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31.聖女様、一緒に風呂に入る

「全く……恐ろしい野郎だ……」
「も、申し訳ございません……」

 しばらく抱き合った後、私はスタッグ様に連れられ、浴場へと一緒に入った。
 体を洗い、広々とした湯船に浸かる。
 ……既に時刻は夕方、エネマは今頃待ちぼうけを食らっているでしょう……戻ったら、謝らなければ……。
 ……全く、媚薬が入っていたとはいえ、やりすぎてしまったのは……言い訳ができない。

「……まぁ、別にいいけどよ、変なところに薬を隠した俺も悪いし」
「私も……部屋を探るなんてデリカシーの無い行為をしてしまい、申し訳ございません……」

 好奇心があったとはいえ、人の部屋を探ってしまうなんて……。
 ……好奇心、私は彼に興味があるのでしょうか?
 別に女性が男性を愛すなんてことは違和感のある事ではない、むしろそれが普通だ。
だが私は……。

「あのよ……ちょっと質問していいか?」
「……なんですか?」

 考え事をしていると、スタッグ様は私に声を掛けてきた。
 質問……突然何なのでしょう?

「お前は……一応は女だよな?」
「えぇ……女として生きていますけど……」

 何をいまさらそんなことを……。

「その……お前は、あのエネマとかいう侍女とできているのか?」
「……」

 私は何とも言えない気持ちになった。
 確かに私は彼女とは何回も夜を共にした。
 だが、それに……愛はあるのだろうか? ……私は無いと言える。
 彼女もそう思っている事だろう……こんな奴と一緒に寝るなんて屈辱的だと思っているのかもしれない。

「その……一応体は男ですし、女性に興味はありますが……今は別にどっちでもいいです、あとエネマとはそういう関係ではないです」
「……そうか」

 彼は一瞬安堵の表情を浮かべた。
 なんなんでしょう……。

「その……なんだ、つまり……お前は男にも興味がある……ってことで良いんだよな?」
「えぇ……まぁ……」

 ……なんでしょう、今、全てを理解した気がします。
 もしかして……彼は……。

「……なぁ、こんなことを言うのもアレなんだが……」
「……なんですか?」

 ……私は胸が高鳴ると同時に体温が上がっていくのが分かる。
 風呂が原因ではない……媚薬も切れた筈……。
 これは……緊張している?
 そんな事を考えていると、彼は私の両肩を掴み、こう訴えた。

「ディ……ディナステス! お、俺は……お前の事が……好き……かもしれない!」
「……」
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