どん底から頂点を目指しました

ギルドなう

「…うわ」
 人多っ…
 ギルドの中へ足を踏み込んだ瞬間視界に移ったのは人、人、人。
 酔いそう…おぇ…
「じゃなかった…えっと…あそこか」
 受付的なところを見つけてそこへ向かう。
「すみません、ここで獣の売却が出来るって聞いたんですけど…」
 少し緊張しながら早口に告げる。
 受付のお姉さんは人が良さそうな笑みを向けて口を開いた。
「えぇ、出来るわよ。売りたいのかな？」
 子供に話すような話し方に違和感を覚えながら(中身は高校生なので)頷く。
「えっと……何処にあるのかな？」
 俺が手ぶらなのに疑問をもったのだろう。お姉さんは首を傾げる。
「あ、ここです！」
 ズボンのポケットから小さな袋を出す。
「…へ？」
 そしてその中から獣(という名の魔物)を出す。
「…玩具…かな？」
 小さすぎるそれをみてお姉さんは苦笑しながら言った。
 まあこのサイズならそう思っても不思議ではないだろう。だが残念ながら本物だ。
「いえ、本物ですよ」
 俺は笑みを浮かべながら縮小魔法を解除して元の大きさに戻した。
 勿論、周りの迷惑にならないようにだ。
 ドスッ、という音と共に魔物たちが拡大する。
「･･･」
 流石のお姉さんでも絶句しているようだ。
 周りの一部始終を見ていたギルドの人たちからヒュー、と口笛が聞こえた。
「いくらになりますか？」
 流石にぼったくられないよなぁ、などと考えながら首を傾げる。
「あ、え、えぇ、ちょっとまっててね」
 お姉さんは慌てて奥へと走っていった。
 その反応にすこしおかしくなる。
 周りの人たちの反応もなかなか面白い。
 そう思いつつ暫くお姉さんが来るのをじっと待つのだった。