151 / 167
第150話 ミラリルスの歪み
この星が生まれおよそ数万年。
創造したのはあの性格破綻者な絶対者、創世神ファナンガスだ。
僕は想いを馳せる。
確かあいつが以前言っていた、この星の摂理。
『ふん。同じじゃよ。お前さんが行っていたルードイーズ…ひいては地球とな。…まあ、魔素と魔法、そして魔物…そこが違うくらいじゃな』
そう。
同じような摂理。
だからこそ引っかかるこの星の特徴。
――異常なまでの医療の遅れ。
※※※※※
「ふう」
学園から帰り、僕はこの後王宮へと行く。
ミャルナとの話し合い、そして陛下への謁見。
(…むしろどうして僕は今まで放置していたのだろう)
当然だが“陰の騎士案件”で、かなりの数、病気のような状況の人を救っては来ていた。
だからこその若返りのポーション、そして僕が思いついたサプリ事業。
でも。
『治療所』『診療所』
この世界どこを見ても全くそういう施設がない異常なアンバランスさ。
まあ、代わりに教会などで多少のケアはしていたけど…当然だが魔力による回復のみ。
実は病気とかウイルスとか、その原因には魔法は届かない摂理。
「…ねえ、ティア」
「…はい…ライト様の言いたい事、分かります…ですが…」
ビザイド宮の僕の部屋。
ソファーで向かい合うティアは、何故か浮かない表情だ。
「…情報…欠損しています…わたくしがこの世界に顕現したとき…確かにあった医療技術…完全に失われています」
「っ!?……え?…以前は医療技術…あったの?」
疑念が確信に変わっていく。
そして背筋をかける、じっとりとした嫌な感覚。
「…ライト様『クロノス商会』…御承知でしょうか」
「…クロノス商会…この世界最大手のポーション販売を主力としている商会だよね?」
「ええ。…わたくしの古い記憶…以前医療全般を牛耳っていた商会…同じ名前です」
「っ!?」
なんだ?
この感覚…
僕は知っている…いや、
何度もそこを訪れていたはずだ。
だって。
僕の超絶な知識――それはこの星の摂理とは若干違うんだ。
だからたしかに何度も訪れ、あの商会のポーション…僕は研究したんだ。
「…精神攻撃?…しかも…メチャクチャ低級で…持続型で…弱すぎるが故に気づけない――」
確信。
そして焦燥。
思い起こされる、突然の睡魔やいきなり興味が薄くなっていたここ数年の僕。
年齢のせいだと思っていたから…深く考えなかったけど。
ここで繋がってしまう。
(…まったく…この世界…そして脅威…)
『倒して『はいおしまい』?そんなわけなかろう…脅威はすべて終わったわけではない』
創世神との邂逅を果たした神域でのアイツの言葉。
この嫌なタイミングで思い出されるその事実。
「…ほんと、あのクソ創世神…性格悪いにもほどがある」
「ええ。…完全に同意しますわ」
僕とティアはお互い頷き合い。
準備を整え、王宮の謁見の間、そこに転移して行ったんだ。
※※※※※
(うあ…これはやばいね)
謁見の間。
玉座に座る陛下を見て、僕は思わず脳内で吐露してしまう。
明らかに顔色の悪い陛下。
冗談じゃなく放置してしまえば命に係わる重病だ。
そしてその横には初めて見る凛とした高貴なオーラを纏う女性。
(うん?…マリナス様に似ている?…もしかして…)
『…昨日海外留学していたメリルーギュ姉さまが帰ってきたんだよね…』
確かミャルナが言っていた…
そんな思いに一瞬囚われた僕。
おもむろにその女性は、凄まじく洗練され、美しいカーテシーを披露し口を開いた。
「お初にお目にかかります…わたくし、マイハルド第2王女、メリルーギュでございます。以後、お見知りおきを」
初めて会うこの国の第2王女。
そして纏う覚悟の魔力。
何より学んだであろう洗練された姿。
(ああ…やっぱり僕は迂闊だ)
美しいまでの覚悟とその姿に。
僕は改めて、気合を入れていた。
僕のスローライフ、そして大切な婚約者たちに愛するこの国の人たち。
僕はそれらを守りたい。
さあ。
始めようか。
最期の脅威、それを完全に打ち砕く。
魔力でもない。
超絶な破壊者でもない。
でも生活に根付く、そしてすべてを包み込む今回の脅威。
(まったく。少しはスローライフ、させろよな)
僕はそっと第2王女の手の甲に口づけを落としたんだ。
創造したのはあの性格破綻者な絶対者、創世神ファナンガスだ。
僕は想いを馳せる。
確かあいつが以前言っていた、この星の摂理。
『ふん。同じじゃよ。お前さんが行っていたルードイーズ…ひいては地球とな。…まあ、魔素と魔法、そして魔物…そこが違うくらいじゃな』
そう。
同じような摂理。
だからこそ引っかかるこの星の特徴。
――異常なまでの医療の遅れ。
※※※※※
「ふう」
学園から帰り、僕はこの後王宮へと行く。
ミャルナとの話し合い、そして陛下への謁見。
(…むしろどうして僕は今まで放置していたのだろう)
当然だが“陰の騎士案件”で、かなりの数、病気のような状況の人を救っては来ていた。
だからこその若返りのポーション、そして僕が思いついたサプリ事業。
でも。
『治療所』『診療所』
この世界どこを見ても全くそういう施設がない異常なアンバランスさ。
まあ、代わりに教会などで多少のケアはしていたけど…当然だが魔力による回復のみ。
実は病気とかウイルスとか、その原因には魔法は届かない摂理。
「…ねえ、ティア」
「…はい…ライト様の言いたい事、分かります…ですが…」
ビザイド宮の僕の部屋。
ソファーで向かい合うティアは、何故か浮かない表情だ。
「…情報…欠損しています…わたくしがこの世界に顕現したとき…確かにあった医療技術…完全に失われています」
「っ!?……え?…以前は医療技術…あったの?」
疑念が確信に変わっていく。
そして背筋をかける、じっとりとした嫌な感覚。
「…ライト様『クロノス商会』…御承知でしょうか」
「…クロノス商会…この世界最大手のポーション販売を主力としている商会だよね?」
「ええ。…わたくしの古い記憶…以前医療全般を牛耳っていた商会…同じ名前です」
「っ!?」
なんだ?
