとした知り合いもミンチになる」
接触の悪い、やつれた黒服は恐ろしいことを淡々と、しかも平然と言ってのける。
「結果残るのは、ミンチがいくつかと血痕、腐った肉塊、精神的に壊れた生き残りただ一人。精神的に壊れてても“皆殺された”的な伝言はしてくれるように調節するから、魔導警察の奴らがいい具合に勘違いしてくれるだろうな」
私も、先生達も、軍人さん達も、佐之助さんも殺されて、自分も殺されそうになったところで殺人鬼が腐った肉塊になって……。
それが全部、目の前で起こって、唯一生き残ったはいいものの精神的に壊れてしまう。
全てを見たけどまともな対応ができないララを見て、真実にたどり着くことはできないはず。
この惨状の犯人は薬を飲んだ軍人になる。
ローシュテールのやらかしと言う、前例があるから誰かが細工していると考えるのは難しいかも……。
それに“自分が容疑者になった事件で呼び出された妹が知り合いを軒並み目の前で殺されて精神崩壊”ってなれば十分、ヘラクレスへの報復になるだろうな……。
「永華をどうするつもり?」
「カルタ・篠野部への人質らしい。詳しいこと走らない」
最悪……。
ズドン!!__
凄まじい音と共に、誰かが民家の壁を突き破って現れる。
現れたのは全身血塗れの、あちこち破れた軍服を着た男だった。
「は?」
黒服のうちの誰かが、声をこぼした。
更に煙立つ民家のか部の向こうから現れたのはボロボロになりつつも、フラつく様子のないザベル先生達だった。
「先生~!!」
ララから歓声が上がる。
私も完成をあげたかったが、足を動かしたせいで痛みに悶えているので腕を上げるだけにとどまった。
「うちの生徒を苛めてたの、だあれ~?」
「篠野部くんのこと、返してくれるかしら?」
「覚悟しろ」
わぁ……。
先生たちめっちゃ怒ってる……。
「最悪なんだけど……」
「勝てるとは思っていなかったけど、こうも一方的にやられるものなのか……」
先生達の登場と共に黒服側に現れたのは、さっきまでジャーニー先生とマーマリア先生、二人と戦っていた軍人さんだ。
「はん、いくらメルリス魔法学校の教師がそこらの軍人よりも強いとはいえだ。この人数差に、お荷物が二人、今だ動ける化物相手に勝てるのか?」
薬を飲んで暴走状態になっている軍人が、自分の上に乗っかった瓦礫を気にすることもなく起き上がり、先生達を睨み付ける。
「その気になれば、ここにいる何人かが薬を飲めばいい。巻き込まれた一般人のミンチの死体が増えるだけだ」
先生達が何を答えるでもなく、静かに黒服達を睨み付け、杖を構える。
先生達が着たことで形勢逆転したかと思ったが、どうもそうではないらしい。
暴走状態の軍人は起き上がって今にも襲いかかってきそうだし、周囲を取り囲んでいる黒服達も今にも魔法を打ってきそうで、楽観的なことが考えられないだろう。
この時、誰も気がついていないが黒服達にとって予想外の“最悪”が起こっていた。
それは黒服達が一番、現状を知られたくない者達に知られてしまっていることだ。
なぜ知られることになったか、簡単な話だ。
“勇者”に“天恵”を伝える者がいた、天恵を伝えるものは今まで目立たないように生きてきたし、噂話や自分に関する話が広がらないように魔法を使っていた。
天恵を与えるものは、覚えていた。
箱庭試験に現れた邪竜の纏うそれは、ローシュテールが吐き出したそれが、自分の天敵であり仇であることを。
だから、こっそりとあちこちに眼を張り巡らせていた。
強欲の薬と憤怒の薬が現れたとき、教えるようにと王都に住む動物達に餌と引き換えに要請を出していたのだ。
そして少し前、動物達が天恵を伝える者にザベルと戦っているネシャが強欲の薬を使用したと、そんな知らせが入った。
だから、天恵を伝える者は動いた。
天恵を与える者は、自分と同じものを倒すために呼び出された勇者に頼んだ。
“自分だけではダメだから、力を貸してほしい”と。
勇者は了承した。
それが役目ならば、果たせねば帰れぬと言うのならば、と了承した。
天恵を伝える者が現れたことで一時騒然としたが、勇者の力を借りなければならないことになっていると知ると、アスロンテ軍学校の教師達は騒ぐことをやめた。
惜しむらくは、他より出遅れたことのみ。
相応の事態が覚悟すべきだろう。
殺される覚悟も、殺す覚悟も、人死にを見る覚悟も、しなければいけない。
足の痛みからくるものとは別の震えが体を揺らす。
動けない佐之助さんの腰から刀を拝借して、抜き身で構えるが痛みと恐怖が混ざった震えのせいでカタカタと細かく音を立てる。
平時なら、木刀よりもしないよりも重たい真剣を持ったとしても音をならすことなんてないのにな……。
「安心しろ、ここで死ぬのはただ一人。まあ、もう一人には瀕死になってもらうけど、もう一人は多少の怪我で終わりだ」
誰がどれなんだか……。
でも、瀕死になるにしろ、多少の怪我にしろ、何かしらの情報の口止めは行うだろう。
「死ぬのは、そこの巻き込まれただけの一般人。瀕死になるのは永華・犬井、多少の怪我を負うのはララ・アリス」
ヘラクレスの次はララ?
