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学園トップスピンオフ
激写!矢崎直の素顔
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※十九章後
「いただきます」
二人仲良く朝食を食べながらテレビをつけると、ワイドショーが四天王の激レア特集とやらを流していた。
なんとなく眺めていると、仕事に出かけるスーツ姿の四天王、開星学園で四人仲良くしゃべっている様子、中学時代の四天王の制服姿、勉強している姿など様々な写真が紹介されている。
果てはどこで激写したのやら、それぞれが半裸でくつろいでいるスナップ写真まであった。特に矢崎直の写真が異様に色気があり、汗ばんだ肌と濡れた髪を前に、昨晩の事を思い出して恥ずかしくなってしまった。
「四天王の朝の特集みた~?」
「見た見た!マジあたし鼻血出しちゃったわ~。中学時代の四天王の制服姿とか超貴重だもんね。ショタな四人可愛すぎ」
「特に直様の寝顔特集のところ……超えっろ!!超エロカッコよすぎて興奮した!」
「わかる~!何あの汗ばんだ姿っ!乳首見えそうだったし。もうマジ抱かれたいっ!」
そんな開星の四天王信者達の声を聞きながら登校。そういえば最近の雑誌かなんかの抱かれたい男ランキングとやらで矢崎直が一位とってたっけ。まあ、どうでもいいけど。
黒崎直の方がダラシないけど優しいし~とかちょっと心の中で対抗してやる。同一人物だけど。
「直様って普段家で何してるのかな~」
「この前のインタビューでは家族と過ごしてるって言ってた。妹の友里香様と悠里ちゃんと過ごしているのかしら」
「直様が家族と仲良くしてるのを想像するとなんか微笑ましいよねー。普段の姿が想像できないからさ」
「あたし、直様が所帯持ったら卒倒しそう。マジ泣くわ」
「その前に彼女デキたり結婚したりとかなんてしたら私も泣いてしばらく学校休んじゃいそ」
普段の矢崎直か。家で俺が作ったパンケーキに興奮して目をキラキラさせている子供ですがなにか。
寝相は悪いし、寝癖は爆発してるし、半ケツ出して尻はかくし、脱いだ服や靴下は片付けないし、家事全般まるでできないだらしない野郎だぞ。
おまけに昨日は黒崎夫妻と妹達とだせぇジャージ姿で人生ゲームで遊んで、終盤は約束手形だらけになって大貧民になって嘆いてましたよ。頭にキノコを生やしているほど落ち込んでな。
ゲームごときでバカかと思ったぜ。そんな事を言ったら怒っちまってちょっと軽い喧嘩をしちゃった。しまいには拗ねていじけちまってご機嫌とるのに苦労した。
こんな情けない矢崎直でもお前らはキャーキャー言うのだろうかと問いたいよ、まったく。
*
「直様、肩の力を抜いてインタビューに答えてくださいね」
「面倒くせえ」
バカ社長がいなくなってから、しばらくオレと友里香が代理で社長業を共同でする事になって早一か月。そんな今日は矢崎製菓の新商品のPRイベントだ。
それでなぜか四天王の矢崎直としてのインタビュー記事も載せたいとの事で、仕方なく引き受けたらこの有様だ。記者共がアホみたいに殺到している。
たぶん、先日のクソワイドショーの特集の影響だろう。高視聴率だったかなんか知らんが魚に餌を与え過ぎたようだ。
「今回はインタビューを受けてくださりありがとうございます。四天王の矢崎直の普段の様子をぜひ知りたい!というファンのご要望を叶えたいと思い、この緊急インタビューを企画いたしました。よろしくお願いします」
「よろしく」
とりあえず矢崎直でいる時の仮面を貼り付ける。
「では一問目。好きな食べ物を教えてください」
「そりゃキュウリの酢のm「直様!」
背後にいる久瀬が腕でバッテンマークを作っている。あ?甲斐の作る酢の物なんて言っちゃだめだ?矢崎直のキャラで答えろ?めんどくせーな。
「好きな食べ物は……す、ステーキ……だ」
「実にオレサマな直様らしい好きな食べ物ですね。ファンは興奮している事でしょう」
ナンダソレ。オレらしいってなんだよオレらしいって。オレが好きなのは甲斐が作る和食全般だ。最近はキュウリの酢の物と煮しめブーム。渋くて地味な食べ物言っちゃダメなのかクソが。
「では二問目。寝る時は何を着て寝ていますか?」
「んなもんジャージかクソ坊主ダサTシャ「直様!」
うるせーな久瀬は。寝る時の服装くらい何答えてもいいだろうがよ。
あ?矢崎直としてのイメージが大事だ?
「オレ様は全裸で寝てる。熱いからな」
ええい。久瀬の注文通り、矢崎直のキャラで全部答えてやるわ。これで満足だろ。女共は好きに想像しやがれ!
「は、裸ですか!?」
「ああ、全裸。そんで朝シャンして、ゆったり白いガウン着てコーヒー飲みながら海外の新聞を読むのが日課だな。朝食は優雅にクロワッサンと目玉焼きとサラダ食べて、70年代の洋楽を聴きながら出勤前までのんびりしている」
「オシャレー!さすが四天王の矢崎直様らしい朝の過ごし方!それに全裸だなんて。ファンは鼻血を垂れ流して拝んでいる事でしょう」
「ふ……」
鼻で笑うオレ。本当は悠里のダイビングアタックで起こされて、眠気と戦いながら朝飯を食った記憶しかない。朝飯はご飯と味噌汁と昨日の残りの大根の煮物と浅漬け。ごはんで●よを白飯にかけて食った。納豆が食いたかったが友里香に食われた。
朝食後はおじいちゃんのウンコが長くてトイレが出来なくて困って、おまけにすっげえ寝癖を直すのに時間がかかって、脱いだダサTシャツを散らかしたままにしたら悠里にケツを蹴られて、結局時間がなくて寝癖は久瀬に直されたのが今日の朝の出来事。トイレはコンビニでした。膀胱破裂するかと思った。
あーまじ嘘ばっかのインタビューに盛り上がりなくてシラける。矢崎直が素の自分と乖離しているのがよくわかる。
「では三問目。休みの日は家で何をしていますか?」
「同人グッズとエロゲ美少女フィギュアを買いにアキバに行くかスマブラかモンハンして過ごす」
「…………へ?」
「……というのは冗談だ。詩集や文学書を読んだり、クラシックを聴きながら森林浴だ。あとはスポーツを嗜んだり……」
「んま、お洒落な休日の過ごし方ですね」
お洒落かよこれが。あほらし。ステレオタイプのおしゃれイメージを勝手に信じて間抜けな奴らめ。
現実は甲斐と一緒に薄い本を買いにコミケに行ったり、Eクラスのキモオタ共と吉●家の牛丼屋で美少女アニメやエロゲ談義をしたりだな。たまに昭弘とあずみとでコンセプトカフェ巡りをしたり……。
前までサブカルチャーにそこまで興味なかったが、甲斐と一緒にいる事が増えたおかげで二次元のよさを知り、すっかりオレもキモオタになりかけてきている。庶民の娯楽のよさをこれでもかと知ったよ。元バカ社長がいた頃じゃ考えられないくらいオレも庶民生活になじんできたものだ。
ただ、ヌキアニメは好きではないがな。ヌキアニメを見るくらいならすぐ近くにいる甲斐を抱いた方が話は早い。っつーか甲斐しか興奮しねえ。二次元でシコるよりやっぱ現実のセックスだ。
甲斐マジ愛してる。帰ったら甲斐の全身舐めまわしたい。抜かずに三発くらいヤッたろ……デュフフフ。
「四問目。妹と仲がいいと有名ですが、妹さんとはどこかへ行ったりはするのですか?」
「たまに……ショッピングに付き合わされるな」
そんでどうせ甲斐の写真見てオナってんだろ。
「五問目。好きな女性のタイプは?」
「男らしくて性格イケメンでテストでいつも0点とるようなヤツ……というのは嘘で、好きになったヤツがオレ様のタイプだ」
「なるほど。好きなタイプというより、好きになった人がタイプですか。それは世の女性達誰にでも可能性はあるという事ですね?」
「まあそういう事にしといてくれや」
好きな女のタイプなんてそんなもん存在しねーよ。甲斐という愛しい妻がいるのにそれ以外なんて邪魔でしかない。愚問である。
「六問目。女性に尽くされたいですか?尽くしたいですか?」
「いつもは尽くされている方だが、好きになったら尽くしたい」
甲斐には尽くしまくりたい。そんでもっともっと好きになってほしい。オレなしじゃ生きられないほどに。
「七問目。自分の性格をどう思いますか?」
「オレ様はオレ様だろ。よくドsだとは言われる。それが答えだろ」
本当は演じてるだけ。俺様なんて好きじゃないし。
「八問目。少しエロ系の質問になりますが、欲求不満な時はどうしていますか?」
「そりゃヤルの一言だろ」
「そ、それはそういう恋人がいらっしゃるという事で!?」
「エア恋人がいる。妄想の」
家に帰れば本物の恋人がいるのでお口にチャック。
「え、エアですか。大スクープだと思ったのに。ですが、全国の女性ファン達はホッとしているのではないでしょうか」
オレは早く帰って黒崎直に戻りたいよ。で、甲斐を愛したい。
「九問目。好きな女性の部位は?」
「………尻、だ」
「形のいい安産型とかですかね」
「そうともいう」
甲斐をバックで犯したいからなんとなく尻が思い浮かんだ。というか男同士でヤルんだから尻が好きなのは当たり前だ。
「十問目。矢崎直は四天王で一番色気があると言われていますが、裸など肌を出すことに躊躇いがないというのは本当でしょうか?」
「ないな。裸に恥ずかしさを感じない」
これはよく突っ込まれる。甲斐の寮に泊まった時、風呂上がりに全裸でリビングを歩いたら甲斐に怒られて、実家では慎ましくするように徹している。でもついオープンになっちまうんだよな。だから今日着ている服も鎖骨とか丸出しのファッションだ。無理やりスタイリストに着せられたやつ。
「裸に恥ずかしさを感じないという所が直様らしいですね。だからそのような色気を身に着ける事ができた所以でしょうか。いやはや直様の全裸姿とかマジで鼻血ものですよ~」
そう言いながらこのインタビュアーから鼻血が本当に滴ってやがる。痴女め。
ま、オレの全裸を見れるのは甲斐だけ。一生妄想の世界でオレの高貴な全裸を想像してろ。
「では最後にファンの皆様に何か一言」
「とりあえずオレ様は誰のモノでもない。世界中の女共が望むなら心の中でお前らの恋人でいてやる」
と、クサくてキザな台詞を自棄で吐いてみたが、実際言ってみると寒気がして吐きそうになるものだ。
オレ、まじきっも。矢崎直きっも。いくらキャラ作っているとはいえやりすぎた。早く黒崎直に戻りたい。
「きゃあ、直様の恋人になりた~い!……と、失礼。四天王ファンとしてつい反応してしまいました。いやはや直様の素顔を少し知れてファン達も喜ぶ事でしょう。このたびはインタビューありがとうございましたー!」
数週間後、そのインタビューが掲載された雑誌は歴代最高売り上げを記録した。
完
「いただきます」
二人仲良く朝食を食べながらテレビをつけると、ワイドショーが四天王の激レア特集とやらを流していた。
なんとなく眺めていると、仕事に出かけるスーツ姿の四天王、開星学園で四人仲良くしゃべっている様子、中学時代の四天王の制服姿、勉強している姿など様々な写真が紹介されている。
果てはどこで激写したのやら、それぞれが半裸でくつろいでいるスナップ写真まであった。特に矢崎直の写真が異様に色気があり、汗ばんだ肌と濡れた髪を前に、昨晩の事を思い出して恥ずかしくなってしまった。
「四天王の朝の特集みた~?」
「見た見た!マジあたし鼻血出しちゃったわ~。中学時代の四天王の制服姿とか超貴重だもんね。ショタな四人可愛すぎ」
「特に直様の寝顔特集のところ……超えっろ!!超エロカッコよすぎて興奮した!」
「わかる~!何あの汗ばんだ姿っ!乳首見えそうだったし。もうマジ抱かれたいっ!」
そんな開星の四天王信者達の声を聞きながら登校。そういえば最近の雑誌かなんかの抱かれたい男ランキングとやらで矢崎直が一位とってたっけ。まあ、どうでもいいけど。
黒崎直の方がダラシないけど優しいし~とかちょっと心の中で対抗してやる。同一人物だけど。
「直様って普段家で何してるのかな~」
「この前のインタビューでは家族と過ごしてるって言ってた。妹の友里香様と悠里ちゃんと過ごしているのかしら」
「直様が家族と仲良くしてるのを想像するとなんか微笑ましいよねー。普段の姿が想像できないからさ」
「あたし、直様が所帯持ったら卒倒しそう。マジ泣くわ」
「その前に彼女デキたり結婚したりとかなんてしたら私も泣いてしばらく学校休んじゃいそ」
普段の矢崎直か。家で俺が作ったパンケーキに興奮して目をキラキラさせている子供ですがなにか。
寝相は悪いし、寝癖は爆発してるし、半ケツ出して尻はかくし、脱いだ服や靴下は片付けないし、家事全般まるでできないだらしない野郎だぞ。
おまけに昨日は黒崎夫妻と妹達とだせぇジャージ姿で人生ゲームで遊んで、終盤は約束手形だらけになって大貧民になって嘆いてましたよ。頭にキノコを生やしているほど落ち込んでな。
ゲームごときでバカかと思ったぜ。そんな事を言ったら怒っちまってちょっと軽い喧嘩をしちゃった。しまいには拗ねていじけちまってご機嫌とるのに苦労した。
こんな情けない矢崎直でもお前らはキャーキャー言うのだろうかと問いたいよ、まったく。
*
「直様、肩の力を抜いてインタビューに答えてくださいね」
「面倒くせえ」
バカ社長がいなくなってから、しばらくオレと友里香が代理で社長業を共同でする事になって早一か月。そんな今日は矢崎製菓の新商品のPRイベントだ。
それでなぜか四天王の矢崎直としてのインタビュー記事も載せたいとの事で、仕方なく引き受けたらこの有様だ。記者共がアホみたいに殺到している。
たぶん、先日のクソワイドショーの特集の影響だろう。高視聴率だったかなんか知らんが魚に餌を与え過ぎたようだ。
「今回はインタビューを受けてくださりありがとうございます。四天王の矢崎直の普段の様子をぜひ知りたい!というファンのご要望を叶えたいと思い、この緊急インタビューを企画いたしました。よろしくお願いします」
「よろしく」
とりあえず矢崎直でいる時の仮面を貼り付ける。
「では一問目。好きな食べ物を教えてください」
「そりゃキュウリの酢のm「直様!」
背後にいる久瀬が腕でバッテンマークを作っている。あ?甲斐の作る酢の物なんて言っちゃだめだ?矢崎直のキャラで答えろ?めんどくせーな。
「好きな食べ物は……す、ステーキ……だ」
「実にオレサマな直様らしい好きな食べ物ですね。ファンは興奮している事でしょう」
ナンダソレ。オレらしいってなんだよオレらしいって。オレが好きなのは甲斐が作る和食全般だ。最近はキュウリの酢の物と煮しめブーム。渋くて地味な食べ物言っちゃダメなのかクソが。
「では二問目。寝る時は何を着て寝ていますか?」
「んなもんジャージかクソ坊主ダサTシャ「直様!」
うるせーな久瀬は。寝る時の服装くらい何答えてもいいだろうがよ。
あ?矢崎直としてのイメージが大事だ?
「オレ様は全裸で寝てる。熱いからな」
ええい。久瀬の注文通り、矢崎直のキャラで全部答えてやるわ。これで満足だろ。女共は好きに想像しやがれ!
「は、裸ですか!?」
「ああ、全裸。そんで朝シャンして、ゆったり白いガウン着てコーヒー飲みながら海外の新聞を読むのが日課だな。朝食は優雅にクロワッサンと目玉焼きとサラダ食べて、70年代の洋楽を聴きながら出勤前までのんびりしている」
「オシャレー!さすが四天王の矢崎直様らしい朝の過ごし方!それに全裸だなんて。ファンは鼻血を垂れ流して拝んでいる事でしょう」
「ふ……」
鼻で笑うオレ。本当は悠里のダイビングアタックで起こされて、眠気と戦いながら朝飯を食った記憶しかない。朝飯はご飯と味噌汁と昨日の残りの大根の煮物と浅漬け。ごはんで●よを白飯にかけて食った。納豆が食いたかったが友里香に食われた。
朝食後はおじいちゃんのウンコが長くてトイレが出来なくて困って、おまけにすっげえ寝癖を直すのに時間がかかって、脱いだダサTシャツを散らかしたままにしたら悠里にケツを蹴られて、結局時間がなくて寝癖は久瀬に直されたのが今日の朝の出来事。トイレはコンビニでした。膀胱破裂するかと思った。
あーまじ嘘ばっかのインタビューに盛り上がりなくてシラける。矢崎直が素の自分と乖離しているのがよくわかる。
「では三問目。休みの日は家で何をしていますか?」
「同人グッズとエロゲ美少女フィギュアを買いにアキバに行くかスマブラかモンハンして過ごす」
「…………へ?」
「……というのは冗談だ。詩集や文学書を読んだり、クラシックを聴きながら森林浴だ。あとはスポーツを嗜んだり……」
「んま、お洒落な休日の過ごし方ですね」
お洒落かよこれが。あほらし。ステレオタイプのおしゃれイメージを勝手に信じて間抜けな奴らめ。
現実は甲斐と一緒に薄い本を買いにコミケに行ったり、Eクラスのキモオタ共と吉●家の牛丼屋で美少女アニメやエロゲ談義をしたりだな。たまに昭弘とあずみとでコンセプトカフェ巡りをしたり……。
