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初めての王都
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空を飛べばそれこ一直線に王都にむかうことができます。
それにノアがこっそり力を貸してくれましたから、朝に迷いの森を出たというのに、夕方には王都についてしまいました。
高度を高く保っていたので、本来なら大門を通らないといけないというのに王城の真上に飛んできてしまっていたのです。
これは大変危険なことでした
だって王城には魔法による結界が張ってあるので、アルカたちは敵だと思われてしまった訳です。
王立魔法院に所属する魔法師たちがアルカたちを捉えようとしたのですが、なにしろアルカの護衛は竜なのですから、それは簡単なことではありません。
ですからお城は大変な騒ぎになってその騒ぎは王様と王子さまの耳にも入りました。
「陛下、殿下。不信なものが城に潜入しております。只今王国魔法師たちが捕えようとしていますが、敵もなかなか手ごわいので、安全のため避難をお願いします」
王様の居間で久しぶりに親子の体面をしていたところに近衛が血相を変えて飛んできました。
侵入者? そのことばを聞いて不意にナイトの心にあの迷いの森で会った少女の姿が浮かびあがりました。
そう言えば、そろそろこちらに来て1月になるのではないでしょうか?
「もしかしてそれは15歳くらいの女の子じゃないか? 空を飛ぶ布をあやつるんだけれど……」
「殿下、おっしゃる通りでございます。殿下はあの少女に心当たりがございますか?」
「それならその子は手紙の配達人だよ。前に頼んでおいたろう? 毎月迷いの森から母上のお手紙が届くから、配達人がきたら僕に知らせて欲しいって!」
「なんと! あれほどの魔女がただの配達人だと言うのですか? それにその側には青い髪の美青年が付き添っておりましてな。こちらの攻撃をことごとく防いでおるのです。しかしたしかにあちらから攻撃する様子は見せておりませんな」
それを聞いてナイトは大声で笑い出しました。
「父上、どうやらおじい様もご一緒みたいですよ。こちらに案内させてもよろしいですか?」
それを聞いて王様は大いに慌てました。
自分がぐずぐずしていたばかりにベルを救えなかったのですから……
きっと竜どのはさぞかしご立腹でしょう。
「案内させるなんて恐れ多い。私が出迎えに行こう。ナイトもいっしょにおいで」
というわけでとうとう王様自ら、竜とアルカを出迎えにきたのです。
「青龍どの、迷いの森の魔女どの。よくぞ参られました。この者どもの無礼お許しください」
王様が深々と礼をとったので、魔法使いや騎士たちはおどろいて棒立ちになってしまいました。
「いや、こちらこそ手順を踏まずに失礼をした。ナイト、元気そうで何よりだ。今日はわしはただの護衛じゃよ。この魔女殿のなぁ。だから気遣いは無用に願いますぞ」
どういうわけで手紙の配達人風情に竜の護衛がついたのかはまったくわかりませんが、なにしろこの少女のおかげで竜殿のご機嫌はまことに良いようです。
王様はほっとして竜とアルカを賓客を遇するための部屋に案内しました。
ところがアルカの方は、いきなり恐ろしい魔法の攻撃を受けたと思うとそれをいとも簡単にキャンセルする様子を見ただけではなく、騎士様たちがこぞって殺気だっていたので生きた心地もしていませんでした。
そこへとうとう王様みずから出迎えに来てしまって、頭の中は空っぽです。
目の前にナイトがいるというのにそれも見えないくらいに呆然自失していたのです。
そんなアルカはノアは優しくエスコートしてゆったりと座らせてやります。
そうしてほんの少し魔力を流してやったので、ようやくアルカは自分を取り戻すことができました。
けれど意識がしっかりしてみると、目の前には王様とナイトが座っているのですから、今度は緊張してカチカチになってしまいました。
そんなアルカの様子を見て王様が提案しました。
「お嬢さんは私の妻の養い子だそうだね。それならば私にとっても子供も同然だ。良ければこのまま王城で暮らさないかね。私の娘としてね。なにしろ私には息子しかいないのだから」
「そうだねアルカ。僕とアルカではほんの少し僕の方が年上だから、アルカは妹になるね。前に僕も言ったようにベル母様が娘として育てたなら、僕らは兄妹みたいなものだよ。このままここで暮らすといい。おじい様が一緒にきたのはそれを勧めるためじゃないの?」
その言葉を待っていたようにノアが答えました。
「そう言ってもらえてよかった。迷いの森の魔女として人生を終えてしまうにはアルカはあまりにも若い。若すぎる。迷いの森にいては家庭を持つことも叶わないだろうしなぁ。どうかねアルカ。一度人間の中で暮らして見てごらん。どうしても無理になれば、迷いの森の精霊たちはいつだってアルカを受け入れてくれるだろうからね」
みんなに勧められてアルカはどうしていいかわからなくなりました。
ずっと迷いの森でヒィ、スィ、フゥと過ごしていくつもりだったので、他に選択肢があるなんて思ってもみなかったからです。
「でも。でも。迷いの森でヒィやスィやフゥが待っています。帰ってやらなければ寂しがるわ。それにベル母様のお手紙だってあと86通もあるんです。そのお手紙を届けるお仕事だってあるし……そうよ! 竜の谷にも荷物を運ばないといけないわ。私がいないと誰が竜の谷に荷物を届けるというの?」
その時アルカのぽっけがピカリと光ると、そこからスィ、ヒィ、フゥが飛び出してきました。
「アルカ。それならアルカの代わりに僕たちが荷物を届けるよ。それにお手紙だって毎月このお城に持って来てあげる。そうすれば僕らは毎月アルカに会えるからね。ねぇアルカ。この人たちの言う通りだよ。アルカはあの森で朽ちてしまうのはもったいないよ」
「そうだよアルカ。僕たちを信じなよ。迷いの森のお家もお仕事もきっと僕たちが守っているよ。いつでもアルカが帰れるようにね。だからちょっとだけ試してごらんよ」
「試して無理だって思ったら、いつだって森に帰れるんだからさ。それに毎月僕たちとも会えるでしょう? アルカはそろそろお年頃って奴なんだよ。お婿さんを探さなきゃいけないのに、迷いの森には人間は住んでいないんだからね。それに元々アルカは迷いの森に迷い込んだだけなんだしさ」
アルカはしっかりと3匹の精霊獣を抱きしめました。
「ヒィ、スィ、フゥ。私、すこしだけ人間の世界で暮らしてみる。ありがとう。どうもありがとう」
その様子を微笑ましく見守っていた王様は、アルカにそっと手を差し伸べました。
「それじゃぁ。決まりだねアルカ。娘が出来て嬉しいよ」
「陛下、ありがとうございます。でもタダで置いて貰うのは気が引けますから、何かお仕事をさせていただきます」
アルカがそんなことを言うので、この場にいた人たちはアルカを微笑ましく見つめました。
「もちろんだよ、アルカ。アルカのお仕事はどっさりあるさ。先ずは私をお父さまと呼ぶのも大事なお仕事だよ。なにしろ誰も私をお父さまなんてて呼んでくれないんだからね」
「そうだねアルカ。だったら僕のことはお兄さまと呼んでもらおうかな。僕をお兄さまって呼ぶ人も誰もいないんだからな」
負けじとばかりにナイトが張り合ったので、王様と竜のおじい様は思わず互いに目くばせをしました。
これはなかなか脈がありそうです。
王様もナイトから妻の手紙を見せて貰っていたので、ベルの想いに気づいていたのです。
だから娘のように育てるとはいっても、正式に養女にしてしまうつもりはありません。
