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アンジェリカ王女とレイの結婚式
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レイの仕事は和平が実現してからの方がずっと忙しくなっています
なぜなら平和な時代を維持したければ、ウィンディア王国の軍事力が今まで以上に重要になってきているからでした。
軍が強くなければ、世界で発言する力が弱くなってしまう道理なので、理想が高いほど軍事力の増強が必要になるというジレンマを抱えているのです。
その上に独立する国々への資金援助だの、治安維持だのも必要になりますし、ダンたち傭兵部隊が正式にウィンディア王国所属の諜報部隊となって、そのトップもレイが兼任しているのが現状でした。
イメージとしては大統領補佐官とCIA 長官とを兼務していると考えればわかりやすいでしょう。
そんなに忙しいレイですから、いっそのことナナとアンジェリカ王女を自分の次元倉庫に押し込んで、さっさとマーシャル王国まで駆け抜けようと考えたのですが、さすがにそれはマーシャル王国第一王女というアンジェリカの立場からすればとうていできることではなかったのです。
今この時期にウィンディア王国の騎士団ほど多忙な軍はないというのに、近衛と守護部隊とでそこそこ礼を失しない程度の護衛部隊を編成しなければならなかった。
レイはこの守護部隊については騎士の実力は度外視して編成しています。
いざとなったらナナとアンジェは自分に倉庫に放り込んで、自ら敵をせん滅するつもりなのだ。
あまりの忙しさにアンジェへの礼儀などかなぐり捨てているレイなのだが、アンジェとナナは特に文句をいうこともなく素直に従っている。
アンジェとナナの希望で2人は同じ馬車に同乗しています。
本来ならそれぞれの国を代表する姫君たちなのだから、専用馬車を用意するべきなのだけれども、その方が守りやすいという理由でレイはナナ達の希望を受け入れてしまいました。
「ねぇ、アンジェ。レイはそうとうイラついていますよね」
「あぁ、しかしこの時期に往復10日もの時間をロスするのだからね。レイとしても正式な婚約を取り付ける必要はわかってても、後回しにしたいだろうな」
「霊獣会議でアカツキ王に内諾を得ていますからねぇ。あの時レイはアンジェは自分が命を懸けて守りますって誓ったんですよ」
「レティ、大人をからかうもんじゃない。私だってレイの愛情を疑ったことなぞない。ただもう少し婚約者らしくしてくれればとはおもうけれどね」
「大丈夫ですよ。結婚式の後はハネムーンを兼ねてゆっくりウィンディア王国に帰ってきてください。私はノリスと先に帰って、結婚パーティの準備をしていますからね。だから馬車を1台にしたんだし」
「ありがとう。しかし王妃さまはなんとかならないものかね。まるで自分の結婚式みたいな熱の入れようで、好意はわかるが、いささかな」
そのアンジェのぼやきを聞くとナナは笑い転げた。
「私だってお母さまの被害に遭ったんですからね。今度はアンジェの番だわ」
「そ~やって笑ってるがいいさ。お前の結婚式にはぞんぶんに笑い返してやるからな」
ナナはそれを聞いて自分の結婚式を忘れていたと頭を抱え、アンジェはそのナナの様子を見て留飲を下げている。
大騒ぎはあったものの、一行は特に妨害にあうこともなくマーシャル王国へと辿りついた。
正式行事となるので正装して聖堂で待機しているようにと言われて聖堂小部屋に案内されたレイは、結婚の申し込みぐらいのことで聖堂を使うとは、王族というのは面倒なものだなと考えていた。
やがて司祭に案内されて聖堂の祭壇に立つと、聖堂内部には大勢の人々が正装で集まっておりすぐさまパイプオルガンの曲とともに正面扉が開き、バージンロードを美しい花嫁衣裳を着たアンジェリカ姫が父王であるアカツキに伴われてしずしずと歩いてくるではないか。
「なるほど、そういうことか。すっかり騙された」
レイはそうなことを呟いたがその目は、美しく装われたアンジェリカ王女に釘付けになっている。
アカツキはレイの目をしっかりと見つめると愛おしそうに娘のエスコートをレイに託すと、自分はパイプオルガンのところに歩みより、演奏者とバトンタッチをする。
大司祭による結婚の誓いが読み上げられ、レイもアンジェもともにその誓いを復唱する。
誓いのキスを促され、レイがアンジェの顔を覆っていたベールをあげると、菫色の瞳はうっすらと潤んでいるようで、その頬はほんのりとピンクに染まっている。
「アンジェ、なんて美しいんだ!」
レイは感にたえたようにそうつぶやくと、そっとその麗しい唇にキスを落とした。
その瞬間、アカツキの演奏に合わせてナナが結婚を寿ぐ歌を喜びを込めて唄ったから、マーシャル王国の全ての鐘が、喜びに満ちて鳴り響いていった。
レイはそれを聞くとにっこりして
「アンジェ、行くぞ!」
というなりアンジェをお姫さま抱っこして、バージンロードを駆け出した。
きっと馬車が待たせてあると踏んだのだが、果たして美々しく飾り付けられて馬車が待ち構えており、2人をのせるとすぐさま走りだす。
馬車が走る道筋には、マーシャル王国の国民が総出で、祝福の花びらを撒いたから、この日のマーシャル王国は祝福の鐘の音と、いい匂いに包まれてしまった。
レイたちはマーシャル王国の美しい湖のほとりにたつ離宮に到着し、新婚の2人はここで2日間を過ごしたあと、マーシャル城に戻り結婚披露パーティでもみくちゃにされたあげく、ウィンディア王国に帰国することになっている。
「アンジェ、騙されましたよ。いつから準備していたんですか?」
「レティの提案でね。レティが帰還した翌日からさ。このドレスを決めるまでにどれほどの苦行があったか、きっと男にはわからないと思うぞ」
それを聞くとレイはアンジェの前にひざまずいた。
「アンジェリカ。とても美しいですよ。美しいアンジェ。僕は生涯あなたを愛し抜きます。どうかアンジェ。ずっとぼくの隣にいて下さい」
「もちろんだよ。私も生涯レイ、あなたの隣を離れることはないわ」
2人は感極まったように抱きあった。
「ねぇ、ノリス。迎えに来てくれてありがとう。砂漠の国は大丈夫なの?」
「まぁな。おやじ殿がけっこう大盤振る舞いしたからな。しっかしゴルトレスも図々しいものさ。人の婚約者を攫ったことには口を拭って聖堂を3つは建立できるだけのもんを受け取りやがった」
「しかたがないわね。こっちは戦争をしたくないんだもの。結局足元を見られちゃうわね」
「全くだ!いっそゴルトレスと全面戦争でもした方がずっとさっぱりしそうだがねぇ」
「う~ん。これだけどうせ戦う気はないんだろうと挑発されるとイライラしちゃうけれど、こっちが大人になって我慢するしかないわ」
「はぁ~。なぁさあや。平和ってのはそんなにいいもんかねぇ。なんだかものごとがややこしくなったような気がするよ」
「まぁ、ノリスったら。けれどその面倒を我慢するのが平和を維持するってことなのよ。」
結局地球でだって小競り合いなんてしょっちゅうなんだということは内緒にしておこうと決めたナナなのでした。
「アカツキは大丈夫かしら。とうとうアンジェまでいなくなってしまうのですもの」
「そのうちに孫だってできるかもしれないんだぜ。大丈夫さ。人間と霊獣とじゃめったに子供なんて生まれないが、アンジェの親は両方とも霊獣だからな。きっと子供も生まれると思うぞ」
「そうね。娘を失ったんんじゃなくて、家族が増えたのね。アンジェには時々は里帰りをしてもらわなきゃ」
「いずれはオレたちだって結婚するんだからな。順番さ」
