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第4章 あの子にも見えているの?
回想③
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お母さんはベンチでゆっくり休んでいる。
急に苦しそうに咳きこむから心配したけれど、どうやら少し落ち着いてきたみたいだ。
けれど、顔色はまだ血の気が引いたように青白い。
それでも口元にわずかに笑みを浮かべているのは、幼い私に心配かけまいとする気づかいなのかもしれない。
神社の境内に立ちつくす私に、萌黄色のセーラー服を着た知らないお姉さんが声をかけてきた。
「旭ちゃん。私と一緒に遊ぼっか」
お姉さんは甘い声でささやくように私を誘う。
私は不安げにお母さんの顔を見る。
お母さんは、その人は大丈夫よ、と安心させるような優しい微笑を返してくれた。
それから、私はそのお姉さんと追いかけっこをした。
「旭ちゃん、待てー」
「きゃははっ」
幼い私は歓声を上げながら稲荷神社の境内を走り回る。
まるで生の喜びを歌うかのように小さな身体を弾ませ、静かな境内に笑い声を響かせて逃げていく。
お姉さんもまた、すらりと長い足で地を蹴り、活発な笑顔で幼い私を追いかける。
ひどくおぼろげで、あいまいな、おとぎ話のような遠い記憶――。
急に苦しそうに咳きこむから心配したけれど、どうやら少し落ち着いてきたみたいだ。
けれど、顔色はまだ血の気が引いたように青白い。
それでも口元にわずかに笑みを浮かべているのは、幼い私に心配かけまいとする気づかいなのかもしれない。
神社の境内に立ちつくす私に、萌黄色のセーラー服を着た知らないお姉さんが声をかけてきた。
「旭ちゃん。私と一緒に遊ぼっか」
お姉さんは甘い声でささやくように私を誘う。
私は不安げにお母さんの顔を見る。
お母さんは、その人は大丈夫よ、と安心させるような優しい微笑を返してくれた。
それから、私はそのお姉さんと追いかけっこをした。
「旭ちゃん、待てー」
「きゃははっ」
幼い私は歓声を上げながら稲荷神社の境内を走り回る。
まるで生の喜びを歌うかのように小さな身体を弾ませ、静かな境内に笑い声を響かせて逃げていく。
お姉さんもまた、すらりと長い足で地を蹴り、活発な笑顔で幼い私を追いかける。
ひどくおぼろげで、あいまいな、おとぎ話のような遠い記憶――。
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