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第16話 換金と侮辱

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「換金お願いします!」
「はい……って多いですね!?」

 ロープが大量のドロップ品をカウンターに置き、受付の人はその量に困惑していた。

「しょ、少々お待ちください……ちょっと! 鑑定手伝って!」

 受付の人は後ろのバックルームに向かって叫び、しばらくして数名が出てきた。
 どうやら相当手間がかかるらしい……ま、お金が手に入るなら何でもいいけど。

「いくらになるんでしょう……楽しみですね! アニマさん!」

 ロープはどのくらい手に入るのか楽しみなのか、まじまじと鑑定の様子を眺めている。
 これだと……銀貨100枚はあるんじゃないかと思う。
 通常手に入るのは銀貨5枚くらい、これで一週間は食べていける計算だ。
 銀貨100枚となると……数か月は安定して暮らせて、お釣りも出るんじゃないだろうか?
 ちょっと贅沢もしちゃおうかな……ちょっと高い服とか……。

 そんな妄想を含まらせていると……。

「おい、さっさと鑑定してくれ」
「しょ、少々お待ちください!」

 ……見覚えのある声が隣のカウンターから聞こえた。
 ……この声は。
 隣の「聞き覚えのある声」の主もこちらに気付いたのか、振り向いてきた。

「お、お前は……」
「……カロン」

 ……カロンだった。
 なんでこんな時にこいつと出会っちゃうかなぁ……勘弁してほしい。

「……知り合いですか?」
「……前の仲間」
「……なるほど」

 事情を説明すると、ロープは顔を顰めた。
 カロンはそんなロープの姿が気に食わなかったのか、腕を組んで口を開いた。

「なんだぁ? アニマ……テメェもう仲間を作ったのか? ……見たところ、ジョブは格闘のようだな? テメェの変身と同じ、クソジョブだな、ははは!」

 ……クソジョブ? 今、こいつなんて言った?
 ……誰がクソジョブだって?

「……」

 カロンがクソジョブ呼ばわりした当事者……ロープは下を向いて、今にも泣きそうな表情を浮かべている。
 ……許せない。
 私は思わず、カロンの首元を掴んだ。

「……なんだよ?」

 カロンは最初こそ困惑したものの、すぐにいつもの憎たらしい態度になった。

「……私を侮辱するのはいい、無能だろうとなんだろうと好きに言えばいい……でも……ロープを……私の大切な仲間を侮辱するのは……聞き捨てならないね」
「……」

 私が今思った気持ちをそのまま伝えると……カロンは引きつった表情で黙り込んだ。
 ……なんだよ、少し言っただけでこれ? 腰抜けな奴。
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