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第二章
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しおりを挟む「……………三上さんこそ、どうして。」
驚く三上さんを見て、俺も驚く。来るはずないと思っていた。
「もしかしたら、まだ葵くんいるんじゃないかと思って。………もしいたら、その、謝らないと、って思って。」
「謝る……?何を、ですか?」
「………さっきのこと。」
「どうして、謝るんですか………?」
「それは、その……………。」
その言葉の先が何なのか、俺は分かっている。しかし、三上さんはその言葉の先をなかなか言おうとはしない。
俺はそっと近づく。そして、三上さんの頬に手を伸ばした。
「三上さん、もし、嫌ならこの手を振り払ってください。そしたら、俺は諦めます。」
こんな方法でしか三上さんの答えを導き出せない俺は、ずるい。
三上さんは俺が伸ばした手を振り払おうとはしない。
「……………振り払わなくて、いいんですか?」
俺は、思わず迷ってしまう。もし、ここで三上さんが手を振り払わなければ本当に後戻りは出来ないのだ。
三上さんは、じっと俺を見つめて動かない。
俺は、覚悟を決めて、顔を三上さんへと近づける。
三上さんがそっと目を閉じるのが見えた。
神様、どんな罰でも受けます。だから、どうか彼女を僕にください。
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