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後
しおりを挟む「そうですねえ……眼鏡をかけていたせいかな? って気がします」
「ああ、あのダッさい瓶底ね……」
「ちょっと?」
「だって本当にひっでーデザインだったじゃん。台無しだぜ? 普通にいい顔してるのに、あんなもんで覆うなんてさ」
こやつめ、褒めてるんだか貶してるんだかわかりにくい言い方を……。
そういえば、殿下はもちろん、ロジェ=ギルマンもわたくしに見るなとか言ってこないことにふと気がつく。
「普通に見えますか? わたくし今まで眼鏡がないと、結構な頻度でひどい顔だって言われてきたのですけれども」
「はあ? それ難癖なんじゃ――あー、あんた目力あるからな。視線感じるとそわっとはするから、お貴族サマ達はその辺敏感だったのかもな。にしたって、あの眼鏡はないぜ?」
「ないですか」
「ないだろ」
「そんなに……」
侯爵家からの贈り物だったし、それなりの愛着はあったんだけどな……。
わたくしが目を遠くしていると、ふむ、と殿下が顎に指を当てて考え事をしている。
「……シャンナは元々、目元を隠すために眼鏡をしていたのだっけ」
「はい」
「もしかするとその眼鏡に、精霊眼を抑制する働きもあったのかもね。だから今まで、魔力が目に見える実感がなかったのかも」
なるほど、とわたくしは納得します。
外部からわたくしの目が見えないようにするための矯正器具でしたが、同時にわたくしの目から外部の方々を守ってもいたのかもしれない、と。
「……やっぱり、買いに行こうかなあ。次の眼鏡……」
ふっとつぶやきがこぼれる。
瓶底眼鏡は度が入っていたわけではないから、裸眼で過ごしても不自由はない。
ただ、魔力の流れ? とやらがはっきり見えるようになった結果か、わたくしは今、なんとなく常にまぶしい環境に置かれているような状態なのだ。
日中はまだそこまで気にならないけど、クイズのために目を懲らせば頭は重くなるし、最近寝る前はなんとなく肩が凝る。殿下やロジェの言葉を聞いていて、目の使いすぎで起きている症状に感じたのだ。
普段は眼鏡をしていて、使いたい時(クイズとか)だけ外してはっきり見る――ということができるのなら、より快適に過ごせるのかな、とちょっと思った。
「魔道具……になるのかね、そうすると。なんか聞いた感じオーダーメイドの高い奴になりそうな気もするが……商店街に取り扱える店、あったかねえ」
ロジェが呟くと、パッと殿下が目を光り輝かせた。
「町に買い物に行くってこと?」
「え? まあ、足りないものがあるときは、ここの近くの学生向けの店が集まってる所行けば、大体のものはそろえられるから……」
「ぼくも行く!」
「はあ? あのなあ、学園内うろつきたいとは話がちげーんだぞ!?」
ロジェは顔をしかめていたけれど、わたくしは既に知っている。
こうなった時の殿下はものすごく手強くて、どんなに渋ろうがこちらが折れる結果になるのだと。
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