自慰行為

安藤ニャンコ

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プロローグ

序曲

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 生まれた瞬間に、人は罪人としてこの世に存在する。それは差別や自虐ではなく、事実としてそこにある。
「ひとりの人を通して罪が世に入」ったからだ、と原罪コトバは物語る。
 その罪人にはコトバがかけられた。子々孫々までに渡る、未だ解かれぬ強固なコトバが。解くために同等の対価を必要とする程の、根深いコトバ。
 それが『死』だ。死はまた、事実として身近にある。死はまた、生とほぼ同等の対価として取引され、記録される。
 僕が実感できた恐れるべき死は、なぜか愛に満ちていた。執行者としてそこに在るはずの、コトバをかけた張本人が用意した『死』という仕掛けは、死を待つ本人に分からないよう発動し、本人に死を知覚させなかった。優しさと呼べるならばそうだろうコレは、僕にさらなる未知をさらけ出した。

 寿命が決まっているわけでもない。
 世界の終わりがわかるわけでもない。
 ましてや、死んだ魂を知覚する戯奴わけも居ない。
 しかし、僕は確かに死んだのだ。
 あの日、あの時、あの瞬間に、その生きてきた何十年という歴史、身体や魂は闇に沈んだはずだった。
 しかし死人として生きているという世界の矛盾を孕んだ僕は、確かにコレを体感している。
 これは全く嘘ではない。全く比喩ではない。僕の墓にはしっかり自分の名前が刻まれている。
 そして僕が今持っている能力も、世界の矛盾だろう。死という怪物は、なぜか僕にこの力を与え、還してしまった。
 死んでいた頃の記憶は無い。
 全てが無知覚のうちに行われ、無知覚のうちに過ぎ去った。
 ならば、その優しさを感じた僕は、優しさでこの世界に貢献する事を決めた。



───────この優しさを、世界のみんなに与えるために。
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