59 / 68
第57話 「私の罪」
しおりを挟む
しばらく抱き合った後、ムーンさんにお礼を言いたいと思い、大聖堂がある場所へとロープに案内してもらった。
「にしても、こんな山奥にこんなに大きい教会があったなんてね……」
「私も、最初に案内されたときはびっくりしました……」
言い方悪いのかもしれないが、なぜこんなところに教会を?
ここに作ったところで礼拝する人はいるのだろうか? そもそもロードモンスターの親玉みたいな奴が頂上にいるらしいのにこんなところに作って大丈夫なのか?
そんなことを考えていると、目的の部屋へと着いた。
「ここです……かなり広いですよ……」
ロープはそう言って、扉を開けた。
中は確かに……広い、街の教会でもこんなに広くはない。
私が知る中で広い建物と言えば……実家の屋敷か冒険者ギルドの建物なのだが、それとは比べ物にならないくらい広かった。
一番奥には、無数の十字架が立っていて、それに注目するように、無数の椅子が向こうを向いていた。
そして十字架の前……そこに、ムーンさんが祈りをささげていた。
扉が広く音に反応したのか、ムーンさんは祈りを中断し、私たちの方へと向いた。
「ムーンさん、改めまして、助けていただきありがとうございました」
私はムーンさんに向かって頭を下げると、続けざまに、彼女は口を開いた。
「とんでもないです、困った時にはお互い様です……顔をお上げください」
ムーンさんは私の肩に手を置き、頭を上げるように言った。
……私は言葉に甘え、気になっていることを口にした。
「あの……質問してもいいですか?」
「かまいませんよ、私に答えられることなら」
「じゃあ……なぜこんなところで教会を?」
「……」
私が質問をすると……ムーンさんは、黙って背を向けた。
……まさか、答えたくない質問だった? なんか……失礼な事を聞いてしまったのかな?
そんなことを考えていると、彼女は背を向けながら答えた。
「この教会は……私の罪、そのものなのです」
「……罪?」
咄嗟にロープの顔を見るが……ロープも言っている意味が分からないようだった。
「この無数の十字架……気になりますよね?」
「ま、まぁ……そうですね」
確かに、この無数の十字架……なんなんだろう? 言っちゃ悪いが……なんか不気味だ。
「この十字架は……『私が殺めてしまった人』なのです」
「……え?」
今この人……なんて言った?
「あのすみません……今、殺めた人って……」
ロープも気になったのか、ムーンさんに向かって復唱した。
確かにこの人……殺めた人……つまり、ムーンさんが殺した人って言ったよね?
「にしても、こんな山奥にこんなに大きい教会があったなんてね……」
「私も、最初に案内されたときはびっくりしました……」
言い方悪いのかもしれないが、なぜこんなところに教会を?
ここに作ったところで礼拝する人はいるのだろうか? そもそもロードモンスターの親玉みたいな奴が頂上にいるらしいのにこんなところに作って大丈夫なのか?
そんなことを考えていると、目的の部屋へと着いた。
「ここです……かなり広いですよ……」
ロープはそう言って、扉を開けた。
中は確かに……広い、街の教会でもこんなに広くはない。
私が知る中で広い建物と言えば……実家の屋敷か冒険者ギルドの建物なのだが、それとは比べ物にならないくらい広かった。
一番奥には、無数の十字架が立っていて、それに注目するように、無数の椅子が向こうを向いていた。
そして十字架の前……そこに、ムーンさんが祈りをささげていた。
扉が広く音に反応したのか、ムーンさんは祈りを中断し、私たちの方へと向いた。
「ムーンさん、改めまして、助けていただきありがとうございました」
私はムーンさんに向かって頭を下げると、続けざまに、彼女は口を開いた。
「とんでもないです、困った時にはお互い様です……顔をお上げください」
ムーンさんは私の肩に手を置き、頭を上げるように言った。
……私は言葉に甘え、気になっていることを口にした。
「あの……質問してもいいですか?」
「かまいませんよ、私に答えられることなら」
「じゃあ……なぜこんなところで教会を?」
「……」
私が質問をすると……ムーンさんは、黙って背を向けた。
……まさか、答えたくない質問だった? なんか……失礼な事を聞いてしまったのかな?
そんなことを考えていると、彼女は背を向けながら答えた。
「この教会は……私の罪、そのものなのです」
「……罪?」
咄嗟にロープの顔を見るが……ロープも言っている意味が分からないようだった。
「この無数の十字架……気になりますよね?」
「ま、まぁ……そうですね」
確かに、この無数の十字架……なんなんだろう? 言っちゃ悪いが……なんか不気味だ。
「この十字架は……『私が殺めてしまった人』なのです」
「……え?」
今この人……なんて言った?
「あのすみません……今、殺めた人って……」
ロープも気になったのか、ムーンさんに向かって復唱した。
確かにこの人……殺めた人……つまり、ムーンさんが殺した人って言ったよね?
0
あなたにおすすめの小説
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる