くろた

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過去の恋愛

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大学時代、私は恋人と深夜に散歩に出かける日課があった。

恋人と私が住んでいたアパートから近いコンビニまで歩いて、ビールとスナックを買い、くだらない話をしながらスナックを食べたり、そして疲れたトラック運転手と速度違反のレーサーだけが走る深夜の道を歩いたり。

そんな時でも恋人はうつ病と不安と闘っていて、当時のことを思い返すことをよく思っていなかった。私は恋人が真っ暗な夜の突き刺すような明るい光を見つめながら、あの古いコンビニまで散歩していたころの人生の時間を再び経験することを決して望んでいないことを知っていた。ビールやスナックを買い、静かな寒さの中で恋人が私に隠しながら不安と闘っていたことを知っていた。それと対照的に私は当時のことを懐かしく思い返す。恋人と私だけだった時間に戻って、明日のことを気にせず深夜に散歩をし、夜通し笑い、ホームレスを見てなぜそうなったのか二人で想像したり。しかし、当時から恋人と私は全く異なる価値観で世界を見ていた。

結局恋人は一緒に住んでいた家を出ていき、一人でうつ病と闘うことを決意した。そして彼女は最後に「楽しい時間をありがとう。」そう言ってくれた。

現在、私は新た出会ったよく寝る人と結婚し、健康的な食事のためにジャンクフードを避け、日中は人ごみに紛れて働いている。最近のデートは忙しいビジネス街で、高価なものを買ったり、おいしいものを食べたりしている。その時間は今の私の生き甲斐だ。

しかし、私はあの頃の夜が恋しい。こんなに満たされて健康的であっても、退廃的だった当時をよく思い返す。今はただ、彼女がより良い環境に置かれていることを願うことしかできない。たった6°でもいい。戻りたい。彼女もあの幸せな環境にいながらもこんな気持ちになっていたのかもしれない。
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