『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん

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第80話 目覚める異星の女神『フェレネルト・リリールース』

惑星ミラリルス。
その南方の深い森の中。

色とりどりに色づいた自然豊かな生命の息吹に溢れる森。
しかしそこはまるで季節感を無視したような、異様な魔力により浸食され、黒々とした雰囲気に包まれていた。

2か月ほど前ティアが感知した場所。
どうやらダンジョンが形成されつつあるようだった。

今だ次元が安定していないらしく、セイからは『まだです』とか言われているのだけれど。

今回ひょんなことからそのダンジョンに現れる者のヒントを得ていた。

因みに僕は基本学園と擬似ダンジョンの攻略を行っていたのだけれど。
魔族のバルイルドさんを通じ、リョダから緊急の通信を受けていたんだよね。

そんなわけで僕は今ティアを伴って魔族の集落、マヤイダに転移して訪れていた。


※※※※※


のどかな田舎風の街並み。
集落はどちらかと言うと農村の様相を呈していた。

収穫の時期、魔族の皆さんからワクワクした気配が伝わってくる。

「こんにちはライト様」
「いらっしゃい女神様」

「はあ。本当にお美しい」

僕とティアを歓迎してくれる集落の人たち。
心が温かくなっていく。

そんな中かなりの魔力が膨れ上がり、何者かが僕の目の前に跪く。
異星の戦士リョダ。

何気に久しぶりだ。

「ご足労感謝いたします。ライト様、女神ティアリーナ様」
「うん。リョダも元気そうだ」

リョダは違う星から連れて来られた異星の神の眷属の男性だったのだけれど。
僕の魔力で解呪され改心。

今では心強い仲間の一人だ。

ただ。
彼の瞳には決意と同時にほのかな恐怖心が浮かぶ。
その事実に僕は心の中で気を引き締めていたんだ。


※※※※※


「ようこそいらっしゃいました。ライト様、女神ティアリーナ様、リョダ殿」

3人でしばらく歩きたどり着いた村長の家。
そこではバルイルドさんと村長が僕たちを迎えてくれた。

案内された客間。
湯気を立てるおいしそうな自家製であろうお茶。

僕とティアはそこに腰を掛け、息をつく。
何故かリョダは僕の後ろで直立しているけど。

目を輝かせ、まるで騎士のような立ち居振る舞い。
まあ…うん。

きっと『言っても聞かない』のだろうから僕は見なかったことにした。

「それで、どういった話でしょうか」
「ええ。実はこれなのですが…」

暫くお互いの近況などを話し合い、どうにか宥めリョダにも席についてもらったころ。
核心に迫るべく僕は村長に問いかけた。

そして差し出される魔石。
重い空気が張りつめる。

基本魔石は魔物の体内で生成される。
その魔物の性質を色濃く表すのだが…

今出された魔石に僕は思わず目を見開いてしまう。

「っ!?…これは?…村長、これはどこで?」
「ふむ。その反応…やはり。…この魔石はリョダ殿が倒された魔物からとれたものです。あまりに禍々しい魔力。…ワシも長年生きておりますが…このような悍ましい魔石――見たことがありませぬ」

「…リョダ。コイツ、どんな魔物だった?」
「はっ。グレートボアから採取されたものです。…ただ…」
「ただ?」

目を泳がせ、冷や汗を浮かべるリョダ。
歯を食いしばり、絞り出すように口を開いた。

「コイツ、異常に興奮していて…それにこの魔力…実はこの魔力…覚えがあります。――この星の魔力ではありません」

リョダの言葉。

まさにこれから始まる“危機”のきっかけになりうる内容だ。
僕は彼の瞳を見つめる。

「…知っている魔力…つまりは君の経験したほかの星の魔力…そうなのかい?」
「ええ。…しかも…」

「しかも?」

リョダは大きく息を吐き、天を見上げる。
そしてゆっくりと視線を僕に向けた。

「闇の女神『フェレネルト・リリールース』…俺達の星を制圧し、精神に干渉した者。…この魔石にはその魔力パターンが刻み込まれております。…とんでもない力の保持者です…どこかに顕現したのかもしれません――この星のどこかにっ」

冷や汗を流しつつも僕に伝えるリョダ。
…きっと。

彼は、リョダは悔しいのだろう。
星を蹂躙され良いように使われた。

その恐らく原因である闇の女神。
その魔力を感知したんだ。

そして同時に感じたのだろう。
皮肉にも僕の伝えた訓練方法。

それで力をつけた彼は分かってしまっていた。
彼ではその闇の女神に抗えない事を。

僕は大きくため息をつき、リョダに告げる。

「…この星の南方で新たなダンジョンが形成されているんだ。どうやら次元を超えたダンジョンらしい。…ちなみに…」

僕はチートを複合し、今現在進行形で形成されている南方のダンジョン、そこの魔力を拾い、ここで放出した。

引き攣るリョダの顔。
そして流れる大量の冷や汗。

「…間違いないかな?」
「っ!?は、はい」

リョダの脳裏によぎる情景――
その中にひときわ異質の魔力を纏う少女


伝わるそれに、僕は無言で頷いていた。


※※※※※


この星は広い。
何よりいまだ人の足が踏破していない場所なぞいくらでもある。

しかし今回顕現を始めたダンジョン。
未だ完成していないにもかかわらず、遠く離れた我が領にまでその影響を及ぼしていた。

「…っ!?…ライト様」
「…うん」

この世界を守る使命を持つティアの瞳が脅威で見開かれる。
流れる冷や汗、そして武者震い――

彼女の感知能力、僕よりも鋭い。

そして。

我が領に脅威が押し寄せることになる。


異星の女神『フェレネルト・リリールース』

どうやらコイツ、とんでもなく性悪らしい。
自分が顕現するダンジョン、それだけにすればいいものを。

コイツは既にこの星への干渉を始めていたんだ。

突如現れる新しいダンジョン。
我が辺境伯領の深い森の中に現れたそれは。


いきなりスタンピードをかましやがった。

戦いが始まる―――
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