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外征人
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あれちょっと待って、ミリナの姿が見当たらない。
前方に目を凝らす。
「大丈夫か?」
「すごい揺れるぞ。みんな何かに捕まるんだ」
「とんでもない地響きが!」
「きゃーーーー」
戸惑いを口にしている王国民。しかし、その中にミリアがいない。
「きゃー、地面に人がめり込んでる」
誰かが叫ぶ。その女性が指差したところは外征人の足元。
しかし、私からは人なんて見えない。だが、赤い水溜まりだけが視認できる。
まさか、ミリアはあの外征人に潰されたのか。
外征人の足元の赤い水溜まりの上に、先ほど買ったアイスの残りが溶けていくのが見えた。
私は、後ずさる。しかし、王国民は狼狽するが逃げようとはしない。
外征人は、ゆっくりと辺りを見回すと、急に私の方に目を向けた。
目が合ってしまう。
だめだ。
本能が赤信号を灯す。目を逸らせば殺される。一歩ずつ足を後ろに運ぶ。まるで熊に遭遇した時のように、目を合わせながら、一歩ずつ決して背中を向けないようにしながら後ずさる。だた、私の考えとは裏腹に、外征人は雄叫びを上げた。
「ウオオオオオオオオオ」
外征人は叫びながらその巨体を私の方に移動させる。
「なんだ、また雄叫びと地震だぞ!」
周りの王国民はことの重大さを理解できていないらしい。
逃げなければ。しかし、足が動かない。私は、足を絡めてしまい、その場で尻餅をついてしまう。
殺されてしまう。外征人から放たれる殺気に気圧され、この次に迎えるであろう自分の結末が予想できるにもかかわらず、足が動かない。
そんな私の気なんて知る由もない外征人は、大きく巨大な腕を上げると、私を押し潰そうとする。
(ああ、私の人生ってあっけないな)
私の頭の中に、走馬灯のようにこれまでの記憶が蘇る。幼い頃の母の記憶『あなたは神に祝福されているのよ』と母は言った。だけど、祝福なんてされてなかったよ母さん。やっと会えるね。
だけど、死ぬならば誰かのために死にたかったな。
急に左目が霞み出す。
恐怖で目も見えなくなってきてしまったのか。
私は自分の精神の弱さを嘲笑いながら、目を閉じた。
「さよなら」
その言葉を発した時、頭に強い衝撃が走る。
私って死んだのかな?だけど、案外痛くないのね。潰される時、相当痛いのかと思ったのに。
意外に無痛で死ねたことに安堵しながら、ゆっくり目を開ける。
「なんで?」
私は困惑した。目の前に広がる光景が理解できなかったから。
「うう……」
目の前には、必死に声を堪えながら、大粒の涙を流しているミリア。
あれ、どうしてミリアが目の前にいるの?死んだはずじゃ。
ああ、お互い死んだから、霊界とかにでも一緒に来ちゃったのかな?
ちゃんと仲直りしないと、あの世には行けないってか。神様も粋なことを行うのね。
まあ、後味は災厄だったし、もう死んだんだし、お父さんにも会うこともないだろうし、プライドなんて捨てて謝ろう。
ミリアが駆け出そうとした時、私はミリアの腕を掴んで引き留めた。
「あのね、ミリアちゃん……」
『ブオーーーーーーーー、緊急地震警報、緊急地震警報』
私の言葉を遮るように再び発令された緊急地震警報。
「え、なんで、なんでまた地震警報が?」
私の混乱をよそに、事態は繰り返す。
——ドドーーーン
私の声を騒音が遮った。そして、地震のような大きな揺れに足を掬われてこけてしまう。
「大丈夫?」
ミリアは泣きながら手を差し伸べてくれたため、私はその手を掴んだ。その時だった。
「ウオオオオオオオオオ」
聞き覚えのある雄叫び。私はミリア越しに、ミリアの後方を恐る恐る覗き込む。
おかしい。何が起きたのか理解できない。
なんで目の前に外征人がいるの?
「大丈夫か?」
「すごい揺れるぞ。みんな何かに捕まるんだ」
「とんでもない地響きが!」
「きゃーーーー」
周りの王国民が困惑している。さっきと同じ会話の内容だ。
「エリナちゃん、すごい地震だったね。大丈夫?顔色が悪いよ」
ミリナは持っていたハンカチで私の額の汗を拭ってくれる。
状況が掴めない。
だけど一つだけ分かっていることがある。
それは、逃げなければ死ぬこと。
「こっちに来て」
私はミリアの手を引きながら走り出した。それに呼応して外征人も走り出す。
「うわ、まだ揺れてる」
「きゃー、物が吹き飛んだわよ」
外征人が走り出すとその周りからは悲鳴が絶えず聞こえてくる。
だが、そんなの見ている余裕はない。私は必死で逃げる。
「エリナちゃん。どうして走ってるの。ちょっと私、休みたい。息が続かない」
「今止まっちゃだめ。私を信じて走って」
「……わかった。何か大変なことが起きてるんだね。私はエリナちゃんの友達だから信じるよ」
友達とは便利な魔法の言葉だなと思いながらも、私は必死に走った。
しかし、外征人はますます距離を詰めてくる。
遂に、私たちの真後ろまで迫った。
(ああだめだ、また死ぬ)
「あ」
ミリアが転んだ。なんという間の悪いタイミング。すぐさま、ミリアを抱き抱えようとするが、到底再び走れそうにない。私は、ミリアを庇うように抱きしめ、死ぬ時を待つ。
『ぎゃああああ』
外征人の断末魔。外政人の方に目を向けると外征人の目の前に男が立っていた。
——ボト
外征人の腕が地面に落ちる。
「すまん。俺にできることはこれだけだ」
次の瞬間、私が気づいた時には外征人の首は地面に落ち、先ほどまでの喧騒が、嘘かのように静寂が辺りを包む。
「無事ですか?」
男は、白い仮面を顔に被せている。何やら、まるでアマゾンで見られそうな奇妙な絵が描かれている白い仮面。表情が全くわからない。それに加え抑揚のない低い声。怒っているのか心配しているのか、憐れんでいるのか、どんな感情なのか私には到底理解できそうにない。
「その目、オッドアイですか。珍しい。それにあなたは混血でしょ。混血なのになぜ内区人と一緒に過ごしているのか。それに内区人を助けるなんて変わってますね」
「人の命を助ける助けないに、理由なんてありません。人種だって関係ないです」
「この状況下でまともに返答できるとは胆力がありますね。まあ、そうですね。理想論だとそうですね。理想論では」
嫌な感じの男である。少し上から目線で。
「助けていただいたことは感謝します。それでは私はこれで」
これ以上、この男と関わってはいけないと、本能がそう叫んでいる。
呆然と私と男の会話を聞いていたミリアの手を引きながら、家路につこうとし男に背を向けた。
「どうして君が外征人を視認できるのかな」
「え!?」
私は男がポツリと呟いた言葉に意表をつかれて振り返った。しかし、すでに男は目の前にはいなかった。
「あれ、さっきの人何処行っちゃったんだろ」
ミリアが不思議そうに辺りを見渡す。
なぜ私が外征人を見ることができたかって、そもそも外征人って見ることができないものなの?
謎が頭を巡る。
そんなことはどうでもいい。目の前の気持ち悪い死体から早く離れたい。
「ミリアちゃん行こ」
私は再びミリアの手を引く。
「あーー、ちょっと待った待った」
先ほどの男に続いて、また他の男が話しかけてきた。私は、気だるそうにその男を見たが、すぐに顔色を変え、気だるさが悟られないようにする。私たちに声をかけてきた男の胸についている徽章。冷や汗が滲む。軍警察……。いい噂は全く聞かない。これまで、軍警察に捕まった人で、軍に復帰した人物なんていないと聞いたし、なんなら拷問等で死んでしまったと言った噂も聞いたことがある。
通常では絶対関わらない組織なのに。外征人と接敵してしまったから? 全くついてないわ。
「君、聞こえているかい? 名前を教えてくれないか」
「はい!」
私は、自分より階級が高い軍警察の男に向かい、敬礼し、名を述べた。
「グリーデ王立高校所属、エリナ・フォードです」
「フォード。もしかして、ユリユス閣下の御令嬢かい?」
「は、そうです」
「おお、こんなところで出会えるなんて一度お目見えしてみたかったんだ」
私に会いたかった? なぜ?
「それで、そちらは? ミリア・クローデです」
「クローデ……。まさか、ビンス・クローデ大佐の御令嬢ですか?」
「ビンスは私の父です」
ミリアの父親は軍人だったのか。だから私の父とも繋がっていたのか。
「これはこれは、お二人ともこの国を背負ってたつ方々の娘さんだとは、恐れ入ります。申し遅れましたが私は、ローゼン・リア中尉です。それで、話は変わりますが。あなたたちはなぜ急いでこの場から離れようとしているんですか?」
ローゼン中尉の顔色が瞬時に変わり、眼光が鋭くなった。
「急いでこの場から? 別に急いでませんよ」
ミリアが不思議そうにローゼン中尉の方を見ている。
「なるほど、ミリアさんは急いでないと。そうなると急いでいるのはエリナさんですね」
「い、いや、急いでません」
「そうですか、そうですか。ちょっとこちらに来てください」
そういうと、ローゼン中尉は私を外征人の死体の前まで連れていく。
「ここから前に歩いてください」
「え!?」
「どうぞ、遠慮なく歩いてください」
「歩けばいいんですか?」
「そうですそうです」
顔面から血の気が引く感触を感じる。ローゼン中尉は私を試している。さっきの周りの反応と、あの仮面の男の言葉から推測するに、恐らく外征人は普通は見えない存在。見えてしまったならば、それは異常者ということなのかもしれない。
ローゼン中尉は、私が異常者かどうか外征人を踏み絵がわりにして検討しようとしているんだ。
もし外征人が見えてしまったのならば、私はどうなるのだろう。身柄を拘束されるのだろうか。
「どうしたましたか?歩けませんか?」
冷や汗が吹き出す。前髪が濡れる。どうしよう。どうすればいいの。
意を決して歩くしかない。それしか道は残されていない。
私は大きく足を踏み出そうとした。
「ピピピピ」
急にローゼン中尉の携帯が鳴り響く。
「あ、エリナさんちょっと待ってね。あ、はい、はい。あーそれはめんどくさいことになりそうですね。わかりました」
「残念。もう少し話できそうだったのに、帰投命令が出たからお暇しますね」
「あ、はい、お疲れ様です」
ローゼン中尉は満面の笑みを浮かべ、携帯をポケットにしまいながら、ミリアにも挨拶をした。そして、帰り際、何かを思い出したように私の方に近寄ってきて、耳打ちをする。
「綺麗なオッドアイだね。そして、黒い髪の毛。君、混血なんだね。それと、外征人が見えてるね」
そう言い残したまま、ローゼン中尉はどこかへ行ってしまった。
‡‡‡
みんな、私が今何処にいるかわかりますか。私は今、校長室にいます。
「それでは早速話を始めましょう」
聞き覚えのある声。
外征人を見かけた次の日、私はいつもと変わらずに登校した。
しかし、事態は急変する。一限が始まる直前に、担任が、至急校長室に向かうよう指示してきた。
だから私は今校長室にいる。
ただ、予想外だったことは……ローゼン中尉が部屋にいたことだ。
「やあ、おはようございます。昨日ぶりですね」
「おはようございます」
「昨日はぐっすり眠れましたか?」
「はい、大丈夫です」
「それは良かった。なんでここにいるのかって顔ですね」
「私、何か悪いことをしましたか?」
「いえいえ、そんなことはありません。今日私がここに来たのは他でもない。君を勧誘しに来ました」
「え、私をですか?」
「そう、あなたを。あなたにはずば抜けた才能があるらしい。それは必ず軍警察内で役に立ちます。君の力を国のために役立ててみないですか?」
ローゼン中尉は座りながら私を見上げる。口元は笑っているが目は笑っていない。私の奥底に眠る秘密を暴いて見せると言わんばかりの目つき。
この男は、純粋に私を勧誘しに来たのではない。それは百も承知なのだ。そして軍警察なんて評判の悪いところに行きたくないが、この部屋の雰囲気は私に拒否権を与えてくれない。
「いい話じゃないですか。いきなり軍警察に所属できるなんて出世街道ですよ。いくらユリウス閣下の娘でも、混血のあなたが普通には到底到達できない高みですよ。我が校の名声もまた上がります。いきなり軍警察に出世する生徒を輩出したことによって」
校長先生は今にも乱舞しそうである。
「あと、ユリユス閣下には承認してもらっておりますので、その辺は大丈夫ですよ」
ローゼン中尉は足を組み直しながら、にこやかに告げる。
ああ、また父の掌の上なのか、私は。軍警察に所属するとなると父は嬉しがるだろう。そして、父が賛同していることとなれば、もはや私には拒否権はない。
「はい、わか……」
「少しお待ちを」
私が了承しようとした時だった。急に校長室のドアが開かれモーニング姿の老人が部屋に入ってきた。
「あなたがなぜここに?」
ローゼンの顔から笑みが消える。それどころか少し敵意を老人に向けている。
「面白そうな話をしているではないですか。私も混ぜてくれませんか」
老人はやわらかい笑みを私に向けながら歩み寄る。
「初めまして、私は外征人管理課室長、ミハエル・エリックと申します」
「初めまして、私はエリナ・フォードです」
ミハエル・エルリック聞いたことがない名前。それに外征人管理課なんてそんな部署あったかしら。
「あの、ローゼン中尉この方は?」
校長が戸惑っている。
「校長先生、この方は外征人管理課という軍の一組織の室長です。聞いたことがないでしょう。まあ、表にほとんど出てこない組織ですからね。王直轄の」
「え、王直轄!?」
王直轄という言葉に恐れ慄きたじろぐ校長。
「これは失礼しましたエリック様」
「いやいや、肩書きは肩書きです。そんなに敬わられるような人物ではありませんので、お気を使わずに。それで、ローゼン中尉。私が来たということはそういうことです。エリナさんは私が引き取ります」
老人は今度はローゼン中尉の方に向き直し、優しい声で語りかけた。
「今の軍にあなたに逆らえる人なんていないですよ」
「ほほほ」
「今回はこちらが手を引きますね。ただ、ますます興味が湧きますね。管理課も欲しがる人材とは。だがエリックさん。あなたには黒い噂がいくつもある。必ずその裏の顔を暴いてやりますよ」
ローゼン中尉は、捨て台詞を残し、いつものエレガントさを失ったまま、校長室から退出していった。
「さてエリナさん、綺麗なオッドアイですね。私はいつかあなたに出会えると信じてました。まさに良きタイミングで出会えました。私と一緒に来ていただけますか?」
「え、あ、あの、質問してもいいですか?」
「なんなりと」
「外征人管理課って一体何をするところなのですか?」
老人は白い顎髭を触りながら、校長の方を見て
「少しだけ二人きりにしていただけませんか」
と伝えた。校長はその言葉通りに部屋を出て、私とエリックは校長室で二人きりになる。
「エリナさんは昨日見ましたよね。外征人が内区を襲撃したところを。そして、仮面の男が外征人を討伐したところを」
「——いや私は何も……見てません」
「私たち管理課は、内区に侵入してきた外征人を討伐し、内区人に被害が出ないよう未然に防ぐための組織です」
エリックは、エリナの言葉には耳を貸さずに話を進める。
「私は、外征人が見えません。だから、お力にはなれないと思います」
「いえ、見えていますよ。そのオッドアイの持ち主なら確実に。それと内区人は外征人が視認できるかできないかを知りません。だから、外征人が見えないと断定するあなたの発言は、もはや外征人が視認できると言っていると同然ですよ」
「いや、その」
「大丈夫です。我々の仲間には混血や外区人もいます。安心してください。我々はあなたを守るためにあなたを勧誘してるのです」
守る……私を? それに王直轄の組織なのに内区人だけで構成されずに、混血や外区人もいるって一体どういうこと。
だけど、もし本当に私をこの雑多な世界から守ってくれるならば、そこは父の力も届かない私の居場所になるのかしら。味気ない毎日。罵詈雑言を受け必要とされない毎日。ならば、私は、一歩踏み出そうと思う。
「どうしますか? 決定権はあなたにあります」
「分かりました。お力になれるかどうか分かりませんがよろしくお願いいたします」
その言葉を聞くと、エリックは笑みを浮かべそのままドアの方と歩いて行った。そして、ドアを開き、待機していた校長先生を目の前にして意気軒昂に言葉を発した。
「それでは校長先生、明日から彼女は正式な軍人になりますが、これから高級官僚になるには、グリーデ高校を卒業する必要があるため、これからも高校には通います。ただ、任務優先ですので欠席時などは優遇をお願いしますよ」
‡‡‡
軍本部一室
「閣下、お耳に入れたいことが」
「どうしたエラリス秘書官」
「はい、たった今入った情報ですが、閣下の御令嬢であるエリナ様の軍警察への配属が撤回されたとのことです」
「なんだって、なぜだ。根回しもして完璧だったではないか。もしやエリナが断ったのか」
ユリウスの顔がどんどん紅潮していく。
「いえ、閣下。エリナ様は軍警察への配属を、閣下の望み通り所望したようでございます」
「では、なぜ軍警察への配属が撤回されるのだ」
「イレギュラーなことが起きました」
「もったいぶらずにさっさと言わんか」
「管理課が動いたもようです」
「管理課がなぜだ。あそこは最近室長が変わったそうだな」
「はい、その新しい室長が、大層エリナ様を気に入っている様子で」
「なぜだ、エリナにそこまでの価値があるというのか。外区人の女との間にできた混血のただ頭がいいだけの女だぞ」
「軍警察の諜報部に探らせましたが、分かりませんでした。なぜ室長がエリナ様を懇願したのか」
「ちくしょう。王直轄の管理課には私の権力が届かん。しかも、あそこに入ってしまったら二度と、出世もできないだけでなく正規の軍属には戻れなくなってしまう。私の血が通っているものは絶対に要職に就かなければならないのに、それが叶わなくなってしまう。なぜだ、なぜ管理課が出しゃばってくる」
「いかがしましょうか」
「もう少し、諜報部に探らせろ。室長の黒い噂を聞いたことがある。王に取り入りこの国を陰で支配しようとしていると。なんでもいい。管理課の信頼を失墜させる情報を集めろ。そして、必ずエリナを正規の軍属に戻すんだ」
「かしこまりました」
——ガシャーン
ユリウスは、自室の机の上に置いてあった花瓶を持ち上げ、それを地面に叩きつけた。
「やってくれたな、エリック室長。なぜ純血の内区人ではなく混血のエリナを欲したのだ。計画が台無しだ。何か裏があるはずだ。絶対に暴いてやる。私のプライドに賭けてな」
前方に目を凝らす。
「大丈夫か?」
「すごい揺れるぞ。みんな何かに捕まるんだ」
「とんでもない地響きが!」
「きゃーーーー」
戸惑いを口にしている王国民。しかし、その中にミリアがいない。
「きゃー、地面に人がめり込んでる」
誰かが叫ぶ。その女性が指差したところは外征人の足元。
しかし、私からは人なんて見えない。だが、赤い水溜まりだけが視認できる。
まさか、ミリアはあの外征人に潰されたのか。
外征人の足元の赤い水溜まりの上に、先ほど買ったアイスの残りが溶けていくのが見えた。
私は、後ずさる。しかし、王国民は狼狽するが逃げようとはしない。
外征人は、ゆっくりと辺りを見回すと、急に私の方に目を向けた。
目が合ってしまう。
だめだ。
本能が赤信号を灯す。目を逸らせば殺される。一歩ずつ足を後ろに運ぶ。まるで熊に遭遇した時のように、目を合わせながら、一歩ずつ決して背中を向けないようにしながら後ずさる。だた、私の考えとは裏腹に、外征人は雄叫びを上げた。
「ウオオオオオオオオオ」
外征人は叫びながらその巨体を私の方に移動させる。
「なんだ、また雄叫びと地震だぞ!」
周りの王国民はことの重大さを理解できていないらしい。
逃げなければ。しかし、足が動かない。私は、足を絡めてしまい、その場で尻餅をついてしまう。
殺されてしまう。外征人から放たれる殺気に気圧され、この次に迎えるであろう自分の結末が予想できるにもかかわらず、足が動かない。
そんな私の気なんて知る由もない外征人は、大きく巨大な腕を上げると、私を押し潰そうとする。
(ああ、私の人生ってあっけないな)
私の頭の中に、走馬灯のようにこれまでの記憶が蘇る。幼い頃の母の記憶『あなたは神に祝福されているのよ』と母は言った。だけど、祝福なんてされてなかったよ母さん。やっと会えるね。
だけど、死ぬならば誰かのために死にたかったな。
急に左目が霞み出す。
恐怖で目も見えなくなってきてしまったのか。
私は自分の精神の弱さを嘲笑いながら、目を閉じた。
「さよなら」
その言葉を発した時、頭に強い衝撃が走る。
私って死んだのかな?だけど、案外痛くないのね。潰される時、相当痛いのかと思ったのに。
意外に無痛で死ねたことに安堵しながら、ゆっくり目を開ける。
「なんで?」
私は困惑した。目の前に広がる光景が理解できなかったから。
「うう……」
目の前には、必死に声を堪えながら、大粒の涙を流しているミリア。
あれ、どうしてミリアが目の前にいるの?死んだはずじゃ。
ああ、お互い死んだから、霊界とかにでも一緒に来ちゃったのかな?
ちゃんと仲直りしないと、あの世には行けないってか。神様も粋なことを行うのね。
まあ、後味は災厄だったし、もう死んだんだし、お父さんにも会うこともないだろうし、プライドなんて捨てて謝ろう。
ミリアが駆け出そうとした時、私はミリアの腕を掴んで引き留めた。
「あのね、ミリアちゃん……」
『ブオーーーーーーーー、緊急地震警報、緊急地震警報』
私の言葉を遮るように再び発令された緊急地震警報。
「え、なんで、なんでまた地震警報が?」
私の混乱をよそに、事態は繰り返す。
——ドドーーーン
私の声を騒音が遮った。そして、地震のような大きな揺れに足を掬われてこけてしまう。
「大丈夫?」
ミリアは泣きながら手を差し伸べてくれたため、私はその手を掴んだ。その時だった。
「ウオオオオオオオオオ」
聞き覚えのある雄叫び。私はミリア越しに、ミリアの後方を恐る恐る覗き込む。
おかしい。何が起きたのか理解できない。
なんで目の前に外征人がいるの?
