【完】学園トップに反抗したら様子がおかしくなった(かねもち学園)

いとこんドリア

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七章/合同体育祭

49.それぞれの競技

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 ぶっちぎりの一位でゴールできた甲斐は、万里江に礼を言って待機場で整列。
 後続の生徒達はお題に苦戦しているようで、まだ遠く向こうの方にいる。どんなお題を引き当てたんだか。

 その後、宮本は田所と同じ組で対戦した。生徒会というだけで強敵なのだろうと思い込んでいたが、むしろその逆であった。

 生徒会とはいえ、所詮は人気投票顔面偏差値で上位になっただけの男。下半身で生きている彼は、勉強面アタマは言わずもがな、運動面でも無能さを露呈して宮本にあっさり抜かれていた。
 その様子を見た無才の田所ファンは発狂した。

「やい!宮本!」

 発狂していた田所の親衛隊の一人が、他数人の生徒達とやってきた。甲斐は咄嗟に宮本ばうようにして前に出る。

「なんか用かよ」
「ふん!別に用なんてないけど、まさかそこの宮本が一位でゴールするなんて生意気なんだけど!」
「そうそう、冴えない宮本のくせに一位とるなんて何様ー?」
「お前らネチネチとうるせーな。一位とったのは実力勝負だ。お前らの会計は最下位なんだっけ。勝負の世界は残酷だからご愁傷さん」
「「うるさい!!」」

 キャンキャン咆える無才のワンコ共。どこの学校も親衛隊はうるさいものだ。

「つーか正々堂々と勝負して一位とったのに思い通りにならなくて逆ギレかよ。そこらの子供の方がまだ潔く負けを認めるぞ」
「うるさいうるさいっ!宮本の仲間か知らないけど、本当に生意気な口をきくなお前!スパイ行為していたくせによくもいけしゃあしゃあと!」
「そうだそうだ!卑怯者のスパイ野郎ー!てめえも宮本も田所様に謝れ!」

 口々に甲斐と宮本を罵る言葉があがる。
 思わず宮本が何かを言おうとしたが、甲斐が腕を伸ばして顔を横に振る。こういうのに慣れている甲斐はそんな罵声だけで怯まないのである。

「寄ってたかって無防備な生徒に制裁だなんだと抜かして好き放題するお前らと、スパイ行為をしたような俺。どっちに非があるかは明白だよな。まあ、とにかくよ……筋が通らない言い訳すんじゃねえよ、三下が」

 甲斐が圧を込めて視線を鋭くすると、取り巻き共は一瞬で背筋がひりついた。たかが平凡と侮っていた者の豹変ぶりに慄く。

「っ、へ、平凡のくせn「自分達に都合が悪けりゃあ問答無用で顔真っ赤にして喚くんだなお前らは。駄々をこねるクソガキ同然じゃねぇか」
「お前っ」と、言い返そうとしたが、甲斐の謎の威圧感に何も言えなくなる。
「もっと人の見る目を養った方がいいぞお前ら。容姿以外で」
「あ?何言ってんだよ」
「自分たちの生徒会が崇拝するほどの者なのかって事をだ」

 それから、他の競争者が続々と続き、健一も借り物競争で奮闘していた。

「甲斐っ、やべえよ!どうしようこのお題!」

 お題を見た健一が一目散に困った様子でこちらにやってきた。

「どうした」

 健一がお題を甲斐やEクラス達に見せると、

『無才の会長と仲良く手を繋いでゴール』と、書かれてあった。
「あらー……辛いお題ね」
「最悪なくじ運だな」
「哀れ、健一」

 半笑いの五反田と吉村となっちはどこか愉しげである。

「健一、がんばれ」と、棒読みの甲斐。
「そ、そげな。俺の手繋ぎランデブーは万里ちゃん先生だけと決めていたのにっ!みんな他人事みたいに言いやがってぇーうわーーん」

 無才の生徒会が考えたぶん殴りたくなるお題内容だが、自分じゃなくてよかったと心底ホッとする薄情なクラスメート達であった。

「おい、俺のお題を当てたのはお前か」
「げ、バ会長!」

 丁度いいタイミングで無才の会長がやってきた。

「チッ……そのお題は天弥か架谷甲斐に当たってほしかったんだがな。こんな平凡に当てられるとは残念だ」
「はは、俺や日下部じゃなくて残念だったな、バ会長さんよ。あーまじ当たらなくて良かったぁ」
「俺は最悪なんですけど、親びん……」

 それから間もなく、健一と会長は嫌々ながら手を繋ぎ合ってゴールした。当然、無才陣営からひっこめやらくたばれ等の健一に対する罵声がひどかった。

 おまけにそれを見ていたKY日下部もやってきて「恋人を略奪するなんてひどいんだぞ健一!」と、誤解を招くような発言もされ、終始カオスな雰囲気で悪い意味で盛り上がった。

 百合ノ宮生徒会からの『静かにしてください』というアナウンスでやっと収まったが、健一はほとほと疲れた顔をして甲斐達に「ドンマイ」と励まされたのであった。
 
 それから綱引き、二人三脚、棒倒し、玉転がしという競技が順に行われていく。球技大会の時に見せたEクラスの運動神経のよさがここでも発揮され、次々一位やら勝利を獲得していく。

 貧乏人だがされど貧乏人。勉強はできないがバカ力だけは発揮する脳筋Eクラスに、開星の在校生からも今回だけは貧乏クラスを褒めてやろうと称賛の声がチラホラきかれた。

「あ、見てみて!妹の未来ちゃんも競技がんばってるね」

 一年の女子ながらも上級生らに交じって障害物競争を走っている未来。断トツで一位である。そのすぐ近くで友里香もパン食い競争で一位を獲得していた。妹達は敵チームの学校ながらさすがである。

「MVPとってお兄ちゃんにハグして褒めてもらうんだからあ!」
「甲斐様のため甲斐様のため甲斐様のため」

 ただ、勝利したい理由が不純であった。

『つづいて、午前中最後の競技、騎馬戦に出場する生徒は入場門前に集まってください』

 男子の花形競技という事で出場する甲斐となっちとオタ熊達は入場門前に向かった。

「相手の親玉の鉢巻をとったら勝ちなんだよな」
「たしか向こうの親玉は書記の篠田っていう無愛想な生徒会役員だったと思う」
「まあ、とにかくがんばんぞ」

 騎馬戦は男子だけ上半身裸にならなければならない風習があり、肉体に自信のない男子生徒は一様に恥ずかしがった。特に無才の貧弱共は恥ずかしいという理由で棄権する者もいた。
 そんな甲斐は三人の騎馬役に乗っかり、鉢巻を巻いた。
 そして、躊躇いもなくTシャツを脱ぎ捨てると、

「甲斐ったらいい脱ぎっぷり!」
「悠里が見惚れてるよ」
「えっ」

 由希と篠宮に冷やかされた隣には悠里が顔を真っ赤にさせている。そんな甲斐も急に気恥ずかしくなった。

「甲斐の腹筋割れてんじゃん。普段は制服着ててわかんなかったけど脱ぐと筋肉もすごいし」
「ま、毎日寮にあるジムや鍛錬で鍛えてるからこれくらいは当然だろ」
「甲斐くん……たくましい……ぽっ」
「あ、あざーす……」

 女子が見ている前というのはやはり男というもの異常にやる気が出るもので、うおおおなどという開星の野太い声が辺りに響き渡った。燃えているようで何より。
 それから間もなく競技開始のピストルが鳴り響くと、一斉に開星陣営と無才陣営とが激突しあった。
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