「ええ、ノリス。アカツキにお別れの挨拶をしましょう。早く帰ってお母さまのお手伝いをしなくっちゃ。レイたちが戻るまであと1週間よ」
「なぁ、さあや。お前のおふくろってちょっと完璧を狙いすぎじゃねぇのか?パーティなんて楽しけりゃあとは適当でいいじゃねぇ。」
「いいことノリス。そんなことはお母さまの前では絶対に言ってはダメよ。お母さまは完璧な貴婦人なんですからね。」
「あったり前だろ。又面会禁止になってたまるかよ。でもオレとしてはちょっと抜けてるドジなさあやも好きだって言いたかったんだ」
「ひどいノリス。私は別にドジってわけじゃないわ」
「もちろんだともお姫さま」
一方こちらはウィンディア王国の王妃の間です。
「ねぇ、アイオロス。レイたちへの結婚プレゼントだけれど爵位と領地はどうするの?」
「爵位だけで領地はなしにしたいんだ。レイだって領地に関わってられるゆとりはねぇだろう?その代わり王都の離宮をやろうとおもうんだがなぁ」
「マーシャル王国が納得する爵位だと、あなたが保持しているギルモア侯爵位でいいかしら?歴史がある重要な家ですもの」
「それでいいだろう。ギルモア侯爵の年金とレイの執政官としての年金をあわせれば十分離宮を維持できるだろうしなぁ」
「なにケチなこと言ってるんですか。離宮の維持費ぐらい今までとおりあなたが負担なさいな。あなたの悪戯ってそれなりに利益を出しているの知ってるんですよ。レイは自分のことに構わないけれど、アンジェは王女だったんですからね。女が体面を保つには費用がかかるものよ」
「かしこまりました王妃さま。まったくアンジェリカのやつ、いつの間に私の奥様を篭絡したんだか」
「馬鹿ね、アイオロス。レイとアンジェはずっとあなたを助けてくれるわ。あなたの重臣の面倒をみるのも王妃の大切なお役目なのよ」
「わかっているさ、ジェーン。君のおかげでオレは安心して政務に集中できるんだからな。愛しているよジェーン」
「私もよ、アイオロス」
きょうも平常運転の王妃の間でした。
なぜなら平和な時代を維持したければ、ウィンディア王国の軍事力が今まで以上に重要になってきているからでした。
軍が強くなければ、世界で発言する力が弱くなってしまう道理なので、理想が高いほど軍事力の増強が必要になるというジレンマを抱えているのです。
その上に独立する国々への資金援助だの、治安維持だのも必要になりますし、ダンたち傭兵部隊が正式にウィンディア王国所属の諜報部隊となって、そのトップもレイが兼任しているのが現状でした。
イメージとしては大統領補佐官とCIA 長官とを兼務していると考えればわかりやすいでしょう。
そんなに忙しいレイですから、いっそのことナナとアンジェリカ王女を自分の次元倉庫に押し込んで、さっさとマーシャル王国まで駆け抜けようと考えたのですが、さすがにそれはマーシャル王国第一王女というアンジェリカの立場からすればとうていできることではなかったのです。
今この時期にウィンディア王国の騎士団ほど多忙な軍はないというのに、近衛と守護部隊とでそこそこ礼を失しない程度の護衛部隊を編成しなければならなかった。
レイはこの守護部隊については騎士の実力は度外視して編成しています。
いざとなったらナナとアンジェは自分に倉庫に放り込んで、自ら敵をせん滅するつもりなのだ。
あまりの忙しさにアンジェへの礼儀などかなぐり捨てているレイなのだが、アンジェとナナは特に文句をいうこともなく素直に従っている。
アンジェとナナの希望で2人は同じ馬車に同乗しています。
本来ならそれぞれの国を代表する姫君たちなのだから、専用馬車を用意するべきなのだけれども、その方が守りやすいという理由でレイはナナ達の希望を受け入れてしまいました。
「ねぇ、アンジェ。レイはそうとうイラついていますよね」