前までサブカルチャーにそこまで興味なかったが、甲斐と一緒にいる事が増えたおかげで二次元のよさを知り、すっかりオレもキモオタになりかけてきている。庶民の娯楽のよさをこれでもかと知ったよ。元バカ社長がいた頃じゃ考えられないくらいオレも庶民生活になじんできたものだ。
ただ、ヌキアニメは好きではないがな。ヌキアニメを見るくらいならすぐ近くにいる甲斐を抱いた方が話は早い。っつーか甲斐しか興奮しねえ。二次元でシコるよりやっぱ現実のセックスだ。
甲斐マジ愛してる。帰ったら甲斐の全身舐めまわしたい。抜かずに三発くらいヤッたろ……デュフフフ。
「四問目。妹と仲がいいと有名ですが、妹さんとはどこかへ行ったりはするのですか?」
「たまに……ショッピングに付き合わされるな」
そんでどうせ甲斐の写真見てオナってんだろ。
「五問目。好きな女性のタイプは?」
「男らしくて性格イケメンでテストでいつも0点とるようなヤツ……というのは嘘で、好きになったヤツがオレ様のタイプだ」
「なるほど。好きなタイプというより、好きになった人がタイプですか。それは世の女性達誰にでも可能性はあるという事ですね?」
「まあそういう事にしといてくれや」
好きな女のタイプなんてそんなもん存在しねーよ。甲斐という愛しい妻がいるのにそれ以外なんて邪魔でしかない。愚問である。
「六問目。女性に尽くされたいですか?尽くしたいですか?」
「いつもは尽くされている方だが、好きになったら尽くしたい」
甲斐には尽くしまくりたい。そんでもっともっと好きになってほしい。オレなしじゃ生きられないほどに。
「七問目。自分の性格をどう思いますか?」
「オレ様はオレ様だろ。よくドsだとは言われる。それが答えだろ」
本当は演じてるだけ。俺様なんて好きじゃないし。
「八問目。少しエロ系の質問になりますが、欲求不満な時はどうしていますか?」
「そりゃヤルの一言だろ」
「そ、それはそういう恋人がいらっしゃるという事で!?」
「エア恋人がいる。妄想の」
家に帰れば本物の恋人がいるのでお口にチャック。
「え、エアですか。大スクープだと思ったのに。ですが、全国の女性ファン達はホッとしているのではないでしょうか」
オレは早く帰って黒崎直に戻りたいよ。で、甲斐を愛したい。
「九問目。好きな女性の部位は?」
「………尻、だ」
「形のいい安産型とかですかね」
「そうともいう」
甲斐をバックで犯したいからなんとなく尻が思い浮かんだ。というか男同士でヤルんだから尻が好きなのは当たり前だ。
「十問目。矢崎直は四天王で一番色気があると言われていますが、裸など肌を出すことに躊躇いがないというのは本当でしょうか?」
「ないな。裸に恥ずかしさを感じない」
これはよく突っ込まれる。甲斐の寮に泊まった時、風呂上がりに全裸でリビングを歩いたら甲斐に怒られて、実家では慎ましくするように徹している。でもついオープンになっちまうんだよな。だから今日着ている服も鎖骨とか丸出しのファッションだ。無理やりスタイリストに着せられたやつ。
「裸に恥ずかしさを感じないという所が直様らしいですね。だからそのような色気を身に着ける事ができた所以でしょうか。いやはや直様の全裸姿とかマジで鼻血ものですよ~」
そう言いながらこのインタビュアーから鼻血が本当に滴ってやがる。痴女め。
ま、オレの全裸を見れるのは甲斐だけ。一生妄想の世界でオレの高貴な全裸を想像してろ。
「では最後にファンの皆様に何か一言」
「とりあえずオレ様は誰のモノでもない。世界中の女共が望むなら心の中でお前らの恋人でいてやる」
と、クサくてキザな台詞を自棄で吐いてみたが、実際言ってみると寒気がして吐きそうになるものだ。
オレ、まじきっも。矢崎直きっも。いくらキャラ作っているとはいえやりすぎた。早く黒崎直に戻りたい。
「きゃあ、直様の恋人になりた~い!……と、失礼。四天王ファンとしてつい反応してしまいました。いやはや直様の素顔を少し知れてファン達も喜ぶ事でしょう。このたびはインタビューありがとうございましたー!」
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