愛想笑いと舌打ち

明宏

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不思議ちゃんの理想3

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 今日は朝から落ち着かなかった。ふだんは聞こえない自分の息の音がよく聞こえた、昼休みにレイコを見つけるとほっとした。
「結局茶色か。なんで茶色でそんなにそわそわしてたわけ?」
「ごめん」
「染めて弱くなったわね」
「…ごめん」
「まあ、茶色じゃそんな感じよね。ちなみに夢で見た妖精は青髪ボウズだったわ。まじめにしたいのかヤンチャにしたいのかよくわからないわね」レイコは肩をすくめた。
「いや一番破天荒だよ」
「じゃあまずボウズにするわね」レイコは小さめのバッグからバリカンを取り出した。驚くほどぴったり入っていた。
「そういうバッグってバリカン入れるためにあったんだね」
彼女は何も言わずバリカンのスイッチをつけた。ヴィーンっとうなる音が聞こえる。
「ちょっと待ってよ、染めるの4000円かかったんだけど」
「馴染んでないじゃない」
「青髪ボウズの方が馴染めないよ」
「青髪ボウズに馴染める人なんていないわ」
  僕は納得はできないのだが何を言えばいいかわからなかった。
「あっ、待って。先こっちの説明するわ」
 待ってはこっちから言おうとしていたためほっとした。
「あのね、こんなこともあろうかと魔法の染髪料を用意したわ」
「出たよ、占い師の怪しい高額商品」
「20円よ」
「安い!」
「しかも手作りよ」
「えっ、どうやって作ったの?」
「ざっくり言うと、空の色を抽出したの」レイコは夢見がちな声で言った。
「あっそう。本当は?」
「青い昆虫の羽を砕いて水で溶かしたの」
「えっ、まじ?」僕の顔は血の気が引いておそらく真っ青な顔になった。
「あんたのその顔も砕いて混ぜればいいわ」
 「そうなると僕は頭のない髪を染めることになる。できた髪は首にふりかけるのかい」
「何を言ってるの?」
「のってあげたのに…でその虫はいつ集めたの?」
「前から。お父さんがいつか役に立つから集めておきなさいって言った。最初は半信半疑だったけど」
「無信全疑でも親不孝にはならない」
「じゃあこれ今染めちゃいましょうか」
「えっ、嫌だよ」
「青い虫の羽を自発的に髪にすりこむ人はいないわ」
「強制的にすりこむといじめだ!」
「ただのおせっかいよ」
「似たようなもんさ」
「わかったわ、自分で決めてちょうだい」レイコはバリカンと染髪料を机に置いた。
  僕は帰宅するとバリカンで髪を剃って青く染めた。どうなっても今より悪くなることはない。


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