Radiantmagic-煌炎の勇者-

橘/たちばな

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ジョーカーズ

暗黒の目覚め

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南東の大陸サウイストルに存在する小国マカフィロ――アズウェル王国と友好関係を結ぶ小さな国であり、平和を守る為の文化を発展させようという王の考えによって様々な科学技術が開発された。その結果、機械仕掛けの道具や兵器、難病への特効薬といった産物が生み出され、城や街中の至る所に歯車が動いていたりと小国ながらも独自の国家として歩みつつあった。

だが、マカフィロにも邪悪なる存在への生贄を必要としているジョーカーズの魔の手が襲い掛かる――。


「アハハハハハ! 潰せ! 壊せ! 虫ケラどもを叩き殺せ!」
マカフィロ城下町では、巨大なハンマーを持ち、牛のような姿をした巨体の魔物が大暴れしていた。魔物はデストロイと名付けられ、ジョーカーズの番人用としてバキラに造られた魔獣である。爆弾を放つ大砲や爆薬を弾丸に変えた銃火器等で応戦する兵士達だが、デストロイには全く通用せず、城下町は破壊されていくばかり。
「クッ……マシンアーミーだ!」
火炎放射や魔石を利用した魔力エネルギーによるビーム砲を放つ機械兵が始動し、次々と攻撃を仕掛けるものの、デストロイのハンマーによって軽々と破壊されていった。
「ハハハ、無駄無駄。こいつにはお前達の科学とかいう奴で作られた兵器なんか通用しないよ」
デストロイの肩の上に立ったバキラが嘲笑うように言うと、振り回されたハンマーが次々と建物を潰していく。至る所が炎に包まれ、城下町は壊滅状態となっていた。
「う……あぁ……」
恐怖の余り立ち竦む兵士達の前にバキラが降り立つ。
「フフ……お前達も素材として使ってやるよ」
バキラの傀儡の呪術によって兵士達は一瞬で意識を奪われ、白目を剥くとバキラの手元にある宝玉に吸い込まれていく。暴れ回るデストロイを見ては指を鳴らすバキラ。デストロイの動きが止まると同時に、兵士達と同様に宝玉に吸い込まれ始めた。デストロイの姿が消えると、クロトが降り立つ。
「何故アレを使った」
クロトの言うアレとはデストロイの事である。
「ちょっとめんどくさくなってきたからね。ボク達の力を思い知らせるにはデクの棒を使った方が手っ取り早いなと思ってね」
半ば適当な振る舞いで理由を説明するバキラ。クロトは返答せず、無言のまま城へ向かっていく。無惨にも破壊された城下町の中、一つの小さな飛行物体が飛び立った。

