『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん

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第150話 ミラリルスの歪み

この星が生まれおよそ数万年。
創造したのはあの性格破綻者な絶対者、創世神ファナンガスだ。

僕は想いを馳せる。
確かあいつが以前言っていた、この星の摂理。

『ふん。同じじゃよ。お前さんが行っていたルードイーズ…ひいては地球とな。…まあ、魔素と魔法、そして魔物…そこが違うくらいじゃな』

そう。
同じような摂理。

だからこそ引っかかるこの星の特徴。

――異常なまでの医療の遅れ。


※※※※※


「ふう」

学園から帰り、僕はこの後王宮へと行く。
ミャルナとの話し合い、そして陛下への謁見。

(…むしろどうして僕は今まで放置していたのだろう)

当然だが“陰の騎士案件”で、かなりの数、病気のような状況の人を救っては来ていた。
だからこその若返りのポーション、そして僕が思いついたサプリ事業。

でも。

『治療所』『診療所』

この世界どこを見ても全くそういう施設がない異常なアンバランスさ。
まあ、代わりに教会などで多少のケアはしていたけど…当然だが魔力による回復のみ。

実は病気とかウイルスとか、その原因には魔法は届かない摂理。

「…ねえ、ティア」
「…はい…ライト様の言いたい事、分かります…ですが…」

ビザイド宮の僕の部屋。
ソファーで向かい合うティアは、何故か浮かない表情だ。

「…情報…欠損しています…わたくしがこの世界に顕現したとき…確かにあった医療技術…完全に失われています」

「っ!?……え?…以前は医療技術…あったの?」

疑念が確信に変わっていく。
そして背筋をかける、じっとりとした嫌な感覚。

「…ライト様『クロノス商会』…御承知でしょうか」
「…クロノス商会…この世界最大手のポーション販売を主力としている商会だよね?」
「ええ。…わたくしの古い記憶…以前医療全般を牛耳っていた商会…同じ名前です」


「っ!?」


なんだ?
この感覚…
僕は知っている…いや、

何度もそこを訪れていたはずだ。

だって。
僕の超絶な知識――それはこの星の摂理とは若干違うんだ。

だからたしかに何度も訪れ、あの商会のポーション…僕は研究したんだ。


「…精神攻撃?…しかも…メチャクチャ低級で…持続型で…弱すぎるが故に気づけない――」

確信。
そして焦燥。
思い起こされる、突然の睡魔やいきなり興味が薄くなっていたここ数年の僕。

年齢のせいだと思っていたから…深く考えなかったけど。

ここで繋がってしまう。

(…まったく…この世界…そして脅威…)

『倒して『はいおしまい』?そんなわけなかろう…脅威はすべて終わったわけではない』

創世神との邂逅を果たした神域でのアイツの言葉。
この嫌なタイミングで思い出されるその事実。


「…ほんと、あのクソ創世神…性格悪いにもほどがある」
「ええ。…完全に同意しますわ」


僕とティアはお互い頷き合い。
準備を整え、王宮の謁見の間、そこに転移して行ったんだ。



※※※※※



(うあ…これはやばいね)


謁見の間。
玉座に座る陛下を見て、僕は思わず脳内で吐露してしまう。

明らかに顔色の悪い陛下。
冗談じゃなく放置してしまえば命に係わる重病だ。

そしてその横には初めて見る凛とした高貴なオーラを纏う女性。

(うん?…マリナス様に似ている?…もしかして…)
『…昨日海外留学していたメリルーギュ姉さまが帰ってきたんだよね…』

確かミャルナが言っていた…

そんな思いに一瞬囚われた僕。
おもむろにその女性は、凄まじく洗練され、美しいカーテシーを披露し口を開いた。

「お初にお目にかかります…わたくし、マイハルド第2王女、メリルーギュでございます。以後、お見知りおきを」

初めて会うこの国の第2王女。
そして纏う覚悟の魔力。
何より学んだであろう洗練された姿。

(ああ…やっぱり僕は迂闊だ)

美しいまでの覚悟とその姿に。
僕は改めて、気合を入れていた。


僕のスローライフ、そして大切な婚約者たちに愛するこの国の人たち。

僕はそれらを守りたい。


さあ。

始めようか。



最期の脅威、それを完全に打ち砕く。

魔力でもない。
超絶な破壊者でもない。

でも生活に根付く、そしてすべてを包み込む今回の脅威。


(まったく。少しはスローライフ、させろよな)


僕はそっと第2王女の手の甲に口づけを落としたんだ。
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