私は震えているのに…。

蛍月。

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消えない…

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テーマ「矛盾」

  
    グシャッ・・・
 
 生々しく嫌な音が響いた、部屋の中には呆然と佇む一人の少女。
 
 少女は、、、震えていた。
 
 しかし、その表情は恐怖や後悔などではなく、どこか恍惚とした、熱に浮かされたような表情をしてをり、瞳は狂気を感じさせるようにドロリと濁っていた…。
 
 
 少女は虚ろな目で、人の形をした肉塊を見つめる…。
 その瞳には、何が見えているのか。

    死体を、、、少女の最愛の人、 否、嘗ての最愛の人に、何かうわ言のように呟きながら縋り付き、最愛の人の唇、舌を犯し尽す。
 
 誰から観ても正気とは思えない、狂気しか感じさせないような行動を取る少女。
 
 しかし、それに至る思考は極単純で、誰でも抱くような極ありふれた思いと感情だ。
 
 「愛し、愛されたい」
 
 誰がその想いと姿を否定し嘲笑うことが出来ようか…。
 愛し、愛されたいがために、離れようとする、愛しい人を殺め、泣きながらも笑みを零し、懺悔しながらも愛を語る。 
 
 少女の流す涙は天女の涙のようで、その瞳はドロリと濁り色彩を感じさせなず、口元は狂人という形容すらも尚生易しく、ゾクリと背を逆撫でされるような禍々しくも絵画の様な美しさを感じさせる笑は、少女の容姿と相まって艶を感じさせ、観る者の目を離させない。
 
 余りにも痛々しく、余りにも歪で、されど美しく、血のように禍々しいながらも美しい彼岸花を彷彿させるような光景。
 
 薄暗い部屋の中で、愛しい者を隅々まで犯し尽くす姿は、ひたすらに温もりを求め、逃さないようにしているように感じさせる。
 
 やがて、周りが黒に呑まれ始め、薄暗い部屋の光の一切が消え去り、少女が呑まれていく中、一言ポツリと零れ落ちた言葉が、静かな部屋に小さく、されど鮮明に響いた…。
 

 「消えちゃった…」



 
 
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