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しおりを挟む式は挙げたくない私と式はしたい絢斗さん。どちらかが折れるしか相容れない。私は主張を変えなかったし、絢斗さんも規模を小さくする提案はしてくれるが、消防士という職務上挙げないという選択はできないようだ。
申し訳なさそうにしながらも絢斗さんも譲らない。
なのに。
「奈緒さん、もっと奥まで挿れさせて……」
「んっ!! ひゃっ!!」
グンッ、と絢斗さんのモノが奥に押し付けられる。付き合う前は身長差から挿入出来るか不安になっていたのに、スッカリ私のナカは絢斗さんのカタチを覚えた。
深く繋がっても全く痛みも感じない上に。
「ひゃっん!! あやとさっ……!! そこっ……だめっ……んんっ!!」
「もうイッたの? 可愛い、奈緒さん」
絢斗さんは腰を押しつけるようにして私のナカを堪能する。激しく出し入れをされるよりも小刻みにナカを揺らされる方がピタリとくっついている時間が長く、達しやすいのだ。
案の定、絢斗さんがイッたばかりのそこをゆるゆると刺激することで、私はジワリジワリと再び頂を駆け上がっていく。
「ふぅっ……んん!! はぁっん!! イッ……あっ……!! んふぁっ!!」
「うん……イきな、奈緒……」
「あっ…………」
いきなり命じられ、呼び捨てにされ、私はブルリと身を震わせる。同時に目の前にある絢斗さんの体にしがみついた。
絢斗さんも応えるように私の体をぎゅうっと抱き締めると、まだ全部入りきっていなかった自身のモノを根本までズッポリとおさめてくる。私の一番奥深いところが絢斗さんの先端で突き上げられると、弾けるような快感が襲ってくるのだ。
「ひっ……んんんっふぁっ!!」
「奈緒さんっ…………。っつ! 動くよっ!」
「やぁっ! まって……イっ……たばか……っ!! んふぁん!!」
絢斗さんは私の制止など聞こえていないというように、激しく出し入れする。知られているのだ。私のナカが絢斗さんの大きさに馴染み、今なら動かしても快感しか拾わないことを。
出し入れする度に擦れる絢斗さんのモノに私は何度も体をビクつかせ、襲ってくる快感を受け止めることしか出来ない。達する度に締め付ける私に、絢斗さんは、はぁ、という声と共に耐えるように眉間にシワを寄せる。それがまた色気があって私の背筋はゾクゾクと震えるのだ。
「奈緒さんっ。……つっ! 好きだ」
「やぁっ! あや……と……んっ!! ふぁっ!!」
ロクに名前も呼べないくらい快楽でドロドロにさせられているのに、絢斗さんは次々と私が欲しい言葉を囁いてくれる。
「愛してる。……別れたくない。奈緒さん、ずっと側にいて」
「やぁ……はぅん!! んんっ!!」
縋り付くように絢斗さんが声をかければかけるほど、私はどんどんと昂っていく。
そのことを証明するかのように下からは私の奥から溢れてきている愛液が絢斗さんに掻き混ぜられ、グチュグチュと卑猥な音を立てていた。
「あ……やとっ……さんっ……んんっ!!」
「奈緒っ……!! ごめっ、射精るっ!!」
ここぞとばかりに呼び捨てにして、奥に叩きつけるように自身を収めた絢斗さんのモノは、グッと大きくなり、そして弾けた。
「ひゃっ……!! んっふぁ!! あっ……んんん!!」
同時に私も登り詰める。ドクドクと脈打つ絢斗さんのモノで、私の体も無意識にビクビクと震えてしまう。
「奈緒さん……好きだ。……結婚式したくないからって振らないで」
哀願するような口調の絢斗さんに、私は無言で頷いたのだった。
※
その後、何度かした話し合いも平行線のままだった。だけど、反対に体を重ねる行為は今までに比べて情熱的になっていた。
私自身、付き合う条件に体を重ねられるかをポイントとして挙げるくらい重要視していたし、絢斗さんも欲は強い方だ。
「やっぱり消防士って性欲強いんだね」
「まぁ、否定は出来ないけど」
今日も結婚についての話は進んでいないのに。お互いがヘトヘトになるまで交わった後、ベッドで微睡みながら呟いた私の言葉に、絢斗さんは苦笑いを浮かべて答えた。
「これだけは信じて欲しいんだけど。俺、女性を取っ替え引っ替え遊んでいたタイプではないから」
私の目をジッと覗き込んでくる絢斗さんに、回らない頭で私は考える。
実際に三枝さんからも聞かされていた。
幹事として強引に絢斗さんを合コンに連れてきたはいいが、まさか連絡先を交換する女の子がいたとは。坂木が興味あるのは仕事と筋トレしかないと思っていた、と。
絢斗さんは誠実だ。付き合う前の3ヶ月、付き合ってからの3ヶ月でも感じるくらい真摯に付き合ってくれている。消防士は女性にだらしないという噂を打ち消すように私に勤務時間を共有してくれるし、仕事が終わったらすぐに連絡もしてくれる。非番や週休の時なんか、私の昼休憩に合わせて出先まで来てくれることだってあるのだ。
愛されている。
日々実感しているのに。私が結婚式をする、と一言発したら済む話なのに。同じ状況の姉だって結婚式も披露宴もしたのだ。親が離婚していても、呼ぶ親戚が少なくても、私はこれまで胸を張って生きてきた。大学だって奨学金を借りて進学したし、それを返すために今の会社に総合職で入って、何件も大型の契約を決めてそれなりに役職も上げてきた。何も引け目に感じる必要はないはずなのに。
逡巡している私に絢斗さんはタイミングを逃さず、欲しい言葉をくれる。
「奈緒さんだから。仕事終わりに疲れていても会いたいって思うのも、ここまで欲情すんのも、全部奈緒さんに惚れているからだよ」
ここまで言ってくれているのに。なのに……。
「奈緒さんが自身にかけた呪縛は、どうしたら解けるかな」
苦笑しながら小さく呟いた絢斗さんの声は、夢の世界へ誘われている私にはハッキリと届かなかった。
「……え? なんて言ったの……?」
半分ウトウトしながら問い返す私の頭を優しく撫でながら絢斗さんは囁いた。
「大したことないから。……無理させたよね。そのまま寝ちゃいな」
「う……ん……」
「おやすみ、奈緒さん」
絢斗さんの温かくて大きな掌の感触を味わいながら私は、そっと意識を手放したのだった。
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