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Ⅰ 魔法使いのお仕事
第7話 月に叢雲
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アリア・エインズワース:帝都の外れにある森で店を営んでいる魔女。21歳。
アーロン・ストライフ:魔法使いの助手兼用心棒の青年。21歳。
ソフィー:皇女の姿を模したホムンクルスだと思われる少女。18歳くらい。
フィリップ・ベルナルド:魔法使いに同行することになったおっさん。32歳。
ルーナ:アルトリウスの護衛をしている女性。20歳。
店主:行きつけのバーのナイスミドルな店主。
魔法使い一行は、グリフォン討伐の依頼をこなすべく、ルミナス湖へ向かっていた。そして、怪鳥カイザーアードラのヴァンを相棒としている鳥使いのフィリップも同行している。
アーロン 「おっさん、別に俺たちに合わせなくていいんだぜ? ご自慢のでっかい鷲に乗らねえのか?」
フィリップ 「俺だって、美女と一緒に歩きたいのよ。青年だけに独占はさせねーよ」
アーロン 「一応、親切心で言ったんだけどな」
フィリップ 「はい?」
アーロン 「…………」
アリア 「アーロン! これを見てみろ。魔力の蓄積量が多いんだ。こっちは調合の時に使うと、他の素材の魔力量を増幅させるんだ。あ、そこに生えているきのこ、毒があるけど薬の材料になるから、丁重に採取しておけ」
アーロン 「はいはい」
アリア 「あ、こっちの木に生っている実は、上質な油になるから採取よろしく」
アーロン 「へいへい」
フィリップ 「へえ……」
アーロン 「な、面倒だろ?」
フィリップ 「それは、青年が頼られてるってことじゃないの?」
アーロン 「いいや、アリアは使えるものなら親でも使う勢いだぞ?」
アリア 「アーロン! それは間違っているよ。私が小間使いにするのは、アーロンだけだからね、ふふ」
アーロン 「そりゃないぜ……」
フィリップ 「……ソフィーちゃん、青年とアリアちゃんは付き合ってるの?」
ソフィー 「え? そんなことないと思いますけど?」
フィリップ 「え、そうなの?」
ソフィー 「はい。……アーロンさん! 湖まではあとどれくらいですか?」
アーロン 「え? ああ、あともうちょっとだな」
ソフィー 「グリフォンって強いんですか?」
アーロン 「ま、苦戦するくらいには?」
ソフィー 「でもでも、アーロンさんならズババッっと倒しちゃいますよね」
アーロン 「そりゃわからないな」
アリア 「おい、なにを話している。目的地まであと少しなんだから、もたもたしてないで早く行こう」
ソフィー 「はーい」
フィリップ 「……青年が羨ましい」
◇
ルミナス湖。
アリア 「フィリップ、襲ってきたグリフォンというのは、通常のものよりも大きい個体だったと言っていたね」
フィリップ 「ああ、俺のヴァンがやられたくらいだからな。グリフォンのなかでも、上位種だと思うよ」
ソフィー 「アーロンさんたちでも苦戦するグリフォンの上位種……。大丈夫なんですか?」
アリア 「なに、心配はいらないさ。今回はボディーガードが二人もいるんだ。負けることはないだろう」
アーロン 「おいおい、そうやって油断してると、前にここに来たときみたいになるぞ」
アリア 「あ、あれは、キミの力を試しただけだよ」
アーロン 「はあ、そういうことにしといてやるよ」
フィリップ 「……!! ソフィーちゃん!」
ソフィー 「え?」
(SE 弓を射る音)
(SE 魔物が消滅する音)
ソフィー 「わわわ、ありがとうございます」
フィリップ 「気を付けなよ。街と違って、魔物除けがないんだから」
ソフィー 「はーい」
アリア 「鷹型の魔物……。今のは斥候だ。大元がくるよ」
グリフォン 「キイイイッ!」
フィリップ 「おっと、グリフォンが3体か。こりゃ骨が折れるね」
アーロン 「ま、やるしかねえだろ」
(SE 剣を抜く音)
(SE 杖が出現する音)
アリア 「アーロン、前衛は任せたよ」