城内では避難命令が出され、人々はパニック状態のまま既に地下に避難していた。兵士の一人が謁見の間にいるマカフィロ王と王女シディアに現状報告すると、王の表情が青ざめる。
「くそ……何故我が国を狙ったというのだ」
恐怖と無力感に苛まれる王。
「お父様……」
傍らに立つ王女シディアは不安に満ちた表情を浮かべるばかり。
「マカフィロ王!」
鎧を身に纏い、斧を背負った男が駆け付ける。アズウェル王国から国の用心棒として派遣された傭兵の戦士レドガーであった。
「レドガーか。敵の様子は?」
「城下町を破壊していた巨大な魔物は先程姿を消しました。もしかすると魔物を操っていた者がいるかもしれません」
王が表情を強張らせると、叫び声が響き渡る。クロトの襲撃を受けた兵士の声であった。レドガーは斧を取り出し、戦闘態勢に入る。
「やあ、こんにちは」
バキラとクロトが現れる。
「貴様ら、何者だ! あの巨大な魔物は貴様らが操っていたのか!」
「フフ、そうだよ。ボク達はジョーカーズの者。この国の王女様に御用があって来たんだ」
シディアが狙いだと聞かされたレドガーは、王女には手を出させまいと身構える。
「無駄な事はやめた方が身の為だと思うよ。お前もなかなか強そうだけど、所詮ボク達に勝てやしない」
余裕の態度で笑うバキラ。
「ほざけ!」
レドガーは斧を手に斬りかかるが、クロトに軽々とかわされる。鉤爪状の手によるクロトの攻撃を斧で受け止め、間合いを取ると両手で斧を握り締めつつ飛び上がり、上空から振り下ろす。
「ぬ……くっ」
クロトはレドガーの斧の一撃を受け止める。引き離そうとするものの、斧を受け止めるクロトの力は強く、なかなか離れようとしない。
「愚かな」
クロトの目が光ると、レドガーは不意にたじろぐ。受け止めていた斧は投げ捨てられ、噴き上がる紫色のオーラを身に纏ったクロトの手元に邪剣ネクロデストが出現する。
「き、貴様は一体……」
本能で戦慄したレドガーは床に投げられた斧を拾おうとした瞬間、クロトの凶刃がレドガーの右肩に深く食い込む。
「ぐげぼっ」
迸る鮮血の中、血反吐を吐き散らしながらも倒れるレドガー。クロトは倒れたレドガーの身体にネクロデストの刀身を突き立てる。レドガーは既に息絶えていた。
「ハハハ、所詮ザコはザコ。言う事を聞かないからこうなるんだよ」
バキラは血の海に浮かぶレドガーの死体を足蹴にする。
「おのれ……悪魔どもめ」
王はシディアを守りながらもバキラ達を恨めしい目で見ている。その表情には恐怖の色が浮かんでいた。
「お前達にはもうどうする事もできやしないさ」
バキラは目を光らせ、傀儡の呪術を発動させる。王とシディアは激しい頭痛に襲われ、頭を抑えながら蹲る。呪術に支配された王とシディアの目は光を失い、抜け殻のように無気力となってしまう。そしてバキラの手元にある宝玉に吸い込まれていく王とシディア。
「フフ……一先ず仕事は完了かな」
バキラはクロトと共に城を出ては飛び去って行く。行き先は、ジョーカーズの拠点となる暗黒魔城がある闇の空間――歪みし漆黒の亜空間の入り口となる時空の穴であった。時空の穴は、魔導帝国領が存在する西の大陸スレイジアに聳え立つ黒き岩山による山岳地帯の上空に浮かび上がっている。岩山の周囲は、ヘルメノンの雲に覆われていた。


その頃、暗黒魔城では身体に風穴を開けたイーヴァが研究施設のような部屋で培養槽に収容されていた。培養槽を動かしているのは、小柄の老人である。老人の名は魔学士ダルゴラ。元魔導帝国の研究者で、帝国の兵力を生み出す魔改造や実験を繰り返していた存在であった。一度は勇者達との戦いで死したものの、ネヴィアの冥府の呪法によって蘇ったのだ。同じように帝国の幹部となる魔将軍ゲルドスと獄魔将バイロルドも蘇ったものの、暴走したイーヴァによって既に倒されていた。
「まさかこいつ程の者にここまでの深手を負わせるとはのう……」
ダルゴラは培養槽のスイッチを押すと、槽の内部が治療効果のある液体に満たされていく。そこに、ダグがやって来る。
「何じゃ、お前さんかい」
「……奴の様子はどうだ」
ダグは治療液の入った培養槽に収容されたイーヴァをジッと見つめる。目を閉じたイーヴァはまるで夢の中で強者と戦い続けているかのような執念深いオーラを放っていた。
「目覚める時は気を付けろ。奴は人の形をしていても、戦闘に荒れ狂う魔獣そのもの。貴様ならば一瞬で八つ裂きにする事も容易い」
そう言い残し、去っていくダグ。
「うぬぬ……よりによってこやつの面倒を見る羽目になるとは」
ダルゴラはイーヴァの戦闘狂ぶりを目の当たりにした事があり、更にイーヴァに深手を負わせる者の存在に内心恐ろしく感じていた。