……意図的か。
「なんなの……。私達に恨みでもあるわけ?」
「ヘラクレスのせいで参加の一部がつぶれてな、報復の一貫だ。大事な妹が精神壊して望んだ人生とは真逆の道を歩むんだ」
「兄さんはただ仕事を全うしただけじゃない……!」
「俺たちに手を出したのがダメだったんだよ」
バイスの町であったとき、ヘラクレスはギャングかなにかを一つ潰したと言っていたし、それか。
よりにもよって、面倒くさいのに眼をつけられてかわいそうに……。
いや、私が言えたことじゃないか。
「それ……それで、どうするつもりなのさ。ララをこのまま生かすって訳もないでしょう?」
足がズキリと痛んで言葉が詰まる。
あの黒服、私がいたがるの見てニヤニヤして……。
趣味悪い……。
「なんで敵対している人間にベラベラと作戦内容を説明しないといけないんだ?」
「冥土の土産に、と思って」
「ちょっと!縁起でもないこと言わないでよ!」
はは、確かにそうだけど、捕まったら死の未来しか見えないんだよねえ……。
「……まぁ、いい。ソイツはここで起こったことの全部を被るのさ」
「全部?」
「死んだ軍人達も、教師達も、そこの男も、お前も、向こうで教師と戦ってる自分の薄汚い欲のために離反した軍人が殺したことになる。お前らが言う“強欲の薬”の濃縮したものを、俺たちが忠告したのに速攻使ったバカだ」
……ザベル先生と戦ってるやつ、やっぱり強欲の薬を飲んでたんだ。
しかも“濃縮したもの”って、私が知ってるものよりも効果が強いんじゃ……。
十年以上、憤怒の薬を飲んでいたローシュテールがあれだったから速効性の薬の濃縮したものを飲んだ人はどうなる?
理性は一瞬で消しとんで、簡単に倒れない暴力の化身になる。
ゾワリと、悪寒が背中を走った。
「俺たちはこういうものがあるぞって言っただけで食いついてきて、しかも効果が強いのをご所望ってんだから仕方ないよな。で、薬を使った、あの男は持って十分もしないうちに死ぬ命だ。あの薬は最終的に人を腐らせるらしい」
何、その恐ろしい効果……。
いや、いや、待てよ?
ロ憤怒の薬を十年以上もの間、飲み続けていたローシュテールの体の内側のあちこちが生きているのも不思議なくらいボロボロなのって、ちょっとづつ体が腐ってたからってこと?
言葉がでない。
なんでこんなもの、作ったんだ?