「あぁ、しかしこの時期に往復10日もの時間をロスするのだからね。レイとしても正式な婚約を取り付ける必要はわかってても、後回しにしたいだろうな」
「霊獣会議でアカツキ王に内諾を得ていますからねぇ。あの時レイはアンジェは自分が命を懸けて守りますって誓ったんですよ」
「レティ、大人をからかうもんじゃない。私だってレイの愛情を疑ったことなぞない。ただもう少し婚約者らしくしてくれればとはおもうけれどね」
「大丈夫ですよ。結婚式の後はハネムーンを兼ねてゆっくりウィンディア王国に帰ってきてください。私はノリスと先に帰って、結婚パーティの準備をしていますからね。だから馬車を1台にしたんだし」
「ありがとう。しかし王妃さまはなんとかならないものかね。まるで自分の結婚式みたいな熱の入れようで、好意はわかるが、いささかな」
そのアンジェのぼやきを聞くとナナは笑い転げた。
「私だってお母さまの被害に遭ったんですからね。今度はアンジェの番だわ」
「そ~やって笑ってるがいいさ。お前の結婚式にはぞんぶんに笑い返してやるからな」
ナナはそれを聞いて自分の結婚式を忘れていたと頭を抱え、アンジェはそのナナの様子を見て留飲を下げている。
大騒ぎはあったものの、一行は特に妨害にあうこともなくマーシャル王国へと辿りついた。
正式行事となるので正装して聖堂で待機しているようにと言われて聖堂小部屋に案内されたレイは、結婚の申し込みぐらいのことで聖堂を使うとは、王族というのは面倒なものだなと考えていた。
やがて司祭に案内されて聖堂の祭壇に立つと、聖堂内部には大勢の人々が正装で集まっておりすぐさまパイプオルガンの曲とともに正面扉が開き、バージンロードを美しい花嫁衣裳を着たアンジェリカ姫が父王であるアカツキに伴われてしずしずと歩いてくるではないか。
「なるほど、そういうことか。すっかり騙された」
レイはそうなことを呟いたがその目は、美しく装われたアンジェリカ王女に釘付けになっている。
アカツキはレイの目をしっかりと見つめると愛おしそうに娘のエスコートをレイに託すと、自分はパイプオルガンのところに歩みより、演奏者とバトンタッチをする。
大司祭による結婚の誓いが読み上げられ、レイもアンジェもともにその誓いを復唱する。
誓いのキスを促され、レイがアンジェの顔を覆っていたベールをあげると、菫色の瞳はうっすらと潤んでいるようで、その頬はほんのりとピンクに染まっている。
「アンジェ、なんて美しいんだ!」
レイは感にたえたようにそうつぶやくと、そっとその麗しい唇にキスを落とした。
その瞬間、アカツキの演奏に合わせてナナが結婚を寿ぐ歌を喜びを込めて唄ったから、マーシャル王国の全ての鐘が、喜びに満ちて鳴り響いていった。
レイはそれを聞くとにっこりして
「アンジェ、行くぞ!」
というなりアンジェをお姫さま抱っこして、バージンロードを駆け出した。
きっと馬車が待たせてあると踏んだのだが、果たして美々しく飾り付けられて馬車が待ち構えており、2人をのせるとすぐさま走りだす。
馬車が走る道筋には、マーシャル王国の国民が総出で、祝福の花びらを撒いたから、この日のマーシャル王国は祝福の鐘の音と、いい匂いに包まれてしまった。
レイたちはマーシャル王国の美しい湖のほとりにたつ離宮に到着し、新婚の2人はここで2日間を過ごしたあと、マーシャル城に戻り結婚披露パーティでもみくちゃにされたあげく、ウィンディア王国に帰国することになっている。
「アンジェ、騙されましたよ。いつから準備していたんですか?」
「レティの提案でね。レティが帰還した翌日からさ。このドレスを決めるまでにどれほどの苦行があったか、きっと男にはわからないと思うぞ」
それを聞くとレイはアンジェの前にひざまずいた。
