『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん

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第74話 婚約者の襲来?

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ダンジョンをクリアし、ニニャを開放した僕。
戻ってきた寮の自室で改めて僕はニニャと話し合いを行っていた。

取り敢えずティアたちには遠慮してもらっていた。
二人きりで話がしたかったんだ。

「ねえ。ニニャはさ…えっと。…どのくらい把握しているの?」

目の前のニニャ。

めっちゃ可愛くて…まさに僕の理想そのものの姿をしている。

美しい銀髪に輝く紅い瞳。
すっきりとした体躯に美しくも優しいふくらみ。

さらには彼女の纏う香り――
僕の精神はどんどん囚われてしまう。

仕草1つ、僕は胸が高鳴ってしまう。

さっきは色々とテンパっていた。
だから気付かなかったけど…

間違いなく僕は今、かつてない興奮と緊張に包まれていた。

「うん?えっと。…あー、忘れちゃった、かな?…もう、いいじゃん。会えたんだから…ねえ?ライト?」

そう言い僕ににじり寄るニニャ。
そしてささやくように僕に問いかける。

「…9歳か…ねえ、まだ…女の子と…してないんでしょ?」
「っ!?な、な、何を…」

そして今度は僕に密着し、腕を取り抱きしめる。

顔から火が出るかと思うほど顔を染めてしまう僕。
その様子にニニャはうっとりとした目で僕の瞳を見つめた。

「ふふっ♡カ・ワ・イ・イ…もちろん私も。ライトに食べてもらおうっと♡」

そして僕を押し倒すように、体を預けてくるニニャ。
彼女の感触と、香る女性の香り。

僕はされるがままベッドへ押し倒された。

もう、心臓は…
爆発しそうなほど高鳴っていた。

「「「「「ちょっと待った――――!!!」」」」」

僕たちの様子を、ドア越しに見つめていたティアにルイ、ルザーラナとキャルン姉さま、そしてココナが5人仲良く僕の部屋になだれ込んできた。

「コホン。ニニャ?…抜け駆けは許せません」
「うんうん。いくらニニャでもそれはダメ!」
「ライトのエッチ。…なによ、その顔!だらしない!!」

突然笑いだすニニャ。
そして目をぬぐいながら5人に対して言い放つ。

「ライトはモテモテだね♡…ふうん。みんなライトの婚約者…いいよ?私は気にしない。でもね…」

そう言い改めて僕の腕に抱き着くニニャ。

「ライトの『初めて』は私がもらうし、私の『初めて』もライトに奪ってもらう。…あなた達はそのあとでどうぞ?」

「「「「ムキー」」」」

さらに騒がしくなった僕の生活。
でも。

なぜか前みたいな、絶望と言うか、荷が重いというか…
そういう気持ちが消えていたんだよね。

ハハ。

僕はニニャに出会えたことによって。
倫理観完全に達観の域に到達していたんだ。

…まあ。
そうはいっても僕はまだ少年。

暫くは何もできませんけどねっ!!


※※※※※


美しく可愛らしい僕の大切な婚約者たち。
もみくちゃにされながらも僕は心の底から満足していた。

ああ。
僕は傲慢だ。
間違いない。

この幸せ、誰にも邪魔させない。

僕はそんな彼女たちを見やり、一人そんなことを想っていたのだが…
突然ノックとともに開けられる僕の寝室のドア。

なぜかそこにはガルデス領にいるはずのヒャルマ先生が、目に涙をためながら僕を睨み付けていた。

「…ライト?これはどういうことだ?…せっかく数日かけてたどり着いた愛おしい人の住処――あんまりではないか?」

「ヒャ、ヒャルマ先生?…ど、どうして、ここに…」
「お前に会いに来たのだ!!…ずっと会いたかった…お前の笑顔、私は忘れたことなぞない!!なのに、なのに…」

フルフルと震え、怒りに包まれるヒャルマ先生。
そんな彼女の肩にポンと手を置くサルツさん。

「えっと、ヒャルマ殿?」
「っ!?う、うむ?」

そしてなぜか耳打ちをするサルツさん。
見る見るうちに顔を赤らめるヒャルマ先生。

えっと。
サルツさん?

何を吹き込んだのかな?!

そして何故かいきなり上着を脱ぎだすヒャルマ先生。
彼女の美しい姿に皆の動きが止まる。

「コ、コホン。うむ。皆まだ子供。ここは私が指導するべきであるな?」
「し、指導?」

そしてなぜかするりと僕に抱き着くヒャルマ先生。
いきなり奪われる唇。

全身に衝撃が走り抜ける。

「ふふっ可愛い♡…はあはあはあ♡…さあ、ライト。遠慮はいらぬ。どうか私の体、好きにすると…ひぐうっ?!!」
「な、な、何してるんですか――――!!!!??」

突然ヒャルマ先生にビンタをかますキャルン。
尻もちをつき呆然とするヒャルマ先生。

なぜか頭を抱えるサルツさん。

久しぶりのカオスに、何故か僕たち全員は冷静になっていたんだ。


※※※※※


寮のリビングルーム。

どうにか落ち着き、ちゃんと上着を着たヒャルマ先生。
真っ赤な顔をして俯いていた。

「えっと。因みにサルツ兄さん、先生に何を言ったのですか?」

さっきのあの惨状(笑)
間違いなく原因はサルツさんの先生に対するささやきだった。

サルツさんはバツが悪そうに、大きくため息をついてからゆっくりと話し出す。

「まず、勘違いしてほしくはないのですが…」

ワカメのような髪の間から覗く彼の瞳が色を無くしていく。

「私はただ『いまだ彼らは少年少女。そう言う事については素人です。ここは大人のあなたがちゃんと指導してあげてください』――そう言ったのです。…まさかあんな行動に出るとは…はあ」

あー。
そうなんだ。

だから指導…

完全なるヒャルマ先生の勇み足だね。

「…す、すまない…そ、その…じ、実は…ごにょごにょ…なのだ」
「…なんて?」

モジモジしながらつぶやくヒャルマ先生。
よく聞き取れない?

僕の問いかけに、なぜか覚悟を決めたように今度は大きく息を吸うヒャルマ先生。
そしてとんでもない事を宣った。

「わ、私だって“経験”したことがないのだ。だ、だから…そ、その。…『性交の指導』なぞ、出来ん!!」

言い終えまるで湯気が出るほど真っ赤に染まる先生。
生暖かい雰囲気にリビングが包まれる。

えっと。
どうすんのこの雰囲気?!

「ふむ。なんじゃ。ならば我ら全員、未経験者と言う事じゃな?…ライトよ。お主も罪な男じゃのう」

けらけらと笑い、突然ぶち込んでくるミリ。
今の僕の婚約者候補、ニニャを含め9人。

もちろん第3王女についてはまだちゃんと話とかしてはいないけど…

そうだよ。
ルイやルザーラナは悪魔だから見た目通りの年齢ではないものの…

誰一人男性経験がない状況だった。
突然とんでもないプレッシャーが僕を包み込む。

「えー?!みんな経験ないの?…ふうん。そっか。…まあでも一番は私だけどね?」
「っ!?あ、あなたはっ!!…コホン。ライト様?どうするのです?!」

いきなり僕に無茶ぶりをするティア。

うえっ?!
ここで僕に振る?!

「コホン。…えっと…ぼ、僕まだ9歳だからさ…ハハ、ハ。…と、取り敢えずみんな、落ち着こうか」

一斉に僕に突き刺さるジト目。
マジで泣きそうなのだけれど?!!

改めて女の子って怖い。

僕はそう心に刻んでいたんだ。


※※※※※


因みにヒャルマ先生は、魔法庁に用事と言うかお使いを頼まれていたそうです。
そのついでにどうしても僕の顔が見たかったらしくて…

ハハ、ハ。

実はこの前、実家に帰ったこと、彼女は聞いてしまったみたいで。
会わなかった僕に寂しさを感じてしまっていたんだ。

はい。
猛省いたします。
結局原因は全部僕だった。

もう僕は確信したよ?

おい、クソじじいい。

これもう『女難の相』どころじゃないよね?


絶対に呪いだろっ!!


僕はヒャルマ先生を見送りながら、心の中で叫んでいたんだ。
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