そんなことをすれば後々困ったことになるかも知れませんからね。
困ったことになって欲しいのですけれど。
アルカはナイトをお兄さまと呼ぶのは、随分と嫌がりました。
「だってナイトと私は同い年よ。だからお兄さまって呼ぶのは変だわ」
「いいかい、アルカ。お母さまの手紙を読む限りでは、同い年っていうのもはっきりしないんだぜ。もしかしたら1つ下かもしれないって、随分悩んでいたもの。なんでも君は3つって言いながら指を4本だしたらしいじゃないか。母様に年を聞かれた時にさ」
「母様は4本の指の方を信じることにしたらしいけれど、小さい子供は上手く指を使えないから本当は3歳なんじゃないかっていう意見なんだからな」
過去のしくじりを持ち出されてアルカは真っ赤になってしまいました。
実は手紙の中でベルはアルカの親を見つけて欲しいとナイトに頼んでいたのです。
そのためにアルカとの出会いも克明に記してありました。
アルカがあまりにも聡い子供だったので4歳としましたが、実際は多分1つ下だったろうとベルは記しています。
親を探すには年齢も大事な手がかりですから。
「こらこら、ベルの手紙なら私も読んでいるよ。どうやら君の年齢は14歳ってことのようだ。だからナイトよりも1つ下ってことになる。お兄さまぐらい呼んでやりなさい。それで君たちが血のつながった兄妹になるって訳でもない。アルカは猶子ってことにするから家族っていうのも内輪のことだけさ」
そうしてパチンとアルカにウィンクしてみせました。
「アルカ、ナイトが気に入ったら本当の娘になってくれてもいいんだよ。アルカがナイトの嫁になってくれたら本物の家族になれるんだからね」
途端にアルカは首筋まで真っ赤になって下を向き、ナイトは急にギクシャクとアルカから離れてしまいました。
どうやらナイトは初めてアルカを女の子と意識してしまったようです。
竜はそれを見るとアルカを抱き寄せてこっそりと呟きました。
「アルカ。しっかりな。男を物にしたい時は、ほんの少しだけ親切にしてやるだけでいい。男なんて単純だからな。調子に乗せすぎるなよ」
どうも男というのは自尊心が高いので、ほんの少し親切にされたり目線を合わせてにっこりとするだけで、あの娘はオレに気があるんじゃないかと思うようです。
だからあまり気があるそぶりを見せすぎるなと忠告してくれたのでした。
自分の物だと安心させ過ぎても、恋は上手くいかないようですね。
アルカはどうやら自分の気持ちが王様にも竜のおじい様にもバレバレなのを知って、穴があったら入りたい気分です。
もう絶対にナイトだけには悟られないようにしようと、この時固く決意してしまったのでした。
ノアも随分余計なことを言ってくれたものです。
それにノアがこっそり力を貸してくれましたから、朝に迷いの森を出たというのに、夕方には王都についてしまいました。
高度を高く保っていたので、本来なら大門を通らないといけないというのに王城の真上に飛んできてしまっていたのです。
これは大変危険なことでした
だって王城には魔法による結界が張ってあるので、アルカたちは敵だと思われてしまった訳です。
王立魔法院に所属する魔法師たちがアルカたちを捉えようとしたのですが、なにしろアルカの護衛は竜なのですから、それは簡単なことではありません。
ですからお城は大変な騒ぎになってその騒ぎは王様と王子さまの耳にも入りました。
「陛下、殿下。不信なものが城に潜入しております。只今王国魔法師たちが捕えようとしていますが、敵もなかなか手ごわいので、安全のため避難をお願いします」
王様の居間で久しぶりに親子の体面をしていたところに近衛が血相を変えて飛んできました。
侵入者? そのことばを聞いて不意にナイトの心にあの迷いの森で会った少女の姿が浮かびあがりました。
そう言えば、そろそろこちらに来て1月になるのではないでしょうか?
「もしかしてそれは15歳くらいの女の子じゃないか? 空を飛ぶ布をあやつるんだけれど……」
「殿下、おっしゃる通りでございます。殿下はあの少女に心当たりがございますか?」
「それならその子は手紙の配達人だよ。前に頼んでおいたろう? 毎月迷いの森から母上のお手紙が届くから、配達人がきたら僕に知らせて欲しいって!」
「なんと! あれほどの魔女がただの配達人だと言うのですか? それにその側には青い髪の美青年が付き添っておりましてな。こちらの攻撃をことごとく防いでおるのです。しかしたしかにあちらから攻撃する様子は見せておりませんな」
それを聞いてナイトは大声で笑い出しました。
「父上、どうやらおじい様もご一緒みたいですよ。こちらに案内させてもよろしいですか?」
それを聞いて王様は大いに慌てました。
自分がぐずぐずしていたばかりにベルを救えなかったのですから……
きっと竜どのはさぞかしご立腹でしょう。
「案内させるなんて恐れ多い。私が出迎えに行こう。ナイトもいっしょにおいで」
というわけでとうとう王様自ら、竜とアルカを出迎えにきたのです。
「青龍どの、迷いの森の魔女どの。よくぞ参られました。この者どもの無礼お許しください」
王様が深々と礼をとったので、魔法使いや騎士たちはおどろいて棒立ちになってしまいました。
「いや、こちらこそ手順を踏まずに失礼をした。ナイト、元気そうで何よりだ。今日はわしはただの護衛じゃよ。この魔女殿のなぁ。だから気遣いは無用に願いますぞ」
どういうわけで手紙の配達人風情に竜の護衛がついたのかはまったくわかりませんが、なにしろこの少女のおかげで竜殿のご機嫌はまことに良いようです。
王様はほっとして竜とアルカを賓客を遇するための部屋に案内しました。
ところがアルカの方は、いきなり恐ろしい魔法の攻撃を受けたと思うとそれをいとも簡単にキャンセルする様子を見ただけではなく、騎士様たちがこぞって殺気だっていたので生きた心地もしていませんでした。
そこへとうとう王様みずから出迎えに来てしまって、頭の中は空っぽです。
目の前にナイトがいるというのにそれも見えないくらいに呆然自失していたのです。
そんなアルカはノアは優しくエスコートしてゆったりと座らせてやります。
そうしてほんの少し魔力を流してやったので、ようやくアルカは自分を取り戻すことができました。
けれど意識がしっかりしてみると、目の前には王様とナイトが座っているのですから、今度は緊張してカチカチになってしまいました。
そんなアルカの様子を見て王様が提案しました。
「お嬢さんは私の妻の養い子だそうだね。それならば私にとっても子供も同然だ。良ければこのまま王城で暮らさないかね。私の娘としてね。なにしろ私には息子しかいないのだから」
「そうだねアルカ。僕とアルカではほんの少し僕の方が年上だから、アルカは妹になるね。前に僕も言ったようにベル母様が娘として育てたなら、僕らは兄妹みたいなものだよ。このままここで暮らすといい。おじい様が一緒にきたのはそれを勧めるためじゃないの?」
その言葉を待っていたようにノアが答えました。
「そう言ってもらえてよかった。迷いの森の魔女として人生を終えてしまうにはアルカはあまりにも若い。若すぎる。迷いの森にいては家庭を持つことも叶わないだろうしなぁ。どうかねアルカ。一度人間の中で暮らして見てごらん。どうしても無理になれば、迷いの森の精霊たちはいつだってアルカを受け入れてくれるだろうからね」
みんなに勧められてアルカはどうしていいかわからなくなりました。
ずっと迷いの森でヒィ、スィ、フゥと過ごしていくつもりだったので、他に選択肢があるなんて思ってもみなかったからです。
「でも。でも。迷いの森でヒィやスィやフゥが待っています。帰ってやらなければ寂しがるわ。それにベル母様のお手紙だってあと86通もあるんです。そのお手紙を届けるお仕事だってあるし……そうよ! 竜の谷にも荷物を運ばないといけないわ。私がいないと誰が竜の谷に荷物を届けるというの?」
その時アルカのぽっけがピカリと光ると、そこからスィ、ヒィ、フゥが飛び出してきました。
「アルカ。それならアルカの代わりに僕たちが荷物を届けるよ。それにお手紙だって毎月このお城に持って来てあげる。そうすれば僕らは毎月アルカに会えるからね。ねぇアルカ。この人たちの言う通りだよ。アルカはあの森で朽ちてしまうのはもったいないよ」
