【完】学園トップに反抗したら様子がおかしくなった(かねもち学園)

いとこんドリア

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十六章/トラウマ

134.悠里の婚約者

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「城山って奴の親はホワイトコーポレーションていう会社の上層部らしいわ。ホワイトコーポレーションって最近大きくなってきた新興企業らしくて、これから取引するならうってつけの相手らしい。つまり、理由は自分達の都合での婚約って事になる。破棄するのは難しいな」
「最悪な政略的婚約だね。娘を犠牲にしてまで会社での自分達の立場を優先か」と、篠宮。
「……ひどい。自分の娘を道具にするなんて。いくら金持ち同士によくある政略結婚でも、そんなひどい相手となんて拷問だよ。神山さんにだって選ぶ権利はあるのに」

 あんまりだと宮本。みんなも同じ気持ちだった。

「悠里も両親には散々参ってたみたいだった。仲良くする相手を勝手に決めたり、人を家柄や学歴で判断して見下したり、付き合いづらい親御さんだとは思っていたけど、ここまでだなんてね。さすがの悠里も両親に愛想が尽きてたみたい。家出したいって前から冗談のように言ってたけど、たぶん本音だった」
 
 あんなまともな悠里に身分学歴主義の両親。その影響をよく受けなかったものだとつくづく思う。
 今まで反面教師にして過ごしてきたのだろうが、それでもあの両親の近くで育っていれば少なからずグレたくはなる。娘コンこじらせすぎだなと小学校時代はなんとなく思っていたが、今思うとあれは相当痛々しい。

「悠里の両親て、そういう所は昔と変わってないんだな」
「その言い方じゃ甲斐も会った事あるんだね」と、由希。
「まあな。あの夫婦にはいろいろと言われたよ。特に父親にお前のような変態が友達だなんて娘が穢れるとか、同じクラスで娘が可哀想だとか、お前といると娘が犯されるとまで言われたな。言われ慣れたけど」
「うわーそれはひどい。私もいろいろ言われたけど、甲斐に比べたら全然マシなレベルだよ。貧乏人だとか、悠里が仲良くしてやっているから光栄に思えとか、全体的に見下してる感じで言われたわ。おまけに悠里を溺愛している割には愛情を与えるような溺愛とはほど遠くて、将来の良い嫁ぎ先を見つけるための道具として可愛がっている感じだったわね。あの様子じゃ、両親からは正常に愛されてはいなかったんじゃないかな」
「そう言われるとそんな感じはする……」

 この瞬間に悠里を救う会の発足である。城山との婚約も勿論防ぎたいイベントだが、あの両親もなんとかしないといけない曲者だ。小学校時代からあの両親のおかしさは折り紙つきだが、悠里の本心を聞くためにそれとなく探りを入れてみて判断する。

 あの城山がどんな風になっているかは知らないが、心を入れ換えて真人間になっているなら彼女の意思を尊重する予定だ。が、あの性根が腐りきったクズが変わっているとも思えないので可能性は低いだろう。

 とりあえず、悠里の事で何か訊いていないかを探るため職員室へ向かった。職員室前には丁度悠里と万里江が話しているのを見かける。それに悠里の両親もいた。これから応接室へ向かう途中だろうか。

「悠里、先生」

 甲斐の声に二人が同時に振り返る。二人とも驚いた様子だ。まあ、そりゃそうだよな。今は授業中だもの。

「貴方達授業はどうしたの!?」

 さぼってましたなんて今さらだ。

「つまんねーからさぼった」

 あっさり開き直る甲斐に万里江が怒りを通り越して呆れ果てている。いつもの事だ。

「さぼった事を堂々と開き直らないでくださいっ」

 今にも万里江の長いお説教が始まりそうだがそれどころではない。

「そんな事より先生と悠里はここで何してんだよ」
「そんな事とはなんですか!大事な個人のお話です。内容をお話する事はできません。架谷くん達は早く教室に戻って「架谷だと!?」

 甲斐の名前を聞いた悠里の父親が反応を示し、甲斐の姿をじっと見てきた。そして次第にわなわな震えだして睨み付けてきた。

「やはり貴様だったのか架谷甲斐っ!うあああなんて事だっ!」

 悠里の父親は一人芝居のように頭を抱えて唸り始めた。いろいろと言動が忙しいおっさんである。

「お久しぶりです、悠里さんのご両親方」

 それに反して甲斐はスマイルの仮面を張り付けて対応する。まずは大人の対応から始めようか。

「何がお久しぶりだ!貴様に気安く話しかけられる筋合いはない糞小僧め!小学校時代に娘のパンツを盗んだ変態野郎のくせにっ!まさか娘と同じ学校に通っていたなんて何かの悪夢を見ているようだ」
「悪夢って大袈裟ですね。あとパンツを盗んだのは城山ですよ。俺は無実です。いつまでも誤解してないでくださいよ」
「何が誤解だ!どうせ貴様が城山様を陥れて犯人にさせたんだろう!娘を小学校の時から付け狙い、あわよくば娘の処女を狙っていた変態のくせに!貴様のような貧乏人がこの学校に通っているのもどうせ裏口入学に決まっている!」
「そうよそうよ!私たちの娘を追って開星にまで裏口入学してくるなんて、変態の執念もゴキブリ並みで怒りを通り越して呆れますわ」

 鼻息荒く決めつける神山父とそれに同調する神山母。ヒステリーに喚き散らすところも変わっていない。
 そもそも金もコネもない貧乏一族なのにどうやって裏口入学するんだよって話だ。金に不自由していないお宅らじゃあるまいし裏口入学なんぞするわけがない。

「旦那様、奥様、こんな場所で特定の生徒を貶すのはさすがによろしくありません。どうか穏便n「甘いですな」と、神山父。
「先生さん、こんな貧乏変態男などクズでしかないから庇うだけ無意味。私の愛する娘を付け狙うような生徒だ。早くなんらかの形で退学させた方がいい。何か起こってからでは困るんですよ!」

 神山夫妻の勢いは止まらない。完全に甲斐を性犯罪者扱いだ。
 あまりの言い草に由希と本木がそろそろ切れそうになっていて、篠宮と健一と宮本も睨んだ表情。
 俺の事なのにみんな怒ってくれて嬉しいもんだよ。でも俺は面倒くせえなと耳を小指でホジホジしながら粉をふーっとしている。この両親相手にまともに付き合っていたらメンタルがやられるのでね。
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