「大丈夫か?」
「すごい揺れるぞ。みんな何かに捕まるんだ」
「とんでもない地響きが!」
「きゃーーーー」
周りの王国民が困惑している。さっきと同じ会話の内容だ。
「エリナちゃん、すごい地震だったね。大丈夫?顔色が悪いよ」
ミリナは持っていたハンカチで私の額の汗を拭ってくれる。
状況が掴めない。
だけど一つだけ分かっていることがある。
それは、逃げなければ死ぬこと。
「こっちに来て」
私はミリアの手を引きながら走り出した。それに呼応して外征人も走り出す。
「うわ、まだ揺れてる」
「きゃー、物が吹き飛んだわよ」
外征人が走り出すとその周りからは悲鳴が絶えず聞こえてくる。
だが、そんなの見ている余裕はない。私は必死で逃げる。
「エリナちゃん。どうして走ってるの。ちょっと私、休みたい。息が続かない」
「今止まっちゃだめ。私を信じて走って」
「……わかった。何か大変なことが起きてるんだね。私はエリナちゃんの友達だから信じるよ」
友達とは便利な魔法の言葉だなと思いながらも、私は必死に走った。
しかし、外征人はますます距離を詰めてくる。
遂に、私たちの真後ろまで迫った。
(ああだめだ、また死ぬ)
「あ」
ミリアが転んだ。なんという間の悪いタイミング。すぐさま、ミリアを抱き抱えようとするが、到底再び走れそうにない。私は、ミリアを庇うように抱きしめ、死ぬ時を待つ。
『ぎゃああああ』
外征人の断末魔。外政人の方に目を向けると外征人の目の前に男が立っていた。
——ボト
外征人の腕が地面に落ちる。
「すまん。俺にできることはこれだけだ」
次の瞬間、私が気づいた時には外征人の首は地面に落ち、先ほどまでの喧騒が、嘘かのように静寂が辺りを包む。
「無事ですか?」
男は、白い仮面を顔に被せている。何やら、まるでアマゾンで見られそうな奇妙な絵が描かれている白い仮面。表情が全くわからない。それに加え抑揚のない低い声。怒っているのか心配しているのか、憐れんでいるのか、どんな感情なのか私には到底理解できそうにない。
「その目、オッドアイですか。珍しい。それにあなたは混血でしょ。混血なのになぜ内区人と一緒に過ごしているのか。それに内区人を助けるなんて変わってますね」
「人の命を助ける助けないに、理由なんてありません。人種だって関係ないです」
「この状況下でまともに返答できるとは胆力がありますね。まあ、そうですね。理想論だとそうですね。理想論では」
嫌な感じの男である。少し上から目線で。
「助けていただいたことは感謝します。それでは私はこれで」
これ以上、この男と関わってはいけないと、本能がそう叫んでいる。
呆然と私と男の会話を聞いていたミリアの手を引きながら、家路につこうとし男に背を向けた。
「どうして君が外征人を視認できるのかな」
「え!?」
私は男がポツリと呟いた言葉に意表をつかれて振り返った。しかし、すでに男は目の前にはいなかった。
「あれ、さっきの人何処行っちゃったんだろ」
ミリアが不思議そうに辺りを見渡す。
なぜ私が外征人を見ることができたかって、そもそも外征人って見ることができないものなの?
謎が頭を巡る。
そんなことはどうでもいい。目の前の気持ち悪い死体から早く離れたい。
「ミリアちゃん行こ」
私は再びミリアの手を引く。
「あーー、ちょっと待った待った」
先ほどの男に続いて、また他の男が話しかけてきた。私は、気だるそうにその男を見たが、すぐに顔色を変え、気だるさが悟られないようにする。私たちに声をかけてきた男の胸についている徽章。冷や汗が滲む。軍警察……。いい噂は全く聞かない。これまで、軍警察に捕まった人で、軍に復帰した人物なんていないと聞いたし、なんなら拷問等で死んでしまったと言った噂も聞いたことがある。
通常では絶対関わらない組織なのに。外征人と接敵してしまったから? 全くついてないわ。
「君、聞こえているかい? 名前を教えてくれないか」
「はい!」
私は、自分より階級が高い軍警察の男に向かい、敬礼し、名を述べた。
「グリーデ王立高校所属、エリナ・フォードです」
「フォード。もしかして、ユリユス閣下の御令嬢かい?」
「は、そうです」
「おお、こんなところで出会えるなんて一度お目見えしてみたかったんだ」
私に会いたかった? なぜ?
