【完】学園トップに反抗したら様子がおかしくなった(かねもち学園)

いとこんドリア

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十九章/全面対決

169.攻略開始

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 一階の裏手からうまく侵入できたが、どこの部屋も厳重に閉ざされている。奥へ進むには上位幹部クラスのカードキー社員証が必要らしい。当然ながら他社員証では侵入がバレてしまうので、手っ取り早く幹部からカードキーを強奪しようという話になった。通りすがりの上位幹部を見つけて社員証をくれと脅すと、幹部や他の部下達は従順に社員証を差し出してきて慌てて釈明してきた。

 本当は社長のやり方には反発心を抱いていたが、いろんな弱みを握られて仕方なく言う通りにしていただけとの事。信念をもって入社したはずが上のやり方に染まり切り、どんどん腐敗が進んでいる事がわかっていながらも見て見ぬふり。臭いものに蓋をし続けた。
 しかし、最近は無茶ばかりを言うようになった社長と今の矢崎財閥にはほとほと愛想が尽きていたと話す。この仕事が終われば集団で辞表を叩き出そうと考えていたとの事。
 とりあえずは辞表は待てと促し、社長や直の詳しい居場所を聞いた。

「やはりあのバカ社長は最上階付近か」
「直様も居住スペースの部屋に今も軟禁させられているようです」
「じゃあ急いで階段昇るか」

 そうこうしているうちに正之派の社員敵社員が大挙して押し寄せてきた。

「ここは私達が食い止めます。甲斐さん達は上を目指して下さい」

 久瀬、南、四天王の三人が上に行くように促したので、任せたと甲斐達一家、友里香、相沢は階段を昇り始めた。

「うへー先は長そう」と、未来は顔を引きつる。
「上を見るな。体力と精神を逆に削られるから」

 長い長い階段が限りなく上へ続いている。エレベーターは当然ながら停止されてしまって動かない。どれだけ体力を温存しながら進めるかが勝負。

「行くぞ」


 甲斐達が本格的にビルに乗り込み始めた頃、直はベットに寝転んで悄然と天井を仰いでいた。昨日まではまだ話す元気があったものの、今日は朝から落ち込みが激しくてずっと食事も手を付けずに横になっていた。
 これからを思うと何もする気が起きず、動くことも億劫で、全てにおいて無気力になっていた。中学の頃、昭弘とあずみと引き離された後もしばらくはこんな状態だったが、今はそれ以上に何もしたくない。出された抗うつ薬も飲む気すら湧かない。
 
「直様、随分と落ち込んでいるようですね。持病の抑うつが悪化したと聞いてお可哀想に。わたくしが元気にしてさしあげますわ」

 カレンがなぜか露出が多い下着姿で現れた。

「……なんのようだ……」

 重苦しい声で直はやっと反応した。厳重にカギを掛けていたはずが勝手に開けられたらしい。正之や他の幹部の根回しだろう。

「直様が動く気力すらないようだと聞きまして、元気にしてあげなさいと母が」

 相変わらず母の言う通りのカレンに呆れる。不愉快で別室に籠城しようと動くと、

「――ッ!?」

 全く体が動かない。重くて痺れた感じだ。
 自分が無気力だから力が入らないわけではなく、意図的に体が動かなくなっている。
 
「オレが動かない間に何かしやがったな」

 顔と首だけがかろうじて動くようだ。

「直様がいけないんですよ。私に目もくれないから……だから、母と相談して寝ているあなたに薬を打ち込んだのです」

 カレンが薄笑いを浮かべて直の上に覆いかぶさる。下着を脱ぎ捨てて、ほとんど全裸のような格好になった。その目は獲物を前にした蛇のようで舌なめずりをする。

「正之社長にもお許しをいただいたのです。を作ってもよいと」
「っ、貴様……ッ!」

 それを聞いて奴らに謀られたと悟る。
 体を動かそうにも痺れて動けない。指一本すら動かすのもやっとだ。

「だから、いっぱい愛し合いましょう。私たちは夫婦になるのですから。直様の高貴な子種を私の胎内にくださいませ。私が愛しい愛の結晶を孕んでみせます」

 *

「うらあぁあ!!」

 次々襲ってくる雑魚社員を拳で縦横無尽に蹴散らしていく甲斐。あらゆる飛び道具を持参してやってくる社員達はほとんどが正之社長の刺客達。架谷一族とその侵入者を殺せと命令されており、忠実な人形のように襲いかかってくる。
 そんな中で一部に誠一郎良識派の社員も混ざっており、彼らは戦意喪失して降伏。甲斐達に矢崎財閥の未来を託して道を開けてくれた。

「甲斐くん、少し前に出すぎです。後ろへ下がって」

 相沢も麻酔銃やナイフなどの暗殺術などで取りこぼしを片付ける。
 一番前を昇る二人だけでほとんど片付けてしまい、後ろにいる未来達は楽なものだった。

「さすがお兄ちゃんと相沢せんせ。私らが必要ない程敵倒しまくってるし」
「好きな人が囚われの姫みたいになってんだから気合入るのは当然でしょ」
「ウギギギギ。現実見させるのやめてよねお母さんのバカ。せっかくその事を忘れてたのにっ」
「あら、まだ失恋を引きずってるのアンタ」
「私は一生お兄ちゃん一筋なんだからっ!」
「ははは……禁断の兄妹愛にならなくて僕はホっとしているよ」

 苦笑している太郎の横で、ついでに友里香も肩を落としていた。まさかの義兄に好きな人を横取りされるだなんて未だに現実逃避をしている様子だ。

「甲斐様が幸せならいいんです。それにお兄様も今まで実のご両親と引き離されて辛い目に遭った分、幸せになってほしいのですわ。だからこそ、私の分まで幸せになってもらわないと許しませんの!」

 友里香がくるくると槍を振り回し、敵を薙ぎ払った。

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