ソナチネ

透子

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第一章

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「どうも。」

聞き覚えのある声に私は商品が入ったカゴから顔を上げる。

そこにいたのは、九条さんだった。

「あ、こんばんは。」

葵くんを預かったあの夜から九条さんにはまだ会っていなかった。

「この間は葵がお世話になりました。」

商品をレジに通しながら九条さんと会話を交わす。

「あ、いえ。こちらこそ、勝手に色々決めてしまってすみませんでした。」

「あれから葵の様子が少し変わりましてね。なんか明るくなったというか…。」

「この間、葵くんと会った時、私もそう思いました。元気そうで凄くホッとしました。」

商品を全てレジに通し終え、金額を告げる。九条さんは財布からお金を取り出しトレイに乗せる。お金を受け取りレジに入れ、お釣りを渡す。

「また葵に何かあったら、よろしくお願いします。」

そう言い残し、九条さんは買い物袋を下げ去って行った。

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