この感覚…
僕は知っている…いや、
何度もそこを訪れていたはずだ。
だって。
僕の超絶な知識――それはこの星の摂理とは若干違うんだ。
だからたしかに何度も訪れ、あの商会のポーション…僕は研究したんだ。
「…精神攻撃?…しかも…メチャクチャ低級で…持続型で…弱すぎるが故に気づけない――」
確信。
そして焦燥。
思い起こされる、突然の睡魔やいきなり興味が薄くなっていたここ数年の僕。
年齢のせいだと思っていたから…深く考えなかったけど。
ここで繋がってしまう。
(…まったく…この世界…そして脅威…)
『倒して『はいおしまい』?そんなわけなかろう…脅威はすべて終わったわけではない』
創世神との邂逅を果たした神域でのアイツの言葉。
この嫌なタイミングで思い出されるその事実。
「…ほんと、あのクソ創世神…性格悪いにもほどがある」
「ええ。…完全に同意しますわ」
僕とティアはお互い頷き合い。
準備を整え、王宮の謁見の間、そこに転移して行ったんだ。
※※※※※
(うあ…これはやばいね)
謁見の間。
玉座に座る陛下を見て、僕は思わず脳内で吐露してしまう。
明らかに顔色の悪い陛下。
冗談じゃなく放置してしまえば命に係わる重病だ。
そしてその横には初めて見る凛とした高貴なオーラを纏う女性。
(うん?…マリナス様に似ている?…もしかして…)
『…昨日海外留学していたメリルーギュ姉さまが帰ってきたんだよね…』
確かミャルナが言っていた…
そんな思いに一瞬囚われた僕。
おもむろにその女性は、凄まじく洗練され、美しいカーテシーを披露し口を開いた。
「お初にお目にかかります…わたくし、マイハルド第2王女、メリルーギュでございます。以後、お見知りおきを」
初めて会うこの国の第2王女。
そして纏う覚悟の魔力。
何より学んだであろう洗練された姿。
(ああ…やっぱり僕は迂闊だ)
美しいまでの覚悟とその姿に。
僕は改めて、気合を入れていた。
僕のスローライフ、そして大切な婚約者たちに愛するこの国の人たち。
僕はそれらを守りたい。
さあ。
始めようか。
最期の脅威、それを完全に打ち砕く。
魔力でもない。
超絶な破壊者でもない。
でも生活に根付く、そしてすべてを包み込む今回の脅威。
(まったく。少しはスローライフ、させろよな)
僕はそっと第2王女の手の甲に口づけを落としたんだ。
あなたにおすすめの小説
『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」
「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」
「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」
趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた
歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。
剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。
それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。
そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー
「ご命令と解釈しました、シン様」
「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」
次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。
異世界魔物大図鑑 転生したら魔物使いとかいう職業になった俺は、とりあえず魔物を育てながら図鑑的なモノを作る事にしました
おーるぼん
ファンタジー
主人公は俺、43歳独身久保田トシオだ。
人生に疲れて自ら命を絶とうとしていた所、それに失敗(というか妨害された)して異世界に辿り着いた。
最初は夢かと思っていたこの世界だが、どうやらそうではなかったらしい、しかも俺は魔物使いとか言う就いた覚えもない職業になっていた。
おまけにそれが判明したと同時に雑魚魔物使いだと罵倒される始末……随分とふざけた世界である。
だが……ここは現実の世界なんかよりもずっと面白い。
俺はこの世界で仲間たちと共に生きていこうと思う。
これは、そんなしがない中年である俺が四苦八苦しながらもセカンドライフを楽しんでいるだけの物語である。
……分かっている、『図鑑要素が全くないじゃないか!』と言いたいんだろう?
そこは勘弁してほしい、だってこれから俺が作り始めるんだから。
※他サイト様にも同時掲載しています。
異世界から元の世界に派遣された僕は他の勇者たちとは別にのんびり暮らします【DNAの改修者ー外伝】
kujibiki
ファンタジー
異世界で第二の人生の大往生を迎えた僕は再びあの場所へ飛ばされていた。
※これは『DNAの改修者』のアフターストーリーとなります。
『DNAの改修者』を読まなくても大丈夫だとは思いますが、気になる方はご覧ください。
※表紙は生成AIで作ってみたイメージです。(シャルルが難しい…)
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
魔王と呼ばれた勇者、或いは勇者と呼ばれた魔王 〜最強の魔剣で自由に生きる! 金も女も、国さえも思いのまま!! …でも何かが違うみたいです
ちありや
ファンタジー
クラスメートからのイジメが元で死んでしまった主人公は、その報われぬ魂を見かねた女神によって掬い上げられ異世界で転生する。
女神から授けられた不思議な剣を持つことで、彼はあらゆる敵に打ち勝ちあらゆる難問を解き明かし、あらゆる女性を虜にする力を手に入れる。
無敵の力を手に入れた男が次に望む物は果たして…?
不定期連載(7〜10日間隔で出していく予定)