常闇の空間でチェスの駒を動かすタロスの元に、一つの光の玉がやって来る。それは闇を象徴する邪悪な光であった。
「これはこれはジョーカー殿ではないか。貴殿が訪れるのも久しいな」
邪悪な光の玉は、死天使ジョーカーの精神体であった。
「フフフフフ……視察といったところさ。如何ですかタロス・ティルシェイド。肉体の様子は」
「心配無用。しもべどもがいくらか生贄を確保したようだ。完全なる肉体となるまでそう遠くはなかろう」
「ほほう、それは良き事ですな……」
更にネヴィアが現れる。
「タロス様。ジョーカー様もおいででしたか」
「何事だ」
「たった今、イーヴァが深手を負って帰還した模様です」
「うん? まさか奴程の者が返り討ちにされたとでも言うのかね?」
「ハッ……半ば信じ難い事ですが、現在はダルゴラの治療を受けています」
「フム、まあいい。奴はそう易々と死にはせん。命が尽きぬ限り本能のままに戦い続けるであろうな」
タロスは微動だにせず、グラスに注がれた酒を飲み干す。
「フフフ……イーヴァか。彼はなかなか手を焼かせるだろう?」
不敵な物言いのジョーカーを前に、ネヴィアは跪くばかり。
「だが、イーヴァなど所詮は手駒の一つに過ぎない。彼は邪魔者を排除するだけの存在。必要がなければいつでも消す事は可能だからねぇ……」
ジョーカーの声に共鳴するかのように、稲光と共に雷鳴が鳴り響く。同時に何かの予兆であるかのように、一筋の風が吹く。
「おやおや。戻って来たようだよ。どんな手土産か楽しみだね」
ジョーカーの言う通り、戻って来たのはバキラとクロトであった。
「あれぇ、ジョーカー様じゃないの。暇だから遊びに来たわけぇ?」
物怖じする事なく砕けた態度でバキラが言う。
「バキラ、少しは態度を弁えなさい」
ネヴィアが注意するものの、バキラはうるさいよ、と返した。
「フフ、構わないよ。バキラ、今度はどんな手土産を持って来たんだい?」
バキラはニヤリと笑いつつも、手元の宝玉から生贄として捕えた女達を出現させる。イニア、サラ、シディア、そして多数の女。皆が清らかな乙女と呼ばれる存在であった。
「ほほう……素晴らしい」
タロスはそっと立ち上がり、生贄の女達に手を掛け始める。女の身体に手が食い込んだ瞬間、生き血がタロスの中に吸収されていく。次々と血を吸収されていく女達。
「ぬ……うっ……お……オオオオオォォォオオオオオオッ!」
全ての女の血を吸収し尽くしたタロスは全身が熱くなり、血液が沸騰するかのように漲るのを感じる。タロスの身体が強大な闇のオーラに覆われ、周囲に魔力の波動が迸る。
「フフフ……ハハハハハハ! おめでとうタロス。大成功ですよ」
ジョーカーの言う大成功――それは生贄の女達の血によって、不完全だったタロスの肉体は完全なる肉体へと目覚め始めたという意味であった。失われていた全盛期の力を全て取り戻し、あらゆる全ての闇を己の力として手中に収める常闇の魔術師として完全なる復活を遂げたのだ。
「そうか、これでタロスは完全な身体になったわけか。ククク……面白くなってきたじゃないの」
完全なる闇を象徴する漆黒のオーラを纏ったタロスを前に、バキラは動じる事なく楽しそうに笑っていた。


そう、私は今……一度死した際に失われた力の全てを取り戻した。このレディアダントは新たな世界に生まれ変わる。私の手によってな。

レディアダントには人間の他にも様々な種族が存在する。


ビースト族――獣の一族と呼ばれ、それぞれの獣の特徴を持つ獣人や獣の姿を持ちながらも高い知能を持つ種族。戦いとならば獲物を狙う獣そのものと化す戦闘能力を誇る野生の部族。