「それで、そちらは? ミリア・クローデです」
「クローデ……。まさか、ビンス・クローデ大佐の御令嬢ですか?」
「ビンスは私の父です」
ミリアの父親は軍人だったのか。だから私の父とも繋がっていたのか。
「これはこれは、お二人ともこの国を背負ってたつ方々の娘さんだとは、恐れ入ります。申し遅れましたが私は、ローゼン・リア中尉です。それで、話は変わりますが。あなたたちはなぜ急いでこの場から離れようとしているんですか?」
ローゼン中尉の顔色が瞬時に変わり、眼光が鋭くなった。
「急いでこの場から? 別に急いでませんよ」
ミリアが不思議そうにローゼン中尉の方を見ている。
「なるほど、ミリアさんは急いでないと。そうなると急いでいるのはエリナさんですね」
「い、いや、急いでません」
「そうですか、そうですか。ちょっとこちらに来てください」
そういうと、ローゼン中尉は私を外征人の死体の前まで連れていく。
「ここから前に歩いてください」
「え!?」
「どうぞ、遠慮なく歩いてください」
「歩けばいいんですか?」
「そうですそうです」
顔面から血の気が引く感触を感じる。ローゼン中尉は私を試している。さっきの周りの反応と、あの仮面の男の言葉から推測するに、恐らく外征人は普通は見えない存在。見えてしまったならば、それは異常者ということなのかもしれない。
ローゼン中尉は、私が異常者かどうか外征人を踏み絵がわりにして検討しようとしているんだ。
もし外征人が見えてしまったのならば、私はどうなるのだろう。身柄を拘束されるのだろうか。
「どうしたましたか?歩けませんか?」
冷や汗が吹き出す。前髪が濡れる。どうしよう。どうすればいいの。
意を決して歩くしかない。それしか道は残されていない。
私は大きく足を踏み出そうとした。
「ピピピピ」
急にローゼン中尉の携帯が鳴り響く。
「あ、エリナさんちょっと待ってね。あ、はい、はい。あーそれはめんどくさいことになりそうですね。わかりました」
「残念。もう少し話できそうだったのに、帰投命令が出たからお暇しますね」
「あ、はい、お疲れ様です」
ローゼン中尉は満面の笑みを浮かべ、携帯をポケットにしまいながら、ミリアにも挨拶をした。そして、帰り際、何かを思い出したように私の方に近寄ってきて、耳打ちをする。
「綺麗なオッドアイだね。そして、黒い髪の毛。君、混血なんだね。それと、外征人が見えてるね」
そう言い残したまま、ローゼン中尉はどこかへ行ってしまった。
‡‡‡
みんな、私が今何処にいるかわかりますか。私は今、校長室にいます。
「それでは早速話を始めましょう」
聞き覚えのある声。
外征人を見かけた次の日、私はいつもと変わらずに登校した。
しかし、事態は急変する。一限が始まる直前に、担任が、至急校長室に向かうよう指示してきた。
だから私は今校長室にいる。
ただ、予想外だったことは……ローゼン中尉が部屋にいたことだ。
「やあ、おはようございます。昨日ぶりですね」
「おはようございます」
「昨日はぐっすり眠れましたか?」
「はい、大丈夫です」
「それは良かった。なんでここにいるのかって顔ですね」
「私、何か悪いことをしましたか?」
「いえいえ、そんなことはありません。今日私がここに来たのは他でもない。君を勧誘しに来ました」
「え、私をですか?」
「そう、あなたを。あなたにはずば抜けた才能があるらしい。それは必ず軍警察内で役に立ちます。君の力を国のために役立ててみないですか?」
ローゼン中尉は座りながら私を見上げる。口元は笑っているが目は笑っていない。私の奥底に眠る秘密を暴いて見せると言わんばかりの目つき。
この男は、純粋に私を勧誘しに来たのではない。それは百も承知なのだ。そして軍警察なんて評判の悪いところに行きたくないが、この部屋の雰囲気は私に拒否権を与えてくれない。
「いい話じゃないですか。いきなり軍警察に所属できるなんて出世街道ですよ。いくらユリウス閣下の娘でも、混血のあなたが普通には到底到達できない高みですよ。我が校の名声もまた上がります。いきなり軍警察に出世する生徒を輩出したことによって」
校長先生は今にも乱舞しそうである。
「あと、ユリユス閣下には承認してもらっておりますので、その辺は大丈夫ですよ」
ローゼン中尉は足を組み直しながら、にこやかに告げる。
ああ、また父の掌の上なのか、私は。軍警察に所属するとなると父は嬉しがるだろう。そして、父が賛同していることとなれば、もはや私には拒否権はない。
「はい、わか……」
「少しお待ちを」
私が了承しようとした時だった。急に校長室のドアが開かれモーニング姿の老人が部屋に入ってきた。
「あなたがなぜここに?」
ローゼンの顔から笑みが消える。それどころか少し敵意を老人に向けている。
「面白そうな話をしているではないですか。私も混ぜてくれませんか」
老人はやわらかい笑みを私に向けながら歩み寄る。
「初めまして、私は外征人管理課室長、ミハエル・エリックと申します」
「初めまして、私はエリナ・フォードです」
ミハエル・エルリック聞いたことがない名前。それに外征人管理課なんてそんな部署あったかしら。
「あの、ローゼン中尉この方は?」
校長が戸惑っている。
「校長先生、この方は外征人管理課という軍の一組織の室長です。聞いたことがないでしょう。まあ、表にほとんど出てこない組織ですからね。王直轄の」
「え、王直轄!?」
王直轄という言葉に恐れ慄きたじろぐ校長。
「これは失礼しましたエリック様」
「いやいや、肩書きは肩書きです。そんなに敬わられるような人物ではありませんので、お気を使わずに。それで、ローゼン中尉。私が来たということはそういうことです。エリナさんは私が引き取ります」
老人は今度はローゼン中尉の方に向き直し、優しい声で語りかけた。
「今の軍にあなたに逆らえる人なんていないですよ」
「ほほほ」
「今回はこちらが手を引きますね。ただ、ますます興味が湧きますね。管理課も欲しがる人材とは。だがエリックさん。あなたには黒い噂がいくつもある。必ずその裏の顔を暴いてやりますよ」
ローゼン中尉は、捨て台詞を残し、いつものエレガントさを失ったまま、校長室から退出していった。
「さてエリナさん、綺麗なオッドアイですね。私はいつかあなたに出会えると信じてました。まさに良きタイミングで出会えました。私と一緒に来ていただけますか?」
「え、あ、あの、質問してもいいですか?」
「なんなりと」
「外征人管理課って一体何をするところなのですか?」
老人は白い顎髭を触りながら、校長の方を見て
「少しだけ二人きりにしていただけませんか」
と伝えた。校長はその言葉通りに部屋を出て、私とエリックは校長室で二人きりになる。
「エリナさんは昨日見ましたよね。外征人が内区を襲撃したところを。そして、仮面の男が外征人を討伐したところを」
「——いや私は何も……見てません」
「私たち管理課は、内区に侵入してきた外征人を討伐し、内区人に被害が出ないよう未然に防ぐための組織です」
エリックは、エリナの言葉には耳を貸さずに話を進める。
「私は、外征人が見えません。だから、お力にはなれないと思います」
「いえ、見えていますよ。そのオッドアイの持ち主なら確実に。それと内区人は外征人が視認できるかできないかを知りません。だから、外征人が見えないと断定するあなたの発言は、もはや外征人が視認できると言っていると同然ですよ」
「いや、その」
「大丈夫です。我々の仲間には混血や外区人もいます。安心してください。我々はあなたを守るためにあなたを勧誘してるのです」
守る……私を? それに王直轄の組織なのに内区人だけで構成されずに、混血や外区人もいるって一体どういうこと。
だけど、もし本当に私をこの雑多な世界から守ってくれるならば、そこは父の力も届かない私の居場所になるのかしら。味気ない毎日。罵詈雑言を受け必要とされない毎日。ならば、私は、一歩踏み出そうと思う。
「どうしますか? 決定権はあなたにあります」
「分かりました。お力になれるかどうか分かりませんがよろしくお願いいたします」
その言葉を聞くと、エリックは笑みを浮かべそのままドアの方と歩いて行った。そして、ドアを開き、待機していた校長先生を目の前にして意気軒昂に言葉を発した。
「それでは校長先生、明日から彼女は正式な軍人になりますが、これから高級官僚になるには、グリーデ高校を卒業する必要があるため、これからも高校には通います。ただ、任務優先ですので欠席時などは優遇をお願いしますよ」
‡‡‡
軍本部一室
「閣下、お耳に入れたいことが」
「どうしたエラリス秘書官」
「はい、たった今入った情報ですが、閣下の御令嬢であるエリナ様の軍警察への配属が撤回されたとのことです」
「なんだって、なぜだ。根回しもして完璧だったではないか。もしやエリナが断ったのか」
ユリウスの顔がどんどん紅潮していく。
「いえ、閣下。エリナ様は軍警察への配属を、閣下の望み通り所望したようでございます」
「では、なぜ軍警察への配属が撤回されるのだ」
「イレギュラーなことが起きました」
「もったいぶらずにさっさと言わんか」
「管理課が動いたもようです」
「管理課がなぜだ。あそこは最近室長が変わったそうだな」
「はい、その新しい室長が、大層エリナ様を気に入っている様子で」
「なぜだ、エリナにそこまでの価値があるというのか。外区人の女との間にできた混血のただ頭がいいだけの女だぞ」
「軍警察の諜報部に探らせましたが、分かりませんでした。なぜ室長がエリナ様を懇願したのか」
「ちくしょう。王直轄の管理課には私の権力が届かん。しかも、あそこに入ってしまったら二度と、出世もできないだけでなく正規の軍属には戻れなくなってしまう。私の血が通っているものは絶対に要職に就かなければならないのに、それが叶わなくなってしまう。なぜだ、なぜ管理課が出しゃばってくる」
「いかがしましょうか」
「もう少し、諜報部に探らせろ。室長の黒い噂を聞いたことがある。王に取り入りこの国を陰で支配しようとしていると。なんでもいい。管理課の信頼を失墜させる情報を集めろ。そして、必ずエリナを正規の軍属に戻すんだ」
「かしこまりました」
——ガシャーン
ユリウスは、自室の机の上に置いてあった花瓶を持ち上げ、それを地面に叩きつけた。
「やってくれたな、エリック室長。なぜ純血の内区人ではなく混血のエリナを欲したのだ。計画が台無しだ。何か裏があるはずだ。絶対に暴いてやる。私のプライドに賭けてな」
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