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一章 再会
22 もう一歩進もうか
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そう、今まで部屋デートばっかりで外デートをしていないのは、別に隙あらばエロいことをしたかったばかりではない。香坂が外デートにあまり乗り気じゃあなかったからだ。
薄々感じてはいたんだけれど、香坂は僕というパートナーと外に出かけるのが怖いみたいだ。男Ωって色々な目で見られるし、それ以外にも、どうも家族とのなんだかんだでのトラウマっぽい事情があるみたい。ちゃんとは聞いていないけど、親とは香坂がΩになったので仲が拗れているようで。そもそもが、両親が躾に厳しい人たちだったけれど、それになんらかの理由で反発して不良になったみたいだし。
ウチの家はほぼ放任で、なにをするにも「自己責任で好きにしろ」っていう風なんだけど、家族も色々あるんだなぁ。
それはともかくとして。
「お前は構え過ぎだって。だいたいが誰もかれも自分のことばっかり考えて、余所のペアがどうのなんて見ちゃいねぇよ」
「……けどさ」
従兄さんの意見は案外真実だろうけど、香坂の迷いを消すまではいかないっぽいな。う~ん、でも外デートは正直やりたい。「僕のΩってカッコよくね?」って言いたい。
「なぁ、まずは友達デートしよ?」
僕がお気楽な感じで話に乗ってみるけど、香坂はまだ絆されない。
「いい景色見て、美味しいもの食べて、あと温泉があったら最高だよね~♪」
温泉に家族風呂があればあわよくば、なんてラッキーはこの際心の奥に秘めておくとして。今は無害アピールの時間だ。
「紅葉はまだ早いかもしれないけど、行楽シーズンではあるじゃんか。北に行く? それとも南に行く?」
「そっそ、その程度のノリよ。ダチと遊びに行くだけじゃんか。俺のバイクでどっか行ってきな」
僕のテンションに従兄さんも合わせてくると、香坂もだんだんと深刻な問題じゃあないような気分になってきたようで。
「まあ、ダチとツーリングなら、いっか……?」
やっと香坂の口からOK寄りの返事が出た。やったね、外デートだ!
「けど、外でサカったら埋める」
「しないしない、健全に行動するって。外でのチューも控えるし」
マジの口調で脅す香坂に、僕はニコニコ笑顔を返す。
「ていうか香坂、大型バイクの免許なんて持ってるんだな」
「高校の時、アニキがバイク貸してやるって言うからとった」
僕のそもそもの質問に、香坂が答えた。ふむふむ、従兄さんは高校の頃から香坂を可愛がっていたとな。香坂、高校だと学校にはどうやって来てたっけ? いや、学校で許可が出るのは原付きまでか。じゃあプライベートで乗っていたんだな。
「バイク、似合いそうだもんね」
香坂がバイクに乗る姿は、想像しても様になっているよね。
「なんだそれ……恥ずいヤツ」
香坂がしかめっ面をしたいようでにやけてしまうみたいな、変な顔になった。うむ、照れてますな!
「おめぇは乗れんのかよ」
とにかく嬉しくてご機嫌な僕に、香坂が眉間に皺を寄せてそう言ってからフイッとそっぽを向く。
「実家で原付きにたまに乗るくらいは」
僕のバイク経験なんてそんなもんだよ。
「じゃあ乗るなら俺とタンデムな」
「いいね!」
というわけで、無事デートが決まった!
行先も話し合った末、海沿いをツーリングすることになる。山は暑さが落ち着いてキャンプにいい季節だっていうことで、人が多いんだってさ。
「楽しみだね~!」
「……ふん」
ニコニコの僕に、香坂は目をあわせずに鼻を鳴らす。
ちなみにこの後、つみれ鍋は〆の雑炊まで美味しくいただきました。
薄々感じてはいたんだけれど、香坂は僕というパートナーと外に出かけるのが怖いみたいだ。男Ωって色々な目で見られるし、それ以外にも、どうも家族とのなんだかんだでのトラウマっぽい事情があるみたい。ちゃんとは聞いていないけど、親とは香坂がΩになったので仲が拗れているようで。そもそもが、両親が躾に厳しい人たちだったけれど、それになんらかの理由で反発して不良になったみたいだし。
ウチの家はほぼ放任で、なにをするにも「自己責任で好きにしろ」っていう風なんだけど、家族も色々あるんだなぁ。
それはともかくとして。
「お前は構え過ぎだって。だいたいが誰もかれも自分のことばっかり考えて、余所のペアがどうのなんて見ちゃいねぇよ」
「……けどさ」
従兄さんの意見は案外真実だろうけど、香坂の迷いを消すまではいかないっぽいな。う~ん、でも外デートは正直やりたい。「僕のΩってカッコよくね?」って言いたい。
「なぁ、まずは友達デートしよ?」
僕がお気楽な感じで話に乗ってみるけど、香坂はまだ絆されない。
「いい景色見て、美味しいもの食べて、あと温泉があったら最高だよね~♪」
温泉に家族風呂があればあわよくば、なんてラッキーはこの際心の奥に秘めておくとして。今は無害アピールの時間だ。
「紅葉はまだ早いかもしれないけど、行楽シーズンではあるじゃんか。北に行く? それとも南に行く?」
「そっそ、その程度のノリよ。ダチと遊びに行くだけじゃんか。俺のバイクでどっか行ってきな」
僕のテンションに従兄さんも合わせてくると、香坂もだんだんと深刻な問題じゃあないような気分になってきたようで。
「まあ、ダチとツーリングなら、いっか……?」
やっと香坂の口からOK寄りの返事が出た。やったね、外デートだ!
「けど、外でサカったら埋める」
「しないしない、健全に行動するって。外でのチューも控えるし」
マジの口調で脅す香坂に、僕はニコニコ笑顔を返す。
「ていうか香坂、大型バイクの免許なんて持ってるんだな」
「高校の時、アニキがバイク貸してやるって言うからとった」
僕のそもそもの質問に、香坂が答えた。ふむふむ、従兄さんは高校の頃から香坂を可愛がっていたとな。香坂、高校だと学校にはどうやって来てたっけ? いや、学校で許可が出るのは原付きまでか。じゃあプライベートで乗っていたんだな。
「バイク、似合いそうだもんね」
香坂がバイクに乗る姿は、想像しても様になっているよね。
「なんだそれ……恥ずいヤツ」
香坂がしかめっ面をしたいようでにやけてしまうみたいな、変な顔になった。うむ、照れてますな!
「おめぇは乗れんのかよ」
とにかく嬉しくてご機嫌な僕に、香坂が眉間に皺を寄せてそう言ってからフイッとそっぽを向く。
「実家で原付きにたまに乗るくらいは」
僕のバイク経験なんてそんなもんだよ。
「じゃあ乗るなら俺とタンデムな」
「いいね!」
というわけで、無事デートが決まった!
行先も話し合った末、海沿いをツーリングすることになる。山は暑さが落ち着いてキャンプにいい季節だっていうことで、人が多いんだってさ。
「楽しみだね~!」
「……ふん」
ニコニコの僕に、香坂は目をあわせずに鼻を鳴らす。
ちなみにこの後、つみれ鍋は〆の雑炊まで美味しくいただきました。
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