エルフ族――魔法の一族と呼ばれ、炎、水、地、風の四元の魔力と光のエレメントを司り、数百年に渡る寿命を持つ種族。人間とは相容れず、悪しき人間によって多くの犠牲を生み、生き残った者達は人間に憎悪を抱き続ける哀しき光の部族。

ドレイアド族――自然の一族と呼ばれ、命宿りし植物が人の形となった種族。自然と木のエレメントを操る魔力を司り、自然を育む原生林、そして世界の母と呼ばれし神樹を守る使命を与えられた森の守護者。

巨人族――炎の一族と呼ばれ、人の数倍となる巨体を誇る種族。炎のエレメントを操る魔力を司り、かつては魔導帝国によって多くの者が兵力として利用され、生き残った者はごく僅かと言われている炎の守護者。

海底人族――水の一族と呼ばれ、世界の海を守り続ける種族。水のエレメントを操る魔力を司り、海底にて数多くの歌と演奏で民を楽しませる水の守護者。

ドワーフ族――地の一族と呼ばれ、人間達の間では地底人とも呼ばれる種族。地のエレメントを操る魔力を司り、大地の守護神たる者の子とも呼ばれる地の守護者。

鳥人族――風の一族と呼ばれ、空を守護する使命を与えられた種族。風のエレメントを操る魔力を司り、人間達の間では風を支配する者と呼ばれる風の守護者。

ペン族――氷の一族と呼ばれ、凍て付いた北の大陸を守護する種族。氷のエレメントを操る魔力を司り、氷の人鳥とも呼ばれる氷の守護者。

アザラン族――氷に閉ざされし島国に生息する氷の一族。ペン族とは兄弟種族に当たり、氷のエレメントを操る魔力を司る氷の部族。

鬼人族――力の一族と呼ばれ、生まれつき屈強な肉体を持つ種族。肉体そのものを武器とし、男女共々過酷な環境の中で血を流し合いつつも己を鍛え続ける闘の部族。

魔族――闇の一族と呼ばれ、魔人と悪魔の姿を持つ種族。闇のエレメントを操る魔力を司り、魔人王と悪魔王の支配下で強き者だけが生き残り、弱き者は淘汰されていく弱肉強食の世界で生きる暗黒の民。

竜人族――竜の一族と呼ばれ、ドラゴンと人間の姿を持つ種族。天上界を守りし聖竜の女王を守護する使命を与えられ、神に最も近い種族と伝えられている聖竜の民。


人を始め、世界中の全ての種族が私の元にひれ伏し、我が理想郷の民となる。

私は、新たな世界の創造主となる。


蘇りし我が大いなる闇の力よ、今こそ轟け――。


タロスの全身から昇っていく漆黒の巨大な魔力の柱。それは天を突き抜け、禍々しく渦巻く暗雲と化した。同時に放出された魔力は大地も貫き、地鳴りが起き始める。


「今のは何事だ?」
エルレイの樹海では、ネル達を追ってビストール王国へ向かおうとしているエルフの部隊が地鳴りを感じて騒然としていた。
「まさか……今のも人間どもの仕業だというのか?」
「そうに違いない。魔導帝国の生き残りとなる人間が何処かにいるんだよ」
エルフ達は地鳴りの原因は人間にあると口々に言い始める。
「落ち着けお前達。人間どもの力は未知数だ。ネル様……いや、ネルが裏切った以上、我々だけでは敵わぬかもしれん」
部隊のリーダーとなるエルフのニコラが一つの提案を出す。それはエルフ族と友好関係にあるビースト族に人間の愚かさを伝え、人間討伐の協力を求める事であった。
「いいか、ビースト族の中には人間とネルに協力していた輩もいる。もし人間に与する事を選んだら容赦なく始末しろ。奴らは知能はあれど、本質は野生動物に過ぎん」
半ば傲慢な態度で言い放つニコラ。部隊の面々は内心疑問に思いつつも、ニコラの指示に従う事にした。