「そうだよアルカ。僕たちを信じなよ。迷いの森のお家もお仕事もきっと僕たちが守っているよ。いつでもアルカが帰れるようにね。だからちょっとだけ試してごらんよ」
「試して無理だって思ったら、いつだって森に帰れるんだからさ。それに毎月僕たちとも会えるでしょう? アルカはそろそろお年頃って奴なんだよ。お婿さんを探さなきゃいけないのに、迷いの森には人間は住んでいないんだからね。それに元々アルカは迷いの森に迷い込んだだけなんだしさ」
アルカはしっかりと3匹の精霊獣を抱きしめました。
「ヒィ、スィ、フゥ。私、すこしだけ人間の世界で暮らしてみる。ありがとう。どうもありがとう」
その様子を微笑ましく見守っていた王様は、アルカにそっと手を差し伸べました。
「それじゃぁ。決まりだねアルカ。娘が出来て嬉しいよ」
「陛下、ありがとうございます。でもタダで置いて貰うのは気が引けますから、何かお仕事をさせていただきます」
アルカがそんなことを言うので、この場にいた人たちはアルカを微笑ましく見つめました。
「もちろんだよ、アルカ。アルカのお仕事はどっさりあるさ。先ずは私をお父さまと呼ぶのも大事なお仕事だよ。なにしろ誰も私をお父さまなんてて呼んでくれないんだからね」
「そうだねアルカ。だったら僕のことはお兄さまと呼んでもらおうかな。僕をお兄さまって呼ぶ人も誰もいないんだからな」
負けじとばかりにナイトが張り合ったので、王様と竜のおじい様は思わず互いに目くばせをしました。
これはなかなか脈がありそうです。
王様もナイトから妻の手紙を見せて貰っていたので、ベルの想いに気づいていたのです。
だから娘のように育てるとはいっても、正式に養女にしてしまうつもりはありません。
そんなことをすれば後々困ったことになるかも知れませんからね。
困ったことになって欲しいのですけれど。
アルカはナイトをお兄さまと呼ぶのは、随分と嫌がりました。
「だってナイトと私は同い年よ。だからお兄さまって呼ぶのは変だわ」
「いいかい、アルカ。お母さまの手紙を読む限りでは、同い年っていうのもはっきりしないんだぜ。もしかしたら1つ下かもしれないって、随分悩んでいたもの。なんでも君は3つって言いながら指を4本だしたらしいじゃないか。母様に年を聞かれた時にさ」
「母様は4本の指の方を信じることにしたらしいけれど、小さい子供は上手く指を使えないから本当は3歳なんじゃないかっていう意見なんだからな」
過去のしくじりを持ち出されてアルカは真っ赤になってしまいました。
実は手紙の中でベルはアルカの親を見つけて欲しいとナイトに頼んでいたのです。
そのためにアルカとの出会いも克明に記してありました。
アルカがあまりにも聡い子供だったので4歳としましたが、実際は多分1つ下だったろうとベルは記しています。
親を探すには年齢も大事な手がかりですから。
「こらこら、ベルの手紙なら私も読んでいるよ。どうやら君の年齢は14歳ってことのようだ。だからナイトよりも1つ下ってことになる。お兄さまぐらい呼んでやりなさい。それで君たちが血のつながった兄妹になるって訳でもない。アルカは猶子ってことにするから家族っていうのも内輪のことだけさ」
そうしてパチンとアルカにウィンクしてみせました。
「アルカ、ナイトが気に入ったら本当の娘になってくれてもいいんだよ。アルカがナイトの嫁になってくれたら本物の家族になれるんだからね」
途端にアルカは首筋まで真っ赤になって下を向き、ナイトは急にギクシャクとアルカから離れてしまいました。
どうやらナイトは初めてアルカを女の子と意識してしまったようです。
竜はそれを見るとアルカを抱き寄せてこっそりと呟きました。
「アルカ。しっかりな。男を物にしたい時は、ほんの少しだけ親切にしてやるだけでいい。男なんて単純だからな。調子に乗せすぎるなよ」
どうも男というのは自尊心が高いので、ほんの少し親切にされたり目線を合わせてにっこりとするだけで、あの娘はオレに気があるんじゃないかと思うようです。
だからあまり気があるそぶりを見せすぎるなと忠告してくれたのでした。
自分の物だと安心させ過ぎても、恋は上手くいかないようですね。
アルカはどうやら自分の気持ちが王様にも竜のおじい様にもバレバレなのを知って、穴があったら入りたい気分です。
もう絶対にナイトだけには悟られないようにしようと、この時固く決意してしまったのでした。
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