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第8章√NH 【星界の家族】
第8章10 【俺達の戦い】
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隊長が死んだ。
総隊長も死んだ。
お兄ちゃんも死んだ。
大切な人が3人も死んだ。なのに、戦争は終わらない。
おかしい。おかしいよ......こんな世の中。
......なんで、私は生き残ってしまったの?
ねぇ、誰か教えてよ。
なんでお兄ちゃん達が死ぬ必要があったの?
なんで隊長が死ぬ必要があったの?
なんで総隊長が死ぬ必要があったの?
戦争に、意味はあるの?
敵も、私達も、何を求めてるの?
もうやめてよ。もう、人が死ぬのは散々だよ......。
シリウス「......やはり、敵の本拠地に攻め入るより他はないかと思います」
ペテルギウス「ええ。総隊長が死んだ今、奴らはウルガの復活を即座に行うでしょう。それを止めなければ、総隊長が命を落とした意味が無い。いえ、命を落とすことに意味はありませんがね」
デネブ「しかし、総隊長が欠けた今。いくら敵軍を幾つか削れていたとしても、俺達だけで行くには無理がある」
マーニ「そうです。皆さん感情的になってすぐに行動するのは良くないと思います」
アンタレス「だったら何だ。敵は直に世界の破壊に移る。冷静になって動くよりも先に、敵が動き出すよりも早くに、止めに行くのが先決かと思います」
デネブ「しかし......」
ポルックス「うるさいよ......」
「「「 ......! 」」」
みんなうるさいんだよ。
人が死んでるのに、誰も悲しむ素振りを見せない。それどころか、如何にして敵を倒すかばかりを考えている。
......お兄ちゃん。これが、人間なんだよ。お兄ちゃんが信じた人間の可能性ってのは、所詮小さくて握れば潰れるものなんだよ。
ポルックス「お兄ちゃんが、隊長が死んだのに、みんな次の戦いがどうのこうのってうるさいんだよ!世界の破壊が何よ!もうどうでもいいんだよ!」
「「「 ...... 」」」
なんで黙るんだよ。
何か言い返してみせてよ!
誰でもいいから、何か言ってよ!
「「「 ...... 」」」
ポルックス「......みんなおかしいよ。なんでそんな冷たい目が出来るの。みんなには思うことがないの?ねぇ!答えてよ!」
「「「 ...... 」」」
気づけば、私の両目から涙が出ている。
みんなに散々言ってるけど、私だって何も分かってない。何も答えられない。何も知らない......。
ポルックス「......もう......嫌なんだよ......」
アルレシャ「ポルックス......」
アルレシャは、そっと私の体を抱いてくる。
ポルックス「......もう......嫌なんだよ......」
アルレシャ「......ごめん」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
暗い暗い本に囲まれた部屋で、私は1人泣いていた。
そうだ。私は、2年前のあの日、お母さんを作って失敗した。
ーー家に帰ると、そこにいたのは何をやってもドジしかしないメイド、スピカ。突然『ご主人様』なんて言われるもんだから、最初は何がなんやらって感じだったけど、彼女の話を聞いていくにつれ、私は深く絶望した。
もっと早くに家に帰っていれば、お母さんを守ることが出来たかもしれない。そんなたらればの話をしても意味がないとは分かっている。でも、私はお母さんに会いたかった。お母さんに褒めてほしかった。もう、とっくに産まれたであろう妹の顔も見てみたかった。
全て、叶わぬ夢であった。だから、お母さんを蘇らせようとした。
軍に入ってからの研究で、『人体錬成』なるものが存在することは知っていた。
絶対禁忌。それは分かっていた。でも、お母さんには生きていてほしかった。だから、術を発動させた。
結果なんて、初めから分かっていたかもしれない。それでも、試してみないことには始まらない。それが、『科学者』ってものだから。
......私は、結果から逃げていた。
周りの力を借りて、私は逃げ続けていた。
全てを思い出した。
思い出したからには、逃げ続けるわけにはいかない。
逃れられない罪の数々を背に背負い、私は進んでいくしかない。
それが、私の償い。
イデアル「......」
白くなった髪の毛。そして、全身を襲う倦怠感。
外で何が起きてるのか。
知らない。だけど、少なくとも戦時中だったことは覚えてる。
イデアル「行かなきゃ......」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ネプチューン「ミルキーウェイは死んだ。だが、あの人はこちら側にやってこない。なぜだ?」
サターン「......」
「それは、俺が封じこめたからだ」
ネプチューン「......誰だ?」
ネプチューンとサターンの前に現れた、髭の濃い赤髪のオッサン。
ここ、殲滅軍の本部には、厳重な警備のせいで誰も入れないはず。俺は、このオッサンを知らない。誰が招いたんだ?
「名乗ろう。俺は、ヴァルガ。お前らが復活させようとしている、ウルガのかつての友だ」
サターン「ウルガ様の友......?」
ネプチューン「......なるほど。ミルキーウェイ達と同じというわけか」
ヴァルガ......聞いた事のない名前だ。
だが、総隊長と同じ存在。ということは......?
ヴァルガ「ウルガを現世へ呼び戻すことはさせん」
サターン「オッサン。俺達にはあの人が必要ななんだよ」
ネプチューン「ウルガ様をこちらに呼んでもらおうか」
ヴァルガ「残念だが、それは出来ん。お前達は、ここで終わりだ」
お互いが戦闘態勢に入っている。
この状況を、急いで総隊長達に知らせに行かねば。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ポルックス「っ......っ......」
何をやってんだろうな。私達は。
ポルックスの言う通りだった。仲間が死んでるのに、次の戦場戦場って、大馬鹿すぎる。
これは戦争。だから、人が死のうが関係ない。そう思っていた。
......ダメだな。こんな事で悩んでしまっては。
イデアル「皆様、殲滅軍の本拠地へと行きましょう」
シリウス「......イデアル?」
どうして彼女がここに?
あのネイとかいう奴のせいで、意識不明状態になっていたはずだ。なぜここにいる?
イデアル「皆様、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」
シリウス「......もう、大丈夫なのか?」
イデアル「ええ。何があったかは全て聞きました」
シリウス「......そうか。誰に聞いたんだ?」
主要人物は概ねここに集まっている。来てない者は死んだと思われる者のみ。
イデアル「ベガ様です」
シリウス「ベガ......?」
ソール「ここにいないってことは、てっきり死んじゃったのかと思ってたけど......」
イデアル「いえ。むしろピンピンしてました。何やら、妹のユリナスって人を抱えてましたけど......」
太陽系の1人......アース、マースと同じように、捕虜にしたというわけか。
イデアル「それと、プルトと名乗る人が総隊長様に会いたがっております」
プルト......今の今まで姿を見せに来なかったが、何かあったのか?
......いや待て。イデアルもベガも、総隊長が死んだことを知らないのか。どう伝えるべきか......
シリウス「......イデアル、報告しておかねばならないことがある」
イデアル「......?」
シリウス「......総隊長ミルキーウェイ、第2部隊隊長アルタイル、そしてカストルが戦死した」
イデアル「......!?」
シリウス「太陽系の中で、戦死したのはジュピターとヴィネスのみ。捕虜にしたのが、アースとマース。そして、先の話からユリナスも捕虜にしたことになる。そして、残っているのはネプチューン、サターン、この戦いで姿を見せなかったマーキュリーのみだ」
イデアル「......そう、ですか」
イデアルの顔に曇りがかかる。そらそうだ。身近な人物が死んだのだからな。冷静でいられる方がおかしい。
......ポルックスに言われるまでは、私達は冷静なフリをしていたがな。それももうやめだ。悲しむべき時は悲しむべきだ。
プルト「あの、イデアルさん。まだかかりそうですか?」
シリウス「プルト......」
痺れを切らしたのか、プルトが顔を見せに来た。
随分と疲れがにじみ出ている顔をしている。まあ、殲滅軍の本拠地からここまでは、かなりの距離があるしな。魔法を使って移動しても、その体への負担は尋常ではないだろう。
プルト「あ、あの......なんか、とんでもないタイミングで来ちゃいました?」
シリウス「いや、なんでもない。報告があるのなら、ここで話せ」
プルト「い、いやでも、まずは総隊長に報告してからでないと......」
シリウス「その総隊長が死んだ。だからここで話せ」
プルト「......そ、そういえば、ネプチューンがそんな事を言っていたような......」
シリウス「いいから話せ!」
プルト「は、はい......!こっそりと聞こえた程度なのですが、ヴァルガと名乗る者が突然殲滅軍本拠地に現れ、ネプチューン、サターンと交戦中」
シリウス「ヴァルガ......か」
聞いた事のない名前だ。だが、ネプチューン、サターンと交戦中か。
プルト「ただ、マーキュリーは未だに姿を見せていません」
本拠地にもいないか。じゃあどこにいるんだ?
正直、残った相手の組み合わせが最悪だと言えなくもない。戦場を死の海に変えるネプチューン。悪魔を憑依させて猛攻をしかけてくるサターン。そして、こちらの攻撃全てを防ぐマーキュリー。
星界軍の被害は奴らの比じゃない。どうやって戦えと......待てよ。そのヴァルガって奴がとんでもない力の持ち主だとしたら......それに、イデアルが立ち直ったことにより、あいつが協力してくれるかもしれん。
......いや、そんな他力本願な願いはダメだ。
シリウス「......」
ペテルギウス「......今が最大のチャンスでしょう」
シリウス「チャンス......とは?」
ペテルギウス「ヴァルガという者が1人で2人を相手にしている。ならば、私達はマーキュリーを倒し、ネプチューンとサターンも倒し、ウルガの復活を阻止するべきです」
アンタレス「マーキュリーの居場所は分かってるのか?」
ペテルギウス「......ポルックスさん。あなたの占いの力で調べられませんか?」
ポルックス「......」
ペテルギウス「酷なことだとは承知しております。ですが、仇を討つには今しかありません」
ポルックス「......分かった。お兄ちゃんのためなら」
相変わらずの巧みな話術だ。それだけ話し上手なら、いっその事お前が占い師にでもなってみろ。ただのペテン野郎になるかもしれんが。
......私達に、勝ち目はあるのだろうか。
あれだけ強かった総隊長を、いとも簡単に殺めてしまうような奴らだ。私達が束になったところで、勝つことが出来るのだろうか。
......抗うしかない。それが、出来る唯一の方法だ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
これは......?
なるほど。そう来ましたか。
ヴァルガ。よく考えたものです。ですが、これしきの壁、私が蘇るまでの時間を稼いでるに過ぎないことは分かっていますよね?
私が復活した時、あなた達はどのようにして抗うのでしょうか?
あなたが倒しますか?それとも星界軍ですか?それとも、裏切り者ですか?
いいえ。あなた達に私を倒すことは不可能でしょう。なぜなら、あなた達は絶望を知らないのですから。
待っていなさい、ヴァルガ。あなたを殺すのは、私の役目です。殲滅軍になど負けないようにしてくださいね。
総隊長も死んだ。
お兄ちゃんも死んだ。
大切な人が3人も死んだ。なのに、戦争は終わらない。
おかしい。おかしいよ......こんな世の中。
......なんで、私は生き残ってしまったの?
ねぇ、誰か教えてよ。
なんでお兄ちゃん達が死ぬ必要があったの?
なんで隊長が死ぬ必要があったの?
なんで総隊長が死ぬ必要があったの?
戦争に、意味はあるの?
敵も、私達も、何を求めてるの?
もうやめてよ。もう、人が死ぬのは散々だよ......。
シリウス「......やはり、敵の本拠地に攻め入るより他はないかと思います」
ペテルギウス「ええ。総隊長が死んだ今、奴らはウルガの復活を即座に行うでしょう。それを止めなければ、総隊長が命を落とした意味が無い。いえ、命を落とすことに意味はありませんがね」
デネブ「しかし、総隊長が欠けた今。いくら敵軍を幾つか削れていたとしても、俺達だけで行くには無理がある」
マーニ「そうです。皆さん感情的になってすぐに行動するのは良くないと思います」
アンタレス「だったら何だ。敵は直に世界の破壊に移る。冷静になって動くよりも先に、敵が動き出すよりも早くに、止めに行くのが先決かと思います」
デネブ「しかし......」
ポルックス「うるさいよ......」
「「「 ......! 」」」
みんなうるさいんだよ。
人が死んでるのに、誰も悲しむ素振りを見せない。それどころか、如何にして敵を倒すかばかりを考えている。
......お兄ちゃん。これが、人間なんだよ。お兄ちゃんが信じた人間の可能性ってのは、所詮小さくて握れば潰れるものなんだよ。
ポルックス「お兄ちゃんが、隊長が死んだのに、みんな次の戦いがどうのこうのってうるさいんだよ!世界の破壊が何よ!もうどうでもいいんだよ!」
「「「 ...... 」」」
なんで黙るんだよ。
何か言い返してみせてよ!
誰でもいいから、何か言ってよ!
「「「 ...... 」」」
ポルックス「......みんなおかしいよ。なんでそんな冷たい目が出来るの。みんなには思うことがないの?ねぇ!答えてよ!」
「「「 ...... 」」」
気づけば、私の両目から涙が出ている。
みんなに散々言ってるけど、私だって何も分かってない。何も答えられない。何も知らない......。
ポルックス「......もう......嫌なんだよ......」
アルレシャ「ポルックス......」
アルレシャは、そっと私の体を抱いてくる。
ポルックス「......もう......嫌なんだよ......」
アルレシャ「......ごめん」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
暗い暗い本に囲まれた部屋で、私は1人泣いていた。
そうだ。私は、2年前のあの日、お母さんを作って失敗した。
ーー家に帰ると、そこにいたのは何をやってもドジしかしないメイド、スピカ。突然『ご主人様』なんて言われるもんだから、最初は何がなんやらって感じだったけど、彼女の話を聞いていくにつれ、私は深く絶望した。
もっと早くに家に帰っていれば、お母さんを守ることが出来たかもしれない。そんなたらればの話をしても意味がないとは分かっている。でも、私はお母さんに会いたかった。お母さんに褒めてほしかった。もう、とっくに産まれたであろう妹の顔も見てみたかった。
全て、叶わぬ夢であった。だから、お母さんを蘇らせようとした。
軍に入ってからの研究で、『人体錬成』なるものが存在することは知っていた。
絶対禁忌。それは分かっていた。でも、お母さんには生きていてほしかった。だから、術を発動させた。
結果なんて、初めから分かっていたかもしれない。それでも、試してみないことには始まらない。それが、『科学者』ってものだから。
......私は、結果から逃げていた。
周りの力を借りて、私は逃げ続けていた。
全てを思い出した。
思い出したからには、逃げ続けるわけにはいかない。
逃れられない罪の数々を背に背負い、私は進んでいくしかない。
それが、私の償い。
イデアル「......」
白くなった髪の毛。そして、全身を襲う倦怠感。
外で何が起きてるのか。
知らない。だけど、少なくとも戦時中だったことは覚えてる。
イデアル「行かなきゃ......」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ネプチューン「ミルキーウェイは死んだ。だが、あの人はこちら側にやってこない。なぜだ?」
サターン「......」
「それは、俺が封じこめたからだ」
ネプチューン「......誰だ?」
ネプチューンとサターンの前に現れた、髭の濃い赤髪のオッサン。
ここ、殲滅軍の本部には、厳重な警備のせいで誰も入れないはず。俺は、このオッサンを知らない。誰が招いたんだ?
「名乗ろう。俺は、ヴァルガ。お前らが復活させようとしている、ウルガのかつての友だ」
サターン「ウルガ様の友......?」
ネプチューン「......なるほど。ミルキーウェイ達と同じというわけか」
ヴァルガ......聞いた事のない名前だ。
だが、総隊長と同じ存在。ということは......?
ヴァルガ「ウルガを現世へ呼び戻すことはさせん」
サターン「オッサン。俺達にはあの人が必要ななんだよ」
ネプチューン「ウルガ様をこちらに呼んでもらおうか」
ヴァルガ「残念だが、それは出来ん。お前達は、ここで終わりだ」
お互いが戦闘態勢に入っている。
この状況を、急いで総隊長達に知らせに行かねば。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ポルックス「っ......っ......」
何をやってんだろうな。私達は。
ポルックスの言う通りだった。仲間が死んでるのに、次の戦場戦場って、大馬鹿すぎる。
これは戦争。だから、人が死のうが関係ない。そう思っていた。
......ダメだな。こんな事で悩んでしまっては。
イデアル「皆様、殲滅軍の本拠地へと行きましょう」
シリウス「......イデアル?」
どうして彼女がここに?
あのネイとかいう奴のせいで、意識不明状態になっていたはずだ。なぜここにいる?
イデアル「皆様、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」
シリウス「......もう、大丈夫なのか?」
イデアル「ええ。何があったかは全て聞きました」
シリウス「......そうか。誰に聞いたんだ?」
主要人物は概ねここに集まっている。来てない者は死んだと思われる者のみ。
イデアル「ベガ様です」
シリウス「ベガ......?」
ソール「ここにいないってことは、てっきり死んじゃったのかと思ってたけど......」
イデアル「いえ。むしろピンピンしてました。何やら、妹のユリナスって人を抱えてましたけど......」
太陽系の1人......アース、マースと同じように、捕虜にしたというわけか。
イデアル「それと、プルトと名乗る人が総隊長様に会いたがっております」
プルト......今の今まで姿を見せに来なかったが、何かあったのか?
......いや待て。イデアルもベガも、総隊長が死んだことを知らないのか。どう伝えるべきか......
シリウス「......イデアル、報告しておかねばならないことがある」
イデアル「......?」
シリウス「......総隊長ミルキーウェイ、第2部隊隊長アルタイル、そしてカストルが戦死した」
イデアル「......!?」
シリウス「太陽系の中で、戦死したのはジュピターとヴィネスのみ。捕虜にしたのが、アースとマース。そして、先の話からユリナスも捕虜にしたことになる。そして、残っているのはネプチューン、サターン、この戦いで姿を見せなかったマーキュリーのみだ」
イデアル「......そう、ですか」
イデアルの顔に曇りがかかる。そらそうだ。身近な人物が死んだのだからな。冷静でいられる方がおかしい。
......ポルックスに言われるまでは、私達は冷静なフリをしていたがな。それももうやめだ。悲しむべき時は悲しむべきだ。
プルト「あの、イデアルさん。まだかかりそうですか?」
シリウス「プルト......」
痺れを切らしたのか、プルトが顔を見せに来た。
随分と疲れがにじみ出ている顔をしている。まあ、殲滅軍の本拠地からここまでは、かなりの距離があるしな。魔法を使って移動しても、その体への負担は尋常ではないだろう。
プルト「あ、あの......なんか、とんでもないタイミングで来ちゃいました?」
シリウス「いや、なんでもない。報告があるのなら、ここで話せ」
プルト「い、いやでも、まずは総隊長に報告してからでないと......」
シリウス「その総隊長が死んだ。だからここで話せ」
プルト「......そ、そういえば、ネプチューンがそんな事を言っていたような......」
シリウス「いいから話せ!」
プルト「は、はい......!こっそりと聞こえた程度なのですが、ヴァルガと名乗る者が突然殲滅軍本拠地に現れ、ネプチューン、サターンと交戦中」
シリウス「ヴァルガ......か」
聞いた事のない名前だ。だが、ネプチューン、サターンと交戦中か。
プルト「ただ、マーキュリーは未だに姿を見せていません」
本拠地にもいないか。じゃあどこにいるんだ?
正直、残った相手の組み合わせが最悪だと言えなくもない。戦場を死の海に変えるネプチューン。悪魔を憑依させて猛攻をしかけてくるサターン。そして、こちらの攻撃全てを防ぐマーキュリー。
星界軍の被害は奴らの比じゃない。どうやって戦えと......待てよ。そのヴァルガって奴がとんでもない力の持ち主だとしたら......それに、イデアルが立ち直ったことにより、あいつが協力してくれるかもしれん。
......いや、そんな他力本願な願いはダメだ。
シリウス「......」
ペテルギウス「......今が最大のチャンスでしょう」
シリウス「チャンス......とは?」
ペテルギウス「ヴァルガという者が1人で2人を相手にしている。ならば、私達はマーキュリーを倒し、ネプチューンとサターンも倒し、ウルガの復活を阻止するべきです」
アンタレス「マーキュリーの居場所は分かってるのか?」
ペテルギウス「......ポルックスさん。あなたの占いの力で調べられませんか?」
ポルックス「......」
ペテルギウス「酷なことだとは承知しております。ですが、仇を討つには今しかありません」
ポルックス「......分かった。お兄ちゃんのためなら」
相変わらずの巧みな話術だ。それだけ話し上手なら、いっその事お前が占い師にでもなってみろ。ただのペテン野郎になるかもしれんが。
......私達に、勝ち目はあるのだろうか。
あれだけ強かった総隊長を、いとも簡単に殺めてしまうような奴らだ。私達が束になったところで、勝つことが出来るのだろうか。
......抗うしかない。それが、出来る唯一の方法だ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
これは......?
なるほど。そう来ましたか。
ヴァルガ。よく考えたものです。ですが、これしきの壁、私が蘇るまでの時間を稼いでるに過ぎないことは分かっていますよね?
私が復活した時、あなた達はどのようにして抗うのでしょうか?
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いいえ。あなた達に私を倒すことは不可能でしょう。なぜなら、あなた達は絶望を知らないのですから。
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