「教師はネシャが殺すだろう。そこの男もネシャが殺したことにして、教師の死体共々ぐちゃぐちゃにする。ララ・アリスの精神を壊して、大量の血痕を残して永華・戌井は行方不明になる。いや、代わりの死体を用意するかも?まぁ、そうするとどうなると思う?」
「……さぁ?」
「ヘラクレスに嫉妬した軍人が力ほしさにご禁制の魔法薬に手を出して、参考人をつれてくる最中に副作用が出て暴走。君たちは逃げたが戦おうとした軍人はミンチにされて、君たちのために駆けつけた教師も守ろうとした知り合いもミンチになる」
接触の悪い、やつれた黒服は恐ろしいことを淡々と、しかも平然と言ってのける。
「結果残るのは、ミンチがいくつかと血痕、腐った肉塊、精神的に壊れた生き残りただ一人。精神的に壊れてても“皆殺された”的な伝言はしてくれるように調節するから、魔導警察の奴らがいい具合に勘違いしてくれるだろうな」
私も、先生達も、軍人さん達も、佐之助さんも殺されて、自分も殺されそうになったところで殺人鬼が腐った肉塊になって……。
それが全部、目の前で起こって、唯一生き残ったはいいものの精神的に壊れてしまう。
全てを見たけどまともな対応ができないララを見て、真実にたどり着くことはできないはず。
この惨状の犯人は薬を飲んだ軍人になる。
ローシュテールのやらかしと言う、前例があるから誰かが細工していると考えるのは難しいかも……。
それに“自分が容疑者になった事件で呼び出された妹が知り合いを軒並み目の前で殺されて精神崩壊”ってなれば十分、ヘラクレスへの報復になるだろうな……。
「永華をどうするつもり?」
「カルタ・篠野部への人質らしい。詳しいこと走らない」
最悪……。
ズドン!!__
凄まじい音と共に、誰かが民家の壁を突き破って現れる。
現れたのは全身血塗れの、あちこち破れた軍服を着た男だった。
「は?」
黒服のうちの誰かが、声をこぼした。
更に煙立つ民家のか部の向こうから現れたのはボロボロになりつつも、フラつく様子のないザベル先生達だった。
「先生~!!」
ララから歓声が上がる。
私も完成をあげたかったが、足を動かしたせいで痛みに悶えているので腕を上げるだけにとどまった。
「うちの生徒を苛めてたの、だあれ~?」
「篠野部くんのこと、返してくれるかしら?」
「覚悟しろ」
わぁ……。
先生たちめっちゃ怒ってる……。
「最悪なんだけど……」
「勝てるとは思っていなかったけど、こうも一方的にやられるものなのか……」
先生達の登場と共に黒服側に現れたのは、さっきまでジャーニー先生とマーマリア先生、二人と戦っていた軍人さんだ。
「はん、いくらメルリス魔法学校の教師がそこらの軍人よりも強いとはいえだ。この人数差に、お荷物が二人、今だ動ける化物相手に勝てるのか?」
薬を飲んで暴走状態になっている軍人が、自分の上に乗っかった瓦礫を気にすることもなく起き上がり、先生達を睨み付ける。
「その気になれば、ここにいる何人かが薬を飲めばいい。巻き込まれた一般人のミンチの死体が増えるだけだ」
先生達が何を答えるでもなく、静かに黒服達を睨み付け、杖を構える。
先生達が着たことで形勢逆転したかと思ったが、どうもそうではないらしい。
暴走状態の軍人は起き上がって今にも襲いかかってきそうだし、周囲を取り囲んでいる黒服達も今にも魔法を打ってきそうで、楽観的なことが考えられないだろう。
この時、誰も気がついていないが黒服達にとって予想外の“最悪”が起こっていた。
それは黒服達が一番、現状を知られたくない者達に知られてしまっていることだ。
なぜ知られることになったか、簡単な話だ。
“勇者”に“天恵”を伝える者がいた、天恵を伝えるものは今まで目立たないように生きてきたし、噂話や自分に関する話が広がらないように魔法を使っていた。
天恵を与えるものは、覚えていた。
箱庭試験に現れた邪竜の纏うそれは、ローシュテールが吐き出したそれが、自分の天敵であり仇であることを。
だから、こっそりとあちこちに眼を張り巡らせていた。
強欲の薬と憤怒の薬が現れたとき、教えるようにと王都に住む動物達に餌と引き換えに要請を出していたのだ。
そして少し前、動物達が天恵を伝える者にザベルと戦っているネシャが強欲の薬を使用したと、そんな知らせが入った。
だから、天恵を伝える者は動いた。
天恵を与える者は、自分と同じものを倒すために呼び出された勇者に頼んだ。
“自分だけではダメだから、力を貸してほしい”と。
勇者は了承した。
それが役目ならば、果たせねば帰れぬと言うのならば、と了承した。
天恵を伝える者が現れたことで一時騒然としたが、勇者の力を借りなければならないことになっていると知ると、アスロンテ軍学校の教師達は騒ぐことをやめた。
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