グランストリアMaledictio

ミナセ ヒカリ

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第9章 【深海の龍王】

第9章1 【南の孤島】

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セリカ「とりやぁ!」

シアラ「ギャフンっ......!」

セリカ「ご、ごめんシアラ!大丈夫!?」

シアラ「だ、大丈夫大丈夫ですよ......」

ヴェルド「お前もお前で手加減知らずだな」

ヴァル「ビーチバレーは女の戦場って言うが、本当なんだな」

 そんな呼ばれ方してるの?と思いつつ、今の私達の状況を軽く説明しよう。

 前回、王国たっての依頼でグランアーク南西部に突然現れた孤島を調査することになった私達。依頼内容からして、とても1日2日で終わるもんじゃないし、そこそこの人数が必要だと判断した私は、ヴァル、ヴェルド、シアラ、エフィ、グリード、ヒカリん、ネイりんの7人を誘って、揺れに揺れる馬車に揺られーーもちろんの事ながら、いつもの2人が吐いたーー船に乗りーーこちらもこちらで2人が吐いたーー5日間に渡る大移動の末、南国と言ってもいい程の熱帯にある島まで到着した。

 いやぁ、暑い!暑いけど、こうして潮風にあおられていると気持ちのいいものである。で、今はグリードとヒカリんがテント貼りしてるから、それが終えるまでの暇潰しとして、なぜか漂流していた軽い球ーー何なのかはよく分からないーーを使ってビーチバレーを勤しんでいた。

 ちなみに、チームはヴァルと私、ヴェルドとシアラの2人ずつで分けて、エフィが審判をしている。エフィの出番久し振りだね。

シアラ「シアラ、次はセリカさんの顔を狙いたいと思います!」

ヴェルド「おう!やったれやったれ!」

シアラ「ウォータースパイラル!」

 渦型の放水銃に乗せられて、私の顔面に威力増し増しの球体がぶち当たった。

ヴァル「お前ら!魔法は禁止だろうが!」

エフィ「あのぅ......治療するのは私になるのですから、出来るだけ怪我人を出さないようなプレーをお願いします......」

シアラ「セリカさんも魔導士の端くれ!これくらい、なんともありませんよね!?」

セリカ「あはは......」

 別に、暇潰しでビーチバレーなんかする必要ないんだよね。何やってんだろ......

セリカ「......」

 ぷいと、倒れたままの姿勢でネイりんがいる木陰の方角を見る。

 つまらなさそうな顔をしているわけではない。でも、どことなく寂しそうな顔をしている。

 黒い小龍の一件以来、すっかり大人しくなってしまったネイりん。元気づけるためにと、この依頼を受けてみたのが、当の本人が元気なさそうなままでは、ここに来た意味がない。

ヴァル「おーい!ネイもこっち来いよー!その水着似合ってるからさー!」

 見兼ねたヴァルがそう呼びかけるが、ネイりんは少しの笑みを浮かべて、

ネイ「私はいいですよー」

 と言うだけであった。

ヴェルド「マジであいつどうしちまったんだ?あんなキャラじゃなかったろ」

ヴァル「最近、家でもあんな様子だからな。何やってもニコニコしてるだけだし、何かあるなら話せって言ってみたけど、のらりくらりとかわされるしで、何も分からねぇんだよな」

セリカ「ずっと、シロップを撫でてるだけだもんね......」

 こんなアッツアツの場所だと言うのに、ネイりんはいつものようにシロップを連れて来てはいる。シロップがいるから、私達も無理に誘おうとはしないのだけれど、でも、やっぱり心配なことに変わりはない。

エフィ「どうしてしまったのでしょう?」

ヴェルド「何だか不気味だよな......いっつも喧しい奴が急に静かになると......」

シアラ「えぇ。シアラもネイさんの不気味さを感じてはおります。そう、まるで世界が崩壊する日を知ってるかのような」

ヴェルド「縁起でもねぇこと言うんじゃねぇよ」

セリカ「でも、やっぱり心配だよ......最近のネイりんは、ずーっと笑顔でいたのに。いや、今も笑顔だけど、あれと今までのとはちょっと違うような......」

ヴァル「分かる。あいつ、ことある度に俺に抱きついてきたのに、最近それが一切ねぇんだよな。いよいよ清楚系ヒロインを目指し始めたかと思ったが、あんな形でなるのはちょっと嫌だな」

セリカ「何その理屈......」

 各々が心配をする中、ネイりんは何も聞こえてないかのようにこちらを見て微笑んで来ている。地獄耳だから、今の会話は絶対聞こえてるはずなんだけどな。

 あの時の女の死体は、本当に何も残らないまでに斬り刻まれていた。あんなにやるのは、基本ネイりんがブチ切れた時だけ。でも、あの女だけはそれ以上だった。アクセイとか、ユミの時の女の場合、まだその人が生きていた証拠である残骸が散っていたけど、肉片も血の一滴も、何も残ってなかった。それに、哀れみとか悲しみとか、そんな感情は一切持ち合わせていなかったと思う。

 よく分からないよ。同じ存在であるヒカリんですら、今のネイりんの状態はよく分からないって言うんだし......

ヴェルド「何だか、シラケちまったな」

エフィ「仕方ありませんよ。仲間の誰かが不調であれば、他の皆さんも不調になるのがグランメモリーズですから」

ヴァル「だな。俺達は、いつだって一心同体だもんな」

 ......早く、ネイりんが元気になってくれるといいな。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

グリード「あァあっちィ......俺も向こうで一緒にTogetherしてェぜおィ......」

ヒカリ「どうせあんたが加わったところで、ハブらレンゲルになるだけよ。大人しくテント貼りと薪集めでもしときなさい」

グリード「あァめんどくせ......ったく、なんで元軍人ってだけでテメェに付き合わされなきゃならねぇんだよォ」

 うるさいわね。黙って手ぇ動かしてたらいいのよ。

 まあ、文句は言いつつも、テキパキ仕事をこなしていくから文句くらいは聞いていてあげてるのだけれど。

 さてさて、セリカに誘われて南国の孤島に来てみたはいいけど、やってる事は解放軍にいた頃と何も変わらないのよねぇ。こうやってテント貼りをするのも、そこら辺から使えそうな薪を集めてくるのも、解放軍にいた頃は嫌という程経験したことだ。

 まあ、あの時は多少の手伝い程度にしかしなかったけど、お兄ちゃんがやってた作業は全部覚えてる。体が記憶の通りに動くとは思わなかったけど。

グリード「......お前、表面上じゃァ全っ然分からなかったが、結構いい体してんなァ」

ヒカリ「セクハラであの世にレッツゴーさせるよ?」

グリード「恐ろしい奴だァ」

ヒカリ「いい体してるねぇ......まあ、普段から明らかサイズオーバーのローブ着てるし、そう思っても仕方ないわね。2人きりだからって、ジロジロ見るんじゃないわよ」

グリード「分かってるよォ。その気になりゃ、すぐにその拳銃額に当ててくんだろォ?恐ろしい奴だぜェ」

 まあね。男と2人なんだから、護身用に拳銃は太ももに巻き付けたままよ。2丁あるから、片方を押さえられてももう片方がある。どんな状況でも保険は大事。

ヒカリ「......」

グリード「見るなって言ったくせに、自分は俺の体を見てくるんだなァ」

ヒカリ「......別に。ただ、いい体してるわねって思っただけよ」

グリード「男が女に言うのはセクハラなくせに、女が男に言うのはありなんだなァ。全く、ふざけた世の中だぜェ」

 とか言うグリードは、別にそんなのどうでもいいと言った感じを出している。軍人だからか、世の中の常識というものに興味がないのだろう。

 私と同じ。戦い以外においての知識なんて必要としない。自分が信じた道を進む。その先が、死へと続く地獄道だとしても。

 私の場合、たまたまその道から逸れただけかな。そうでもなけりゃ、間違いなく死んでる。

グリード「丁度いい機会だと思うから言っておくがァ」

ヒカリ「何?」

グリード「戦場に立つ以上、死と隣り合わせなのは分かる。だが、それでも、『いつ死んでもいい』なんて考えは持たねぇ事だァ」

ヒカリ「......」

グリード「今までのお前を見てきて、俺が勝手に思ってるだけのことだがァ、お前は間違いなく、若いうちに死ぬ」

ヒカリ「......ふんっ。もう、既に1回死んだ身よ。何言ってるの」

グリード「そういう意味じゃねぇよォ。ったく......」

ヒカリ「分かってるわよ。自分の命を大切にしろってことでしょ」

グリード「......分かってんならァ、それでいいんだよォ」

 あんたに心配されなくても全部分かってるのよ。

 兄ちゃんが死んだ時に、私は酷く悲しんだ。そして、その後すぐに私も死のうとした。

 兄ちゃんが死んで、誰かが死ぬ事の悲しみを知ったはずなのに、残った人達に同じ思いをさせてしまった。

 ......やめよ。こんな事を考えるのは私らしくない。私は、ただ黙々とみんなの為になる事をしてれば良いのだから。

ヒカリ「......グリード」

グリード「あァ?」

ヒカリ「そこ、打ち込む向き10度間違ってる」

グリード「細けぇなァ!」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 夜!

 南の島に来て、1日中仕事のことなんて忘れて遊び尽くした夜となれば、やる事はただ1つ!

ヴァル「キャンプファイアー!」

 誰が積み立てたのか知らないけど、綺麗に積まれた木の覆いに向かって、ヴァルがありったけの火を注ぐ。

ヒカリ「いくら人がいない島だからって、はしゃぎ過ぎないようにね」

セリカ「冷めてる!」

ヒカリ「何言ってんのよ。1番冷めてる人がそこにいるじゃない」

 そう言ってヒカリんが指さした方向にいたのは、未だぼーっとしているネイりんだった。

ヒカリ「ネーイ、ちょっとは笑ったら?」

ネイ「あっ......あはは......」

 どう見ても無理してる......引きつった笑みとかそういうのじゃない。むしろ、普通に笑えてはいる。でも、どことなく無理をしているっていうのは分かる。

ヒカリ「全く、いつまでゼロニレアのことを引きずってんのよ。少しは元気出しなさい!」

ネイ「そう......ですよね......すみません」

 ......やっぱり、こんなのネイりんらしくない。

グリード「いきなりしんみりした空気にするなよォ。折角バーベでキューセット持って来てんだし、飯にしようぜェ」

ヴェルド「おいグリード。一応聞いとくが、そこにある謎の肉はなんだ?お前が持ってきたのか?」

グリード「あァこれかァ?」

 謎の肉としてグリードが持ち出したのは、どっからどう見ても熊にしか見えない大きな肉の塊(毛付き)だった。

ヴァル「まさか、それを直に食うのか?」

グリード「安心しろォ。ちゃんと調理すりゃァ食えねぇことはねぇよォ」

ヴェルド「おいちょっと待て。食えねぇことはないって、つまりくっそ不味いって事だろ?そういう事だろ?」

グリード「あァもうどいつもこいつもうるせぇなァ!いいから黙って食ってろやゴルァ。おい、ヒカリ頼む」

ヒカリ「はいはい」

 慣れた手つきで錬成陣を砂浜に描き、その上に熊の死体を乗せて錬成開始。

 毛皮が剥ぎ取られ、内臓と思わしきもの全てが綺麗に外へと引きずり出されていた。錬金術ってこんな使い方するもんだったっけ?

エフィ「うっ......」

 ちょっと子供の目の前でやるには残酷な映像だと思う。特に、動物愛好家のエフィの前では......

ヒカリ「ほら、ヴァル。焦がさない程度に上手いこと焼いて」

ヴァル「......全ての食物に感謝を込めて。炎龍の咆哮!」

 なーんかどっかで聞いたことのあるセリフを放ちながら、ヴァルがこんがりきつね色になるまで熊肉に火を通していく。

 いい匂い......はして来ないけど、私達が普段食べているのと同じような感じはしている。見た目だけならね。でも、熊肉って結構不味いって聞いたことあるし、不安しか出てこない。

 まあ、みんな現地調達じゃー!とか言って食料は何も持ってきてないし、これを食べるしかないんだよね。

ヒカリ「ヴェルド、何でもいいから手頃なサイズに切り取って」

ヴェルド「アイスブレード......で、こんな感じか?」

 少々雑だが、ヴェルドが作り出した氷の刃物によって、熊肉は丁度いい大きさへと切り分けられた。

セリカ「あの......若干赤身が見えてるんだけど......」

ヒカリ「ヴァル」

ヴァル「あいよ。火龍の咆哮」

 最後の仕上げとばかりに、低火力の炎で肉全体に火を通していく。

 火は通した。十分通した。赤みも残っていない。でも!不安しか残らない!だって、熊肉なんて食べたことないもん......ちょっと待って。自然に話を進めてきたけど、現地調達で熊肉......?

セリカ「ねぇ、グリード。この熊肉ってどこで手に入れたの?」

グリード「あァ?んなもんテント貼り中に襲ってきた奴をぶっ殺したに決まってんだろ」

「「「 ...... 」」」

 この島って生物がいないんじゃなかったっけ?

 いや、100歩譲って生物がいる島だとしよう。で、それはいいとして、熊とかいう猛獣がなんでいるのよ!めちゃめちゃ危険じゃん!

ヴェルド「こりゃぁ、夜中に交代で見張りをしねぇとな」

ヒカリ「ヴァルとヴェルドとグリードの3人でやってたら十分でしょ」

グリード「なんで俺達だけなんだよォ」

ヒカリ「女の子は早く寝ないとお肌に悪いの。それに、私とエフィは年齢的にはまだまだ子供だから」

 普段は子供扱いを嫌うくせに、こういう時に限ってその特権を利用するんだね。流石ヒカリん。考えることがせこい。

ヒカリ「嫌なら2人一緒にやってれば?セリカとシアラを加えても問題ないでしょ」

シアラ「ヴェルド様と一緒になれるのならばーー」

ヴェルド「お前は黙ってろ!」

ヒカリ「と・に・か・く!黙って熊肉食ってなさいよ。意外といけるから」

 むっしゃむっしゃヒカリんが食べてるから、まあ大丈夫だろうと思って1口口の中に入れてみる。

 ......

 ......

 ......

 うん。不味い。
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