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諒としての俺の人生
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「行ってきます…と」
返事は何時もない。その事に慣れてしまった自分に自嘲の笑を浮かべながらいつも通りの道を歩き登校する。
諒こと俺の両親は幼い頃に死んだらしい。聞いた話だから詳しいことは分からないけど。
今の家は祖母の姉の娘一家。血は繋がってるらしい。一応?
よそ者の俺がいるせいで経済的に少し苦しい。娘一家が俺に対する風当たりが厳しくても仕方ない。
だから少しでも負担を減らすため特待生制度がある高校に入学して特待生を取った。部活の剣道の道具も掛け持ちしているバイトでなんとかやりくりして極力迷惑かけないようにしてる。
……にして…
「疲れたぁ……」
昨日も夜遅くまでバイトだったせいで身体中バキバキ。
おっ、今肩がやばい音した。まじか。
「諒~おはよぉぉぉ」
後ろからうるさいほどのでかい声で俺を呼ぶのは幼馴染みの遥香。
どこからあの馬鹿でかい声出してんだか…
家族は居ないが友達には俺は恵まれてた。優しく、だが俺の境遇に同情しない。対等に扱ってくれる奴らが俺の周りにいる。
「それだけで…充分、か」
「なーにが充分なの?」
いつの間に隣に来たんだ此奴は。
「別に」
「えー教えてよ」
「い、や、だ」
「うっわ、けっちぃ」
なんだかんだ言いながら一緒に登校する。
あれ?毎日登校してる気が…
付き合ってるなどと噂されたらどうしようなどと真剣に考える。
「何止まってんの!早く早く!信号赤になっちゃうよ!」
「え、あ、おう」
気がつくと俺は足を止めていたようだ。
信号で叫ぶ幼馴染みに苦笑しながら追いかける。
その時、気がついた。
信号を渡っている遥香の右側から走ってくるトラックに。信号が赤なのにスピードを緩める気配がない。
「は…うそ…だろ」
嫌な予感がする。
俺は全力疾走して未だ異変に気がついてない遥香を全力で押し飛ばす。
「きゃ…何すっ…」
抗議の声もそこまでだった。
次の瞬間。俺の身体は周りの悲鳴とともに飛ばされていた。
視界がどんどん暗くなっていく。完全に闇に落ちる前に泣き声が微かに耳に届いた。昔から変わらない聞きなれた泣き声。
そう言えば人間死ぬ前聴覚が一番最後まで残ってると聞いたことがある。
「泣く……な…よ」
そして俺の意識はもう闇から抜け出すことは無かった。
返事は何時もない。その事に慣れてしまった自分に自嘲の笑を浮かべながらいつも通りの道を歩き登校する。
諒こと俺の両親は幼い頃に死んだらしい。聞いた話だから詳しいことは分からないけど。
今の家は祖母の姉の娘一家。血は繋がってるらしい。一応?
よそ者の俺がいるせいで経済的に少し苦しい。娘一家が俺に対する風当たりが厳しくても仕方ない。
だから少しでも負担を減らすため特待生制度がある高校に入学して特待生を取った。部活の剣道の道具も掛け持ちしているバイトでなんとかやりくりして極力迷惑かけないようにしてる。
……にして…
「疲れたぁ……」
昨日も夜遅くまでバイトだったせいで身体中バキバキ。
おっ、今肩がやばい音した。まじか。
「諒~おはよぉぉぉ」
後ろからうるさいほどのでかい声で俺を呼ぶのは幼馴染みの遥香。
どこからあの馬鹿でかい声出してんだか…
家族は居ないが友達には俺は恵まれてた。優しく、だが俺の境遇に同情しない。対等に扱ってくれる奴らが俺の周りにいる。
「それだけで…充分、か」
「なーにが充分なの?」
いつの間に隣に来たんだ此奴は。
「別に」
「えー教えてよ」
「い、や、だ」
「うっわ、けっちぃ」
なんだかんだ言いながら一緒に登校する。
あれ?毎日登校してる気が…
付き合ってるなどと噂されたらどうしようなどと真剣に考える。
「何止まってんの!早く早く!信号赤になっちゃうよ!」
「え、あ、おう」
気がつくと俺は足を止めていたようだ。
信号で叫ぶ幼馴染みに苦笑しながら追いかける。
その時、気がついた。
信号を渡っている遥香の右側から走ってくるトラックに。信号が赤なのにスピードを緩める気配がない。
「は…うそ…だろ」
嫌な予感がする。
俺は全力疾走して未だ異変に気がついてない遥香を全力で押し飛ばす。
「きゃ…何すっ…」
抗議の声もそこまでだった。
次の瞬間。俺の身体は周りの悲鳴とともに飛ばされていた。
視界がどんどん暗くなっていく。完全に闇に落ちる前に泣き声が微かに耳に届いた。昔から変わらない聞きなれた泣き声。
そう言えば人間死ぬ前聴覚が一番最後まで残ってると聞いたことがある。
「泣く……な…よ」
そして俺の意識はもう闇から抜け出すことは無かった。
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