63 / 181
第2章 森再生編
63話 黒い翼
しおりを挟む
ブラックは操られている魔獣へと向かった。
もちろん、魔人の王であるブラックであれば、何体かの魔獣がいても問題はないのだろう。
ただ、消滅させてしまうのだろうか?
それではあまりにも魔獣達が可哀想に思えた。
ブラックは開けた場所に魔獣達を呼び寄せ、大きなドーム状の結界を作り、魔獣達をそこから出れないように閉じ込めたのだ。
その中で火を吹いたり、衝撃波を放ったりと魔獣達は暴れていたのだ。
ブラックはその中に入り、左手に綺麗な宝石のような石を作り出した。
そしてそれを魔獣達に向かって投げたのだ。
その石は魔獣の額のあたりに吸い込まれていった。
それはブラックの魔力を込めたもので、魔獣は通常であればその石の所有者の意のままになるはずなのだ。
しかし今回は既に別のものに寄生されている状態なので、どうなるかが私にはわからなかった。
だが、心配には及ばなかった。
ブラックが石を通して魔獣をコントロールしはじめたのだ。
少しすると、魔獣達は落ち着きを取り戻し、静かになったのだ。
黒い影達よりもブラックの洗脳のが強いと言う事なのだろう。
その後よく見ると、魔獣から黒い影が少しずつ外に出てきたのだ。
ブラックの力により、魔獣の中から追い出されたようなのだ。
しかし、出てきた黒い影は集合し、あっという間に今度は人型に変化したのだ。
森の記憶を持っていたのだと思ったがそうではなかった。
それは人型ではあるが、人間でも魔人でもなく、そう・・・強いて言うなら悪魔。
何故なら、人の形をしているが、背中には大きな翼があったのだ。
それも吸い込まれるような漆黒の翼なのだ。
所詮は黒い影が作り出したものであり、偽物ではあるのだが、この影達の記憶の中に存在する者であるのは事実なのだ。
「これは何者だろう?
ユークレイス、何か読み取れますか?」
「はい、ブラック様、やってみます。」
ブラックはユークレイスに黒い影の記憶を読み取ってもらった。
ユークレイスは青い目を凝らしてその集合体を見たのだ。
影の記憶から色々読み取れるかと思ったが、この黒い翼を持つ人物については、その風貌のみでそれ以上の情報は得られなかったのだ。
つまり特に目新しい事は無かったようなのだ。
「見た目の情報しかありませんね。」
それを聞くと、ブラックはその黒い翼をつけた存在に左手を向けて、一瞬で消滅させたのだ。
そして下には黒い粉末が残されていたのだ。
その後ブラックはドーム状の結界を解除し、魔獣達を自由にさせたのだ。
すでに黒い影の存在からは解放されていたので、森の中に問題なく向かっていったのだ。
そして、あたりに黒い影の気配は感じられなかったので、私達は城に向かう事にしたのだ。
森が以前のように再生された事は喜ばしい事だったのだが、最後に見た悪魔のような風貌の存在が気がかりとなった。
城のブラックの執務室に瞬時に移動すると、そこには幹部全員が揃っていた。
ブラックがなかなか戻らないめ、ここで待機していたようだ。
戻った時の私達の不穏な雰囲気を感じたのか、ネフライトが真剣な顔で声をかけて来たのだ。
「ブラック様、遅かったですね。
森で何かあったのでしょうか?」
ブラックは森でのことを話したのだ。
黒い影自体は特別今の段階では心配は無いと思われるのだが、最後に見た黒い翼を携えた人物が気掛かりであることを話したのだ。
この500年、この地に住んでから知的な存在に遭遇した事も無かったようなのだ。
移住前にブラックはもちろん下調べをしていたのだ。
この世界全体を見回ったわけでは無いが、生命体の気配を探っておいたのだ。
しかし、この世界には小動物さえ存在せず、植物のみが存在する世界である事を前もって確認していたのだ。
だからこそ、安全と思いこの地に移住をする事に決めたようなのだ。
ただ考えられる事としては、自分達と同じように別の世界からこの地に来る者がいたかもしれないという事なのだ。
それは、自分達がそうであるように否定はできないのだ。
もしくは以前から存在していたが、気配を隠す事が出来る能力を持った者達なのかも知れない。
私はふと思った。
「もしかしたら、森の精霊なら何か知ってるかも。
この地で長く生きているものと言えば、あの精霊以外思い当たらないわ。」
「確かにそうだね。
また後で行ってみるとしよう。」
ブラックがそう話すと、ユークレイスが記憶を読み取った時のことを話したのだ。
「多分ですが、あれはそんなに古い記憶では無いと思います。
他の黒い影からはあの森での記憶のみしかありませんでした。
最後のものに関しても森の記憶はありましたが、それに加えてあの黒い羽根を持つ人物の記憶もあった感じです。」
ユークレイスの話を考えると、森に寄生した後に一部の影達が魔獣とともに移動し、そこで遭遇した者と言うことなのかもしれない。
もしくは魔獣達の記憶の中にあったものを奪って実体化したのか。
魔獣達は森や草原を棲家とするが、この世界を自由に動く事は出来るのだ。
とにかく、この世界には魔人以外の者が存在している可能性が強いと言う事なのだ。
どうであれ、今は想像するくらいしか出来なかった。
もちろん、魔人の王であるブラックであれば、何体かの魔獣がいても問題はないのだろう。
ただ、消滅させてしまうのだろうか?
それではあまりにも魔獣達が可哀想に思えた。
ブラックは開けた場所に魔獣達を呼び寄せ、大きなドーム状の結界を作り、魔獣達をそこから出れないように閉じ込めたのだ。
その中で火を吹いたり、衝撃波を放ったりと魔獣達は暴れていたのだ。
ブラックはその中に入り、左手に綺麗な宝石のような石を作り出した。
そしてそれを魔獣達に向かって投げたのだ。
その石は魔獣の額のあたりに吸い込まれていった。
それはブラックの魔力を込めたもので、魔獣は通常であればその石の所有者の意のままになるはずなのだ。
しかし今回は既に別のものに寄生されている状態なので、どうなるかが私にはわからなかった。
だが、心配には及ばなかった。
ブラックが石を通して魔獣をコントロールしはじめたのだ。
少しすると、魔獣達は落ち着きを取り戻し、静かになったのだ。
黒い影達よりもブラックの洗脳のが強いと言う事なのだろう。
その後よく見ると、魔獣から黒い影が少しずつ外に出てきたのだ。
ブラックの力により、魔獣の中から追い出されたようなのだ。
しかし、出てきた黒い影は集合し、あっという間に今度は人型に変化したのだ。
森の記憶を持っていたのだと思ったがそうではなかった。
それは人型ではあるが、人間でも魔人でもなく、そう・・・強いて言うなら悪魔。
何故なら、人の形をしているが、背中には大きな翼があったのだ。
それも吸い込まれるような漆黒の翼なのだ。
所詮は黒い影が作り出したものであり、偽物ではあるのだが、この影達の記憶の中に存在する者であるのは事実なのだ。
「これは何者だろう?
ユークレイス、何か読み取れますか?」
「はい、ブラック様、やってみます。」
ブラックはユークレイスに黒い影の記憶を読み取ってもらった。
ユークレイスは青い目を凝らしてその集合体を見たのだ。
影の記憶から色々読み取れるかと思ったが、この黒い翼を持つ人物については、その風貌のみでそれ以上の情報は得られなかったのだ。
つまり特に目新しい事は無かったようなのだ。
「見た目の情報しかありませんね。」
それを聞くと、ブラックはその黒い翼をつけた存在に左手を向けて、一瞬で消滅させたのだ。
そして下には黒い粉末が残されていたのだ。
その後ブラックはドーム状の結界を解除し、魔獣達を自由にさせたのだ。
すでに黒い影の存在からは解放されていたので、森の中に問題なく向かっていったのだ。
そして、あたりに黒い影の気配は感じられなかったので、私達は城に向かう事にしたのだ。
森が以前のように再生された事は喜ばしい事だったのだが、最後に見た悪魔のような風貌の存在が気がかりとなった。
城のブラックの執務室に瞬時に移動すると、そこには幹部全員が揃っていた。
ブラックがなかなか戻らないめ、ここで待機していたようだ。
戻った時の私達の不穏な雰囲気を感じたのか、ネフライトが真剣な顔で声をかけて来たのだ。
「ブラック様、遅かったですね。
森で何かあったのでしょうか?」
ブラックは森でのことを話したのだ。
黒い影自体は特別今の段階では心配は無いと思われるのだが、最後に見た黒い翼を携えた人物が気掛かりであることを話したのだ。
この500年、この地に住んでから知的な存在に遭遇した事も無かったようなのだ。
移住前にブラックはもちろん下調べをしていたのだ。
この世界全体を見回ったわけでは無いが、生命体の気配を探っておいたのだ。
しかし、この世界には小動物さえ存在せず、植物のみが存在する世界である事を前もって確認していたのだ。
だからこそ、安全と思いこの地に移住をする事に決めたようなのだ。
ただ考えられる事としては、自分達と同じように別の世界からこの地に来る者がいたかもしれないという事なのだ。
それは、自分達がそうであるように否定はできないのだ。
もしくは以前から存在していたが、気配を隠す事が出来る能力を持った者達なのかも知れない。
私はふと思った。
「もしかしたら、森の精霊なら何か知ってるかも。
この地で長く生きているものと言えば、あの精霊以外思い当たらないわ。」
「確かにそうだね。
また後で行ってみるとしよう。」
ブラックがそう話すと、ユークレイスが記憶を読み取った時のことを話したのだ。
「多分ですが、あれはそんなに古い記憶では無いと思います。
他の黒い影からはあの森での記憶のみしかありませんでした。
最後のものに関しても森の記憶はありましたが、それに加えてあの黒い羽根を持つ人物の記憶もあった感じです。」
ユークレイスの話を考えると、森に寄生した後に一部の影達が魔獣とともに移動し、そこで遭遇した者と言うことなのかもしれない。
もしくは魔獣達の記憶の中にあったものを奪って実体化したのか。
魔獣達は森や草原を棲家とするが、この世界を自由に動く事は出来るのだ。
とにかく、この世界には魔人以外の者が存在している可能性が強いと言う事なのだ。
どうであれ、今は想像するくらいしか出来なかった。
0
あなたにおすすめの小説
唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。
彩世幻夜
ファンタジー
※ 2019年ファンタジー小説大賞 148 位! 読者の皆様、ありがとうございました!
裕福な商家の生まれながら身分は平民の悪役令嬢に転生したアンリが、ユニークスキル「クリエイト」を駆使してシナリオ改変に挑む、恋と冒険から始まる成り上がりの物語。
※2019年10月23日 完結
新作
【あやかしたちのとまり木の日常】
連載開始しました
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜
O.T.I
ファンタジー
レティシア=モーリスは転生者である。
しかし、前世の鉄道オタク(乗り鉄)の記憶を持っているのに、この世界には鉄道が無いと絶望していた。
…無いんだったら私が作る!
そう決意する彼女は如何にして異世界に鉄道を普及させるのか、その半生を綴る。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる