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第1章 【獣の爪痕】
第1章3 【不安=期待】
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日はとっくに沈んでしまい、森の瘴気団の調査は明日からとなった。
この日の夕食は豪華とまでは言えないが、とても美味なものが並び、明日からの仕事を頑張らせようとする使用人さん達のおもてなし精神を感じた。
焼きたてのパンに、白身魚のスープ。採れたてで水々しいサラダに、少し歯応えを感じるお肉……ちょっと獣臭さを感じるけど、気のせいだよね?まあ、ヴァルが豪快に全て平らげたし、他のみんなも特に疑問には感じてない様子だったので、ただの勘違いかな?と私は済ましておいた。
ーーそれから、夕食を終えた私達は湯船に浸かり、男と女で分けられた部屋に戻って後は就寝するだけ、という形になった。
フウロ「セリカ、お前はあの絵に描かれていた瘴気団をどう思う?」
夜、私が髪を乾かしていると、フウロがそう尋ねてきた。フウロの髪は若干濡れていたが、それに自ら気づいたフウロが魔法を使って一瞬にして蒸発させた。わぁ、便利。後で教えて貰お。
まあ、それに関しては置いといてーー
「うーん?正直、瘴気団自体あまり見ることはないからなんとも言えないですねー」
私はフウロの質問に対してそう答えた。無理矢理に近い形で連れて来られたので、正直右も左も分からない状態。まあ、そこはフウロがビシッとリーダーシップを発揮してくれるでしょ、と安易な考えを持っている。
フウロ「そうか。まあ、私もあれに関してはなんとも言えないからな」
「ですよね~。というか、丸いから何?とも思ってるんですけど」
フウロ「そうだろうな。たかが瘴気団の密度が濃くなったくらいで、なぜ魔獣が増えるのかって私は思う」
あ、それは私思わなかった。確かに、瘴気団が丸いからって何で魔獣が増えるんだろう? 密集してる状態なんだから、普段の瘴気と違って、周りに飛び散っていくことはないはずなのに。
フウロ「まあ、私達魔導士が調査に出れば自ずと答えも分かってくるのだろう。下手すれば死ぬかもしれんが……」
「え、縁起でもないこと言わないでくださいよー!」
フウロ「ハハッ、すまんすまん。ちょっと驚かせてやろうと思っただけだ」
……フウロがこんな事で冗談を言うとは思えないんだけどなぁ。こんな事に限らず、常に冗談は吐かなそうだけど、見た目と印象は一致しないって自分で結論づけてるし、関係はないか。
フウロ「ーー明日からの調査、心して掛かろう」
「はい!あ、それとーー」
私はそう返事をして、さっきのあの魔法について聞こうと思った。しかし、それより先にフウロがぐっすりと眠り、小さな寝息を立てていた。
「あ……おやすみ。フウロ」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「ふぁ~あ」
大きなあくびとともに、私は体を起こす。
フウロ「やっと起きたか」
「あ、フウロおはよう……」
目を擦りながら、ぼやけた視界に映るフウロに向かって言う。
フウロ「おはよう、セリカ」
寝ぼけてよく見えなかったが、フウロはもうとっくに着替えを済ませていたようだ。
「今日は随分と早いですね……」
フウロ「調査に出るからな。森は近いが、例の瘴気団が発見された場所はかなり奥だ。行ってそこから調査して帰るとなると、帰り道は真っ暗になってしまうかもしれない。野宿は嫌だろ?」
「そうですね」
「そういう事で、早くに行って早く帰る。これに尽きる。さて、さっき使用人が持ってきた朝食をそこに置いてといた。早く食べて着替えてくれ。私はヴァル達を起こしに行く」
近くの机に、小さくまとまったご飯と味噌汁が置いてあった。着替えも、いつの間にか綺麗に畳んで置かれていた。
「分かりました」
私の返事を聞いてから、フウロは部屋を出て行った。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヴァル「うぇ~もう腹一杯~」
「起きろ!お前ら!」
私は部屋に入るなり、大声で言った。
ヴェルド「もうちょっとくらい寝かせてくれよぉ」
ヴェルドが目を閉じたまま言う。
「いい度胸してるなお前ら。よろしい、寝てる奴は今すぐ斬り刻んでやる」
そう言い、私は鞘から剣を抜き出し、わざとらしく音を立てて鞘を投げ捨てる。そして、殺人的な光線を込めて2人を見下ろす。
「「 分かった!分かった!もう起きたよ!!! 」」
ヴァルとヴェルドが慌ててベッドから出てくる。二度寝する気配はない。私は投げ捨てた鞘を拾い、剣を収める。
「全く、さっさと朝飯食って着替えてフロントへ来い!」
ヴァル「はい、分かりました」
ヴェルド「はい、分かりました」
ヴァルとヴェルドが揃って正座をし、ビシッと腰を立てて私の目を見る。
「よし」
こんなのだから鬼姫など呼ばれてしまうのは重々承知しているが、ギルド全体がヘラヘラとしていると、必ずどこかで大事を起こす。だから私は、自ら悪役のような立場を演じて皆に緊張感を与える。ーー特に、今回の依頼の場合、こうしてヘラヘラされると真面目に命を落としかねないからな。
2人の実力は信頼している。だからこそ、2人には死んでほしくない。ーーというのを、口で言えたらと思うが、言ってしまったらもうそれまでだ。
さて、置き忘れてしまった鞄を取りに戻って、フロントに行こう。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
フウロ「寝てる奴は今すぐ斬り刻んでやる」
隣のヴァル達の部屋から聞こえてきたフウロの怒声……。私は僅かどころではなく、完全な"恐怖"を抱いていた。あ、これ逆らったら死ぬやつだ、とーー
フウロ「セリカ着替えたか?」
そんなことを考えていたら、なぜかフウロが戻ってきた。もしかして心でも読まれてる!?
「う、うん!あ、もしかして鞄でも取りに来た?」
心臓が飛び出しそうになるのを必死に抑え、私はどうにか平静を装ってフウロにそう言う。だが、自分でも気づけるほどに動揺が言葉に写っている。
フウロ「? ああ、そうだが、そんなに慌ててどうかしたか?」
フウロは机の上に置いてあるショルダーバッグを手に持ち、怪しげに私の顔を見つめてくる。
ーーあちゃ~これバレてる……バレてるって表現でいいのかな?なんか違う気がするけど、関係が悪くなりそうで怖いよ~。
フウロ「まあいいか。セリカもさっさと支度を済ませて1階にまで降りてこい」
「は、はい!」
フウロが静かに扉を開け、外に出て行った。
「……怖っ!」
こんな人がいるっていうのに、なぜグランメモリーズというギルドはあんなにも喧しいのだろうか。もしや、酷くなったら止めてるだけで、普段はミラさんもフウロも見逃してるんじゃ?
ーーとりあえず、ヴァルとヴェルド……いや、ギルドのみんながフウロを鬼姫と恐れる理由が分かった。怒らせないようにしとかないと……
私は小さなポーチを手にし、フウロの後を追うようにして部屋を出たーー
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
フウロ「ヴァル、ヴェルド、セリカ……。よし、全員揃ってるな」
ヴェルド「準備バッチリだぜ、こっちは……って言いたいところだが……」
フロントでの点呼。みんな、特に問題とかはなくちゃんと集まれている。ただ1つの問題を除いてーー
「どうしたの?ヴァル」
なんだかヴァルが気持ち悪そうにしている。フウロが怒鳴りつけに行った時は、隣からヴァルの声も聞こえてきたし、元気だと思ってたのだけれど、この短時間に何があったのだろう?
ヴァル「昨日、ちょっと食いすぎたかもしれねぇ……」
「えぇ……」
確かに豪快に食ってはいたが、そんなに量無かったと……そういや、この人ちゃんと噛みながら食べてたっけ?
フウロ「ただの消化不良だ。運動すればどうにかなる」
ヴェルド「だろうな。昼辺りには絶対元気になってる」
その脳筋理論やめようよ。もしこれで本当に何かあったとしたらどうするのよ……もしかして、私がどうにかしなくちゃいけない?だからフウロは私を連れてきたの?
ここに来て新たな疑問符が私の頭の上を走り回っている。もしかしなくとも、私は厄介事を処理するために呼ばれたのかもしれない……でなけりゃ、入って1週間の人を死ぬかもしれない依頼に連れて行かないでしょ。
ディラン「おや、みんなお揃いかね」
ーーと、私がちょっとした不信感を抱いていると、スーツ姿に着替えたディランがやって来た。
「あ、おはようございます」
ディラン「うん、おはよう」
私の挨拶に、ディランは気持ち良く挨拶を返してくれた。
フウロ「これから調査に出かける私達を放って、お前は選挙活動か」
ディラン「棘のある言い方だなぁ。まあ、間違ってないさ。これも、村長としてこの村を守り続けるための通過儀礼みたいなものだからね」
フウロ「どうせお前以外にろくな奴は現れないだろうに」
ディラン「ハハッ分からんよ?未来ある若者が私の地位を奪いに来るかもしれんからな」
2人の会話を聞く限り、どうやらディランは選挙活動に出かけるっぽい。少しふくよかな体をしているが、なぜかスーツ姿が妙に様になってる。こんな小さな村なのに、スーツを着こなせるって凄いな。私のお父さんですらちょっとダサい感じなのに……いや、あの人のことを考えるのはやめとこ。
ディラン「では、グランメモリーズの調査隊。己の命だけを最優先にして調査に励んでくれたまえ」
ディランがビシッと敬礼をして、私達を激励してくれる。
フウロ「分かった。ディランも、体と害虫に気を付けて次の村長の座を維持しろ。では行ってくる」
フウロが先頭を行き、私はその後に続くようにして出発する。後ろには腹を抱えたヴァルと、それを介抱してるのかしてないのかよく分からない姿勢のヴェルドが続く。
戦力に関して不安はないが、それ以外に関しては不安しかないこのメンバー。しかし、私にとって初の大仕事。絶対に成し遂げてみせる!
私は1人、そう決意をして屋敷の玄関を通り過ぎたーー
この日の夕食は豪華とまでは言えないが、とても美味なものが並び、明日からの仕事を頑張らせようとする使用人さん達のおもてなし精神を感じた。
焼きたてのパンに、白身魚のスープ。採れたてで水々しいサラダに、少し歯応えを感じるお肉……ちょっと獣臭さを感じるけど、気のせいだよね?まあ、ヴァルが豪快に全て平らげたし、他のみんなも特に疑問には感じてない様子だったので、ただの勘違いかな?と私は済ましておいた。
ーーそれから、夕食を終えた私達は湯船に浸かり、男と女で分けられた部屋に戻って後は就寝するだけ、という形になった。
フウロ「セリカ、お前はあの絵に描かれていた瘴気団をどう思う?」
夜、私が髪を乾かしていると、フウロがそう尋ねてきた。フウロの髪は若干濡れていたが、それに自ら気づいたフウロが魔法を使って一瞬にして蒸発させた。わぁ、便利。後で教えて貰お。
まあ、それに関しては置いといてーー
「うーん?正直、瘴気団自体あまり見ることはないからなんとも言えないですねー」
私はフウロの質問に対してそう答えた。無理矢理に近い形で連れて来られたので、正直右も左も分からない状態。まあ、そこはフウロがビシッとリーダーシップを発揮してくれるでしょ、と安易な考えを持っている。
フウロ「そうか。まあ、私もあれに関してはなんとも言えないからな」
「ですよね~。というか、丸いから何?とも思ってるんですけど」
フウロ「そうだろうな。たかが瘴気団の密度が濃くなったくらいで、なぜ魔獣が増えるのかって私は思う」
あ、それは私思わなかった。確かに、瘴気団が丸いからって何で魔獣が増えるんだろう? 密集してる状態なんだから、普段の瘴気と違って、周りに飛び散っていくことはないはずなのに。
フウロ「まあ、私達魔導士が調査に出れば自ずと答えも分かってくるのだろう。下手すれば死ぬかもしれんが……」
「え、縁起でもないこと言わないでくださいよー!」
フウロ「ハハッ、すまんすまん。ちょっと驚かせてやろうと思っただけだ」
……フウロがこんな事で冗談を言うとは思えないんだけどなぁ。こんな事に限らず、常に冗談は吐かなそうだけど、見た目と印象は一致しないって自分で結論づけてるし、関係はないか。
フウロ「ーー明日からの調査、心して掛かろう」
「はい!あ、それとーー」
私はそう返事をして、さっきのあの魔法について聞こうと思った。しかし、それより先にフウロがぐっすりと眠り、小さな寝息を立てていた。
「あ……おやすみ。フウロ」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「ふぁ~あ」
大きなあくびとともに、私は体を起こす。
フウロ「やっと起きたか」
「あ、フウロおはよう……」
目を擦りながら、ぼやけた視界に映るフウロに向かって言う。
フウロ「おはよう、セリカ」
寝ぼけてよく見えなかったが、フウロはもうとっくに着替えを済ませていたようだ。
「今日は随分と早いですね……」
フウロ「調査に出るからな。森は近いが、例の瘴気団が発見された場所はかなり奥だ。行ってそこから調査して帰るとなると、帰り道は真っ暗になってしまうかもしれない。野宿は嫌だろ?」
「そうですね」
「そういう事で、早くに行って早く帰る。これに尽きる。さて、さっき使用人が持ってきた朝食をそこに置いてといた。早く食べて着替えてくれ。私はヴァル達を起こしに行く」
近くの机に、小さくまとまったご飯と味噌汁が置いてあった。着替えも、いつの間にか綺麗に畳んで置かれていた。
「分かりました」
私の返事を聞いてから、フウロは部屋を出て行った。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヴァル「うぇ~もう腹一杯~」
「起きろ!お前ら!」
私は部屋に入るなり、大声で言った。
ヴェルド「もうちょっとくらい寝かせてくれよぉ」
ヴェルドが目を閉じたまま言う。
「いい度胸してるなお前ら。よろしい、寝てる奴は今すぐ斬り刻んでやる」
そう言い、私は鞘から剣を抜き出し、わざとらしく音を立てて鞘を投げ捨てる。そして、殺人的な光線を込めて2人を見下ろす。
「「 分かった!分かった!もう起きたよ!!! 」」
ヴァルとヴェルドが慌ててベッドから出てくる。二度寝する気配はない。私は投げ捨てた鞘を拾い、剣を収める。
「全く、さっさと朝飯食って着替えてフロントへ来い!」
ヴァル「はい、分かりました」
ヴェルド「はい、分かりました」
ヴァルとヴェルドが揃って正座をし、ビシッと腰を立てて私の目を見る。
「よし」
こんなのだから鬼姫など呼ばれてしまうのは重々承知しているが、ギルド全体がヘラヘラとしていると、必ずどこかで大事を起こす。だから私は、自ら悪役のような立場を演じて皆に緊張感を与える。ーー特に、今回の依頼の場合、こうしてヘラヘラされると真面目に命を落としかねないからな。
2人の実力は信頼している。だからこそ、2人には死んでほしくない。ーーというのを、口で言えたらと思うが、言ってしまったらもうそれまでだ。
さて、置き忘れてしまった鞄を取りに戻って、フロントに行こう。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
フウロ「寝てる奴は今すぐ斬り刻んでやる」
隣のヴァル達の部屋から聞こえてきたフウロの怒声……。私は僅かどころではなく、完全な"恐怖"を抱いていた。あ、これ逆らったら死ぬやつだ、とーー
フウロ「セリカ着替えたか?」
そんなことを考えていたら、なぜかフウロが戻ってきた。もしかして心でも読まれてる!?
「う、うん!あ、もしかして鞄でも取りに来た?」
心臓が飛び出しそうになるのを必死に抑え、私はどうにか平静を装ってフウロにそう言う。だが、自分でも気づけるほどに動揺が言葉に写っている。
フウロ「? ああ、そうだが、そんなに慌ててどうかしたか?」
フウロは机の上に置いてあるショルダーバッグを手に持ち、怪しげに私の顔を見つめてくる。
ーーあちゃ~これバレてる……バレてるって表現でいいのかな?なんか違う気がするけど、関係が悪くなりそうで怖いよ~。
フウロ「まあいいか。セリカもさっさと支度を済ませて1階にまで降りてこい」
「は、はい!」
フウロが静かに扉を開け、外に出て行った。
「……怖っ!」
こんな人がいるっていうのに、なぜグランメモリーズというギルドはあんなにも喧しいのだろうか。もしや、酷くなったら止めてるだけで、普段はミラさんもフウロも見逃してるんじゃ?
ーーとりあえず、ヴァルとヴェルド……いや、ギルドのみんながフウロを鬼姫と恐れる理由が分かった。怒らせないようにしとかないと……
私は小さなポーチを手にし、フウロの後を追うようにして部屋を出たーー
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
フウロ「ヴァル、ヴェルド、セリカ……。よし、全員揃ってるな」
ヴェルド「準備バッチリだぜ、こっちは……って言いたいところだが……」
フロントでの点呼。みんな、特に問題とかはなくちゃんと集まれている。ただ1つの問題を除いてーー
「どうしたの?ヴァル」
なんだかヴァルが気持ち悪そうにしている。フウロが怒鳴りつけに行った時は、隣からヴァルの声も聞こえてきたし、元気だと思ってたのだけれど、この短時間に何があったのだろう?
ヴァル「昨日、ちょっと食いすぎたかもしれねぇ……」
「えぇ……」
確かに豪快に食ってはいたが、そんなに量無かったと……そういや、この人ちゃんと噛みながら食べてたっけ?
フウロ「ただの消化不良だ。運動すればどうにかなる」
ヴェルド「だろうな。昼辺りには絶対元気になってる」
その脳筋理論やめようよ。もしこれで本当に何かあったとしたらどうするのよ……もしかして、私がどうにかしなくちゃいけない?だからフウロは私を連れてきたの?
ここに来て新たな疑問符が私の頭の上を走り回っている。もしかしなくとも、私は厄介事を処理するために呼ばれたのかもしれない……でなけりゃ、入って1週間の人を死ぬかもしれない依頼に連れて行かないでしょ。
ディラン「おや、みんなお揃いかね」
ーーと、私がちょっとした不信感を抱いていると、スーツ姿に着替えたディランがやって来た。
「あ、おはようございます」
ディラン「うん、おはよう」
私の挨拶に、ディランは気持ち良く挨拶を返してくれた。
フウロ「これから調査に出かける私達を放って、お前は選挙活動か」
ディラン「棘のある言い方だなぁ。まあ、間違ってないさ。これも、村長としてこの村を守り続けるための通過儀礼みたいなものだからね」
フウロ「どうせお前以外にろくな奴は現れないだろうに」
ディラン「ハハッ分からんよ?未来ある若者が私の地位を奪いに来るかもしれんからな」
2人の会話を聞く限り、どうやらディランは選挙活動に出かけるっぽい。少しふくよかな体をしているが、なぜかスーツ姿が妙に様になってる。こんな小さな村なのに、スーツを着こなせるって凄いな。私のお父さんですらちょっとダサい感じなのに……いや、あの人のことを考えるのはやめとこ。
ディラン「では、グランメモリーズの調査隊。己の命だけを最優先にして調査に励んでくれたまえ」
ディランがビシッと敬礼をして、私達を激励してくれる。
フウロ「分かった。ディランも、体と害虫に気を付けて次の村長の座を維持しろ。では行ってくる」
フウロが先頭を行き、私はその後に続くようにして出発する。後ろには腹を抱えたヴァルと、それを介抱してるのかしてないのかよく分からない姿勢のヴェルドが続く。
戦力に関して不安はないが、それ以外に関しては不安しかないこのメンバー。しかし、私にとって初の大仕事。絶対に成し遂げてみせる!
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