「アンジェリカ。とても美しいですよ。美しいアンジェ。僕は生涯あなたを愛し抜きます。どうかアンジェ。ずっとぼくの隣にいて下さい」
「もちろんだよ。私も生涯レイ、あなたの隣を離れることはないわ」
2人は感極まったように抱きあった。
「ねぇ、ノリス。迎えに来てくれてありがとう。砂漠の国は大丈夫なの?」
「まぁな。おやじ殿がけっこう大盤振る舞いしたからな。しっかしゴルトレスも図々しいものさ。人の婚約者を攫ったことには口を拭って聖堂を3つは建立できるだけのもんを受け取りやがった」
「しかたがないわね。こっちは戦争をしたくないんだもの。結局足元を見られちゃうわね」
「全くだ!いっそゴルトレスと全面戦争でもした方がずっとさっぱりしそうだがねぇ」
「う~ん。これだけどうせ戦う気はないんだろうと挑発されるとイライラしちゃうけれど、こっちが大人になって我慢するしかないわ」
「はぁ~。なぁさあや。平和ってのはそんなにいいもんかねぇ。なんだかものごとがややこしくなったような気がするよ」
「まぁ、ノリスったら。けれどその面倒を我慢するのが平和を維持するってことなのよ。」
結局地球でだって小競り合いなんてしょっちゅうなんだということは内緒にしておこうと決めたナナなのでした。
「アカツキは大丈夫かしら。とうとうアンジェまでいなくなってしまうのですもの」
「そのうちに孫だってできるかもしれないんだぜ。大丈夫さ。人間と霊獣とじゃめったに子供なんて生まれないが、アンジェの親は両方とも霊獣だからな。きっと子供も生まれると思うぞ」
「そうね。娘を失ったんんじゃなくて、家族が増えたのね。アンジェには時々は里帰りをしてもらわなきゃ」
「いずれはオレたちだって結婚するんだからな。順番さ」
「ええ、ノリス。アカツキにお別れの挨拶をしましょう。早く帰ってお母さまのお手伝いをしなくっちゃ。レイたちが戻るまであと1週間よ」
「なぁ、さあや。お前のおふくろってちょっと完璧を狙いすぎじゃねぇのか?パーティなんて楽しけりゃあとは適当でいいじゃねぇ。」
「いいことノリス。そんなことはお母さまの前では絶対に言ってはダメよ。お母さまは完璧な貴婦人なんですからね。」
「あったり前だろ。又面会禁止になってたまるかよ。でもオレとしてはちょっと抜けてるドジなさあやも好きだって言いたかったんだ」
「ひどいノリス。私は別にドジってわけじゃないわ」
「もちろんだともお姫さま」
一方こちらはウィンディア王国の王妃の間です。
「ねぇ、アイオロス。レイたちへの結婚プレゼントだけれど爵位と領地はどうするの?」
「爵位だけで領地はなしにしたいんだ。レイだって領地に関わってられるゆとりはねぇだろう?その代わり王都の離宮をやろうとおもうんだがなぁ」
「マーシャル王国が納得する爵位だと、あなたが保持しているギルモア侯爵位でいいかしら?歴史がある重要な家ですもの」
「それでいいだろう。ギルモア侯爵の年金とレイの執政官としての年金をあわせれば十分離宮を維持できるだろうしなぁ」
「なにケチなこと言ってるんですか。離宮の維持費ぐらい今までとおりあなたが負担なさいな。あなたの悪戯ってそれなりに利益を出しているの知ってるんですよ。レイは自分のことに構わないけれど、アンジェは王女だったんですからね。女が体面を保つには費用がかかるものよ」
「かしこまりました王妃さま。まったくアンジェリカのやつ、いつの間に私の奥様を篭絡したんだか」
「馬鹿ね、アイオロス。レイとアンジェはずっとあなたを助けてくれるわ。あなたの重臣の面倒をみるのも王妃の大切なお役目なのよ」
「わかっているさ、ジェーン。君のおかげでオレは安心して政務に集中できるんだからな。愛しているよジェーン」
「私もよ、アイオロス」
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