アーロン 「言われなくてもッ!」
(SE 剣を振る音)
グリフォン 「ギャオンッ!」
フィリップ 「青年!」
(SE 弓を射る音)
グリフォン 「ギイイッ」
フィリップ 「しまった、アリアちゃん!」
アリア 「凍れ……」
(SE 凍りつく音)
アーロン 「はああっ!」
(SE 剣を振る音)
(SE 氷が砕ける音)
(SE 魔物が消滅する音)
アーロン 「おっさん!」
フィリップ 「おうよ!」
(SE 連続で弓を射る音)
フィリップ 「降り注げ! 光の雨!」
グリフォン 「ギャオウッ!」
グリフォン 「ギイイッ!」
(SE 魔物が消滅する音)×2
アーロン 「おっさん、すげえな。そんな芸当もできるんだな」
フィリップ 「まあ、色々あってね」
アリア 「こほん、我々の目的をお忘れかな?」
ソフィー 「あ、あそこ……。大きいのが来ます!」
アーロン 「おいおい、本当にでかいな。おっさん、あいつか?!」
フィリップ 「間違いないよ!」
アリア 「火炎弾!」
(SE 炎の弾を射出する音)
グリフォン 「……!」
ソフィー 「あの巨体で全部避けるなんて!」
フィリップ 「じゃあ、こいつでどうよ!」
(SE 弓を射る音)
(SE 爆発音)
グリフォン 「ギイイイッ……!」
(SE グリフォンが墜落する音)
アーロン 「破裂矢ってやつか。これなら!」
(SE 剣を振る音)
(SE 剣が弾かれる音)
アーロン 「なっ! 弾かれた!」
アリア 「硬化魔法だ。私に任せろ」
アーロン 「わかった」
アリア 「魔法解除」
グリフォン 「グオオッ……!」
アリア 「今だ!」
アーロン 「おう!」
(SE 剣を振る音)
グリフォン 「ギャアアッ!」
アリア 「とどめだ……」
ルーナ 「……見つけた」
アリア 「なに……っ!?」
(SE 刀を振る音)
アーロン 「アリアッ!!」
(SE 剣がぶつかる音)
フィリップ 「なになになに!?」
ルーナ 「アリア・メイザース!!」
アリア 「……ッ!」
アーロン 「相手は俺だぜ!」
フィリップ 「ちょっと、おっさんひとりでグリフォンを相手にするの!?」
アーロン 「頼んだ、おっさん!」
フィリップ 「勘弁してよ……。っと」
(SE 弓を射る音)
ルーナ 「昨日も会ったわね、アーロン・ストライフ」
アーロン 「確か、ルーナとか言ってたっけ? そんな喋り方だったか? もうちょっとお淑やかだと思ったけど?」
ルーナ 「今はプライベートだから」
アーロン 「あっそ。まあ、黒い服装も似合ってるし、いいんじゃねえの?」
ルーナ 「口説いてるの?」
アーロン 「冗談。ちょっとした挨拶だよ」
(SE 剣を振る音)
ルーナ 「……!」
アーロン 「この、ちょこまかと」
ルーナ 「そこっ!」
アリア 「氷の槍よ……」
(SE 氷の槍が射出される音)
ルーナ 「……!」
ルーナ 「アリア・メイザース……!」
アリア 「私の名前は、アリア・エインズワースだ。それと、よそ見はしない方がいい」
グリフォン 「キイイッ!!」
(SE グリフォンが前脚を振り上げる音)
ルーナ 「────斬月」
(SE 刀を振る音)
グリフォン 「ギャアアッ!」
(SE 魔物が消滅する音)
フィリップ 「急所を、一撃で……。あのお姉ちゃん、やるなあ」
ルーナ 「これで、邪魔は消えたわ。────瞬月……!」
(SE 大地を蹴る音)
アーロン 「……っ! 速い……!」
(SE 刀を振る音)
ルーナ 「二の太刀……」
(SE 刀がかする音)
アーロン 「ぐっ……! はあっ!」
(SE 剣がかする音)
ルーナ 「……っ! 少しはやるようね」
アーロン 「そっちこそ」
ルーナ 「……決めた」
アーロン 「あ?」
ルーナ 「まずは、あんたから殺る。そこの錬金術師は最後よ」
アーロン 「まあ、ごちゃごちゃ言ってねえで、第2ラウンドと行こうぜ!」
ルーナ 「ふふ、当然!」
(SE 剣がぶつかり合う音)×何度か
ソフィー 「あわわわ、ど、どうしましょう、アリアさん!」
アリア 「…………」
フィリップ 「一応目的は果たせたし、好きにやらせてあげればいいんでないの?」
ソフィー 「わー、このおっさん、私たちのこと見捨てる気ですよー!」
フィリップ 「だって、あのお姉ちゃんとやり合ったら、おっさん死んじゃうわよ!?」
ルーナ 「うるさいわね……っ!」
フィリップ 「え、ちょちょっ!」
(SE 刀を振る音)
ルーナ 「……!」
フィリップ 「あっぶないじゃないのー! 青年、ちゃんと捕まえておいてよー!」
ルーナ 「……確実に捉えたと思ったのに……」
アーロン 「ほら、よそ見すんなよっ!」
(SE 剣を振る音)
ルーナ 「それは見切ってるわ」
アーロン 「そりゃどうかな? ……っ」
(SE 剣がかする音)
ルーナ 「なっ……! く、これは、瞬月……?」
アーロン 「見よう見まねだけど、な!」
ルーナ 「まさか、斬月まで……?!」
(SE 剣がかする音)
ルーナ 「私の技を一度見ただけで再現するなんて……!」
アリア 「絶対零度の檻にて眠れ、氷の牢獄……っ!」
ルーナ 「……っ!!」
(SE 凍りつく音)
ソフィー 「! やりましたか!?」
(SE 氷が砕けていく音)
ソフィー 「……消えてる!?」
アーロン 「当たる寸前で逃げたみたいだな」
フィリップ 「やっぱり、ただものじゃないね、あのお姉ちゃん」
ソフィー 「アーロンさん、ケガ治しますね!」
アーロン 「あ、おい、大丈夫かよ。治癒魔法なんて使って」
アリア 「心配はいらないだろう。大ケガってわけじゃない。魔力の消費も少ないと思うよ」
アーロン 「なら、頼めるか?」
(SE 治癒魔法が発動する音)
アーロン 「お、さんきゅ、ソフィー」
ソフィー 「えへへぇ、アリアさん、残念でした~」
アリア 「な、なにが残念なんだ?」
フィリップ 「アリアちゃん、薬の小瓶が見えてるよ」
アリア 「む、これは……。そう、フィリップ、キミの分だよ。腰痛にも効くんだ」
フィリップ 「そうそう、この歳になると腰痛がひどくて~、っておっさんはまだそこまでじゃないよ!」
アーロン 「…………」
フィリップ 「っと、肝心の青年は、あのクールなお姉ちゃんのことを考えてるみたいよ」
アーロン 「ルーナ、か。また戦うことになるんだろうな」
(SE 剣を鞘に納める音)
ソフィー 「そういえば、やっぱりアリアさんの名前、間違えてましたよね、あの人」
アリア 「……そうだね」
ソフィー 「それに、錬金術師とも言ってましたよね? アリアさんはさんざん自分のことを魔法使いって言ってるのに、どうやったら間違うんでしょう?」
アリア 「……私は、魔法使いだよ」
ソフィー 「アリア、さん……?」
フィリップ 「……にしても、あのお姉ちゃんも美人だったよな、青年」
アーロン 「あ、ああ、そうだったな」
ソフィー 「むむ、ルーナさんが好みなんですか?」
アーロン 「いや、そんなんじゃねえけど、気にはなるよな。いろいろと」
アリア 「…………」
フィリップ 「ま、まあまあ! とりあえずグリフォンは討伐出来たんだし、街に戻らない?」
アーロン 「そうだな」
◇
バー。
(SE 店の扉の開閉音)
店主 「おや、魔法使いの一行ではありませんか」
アリア 「さっそく依頼をこなしたから、報告に来たんだけど……」
店主 「依頼……、ああ、グリフォンの討伐ですね」
アーロン 「ま、とどめを刺したのは、ルーナってやつだけどな」
ソフィー 「そういえば、マスターさんは、ルーナさんと知り合いみたいでしたよね」
店主 「それは……」
フィリップ 「知り合いってんなら、この依頼の報酬のいくらかはルーナちゃんにやってもらえないかな?」
アリア 「まあ、その方が後腐れはないだろうね」
アーロン 「ルーナは納得しなさそうだけどな」
店主 「わかりました、報酬の方は検討させていただきます」
アーロン 「それで、マスターとルーナはどういう関係なんだ?」
店主 「最近、魔物討伐を専門に受注されている方でしてね、私も助かっているんですよ」
アーロン 「なるほどな」
フィリップ 「俺は店主がルーナちゃんをけしかけたんじゃないかって思ったけどね」
店主 「いえいえ、そんなけしかけたなどと……。ただ、魔法使いの一行がグリフォン討伐に向かったとお伝えしただけですよ」
ソフィー 「……!」
アリア 「……どこまで知ってるんだい?」
店主 「その質問が意図するところは少々分かりかねますが、私はお酒や依頼の他にも、情報を取り扱っておりますので……。そうですね、表には一切報じられなかったホムンクルス事件くらいは知っておりますよ」
アリア 「…………」
アーロン 「ホムンクルス……」
ソフィー 「……」
フィリップ 「ホムンクルス? あー、なんだいそれ?」
店主 「私は詳しいことは存じ上げませんので。アリアさんなら、お詳しいのでは? かつては城に勤めていらしたのでしょう?」
フィリップ 「へえ、アリアちゃん、宮廷魔法使いってやつだったんだ」
アリア 「ま、まあね」
アーロン 「ホムンクルスっていうのは、本の説明を引用するなら、錬金術のひとつで人に限りなく近い人形を作る術だ」
フィリップ 「なるほど。青年、意外と物知りね」
アーロン 「これでも、魔法使いの助手だからな」
フィリップ 「それで、事件ってのはなにが起きたんだ?」
アリア 「…………ホムンクルスたちが暴走し、ひとつの街を滅ぼしたんだ」
ソフィー 「そんなことがあったんですね……」
フィリップ 「ん? それって、東の方にあった街のこと? 確か、4年前だったか、大規模な火事と風土病でなくなったって聞いたけど」
アーロン 「4年前、か。俺が騎士団を辞めた年だな。今思えば、帝都勤務の騎士たちが騒がしかったような……」
アリア 「……やはり彼女は、そのときの……」
店主 「……」
アーロン 「まあ、なんにせよ飯にしようぜ。腹減っちまった」
フィリップ 「そうだね! おじさんも賛成~」
店主 「お食事ならよろこんでお出ししますよ」
ソフィー 「あはは、私も実はお腹空いてたんですよ~」
アリア 「…………」
ソフィー 「アリアさん?」
アリア 「ああ、すまない。さて、なにを食べようか」
アーロン 「…………」
つづく
アーロン・ストライフ:魔法使いの助手兼用心棒の青年。21歳。
ソフィー:皇女の姿を模したホムンクルスだと思われる少女。18歳くらい。
フィリップ・ベルナルド:魔法使いに同行することになったおっさん。32歳。
ルーナ:アルトリウスの護衛をしている女性。20歳。
店主:行きつけのバーのナイスミドルな店主。
魔法使い一行は、グリフォン討伐の依頼をこなすべく、ルミナス湖へ向かっていた。そして、怪鳥カイザーアードラのヴァンを相棒としている鳥使いのフィリップも同行している。
アーロン 「おっさん、別に俺たちに合わせなくていいんだぜ? ご自慢のでっかい鷲に乗らねえのか?」
フィリップ 「俺だって、美女と一緒に歩きたいのよ。青年だけに独占はさせねーよ」
アーロン 「一応、親切心で言ったんだけどな」
フィリップ 「はい?」
アーロン 「…………」
アリア 「アーロン! これを見てみろ。魔力の蓄積量が多いんだ。こっちは調合の時に使うと、他の素材の魔力量を増幅させるんだ。あ、そこに生えているきのこ、毒があるけど薬の材料になるから、丁重に採取しておけ」
アーロン 「はいはい」
アリア 「あ、こっちの木に生っている実は、上質な油になるから採取よろしく」
アーロン 「へいへい」
フィリップ 「へえ……」
アーロン 「な、面倒だろ?」
フィリップ 「それは、青年が頼られてるってことじゃないの?」
アーロン 「いいや、アリアは使えるものなら親でも使う勢いだぞ?」
アリア 「アーロン! それは間違っているよ。私が小間使いにするのは、アーロンだけだからね、ふふ」
アーロン 「そりゃないぜ……」
フィリップ 「……ソフィーちゃん、青年とアリアちゃんは付き合ってるの?」
ソフィー 「え? そんなことないと思いますけど?」
フィリップ 「え、そうなの?」
ソフィー 「はい。……アーロンさん! 湖まではあとどれくらいですか?」
アーロン 「え? ああ、あともうちょっとだな」
ソフィー 「グリフォンって強いんですか?」
アーロン 「ま、苦戦するくらいには?」
ソフィー 「でもでも、アーロンさんならズババッっと倒しちゃいますよね」
アーロン 「そりゃわからないな」
アリア 「おい、なにを話している。目的地まであと少しなんだから、もたもたしてないで早く行こう」
ソフィー 「はーい」
フィリップ 「……青年が羨ましい」
◇
ルミナス湖。
アリア 「フィリップ、襲ってきたグリフォンというのは、通常のものよりも大きい個体だったと言っていたね」
フィリップ 「ああ、俺のヴァンがやられたくらいだからな。グリフォンのなかでも、上位種だと思うよ」
ソフィー 「アーロンさんたちでも苦戦するグリフォンの上位種……。大丈夫なんですか?」
アリア 「なに、心配はいらないさ。今回はボディーガードが二人もいるんだ。負けることはないだろう」
アーロン 「おいおい、そうやって油断してると、前にここに来たときみたいになるぞ」
アリア 「あ、あれは、キミの力を試しただけだよ」
アーロン 「はあ、そういうことにしといてやるよ」
フィリップ 「……!! ソフィーちゃん!」
ソフィー 「え?」
(SE 弓を射る音)
(SE 魔物が消滅する音)
ソフィー 「わわわ、ありがとうございます」
フィリップ 「気を付けなよ。街と違って、魔物除けがないんだから」
ソフィー 「はーい」
アリア 「鷹型の魔物……。今のは斥候だ。大元がくるよ」
グリフォン 「キイイイッ!」
フィリップ 「おっと、グリフォンが3体か。こりゃ骨が折れるね」
アーロン 「ま、やるしかねえだろ」
(SE 剣を抜く音)
(SE 杖が出現する音)
アリア 「アーロン、前衛は任せたよ」
アーロン 「言われなくてもッ!」
(SE 剣を振る音)
グリフォン 「ギャオンッ!」
フィリップ 「青年!」
(SE 弓を射る音)
グリフォン 「ギイイッ」
フィリップ 「しまった、アリアちゃん!」
アリア 「凍れ……」
(SE 凍りつく音)
アーロン 「はああっ!」
(SE 剣を振る音)
(SE 氷が砕ける音)
(SE 魔物が消滅する音)
アーロン 「おっさん!」
フィリップ 「おうよ!」
(SE 連続で弓を射る音)
フィリップ 「降り注げ! 光の雨!」
グリフォン 「ギャオウッ!」
グリフォン 「ギイイッ!」
(SE 魔物が消滅する音)×2
アーロン 「おっさん、すげえな。そんな芸当もできるんだな」
フィリップ 「まあ、色々あってね」
アリア 「こほん、我々の目的をお忘れかな?」
ソフィー 「あ、あそこ……。大きいのが来ます!」
アーロン 「おいおい、本当にでかいな。おっさん、あいつか?!」
フィリップ 「間違いないよ!」
アリア 「火炎弾!」
(SE 炎の弾を射出する音)
グリフォン 「……!」
ソフィー 「あの巨体で全部避けるなんて!」
フィリップ 「じゃあ、こいつでどうよ!」
(SE 弓を射る音)
(SE 爆発音)
グリフォン 「ギイイイッ……!」
(SE グリフォンが墜落する音)
アーロン 「破裂矢ってやつか。これなら!」
(SE 剣を振る音)
(SE 剣が弾かれる音)
アーロン 「なっ! 弾かれた!」
アリア 「硬化魔法だ。私に任せろ」
アーロン 「わかった」
アリア 「魔法解除」
グリフォン 「グオオッ……!」
アリア 「今だ!」
アーロン 「おう!」
(SE 剣を振る音)
グリフォン 「ギャアアッ!」
アリア 「とどめだ……」
ルーナ 「……見つけた」
アリア 「なに……っ!?」
(SE 刀を振る音)
アーロン 「アリアッ!!」
(SE 剣がぶつかる音)
フィリップ 「なになになに!?」
ルーナ 「アリア・メイザース!!」
アリア 「……ッ!」
アーロン 「相手は俺だぜ!」
フィリップ 「ちょっと、おっさんひとりでグリフォンを相手にするの!?」
アーロン 「頼んだ、おっさん!」
フィリップ 「勘弁してよ……。っと」
(SE 弓を射る音)
ルーナ 「昨日も会ったわね、アーロン・ストライフ」
アーロン 「確か、ルーナとか言ってたっけ? そんな喋り方だったか? もうちょっとお淑やかだと思ったけど?」
ルーナ 「今はプライベートだから」
アーロン 「あっそ。まあ、黒い服装も似合ってるし、いいんじゃねえの?」
ルーナ 「口説いてるの?」
アーロン 「冗談。ちょっとした挨拶だよ」
(SE 剣を振る音)
ルーナ 「……!」
アーロン 「この、ちょこまかと」
ルーナ 「そこっ!」
アリア 「氷の槍よ……」
(SE 氷の槍が射出される音)
ルーナ 「……!」
ルーナ 「アリア・メイザース……!」
アリア 「私の名前は、アリア・エインズワースだ。それと、よそ見はしない方がいい」
グリフォン 「キイイッ!!」
(SE グリフォンが前脚を振り上げる音)
ルーナ 「────斬月」
(SE 刀を振る音)
グリフォン 「ギャアアッ!」
(SE 魔物が消滅する音)
フィリップ 「急所を、一撃で……。あのお姉ちゃん、やるなあ」
ルーナ 「これで、邪魔は消えたわ。────瞬月……!」
(SE 大地を蹴る音)
アーロン 「……っ! 速い……!」
(SE 刀を振る音)
ルーナ 「二の太刀……」
(SE 刀がかする音)
アーロン 「ぐっ……! はあっ!」
(SE 剣がかする音)
ルーナ 「……っ! 少しはやるようね」
アーロン 「そっちこそ」
ルーナ 「……決めた」
アーロン 「あ?」
ルーナ 「まずは、あんたから殺る。そこの錬金術師は最後よ」
アーロン 「まあ、ごちゃごちゃ言ってねえで、第2ラウンドと行こうぜ!」
ルーナ 「ふふ、当然!」
(SE 剣がぶつかり合う音)×何度か
ソフィー 「あわわわ、ど、どうしましょう、アリアさん!」
アリア 「…………」
フィリップ 「一応目的は果たせたし、好きにやらせてあげればいいんでないの?」
ソフィー 「わー、このおっさん、私たちのこと見捨てる気ですよー!」
フィリップ 「だって、あのお姉ちゃんとやり合ったら、おっさん死んじゃうわよ!?」
ルーナ 「うるさいわね……っ!」
フィリップ 「え、ちょちょっ!」
(SE 刀を振る音)
ルーナ 「……!」
フィリップ 「あっぶないじゃないのー! 青年、ちゃんと捕まえておいてよー!」
ルーナ 「……確実に捉えたと思ったのに……」
アーロン 「ほら、よそ見すんなよっ!」
(SE 剣を振る音)
ルーナ 「それは見切ってるわ」
アーロン 「そりゃどうかな? ……っ」
(SE 剣がかする音)
ルーナ 「なっ……! く、これは、瞬月……?」
アーロン 「見よう見まねだけど、な!」
ルーナ 「まさか、斬月まで……?!」
(SE 剣がかする音)
ルーナ 「私の技を一度見ただけで再現するなんて……!」
アリア 「絶対零度の檻にて眠れ、氷の牢獄……っ!」
ルーナ 「……っ!!」
(SE 凍りつく音)
ソフィー 「! やりましたか!?」
(SE 氷が砕けていく音)
ソフィー 「……消えてる!?」
アーロン 「当たる寸前で逃げたみたいだな」
フィリップ 「やっぱり、ただものじゃないね、あのお姉ちゃん」
ソフィー 「アーロンさん、ケガ治しますね!」
アーロン 「あ、おい、大丈夫かよ。治癒魔法なんて使って」
アリア 「心配はいらないだろう。大ケガってわけじゃない。魔力の消費も少ないと思うよ」
アーロン 「なら、頼めるか?」
(SE 治癒魔法が発動する音)
アーロン 「お、さんきゅ、ソフィー」
ソフィー 「えへへぇ、アリアさん、残念でした~」
アリア 「な、なにが残念なんだ?」
フィリップ 「アリアちゃん、薬の小瓶が見えてるよ」
アリア 「む、これは……。そう、フィリップ、キミの分だよ。腰痛にも効くんだ」
フィリップ 「そうそう、この歳になると腰痛がひどくて~、っておっさんはまだそこまでじゃないよ!」
アーロン 「…………」
フィリップ 「っと、肝心の青年は、あのクールなお姉ちゃんのことを考えてるみたいよ」
アーロン 「ルーナ、か。また戦うことになるんだろうな」
(SE 剣を鞘に納める音)
ソフィー 「そういえば、やっぱりアリアさんの名前、間違えてましたよね、あの人」
アリア 「……そうだね」
