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……とにかく。
わたくしは殿下に、わたくしの目について画策したかもしれない人物の可能性を――必然的に付随する、翡翠色が持つもう一つの意味を、話したくはなかった。少なくともわたくしの口からは。
だってすべてが明らかになれば、もう今まで通りではいられない。わたくしは高貴なる男性を騙したとして、断罪されることになるだろう。彼女がかつて、そうだったように。
(成り行きで選ばれた世話係。最初は振り回されて驚かされてばかりだけど……いえ今もそうだけど。でもひとりぼっちだった頃より、殿下が一緒にいてくださる時間の方が、ずっと楽しい……)
ごめんなさい。これはよくないこと。わかっている。
でも、本当のことを話せば、もうこの時間は終わりになってしまう。
皇子殿下は雲の上のお方。そんな方と名目だけでも世話係として側近く侍ることのできる幸せ。
あと少しだけ、夢を見させて。きっとここが、一生の山場だから。
――そうしてわたくしが「知らない、わからない」と答えると、皇子殿下はひとまずそれ以上の追究をやめ、今度は店主と話し始める。
「ちなみになんだけど、精霊眼が隠せるような眼鏡がほしいって言ったら、この店で買える?」
「なんだい坊ちゃん、あんたも嬢ちゃんを隠しておきたいってか? それとも厄介な力だって?」
「ぼくはシャンナはシャンナのままで過不足ないと思ってるけど……彼女、シャイだから。あと、急に見えすぎるようになって、負担になっているみたいなんだ」
「そういうことならまあ……眼鏡の現物を今日中は無理だが、ちったあ役に立つもんがあるだろ」
ああ、罪悪感……本当に、こんなによくしていただいているのに、嘘をついてしまった。今からでも言った方がいい? でも、舌がうまく動かない。
まごまごしている間に、店主が怪しげな布をどこかから出してきてくれた。
なんでも、魔力遮断効果があるらしい。
「寝るとき被っといたら、多少は目が休まるだろ?」
なるほど、簡易アイマスク。お値段も手の届く範囲だったので購入した。何も買わずに帰るのも悪い気がしたし。
ちなみに地下一階で合流したところ、クリスタは魔力を流すときらきら光るおもちゃを貰ってはしゃいでいた。クリスタがキャッキャと笑うと、隣で超良い姿勢で立っている真顔の兄がピカピカ照らされるのが、見ていてなんかじわじわくる。
ロジェは光るおもちゃを羨ましそうな目で見ていたが、
「買います?」
「いや……学園に持ち帰ったら、色んな意味で言い訳ができねえ」
と断念することにしたようだった。五歳児と同じ趣味の特待生……。
代わりに手に取ったのがぱっとしない手袋だったからどうしたヤケかと思ったが、これは実用目的だったようだ。
「魔法薬は調合の時、地味にこういうの消耗するからなー。ちょっと値が張るけど、安物一回で駄目にするより、ちゃんとした奴のが最終的なコスパがいいんだよな」
なんて庶民の知恵も授かってしまった。なるほど……。
わたくしは殿下に、わたくしの目について画策したかもしれない人物の可能性を――必然的に付随する、翡翠色が持つもう一つの意味を、話したくはなかった。少なくともわたくしの口からは。
だってすべてが明らかになれば、もう今まで通りではいられない。わたくしは高貴なる男性を騙したとして、断罪されることになるだろう。彼女がかつて、そうだったように。
(成り行きで選ばれた世話係。最初は振り回されて驚かされてばかりだけど……いえ今もそうだけど。でもひとりぼっちだった頃より、殿下が一緒にいてくださる時間の方が、ずっと楽しい……)
ごめんなさい。これはよくないこと。わかっている。
でも、本当のことを話せば、もうこの時間は終わりになってしまう。
皇子殿下は雲の上のお方。そんな方と名目だけでも世話係として側近く侍ることのできる幸せ。
あと少しだけ、夢を見させて。きっとここが、一生の山場だから。
――そうしてわたくしが「知らない、わからない」と答えると、皇子殿下はひとまずそれ以上の追究をやめ、今度は店主と話し始める。
「ちなみになんだけど、精霊眼が隠せるような眼鏡がほしいって言ったら、この店で買える?」
「なんだい坊ちゃん、あんたも嬢ちゃんを隠しておきたいってか? それとも厄介な力だって?」
「ぼくはシャンナはシャンナのままで過不足ないと思ってるけど……彼女、シャイだから。あと、急に見えすぎるようになって、負担になっているみたいなんだ」
「そういうことならまあ……眼鏡の現物を今日中は無理だが、ちったあ役に立つもんがあるだろ」
ああ、罪悪感……本当に、こんなによくしていただいているのに、嘘をついてしまった。今からでも言った方がいい? でも、舌がうまく動かない。
まごまごしている間に、店主が怪しげな布をどこかから出してきてくれた。
なんでも、魔力遮断効果があるらしい。
「寝るとき被っといたら、多少は目が休まるだろ?」
なるほど、簡易アイマスク。お値段も手の届く範囲だったので購入した。何も買わずに帰るのも悪い気がしたし。
ちなみに地下一階で合流したところ、クリスタは魔力を流すときらきら光るおもちゃを貰ってはしゃいでいた。クリスタがキャッキャと笑うと、隣で超良い姿勢で立っている真顔の兄がピカピカ照らされるのが、見ていてなんかじわじわくる。
ロジェは光るおもちゃを羨ましそうな目で見ていたが、
「買います?」
「いや……学園に持ち帰ったら、色んな意味で言い訳ができねえ」
と断念することにしたようだった。五歳児と同じ趣味の特待生……。
代わりに手に取ったのがぱっとしない手袋だったからどうしたヤケかと思ったが、これは実用目的だったようだ。
「魔法薬は調合の時、地味にこういうの消耗するからなー。ちょっと値が張るけど、安物一回で駄目にするより、ちゃんとした奴のが最終的なコスパがいいんだよな」
なんて庶民の知恵も授かってしまった。なるほど……。
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