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第8章 立ち上がライズ! ドワーフじゃーないと!

ドワーフの過去 その6 ~監視~

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「け、結婚している……」
「あぁ、そうさ。まぁ、より厳密に言えば、『結婚していた』、かな? もう数年前に夫は死んじまったよ」

 ある程度、受付の女と仲良くなったある日、ワシは彼女に告白をした……が、彼女の答えは「夫がいるので無理」だった。
 曰く、「夫は亡くなってしまったけど、私の中で一番愛しているのは彼だけ」らしい……ちなみに子どももいて、既に家を出ているという事も話していた。

「で、でででででも、今は誰もいないってことですよね? あ、いや、別に亡くなった旦那さんはそりゃあ……あーでも……」

 ワシは「旦那さんが亡くなったのなら今はフリーですよね?」というようなことを言いたかったが、彼女に失礼だと考え、その場で訂正しようとした……が、頭の中が混乱してしまい、自分でも何を言っているのか分からなくなってしまった。

「ふふふ、ま、この歳で告白されるとは思わなかったけどね、ありがとう」
「は、はぁ……」

 彼女は笑って流してくれた。
 なんかすごい申し訳ない……そうだ。

「と、とにかく! ワシは貴方の事が好きです! ワシにできることなら何でも言ってください!」

 ワシは例え叶わない恋でも、彼女の幸せのためならどんなことでも行う所存だった。
 彼女はワシの言葉を受け止め、こんなことを言ってきた。

「ほぉ、何でもするんだね?」

 彼女は、とても不気味な表情を浮かべ、受付のデスクから身を乗り出した。

「それじゃあ、ちょーっとお願いがあるんだけどね」
「は、はい」
「実は最近パーティ登録したチームがあるんだけど、そのチーム、全員女の子でねぇ、しかも一人以外外国の子なのよ、心配だから、その子らを監視してくれないかい?」
「わ、ワシがですか? し、しかし……」
「何でもするんじゃないのかい?」
「は、はい……」

 ワシは彼女の言葉に負け、言う事を聞くことにした。



 受付の女の言う事を聞き、パーティを監視し始めて1か月。

「あいつら……バラバラじゃねぇか」

 この1月、奴らを見てて思ったことは3つ。
 まず1つに、吸血鬼のガキはどういうわけか1人で突っ走ってること、2つにそんな吸血鬼のガキの後処理をエルフとサキュバスのガキがやる羽目になっていること、最後に3つ……吸血鬼のガキはどういうわけかサキュバスのガキを一方的に嫌っているように見えることだ、理由は不明だが。

「全く……あんなんじゃ、いずれ大怪我するんじゃねぇか?」

 最初こそ、好きな女の言う事だから渋々監視していたのだが、段々と奴らの事が心配になってきた。
 まるで、実家にいる妹分を見ているようだった。
 ……そんなある日のことだ。

 奴らはある集落に現れたダンジョンの処理をしていた。
 無論、ワシもその様子を監視しつつ、対処にあたっていたのだが……。

「……ノンノン!」
「あかん!」

 ワシがモンスターの処理最中、ふと奴らに目をやると、サキュバスのガキが吸血鬼のガキの盾になり、重傷を負っていた。
 まずい……なんてことだ、このままじゃ、あのガキ……死んじまう!
 奴らもまずいことは理解していた、サキュバスのガキを抱え、安全地帯に戻るようだ。
 ワシもそれの後を追い、走り出した。
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