幽霊祓い外伝シリーズ

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幽霊祓い 『命の座』

第6話 経験

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「さて、今日は実践といこうか」

てな感じで、鳩山さんに連れて来られたのは、廃ビルだった。

「ここは?」

「ここはね、鬼が出るビルだよ」

「鬼ッ!?」

「まぁ、鬼と言っても幽霊なんだけどね。とりあえず、
中に入って、幽霊祓って来てね」

鳩山さんにそう言われ、中に入った。中は昼間にも関わらず、薄暗かった。1階は異常なし、2階も異常なし、と確認しながら進んだ。そして、異常があったのは4階だった。4階には会議用のオフィスがあるのだが、その部屋から異様な霊気が出ていた。恐らく、そこに鬼がいるのだろう。俺は思い切って、その部屋に入ってみた。机の上にしゃがみ込む2本の角を生やした人型。それが鳩山さんの言っていた鬼だというのは一瞬で分かった。鬼はこちらに気がつくと立ち上がり、話しかけてきた。

「汝、どういう要件でここに来た?」

「『鬼』を倒しに来た。そして、その鬼というのはお前だな?」

「あぁ、正解だ。ちょいと質問をしよう。汝、我のことを幽霊だと思っているだろ?」

「違うのか?」

「我は忌み子。れっきとした人間さ。生まれてまもなく、我はとある事故で大量の霊気を体に浴びた。その後遺症が、この角だ。汝が、我を倒すということは、汝は人殺しになるということだ」

人殺し・・・。脳裏に杭の姿がよぎった。そして、気づいた時には、俺は部屋の端に吹っ飛んでいた。

「かはッ!!」

「ぼーっとすんなよ、我を倒すのだろ?」

「俺は・・・、俺は・・・」

「はぁ、少しはましそうなやつが来たのかと思えば、こんなしょぼくれか。我もついていないものだな。しかし、外にもう1人、祓い師がいるな。そいつは強そうな気配がする」

そう言って、鬼は窓ガラスの方へと向かって歩き始めた。

「ま、待てッ」

「あぁ?汝に用などもうない。生かされただけマシだと思え」

ここで変わるって決めたんだ。杭を祓うって決めた。だから、そのためにも強くならないといけないんだッ!!こいつに殺られる程度ではダメなんだッ!!

「俺がお前を倒すッ」

「ふふふっ、楽しませろよ?」
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