理不尽に抗議して逆ギレ婚約破棄されたら、高嶺の皇子様に超絶執着されています!?

鳴田るな

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 わたくしはそこで一度すっとミーニャから視線を逸らし、ある一点を見つめる。
 色々と経験も積んで、この目にも慣れてきた。あなたがそこにいるのはわかっている。わたくしの目の気配で身震いしたのも見えている。

 ――レオナール。出てくるなら出てきなさい。

 皇子殿下のいらっしゃらない今、あなたにとって格下の相手しかいないはずでしょう? やり直したいと言うにしろ、再びわたくしを断罪するにしろ――俯いたわたくし相手でなければ、対峙することすらできないのですか。

「……話はこれで終わりでしょうか? わたくし、授業に行かないと。ごきげんよう、ミーニャ=ベルメール」
「……っ! ま、待ちなさいよっ――!」

 立ち上がり、この場を去ろうとするが、ミーニャが通せんぼしようとする。
 わたくしはすかさず、ポケットから準備していたものを出す。

「……えっ?」

 ミーニャは虚を突かれて目を丸くした。
 チューチュー、とわたくしの手の中で鳴き声。
 灰色のそれが何かわかった瞬間、ミーニャも、そして野次馬達も血相を変えて絶叫した。

「キャアアアアア、ネズミよーっ!!」
「いやあああああああ!!」
「こっちに来ないでえっ!!」

 ――貴族という種族は、基本的に都会で便利な生活を嗜んでおり、まあつまり生き物全般苦手なことが多い。ネズミは立派な忌避対象の一つだ。

 そしてミーニャ=ベルメールも、どうやらネズミは大の苦手であるという話を聞いた。なんでも小さな頃、囓られて高熱を出したことがあってそれがトラウマなのだとか。

 シャリーアンナ=リュシー=ラグランジュは、腐っても男爵令嬢。そして未だにAクラス所属。更に今のわたくしには、皇子殿下の世話係という特典もある。

 要するにね。お茶会の一つや二つ潜入して、この程度の情報を仕入れてくることぐらいだったら余裕なのですよ、ミーニャさん。

「やっ、やだっ……な、なんでそんなもの! あんた頭おかしいんじゃないの!?」

 野次馬がちりぢりになる中、ミーニャは腰を抜かしてへたれこんでしまったようだった。

「人のことを階段から突き落として殺そうとするような人間に、小動物一匹握った程度でおかしい呼ばわりされる義理はないと思いますけどね」
「――わ、わかった! わかった、謝るから!」
「へえ。何をですか?」
「今までのこと、全部言いがかりなの!」
「なるほど。で?」
「ご――ごめんなさい、もうしないから! それを近づけてこないでー!!」

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