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ウケる女2
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京子はスマホを見て黙り込んでいる。目の前の恋人より遠くの他人か。それとも意外と近くにいる浮気相手だったりして。どっちにしろこうなると僕が呼んでも応えない。僕は店内のbgmに耳をすませた。
30分以上たったときに、京子が唐突に話し出した。
「あたしさあ、昨日まで旅行行っててさ、宿が畳の部屋だったんだけどテキトーに並べたらほぼ全員北まくらだったんだよね...笑えよ」
今ので?
「ああ...エヘヘヘヘヘ。てか誰と行ったんだよ」
僕は浮気を疑った。
「ウケる人たちと」
はぐらかしやがった。
その後京子はまたスマホをいじり始め、喫茶店を出る頃にはもう午後7時を回っていた。冬も近かったので外はもう真っ暗だった。
駅まで行く道は街から離れていたので星がよく見えた。
「僕たちのみてる星の光って何百年も前のものなんだよ」
「まじウケる、男って絶対それ言うし」
京子はスマホを見たままケラケラと笑った。正論なだけに余計に腹がたつ。
駅まであと少しと言うところで遠吠えのようなものが聞こえてきた。だがそれは動物のものではなく人の声だった。
「ウケるー」
「ウケるー」
間違いなくそう言ってる。それにどうやら一人ではないようだった。
「君もいつかこうなるよ」僕は京子に皮肉っぽく言った。
「あ、ウケる人たちだ」
まさかの知り合いだった。
「ウケるー!」京子も吠えた。
「カフェラテで酔ったのか?」
「ウケるー」京子は目を丸くしてそう吠えるだけだった。
「行こう」僕は京子の手を引っ張った。
「ウケるー」京子のじゃないやつが聞こえた。さっきより近い。
「急ごう」僕はとっさの判断で走り出した。
「ウケるー」
「ウケるー」
後ろと右側から聞こえる。僕は京子の手をしっかりと握り道路の左側の林の中に入った。
「ウケるー」前後左右どちらでもない。京子かと思って振り向いたが京子でもないようだ。
「ウケるー」足がすくんだ。下だ。地面を見つめると、土の中から手が這い出てきた。手は地面を掴み、今にも顔が突き出てきそうだった。息が詰まったが、僕はその手を思いっきり踏んで再び駆け出した。
だが遅かった。僕たちはもうすでに囲まれていた。
「くそ、ここまでか」僕は逃げるのを諦め京子を抱いた。
「愛してる」京子の耳元でそっとつぶやいた。
「ウケるー」京子が僕の耳元でつぶやいた。じっとりとしたその声が頭を真っ白にした。
京子は僕の耳に噛み付いた。僕は痛さにたじろぎ後ろに倒れこんだ。
「ウケるー」
「ウケるー」
「ウケるー」
京子がのしかかっている上からさらに4、5人の男女がのしかかった。僕は苦しくて喚いたが、視界の隙間から見えた泥んこの男がのしかかるとすぐに意識が途絶えた。
30分以上たったときに、京子が唐突に話し出した。
「あたしさあ、昨日まで旅行行っててさ、宿が畳の部屋だったんだけどテキトーに並べたらほぼ全員北まくらだったんだよね...笑えよ」
今ので?
「ああ...エヘヘヘヘヘ。てか誰と行ったんだよ」
僕は浮気を疑った。
「ウケる人たちと」
はぐらかしやがった。
その後京子はまたスマホをいじり始め、喫茶店を出る頃にはもう午後7時を回っていた。冬も近かったので外はもう真っ暗だった。
駅まで行く道は街から離れていたので星がよく見えた。
「僕たちのみてる星の光って何百年も前のものなんだよ」
「まじウケる、男って絶対それ言うし」
京子はスマホを見たままケラケラと笑った。正論なだけに余計に腹がたつ。
駅まであと少しと言うところで遠吠えのようなものが聞こえてきた。だがそれは動物のものではなく人の声だった。
「ウケるー」
「ウケるー」
間違いなくそう言ってる。それにどうやら一人ではないようだった。
「君もいつかこうなるよ」僕は京子に皮肉っぽく言った。
「あ、ウケる人たちだ」
まさかの知り合いだった。
「ウケるー!」京子も吠えた。
「カフェラテで酔ったのか?」
「ウケるー」京子は目を丸くしてそう吠えるだけだった。
「行こう」僕は京子の手を引っ張った。
「ウケるー」京子のじゃないやつが聞こえた。さっきより近い。
「急ごう」僕はとっさの判断で走り出した。
「ウケるー」
「ウケるー」
後ろと右側から聞こえる。僕は京子の手をしっかりと握り道路の左側の林の中に入った。
「ウケるー」前後左右どちらでもない。京子かと思って振り向いたが京子でもないようだ。
「ウケるー」足がすくんだ。下だ。地面を見つめると、土の中から手が這い出てきた。手は地面を掴み、今にも顔が突き出てきそうだった。息が詰まったが、僕はその手を思いっきり踏んで再び駆け出した。
だが遅かった。僕たちはもうすでに囲まれていた。
「くそ、ここまでか」僕は逃げるのを諦め京子を抱いた。
「愛してる」京子の耳元でそっとつぶやいた。
「ウケるー」京子が僕の耳元でつぶやいた。じっとりとしたその声が頭を真っ白にした。
京子は僕の耳に噛み付いた。僕は痛さにたじろぎ後ろに倒れこんだ。
「ウケるー」
「ウケるー」
「ウケるー」
京子がのしかかっている上からさらに4、5人の男女がのしかかった。僕は苦しくて喚いたが、視界の隙間から見えた泥んこの男がのしかかるとすぐに意識が途絶えた。
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