ソフィー 「それに、錬金術師とも言ってましたよね? アリアさんはさんざん自分のことを魔法使いって言ってるのに、どうやったら間違うんでしょう?」
アリア 「……私は、魔法使いだよ」
ソフィー 「アリア、さん……?」
フィリップ 「……にしても、あのお姉ちゃんも美人だったよな、青年」
アーロン 「あ、ああ、そうだったな」
ソフィー 「むむ、ルーナさんが好みなんですか?」
アーロン 「いや、そんなんじゃねえけど、気にはなるよな。いろいろと」
アリア 「…………」
フィリップ 「ま、まあまあ! とりあえずグリフォンは討伐出来たんだし、街に戻らない?」
アーロン 「そうだな」
◇
バー。
(SE 店の扉の開閉音)
店主 「おや、魔法使いの一行ではありませんか」
アリア 「さっそく依頼をこなしたから、報告に来たんだけど……」
店主 「依頼……、ああ、グリフォンの討伐ですね」
アーロン 「ま、とどめを刺したのは、ルーナってやつだけどな」
ソフィー 「そういえば、マスターさんは、ルーナさんと知り合いみたいでしたよね」
店主 「それは……」
フィリップ 「知り合いってんなら、この依頼の報酬のいくらかはルーナちゃんにやってもらえないかな?」
アリア 「まあ、その方が後腐れはないだろうね」
アーロン 「ルーナは納得しなさそうだけどな」
店主 「わかりました、報酬の方は検討させていただきます」
アーロン 「それで、マスターとルーナはどういう関係なんだ?」
店主 「最近、魔物討伐を専門に受注されている方でしてね、私も助かっているんですよ」
アーロン 「なるほどな」
フィリップ 「俺は店主がルーナちゃんをけしかけたんじゃないかって思ったけどね」
店主 「いえいえ、そんなけしかけたなどと……。ただ、魔法使いの一行がグリフォン討伐に向かったとお伝えしただけですよ」
ソフィー 「……!」
アリア 「……どこまで知ってるんだい?」
店主 「その質問が意図するところは少々分かりかねますが、私はお酒や依頼の他にも、情報を取り扱っておりますので……。そうですね、表には一切報じられなかったホムンクルス事件くらいは知っておりますよ」
アリア 「…………」
アーロン 「ホムンクルス……」
ソフィー 「……」
フィリップ 「ホムンクルス? あー、なんだいそれ?」
店主 「私は詳しいことは存じ上げませんので。アリアさんなら、お詳しいのでは? かつては城に勤めていらしたのでしょう?」
フィリップ 「へえ、アリアちゃん、宮廷魔法使いってやつだったんだ」
アリア 「ま、まあね」
アーロン 「ホムンクルスっていうのは、本の説明を引用するなら、錬金術のひとつで人に限りなく近い人形を作る術だ」
フィリップ 「なるほど。青年、意外と物知りね」
アーロン 「これでも、魔法使いの助手だからな」
フィリップ 「それで、事件ってのはなにが起きたんだ?」
アリア 「…………ホムンクルスたちが暴走し、ひとつの街を滅ぼしたんだ」
ソフィー 「そんなことがあったんですね……」
フィリップ 「ん? それって、東の方にあった街のこと? 確か、4年前だったか、大規模な火事と風土病でなくなったって聞いたけど」
アーロン 「4年前、か。俺が騎士団を辞めた年だな。今思えば、帝都勤務の騎士たちが騒がしかったような……」
アリア 「……やはり彼女は、そのときの……」
店主 「……」
アーロン 「まあ、なんにせよ飯にしようぜ。腹減っちまった」
フィリップ 「そうだね! おじさんも賛成~」
店主 「お食事ならよろこんでお出ししますよ」
ソフィー 「あはは、私も実はお腹空いてたんですよ~」
アリア 「…………」
ソフィー 「アリアさん?」
アリア 「ああ、すまない。さて、なにを食べようか」
アーロン 「…………」
つづく
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隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
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