神意再誕~ゲームマスターの少女は原初で微笑む~※旧『可愛くて最強?!知識チートの黒髪黒目の少女はゲーム世界に転移する?!』

たらふくごん

文字の大きさ
254 / 267

第242話 スサノオ

しおりを挟む
「うぐっ、うあああああああっっっ――――!!!!!」

大気を震わせるマールデルダの絶望の雄たけび――
崩れ行くミリナの亡骸を抱え、マールの悲しみがあふれ出す。

その様子に。
細切れにされたゼギアノードは復元しながら心の底から満たされていた。

(クフフ…ああ、いいっ!…この絶望と無力感…滾る…ひぐうっ?!)

一閃――

マールの凄まじい剣戟が、再生を許さない。
しかし。

「…くくく…どうしました?…剣が乱れてますねええ」

爆発的に吹き上がるマールの魔力。
しかしそれには。

絶望がまとっていた。

「っ!?…マール殿っ!!…だめだ、飲まれるな!……ミリナ殿の死を…無駄にするな!!」

「っ!?」

世界が止まる。
感情が消えていく。

(…ミリナ…………ミリナ………俺は……)

腕の中で冷たくなっていくミリナ。
既に美しかった面影はみじんも見られない。

悲しみ
怒り


何より目の前で殺された――無力感

「……俺は…………」


ドクン

マールデルダからかつてない威圧が吹き上がる――


※※※※※


――「まあさ…最終的にはやっぱり“愛”かな。…世界を救うのは愛なんだよ」
「…愛?」

脳裏によぎる少年だった頃の会話。
何故か達観し、そんな世迷言を宣うアルディの言葉が鮮明に浮かぶ。

「無敵だからこそ愛に狂う。――うんうん。ロマンだね」
「…アルディ君はもう知っているの?」

真直ぐな疑問。
実にマールは多くの“親の愛”に包まれていた。

期待され。
望まれ。
そして与えられ。

満たされているが故に気づけないその“愛”と言う感情。

マール少年は首をかしげる。

「うーん。お子様には難しいかな?…フフン。いつか君に大切な人が出来たら――わかるかもね」


「…大切な…人?」

リフレインするその言葉



分かってしまう

もっと早く――


知りたかった



※※※※※



―――ああ。

師匠。

『愛に狂う』


理解してしまう。

俺に本当の愛を…
魂が求める愛おしい人

最愛の女性――ミリナ

真直ぐで
不器用で
優しくて――

でも

俺を心から愛し――受け入れてくれた大切な人

彼女の居ないこの世界――
失われた世界。


要らない


もう。




消えてしまえっ!!!




力の権化が――産声を上げる。


※※※※※


星を揺るがす波動。
呼吸すらままならない圧倒的な圧。

マールを中心にそれはこの星を覆いつくしていく。

「くうっ?!…なんという…悲しみの魔力…っ!?いかん!」

凄まじい方向性を持ったまさに暴力。
それは目の前にいたゼギアノードをチリのレベルまで分解していた。

「っ!?」
「ぐうっ…ぐがあああああああっっっっ!!!!」

絶叫し、苦しみ悶えるマールデルダ。
しかし止まらない魔力の膨張。

大気は怒りに塗り替えられていく。
色を無くし、悲鳴のような次元の軋みが響き渡る。

溜まらず全力でガードする十兵衛。

『…十兵衛……殺して…くれ…』
(っ!?…マール、殿?)

目の前でまさに改変していくマールデルダ。
その身体は既に膨れ上がり、激しい憎悪が迸る。

悪寒。
絶望。

そして…拒絶。


刹那空間がぱっくりと裂け――
異質なものがその姿をマールと同化させていく。


それはまるで悪夢の光景。
原初の恐怖を思い起こさせる、抗えない激しい恐怖。

かつて最強だったマール。

彼はもはや。


全てを根底から消し去る力――

伝承にある最終忍術――『スサノオ』

荒ぶる破壊の神。
次元の殲滅者。


改変してしまっていた。


解き放たれるそれは。
すでに人知を超える絶望を振りまき始めた。

『…キエロ』
「っ!?」

手を振り払うそれ。
十兵衛の後方…およそ数キロ先の大地。

凄まじい爆音と衝撃波――
まるで世界の終わり、あり得ない光景。


見渡す限り、底の見えない大穴が地平線の彼方まで形成されていた。


「…悪魔どころでは…ないな」

目を閉じる十兵衛。
意志を交わしたムラマサ。

全てを包み込む研ぎ澄まされた闘気が――


死を覚悟した十兵衛から迸った。


※※※※※


「っ!?」
「美緒?!…どうしたの…ひぐうっ?!」

到着と同時にガザルトの王城へと突入していた美緒たち。
突然立ち止まり、自らを抱きしめ崩れ落ちる美緒。

刹那皆を包み込む絶望を纏う経験のない魔力――

「まさか?…これは…『スサノオ』?…」
「っ!?スサノオ?…レギエルデ、説明してくれ」

すぐさま美緒を抱きかかえたレルダンがレギエルデに問いかける。
今のこの異常な事態。

そのカギを知っているのは恐らくレギエルデだけだ。

即座に結界を展開させるリンネ。
ようやく息が出来るその状況に、ガーダーレグトが口を開く。

「レギエルデ、貴様…『スサノオ』と言ったな?…まさか」
「うん…最終忍術…存在の改変…破壊の体現だよ」

既に王宮の謁見の間にはルギアナード帝国の精鋭たちが突入済みだ。
同行しているコメイが場を抑えたはずだが…

「…ダメ…だめだよ、マール。…それは不完全だ…」
「美緒?」

今わかった。
世界は2面性。

『破壊と再生』

それは同時に存在しないと駄目な力なんだ。

美緒は歯を食いしばり、マールの居る場所に感知を飛ばす。

「……っ!?うそ…ミリナ?…うああ、ミリナがっ…ミリナがっ!!」

膝を崩し蹲る美緒。
その瞳からは大粒の涙が零れ落ちる。

「っ!?ミリナ?……ま、まさか。美緒?」
「……死んだ…」
「「「っ!?」」」

絶望が支配する。
対悪魔。

皆覚悟を持って臨んでいた。

しかし残酷な現実。


美緒の精神は。

ありえないほど混乱に包まれてしまっていた。


脳裏によぎるミリナの美しい姿。

失われた事実。


「うあ…うあああ…うあああああああっっっ!??」

美緒の絶叫。


皆は立ち尽くし。


希望は音を立てて崩れ始めていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第2巻発売中です!】 逞しく成長したリューク、そしてジーナ、ユフィオ、キスティーが大活躍します! 皆様どうぞよろしくお願いいたします。 【書籍第3巻が発売されました!】 今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。 イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。アニスもレムも超カワで、表紙もカッコイイです! 素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。 【2024年10月23日コミカライズ開始!】 『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました! 颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。 【ストーリー紹介】 幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。 そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。 養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。 だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。 『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。 貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。 『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。 『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。 どん底だった主人公が一発逆転する物語です。 ※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...