幽霊祓い

akade

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第2章 再臨編

第142話 多術者と存在しない解放

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人間で、術を使用できる者は基本的に生まれつき、もしくは後付けの場合であっても、1つか2つの術しか持っていない。しかし、術を使用できる霊は、複数の術を所持する場合がある(例:霊体化した凪澤)。人間で多術扱えるというのは、本当に稀であり、その存在自体が都市伝説レベルである。

「僕、すごいでしょ?僕は神様に選ばれた存在なんだよ。それに比べて、君たちは弱すぎる。それでも祓い師?」

ニヤニヤしながら黒状は言った。

「神に選ばれた・・・か。それはお前の思い込みかもしれないな。見せてやれッ、文也ッ!!」

「はいッ!!深淵に落ちゆる死の神よ、我が鎌に宿りて、その力を見せよッ、解放・深淵王死神フォルボース  しんえんおうデストロイヤッ!!」

存在するはずのない解放フォルボース解放フォルボースを使用できるための最低条件は、使用者の武器が刀か剣であること。鎌で解放フォルボースを使用できた者は、歴史上存在しない。しかし、白井  文也はそれをやってのけたのだ。黒状が慌てて、炎死術を使用した。

炎死術・炎炎の祭えんしじゅつ  えんえんのさい

炎の中から、鎌を構えて、文也が黒状との距離を詰める。そして、解放フォルボースから5秒後、文也が黒状の胴体を真っ二つにした。この時、李と文也の頭の中には勝利の言葉が浮かんでいた。しかし、秒でその言葉は裏返された。

「いや~、さすがにビビったよ。でも、それで僕を倒したつもりかい?」

黒状の真っ二つに斬られた体は、再生されていた。

「なんで・・・?」

「だから、言ったでしょ?僕は神に選ばれた存在だって。君たちは僕の言葉を信じなかった。それが今回の結果を招いたのさ」

黒状は李と文也をものすごい勢いで蹴り飛ばした。

「それじゃあ、君たちはしばらく、そこで眠っててね、アハハハハハッ」

黒状はその場を後にした。
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