理不尽に抗議して逆ギレ婚約破棄されたら、高嶺の皇子様に超絶執着されています!?

鳴田るな

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「は? どういう意味だ、シャリーアンナ」
「そのままずばり、ですよ。わたくしにとって、もうあなたは今から復縁したいと思えるほど、魅力的な殿方ではないのです」
「さっきから何を言っているんだ? オレはお前より、何もかも勝っているんだぞ? そのオレが、仲直りしてやってもいいと言っているのに……」
「ミーニャ=ベルメールとわたくしが決着をつけたあの日、あなたが物陰から様子をうかがっていたことを知っています。あのときわたくしを庇うどころか、その後一言もなく……それなのに今になって、元通りになろうだなんて。虫が良すぎると思いませんか?」

 根も葉もないことを、とか食い下がってくるかとも思ったが、さすがにばつが悪くなったのか、レオナールが口ごもる。

 ――と、そこにまた新たな展開が。

「レオナール。そこで何をしている?」

 落ち着いた、大人の男性の声がした。レオナールがさあっと顔色を青くする。

「か、閣下……!」

 わたくしもごくっとつばを飲み込んでから、ゆっくり顔を上げる。

 侯爵家のエントランスの大階段を、ゆっくりと下りてくる男――彼こそがデュジャルダン侯爵閣下その人だった。

 髪や目の色は落ち着いた茶色で、顔立ちはレオナールによく似ている。しかし、かつて一度婚約が決定した日にもあっているのだけど……あの頃とほとんど容貌が変わっていない気がする。

 若い。着こなしは年相応に落ち着いているが、うっかりすると、レオナールの父親ではなく、兄と紹介できそうな見た目をしているのだ。

 だがなぜだろう、昔も、そして今も……わたくしにはその若々しさが、好ましいものではなくどこか不気味なものに見える。

「いけない子だね。部屋にいなさいと言ったはずなのに、出てきてしまうなんて」
「閣下……オレ、ちゃんとやれるから! だから、まだ見捨てないで……!」

 階上から息子に微笑みかけた父親だが、レオナールが駆け寄ろうとすると、すうっと冷たく目が細められた。ぞわっ、とわたくしの腕に鳥肌が立つ。

「もう遅い。お前のそういうところ、母親にそっくりだ」

 ぱん、と侯爵が手を鳴らした。
 するとしんと静まりかえっていた屋敷のどこからか、音もなくぞろぞろ男達が出てきて、レオナールを確保する。

「父さん!」
「片付けろ。もう見たくもない」

 ――どう見ても穏やかじゃない空気だが、わたくしの背後ではいつの間にか侯爵家の扉は固く閉ざされている。たぶん今から引き返しても、開かない。

 レオナールがずるずる引きずられていく様子を見送ってから、侯爵閣下は優雅に微笑まれた。

「待たせたね、シャリーアンナ。それじゃ、話をしようか?」

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