ビストール王国では獣王がクロウガを始めとする獣人兵を結集させていた。そんな中、地鳴りが起き始め、獣王は表情を険しくさせる。
「今のは一体……」
不吉な予感を抱き、呟く獣王。
「何だったんだ今の地鳴りは?」
「地震でも起きたのか?」
クロウガを始めとする獣人兵一同は何があったんだと辺りを見回している。
「静まれ、皆の者よ」
獣王が一喝するように言う。
「我々がこれから挑む事となる敵は、人間を討たんとするエルフどもだけではない。かつて魔界との契約で全てを滅ぼす力を得た魔導帝国の皇帝ゼファルドに匹敵するような、近いうちに未知の強大な魔が現れようとしている。そんな予感がするのだ」
獣王の言葉に獣人兵は驚きの表情を浮かべる。
「出来る事ならエルフどもとの争いを極力避けたいところだが、奴らとの戦いを免れる事は叶わぬだろう。しかし、我々は決して滅びるわけにはいかぬ。新たなる勇者の力となる日が来るまではな」
獣王は衣装を脱ぎ捨て、逞しい肉体の上半身が露になる。その身体には十字状の傷跡が刻まれていた。
「獣王様! 一体何を……」
「老いた身といえど、肉体は生きている。ビースト族の誇りに掛けて、ワシも戦おうぞ」
獣人兵は思わず息を呑む。全盛期の頃はビースト族最強の戦士と呼ばれていたが故、戦いに挑もうとする獣王の気迫は圧巻であった。


リフ、ネル、ゾルアが乗る船は、大荒れとなった海に翻弄されていた。
「クッ、なんて荒れようなの」
揺れる船内の中、ネルは必死に舵を動かしている。リフは激しい揺れによって船酔いを起こし、吐き気に襲われていた。
「チッ……何が起きようとしている?」
ゾルアは冷静に振る舞いつつも、甲板に出る。雨雲に覆われた空。たちまち豪雨となり、海は大時化となった。



タロスの大いなる闇の力が呼び起こす地鳴りは、世界各地に伝わっていた。世界に存在するそれぞれの種族達は、地鳴りを感じていた。同時に暴風雨を呼び、海は大きく荒れていた。

これは何かの予兆なのか。世界の危機を意味するのか。その答えは、誰にも知る由がない。


放出された魔力が消えると渦巻いていた暗雲は次第に晴れて行き、地鳴りは収まっていく。完全なる肉体へと覚醒したタロスの身体には黒い魔力のオーラが僅かに残っていた。
「……クックックッ……清々しい気分だ。深い眠りから覚めた気分に近いものがある」
タロスは上機嫌な様子で玉座に腰を掛ける。
「やはり君は僕の見込み通りだったよ、タロス。君こそ新たなる世界の創造主に相応しい。君がこのレディアダントを闇の理想郷へと変えて行くところを、とくと見届けておきますよ」
ジョーカーは賛辞の言葉を投げると、精神体の姿をその場から消した。
「感謝するよ、ジョーカー殿。祝い酒が欲しいところだな」
ネヴィアは即座にタロスの元にあるグラスに酒を注ぐ。
「ああ、ネヴィアよ。ここは一つ、私と酒を交わさないかね?」
「私と……ですか?」
「部下の中で酒が飲めるのは君だけしかいないものでな。君はいつでも私のつまらぬ遊びに付き合ってくれただろう? 君とは良い酒が飲めそうなものでね」
「なんと……感謝の言葉もありません」
タロスとネヴィアは酒が注がれたグラスを手に乾杯を交わす。バキラはその様子を退屈そうに眺めていた。


タロス・ティルシェイド――魂の器として与えられた魔の肉体が完全なるものへと目覚めた時、全盛期の力を取り戻すどころか、生前の頃を遥かに上回る力を得る事となる。

現身である魔の肉体は、我が主となる闇の女神が遺した力の核から作られたもの。バキラ、クロトといったタロスの配下も魔の肉体に負の精神が宿ったもの。

君ならばこのレディアダントを暗黒の箱庭へと作り替えられるだろう。そう、闇の女神の意思を継ぐ者として――。

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