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青の花
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雨 雨 雨。
ザーーっと音をたてて、雨が降る。街路樹に咲く紫陽花が、輝いている。
「きれい………」
思わず声が出た。私は昔から植物が好きだった。とくに紫陽花は、その中でも特別だった。
なぜなら、自然の中に青色があるのが珍しかったから。
私は雨が好き。だって、紫陽花が、最高に輝く日だから。
ああ……お腹すいた。私は、いつまで歩けばいいんだろう……
「いつまで……」
ここは教会。親を亡くした子供たちが、来るところ。この教会には約500人の子供がいた。
私もその中の1人だった。
私はつい先日、両親を事故で亡くした。
私が学校から帰ると、いつも家にいるはずの母と、ちょうど仕事が休みだった父が、いなかった。
「出かけたのかな?」
でも、いくら待っても帰ってこない。
「心配だな……」
私はついに電話をかけた。
「もしもし……お母さん?」
でも……電話に出たのは……
゛警察だった゛
その時、事故のことを知らされた。
そして私は、この教会に連れてこられた。でも教会は、私が思っていたより、ずっと素敵な所だった。
学校がある。遊び場がある。部屋がある。服がある。食べ物がある。
そして何より、大きな図書館がある。私は昔から、本が大好きだった。それも、一日中読んでいられるほど。
でも、そのせいで、友達がいなかった。
だがある日。
「何してるの?」
びっくりした。突然声をかけられた。
「本読んでるの?」
「う……うん」
「面白い?」
「うん」
「名前。なんて言うの?」
名前……。私の名前……。
「…………。こ……な……古花菜子(こはなさいこ)……。」
「菜子ちゃんかーー。いいね!」
「あなたは?」
「あたし?……ない……ないの」
たしかにその子の胸元には、429と書かれたバッチがついていた。
この教会では名前がない子は数字のバッチがつけられていた。
429ってことは……ここの教会のほとんどの子が、名前がないらしい。
私は急に申し訳なくなって、
「ごめん……」
と謝った。
「いいよ~そんな謝んなくて~。でも……名前は欲しいな……」
名前っか……。429だから……。
「しずく……なんてどうかな……。」
「しずく?」
「うん。429で、しずく。どうかな?」
気に入ってくれるかな?
「う……うんうんうん!いいね!気に入った!じゃー今日から、私はしずくね!」
「うん」
それから私達は、たくさんお喋りをしたり、遊んだりした。
でも……
ある日、この教会に恨みを持った子が、
゛教会に火をつけた゛
私はしずくと、必死に逃げた。一緒に……
「しずく!大丈夫?」
私が後ろを振り向くと……
「し……ずく?」
外に出たところで私は、しずくが居ないことに気づいた。
「……。また1人だ。」
雨が降ってきた。傘もなく私は道を進む。
紫陽花の花を見ながら……。
ザーーっと音をたてて、雨が降る。街路樹に咲く紫陽花が、輝いている。
「きれい………」
思わず声が出た。私は昔から植物が好きだった。とくに紫陽花は、その中でも特別だった。
なぜなら、自然の中に青色があるのが珍しかったから。
私は雨が好き。だって、紫陽花が、最高に輝く日だから。
ああ……お腹すいた。私は、いつまで歩けばいいんだろう……
「いつまで……」
ここは教会。親を亡くした子供たちが、来るところ。この教会には約500人の子供がいた。
私もその中の1人だった。
私はつい先日、両親を事故で亡くした。
私が学校から帰ると、いつも家にいるはずの母と、ちょうど仕事が休みだった父が、いなかった。
「出かけたのかな?」
でも、いくら待っても帰ってこない。
「心配だな……」
私はついに電話をかけた。
「もしもし……お母さん?」
でも……電話に出たのは……
゛警察だった゛
その時、事故のことを知らされた。
そして私は、この教会に連れてこられた。でも教会は、私が思っていたより、ずっと素敵な所だった。
学校がある。遊び場がある。部屋がある。服がある。食べ物がある。
そして何より、大きな図書館がある。私は昔から、本が大好きだった。それも、一日中読んでいられるほど。
でも、そのせいで、友達がいなかった。
だがある日。
「何してるの?」
びっくりした。突然声をかけられた。
「本読んでるの?」
「う……うん」
「面白い?」
「うん」
「名前。なんて言うの?」
名前……。私の名前……。
「…………。こ……な……古花菜子(こはなさいこ)……。」
「菜子ちゃんかーー。いいね!」
「あなたは?」
「あたし?……ない……ないの」
たしかにその子の胸元には、429と書かれたバッチがついていた。
この教会では名前がない子は数字のバッチがつけられていた。
429ってことは……ここの教会のほとんどの子が、名前がないらしい。
私は急に申し訳なくなって、
「ごめん……」
と謝った。
「いいよ~そんな謝んなくて~。でも……名前は欲しいな……」
名前っか……。429だから……。
「しずく……なんてどうかな……。」
「しずく?」
「うん。429で、しずく。どうかな?」
気に入ってくれるかな?
「う……うんうんうん!いいね!気に入った!じゃー今日から、私はしずくね!」
「うん」
それから私達は、たくさんお喋りをしたり、遊んだりした。
でも……
ある日、この教会に恨みを持った子が、
゛教会に火をつけた゛
私はしずくと、必死に逃げた。一緒に……
「しずく!大丈夫?」
私が後ろを振り向くと……
「し……ずく?」
外に出たところで私は、しずくが居ないことに気づいた。
「……。また1人だ。」
雨が降ってきた。傘もなく私は道を進む。
紫陽花の花を見ながら……。
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