グランストリアMaledictio

ミナセ ヒカリ

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第10章-Ⅰ 【Campo proelii ex mortuis】

第10章1 【nostalgic memoriae】

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イデアル「へぇーそんな事があったんだー。そんな事なら、私も誘ってくれれば良かったのにぃ」

ネイ「お姉ちゃんはこの世界でやらなきゃならない事がたくさんあるでしょう。総隊長なんて称号を名ばかりにしちゃいけませんよ」

イデアル「はいはい、分かってまーす」

 本当に分かってるのかな?このどこか呆けたお姉ちゃん。

 結局、海でヴァルと話したことは曖昧にされちゃったなぁ......はぁ......。もう、ここまで来たのなら、いっその事私からアタックを仕掛けた方がいいのかなぁ。よく分からん。

 なんで私がこんなにも恋焦がれるのか。昔、本気で好きになった人が死んで、二度と人を愛さまいとしてたのに、また同じことを繰り返してしまうのか。いや、ヴァルはタフだし、そんな簡単には死なないでしょ。

ネイ「......そうだ、お父さんの様子はどう?」

イデアル「あっ、えー......と、それがねぇ......」

ネイ「......?」

 普通に療養してたはずじゃないのか?

イデアル「ちょっと言い辛いんだけど、お父さん、逃げ出しちゃってねぇ......」

ネイ「......?逃げ出した?」

イデアル「なんかね、ある日急に『世界を守るために動く』って書き置きを残して消え去ってたの。一応は戦犯だし、監視はしてたんだけど、本当にいつの間にって感じで消え去ってたの」

ネイ「警備ガバガバじゃない?」

イデアル「1時間交代で見張ってたはずなんだけどねぇ。夜中も交代で見てたし、丁度私とベガが交代したタイミングで消えたの。一瞬だったから、腰抜かすかと思ったわ」

 ......こっそりマナでも溜め込んで、転移術でも使ったんじゃないだろうか。それしか脱出方法なんてないと思う。

 ただ、お父さんが脱出か......一体何の為に?もう、あの人が何かしなければならないことなんてないはずなんだけどなぁ。

イデアル「今、必死で行方を追ってるんだけど、まあお父さんのことだし、どうせ転移で異世界に行ってるだろうしで、後を追うなんて無理に近い話なんだよねぇ......はぁ、どうにかならないかなぁ」

 チラチラと私の方を見てくるけど、いくら私でも、転移して逃げる人の後なんて追いかけられないよ。とは言え、お姉ちゃんの頼み事だしなぁ......

ネイ「まあ、暇さえあればちょっと追ってみますよ」

イデアル「本当!?」

 机を挟んでも私ににじり寄ってくるお姉ちゃん。顔が近い近い近い......

ネイ「あんまり期待しないでくださいよ......転移で逃げる相手なんて簡単に追いかけられませんからね」

イデアル「分かってる!ありがとう!」

 はぁ......また面倒なことを請け負っちゃったなぁ。それはそれで、なんでお父さんも変な書き置きを残してどっかに行っちゃうかなぁ。

 世界を守るために......また何か、嫌なことでも近づいてるってことか。

 まあ、なんとかなるでしょ。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 はぁ......なんか最近体に力が入らないなぁ。お父さんの件を請け負っちゃったけど、なんか探す気になれないなぁ。

 どうしよっかなぁ?と思い、自然と足が向かうのはグランメモリーズのギルドハウス。なんかややこしい戦いがあってから2ヶ月で、すっかり元の酒場......うーん、なんか違うんだよなぁ。

 なんか、今まで1階建て地下室(色んな設備)付きだったのに、気づけば二階建てになってるし、見た目凄い印象良さげな綺麗な建物だし、ご立派にも看板をぶら下げて、ここが1発で『グランメモリーズ』って分かるようになっている。誰よ、こんな素晴らしい建築センスの持ち主は......

 お陰様で、なんか最近は、ようやく大会効果が出てきて仕事が増えているらしいし、ギルドには活気が出てきてメンバーも1人、2人と増えてきてるしで、なんだか知ってる場所じゃなくなっちゃったなぁ。

ネイ「ただいーー」

ヴァル「ゴルァ!おめェだろ!俺のプリン食った奴はァ!」

ヴェルド「知らねぇよ!何でもかんでも俺のせいにすんじゃねぇよ!」

ヴァル「じゃあ、誰が俺のプリン食ったんだよ!」

フウロ「私だ!」

ヴァル「は?」

フウロ「だから、私が食べたと言っている」

ヴァル「何お前、そんな堂々としてんだよ!ふざけんなよてめぇ!ちょっくらそこの広場でバトルだ」

フウロ「いいだろう。望むところだ」

 まぁたなんか変なことで争ってる。ヴァルももう子供じゃないんだから、しっかりしてよ。

ヴァル「あ、ネイ。おかえり」

ネイ「うん、ただいまです」

フウロ「すまないな。これからしばらく決闘デュエルをしに行ってくる」

ネイ「殺さない程度に気をつけてくださいねー......」

 やかましさもより一層パワーアップ。なんだか昔を思い出すようだけど、何故か感じるこの寂しさ......何が原因なのか。私には分からない。だけど、謎の寂しさを感じている。

グリード「オラァ、酒を持ってこーい!」

ミラ「ふん!」

グリード「グハッ......」

ライオス「いつの間にそんな技を......」

ミラ「最近酒に溺れる人が多くなったからね。人生の泥溜りに落ちる前に修正してあげるのが私の仕事だから」

ライオス「お、おう......」

デン(なんかヤバいっすね。ライオスさん)

レイ(酒を飲みすぎなければいいって話でしょ)

ギーグ(まあ、そうだな。ライオスさんなら大丈夫だろ)

 ミラさんも上手いこと言うなぁ。それはそれで、酒飲みの首筋をチョップってのはどうかと思うけど......

レラ「でね、この冒険小説の最大の考察ポイントは、主人公がヒロインに対して初めて言った『好き』って言葉の部分だと思うんだよね!」

セリカ「分かるー!あれ、後々の話を見ても、絶対大事な部分だと思うよねー!」

 ......

 ......

 ......

アルテミス「ラク!いっつもいっつも変な機械を弄り回してるけど、たまには仕事に出てみない!?」

ヒカリ「嫌よ。私はこうしてる方がいいの」

アルテミス「そんなこと言わずにさー、もう、引き籠もりは体に良くないよー」

ヒカリ「テミの方こそ、先生と師匠から教わったことの復習でもすれば?最近、弱くなってるよ」

アルテミス「それはラクが強くなりすぎてるだけですー!」

 ......

 ......

 ......

フェイ「父ちゃん父ちゃん、俺、この仕事に行ってみようと思うんだけど!」

ネメシス「バカヤロー!魔獣討伐とか、まだまだひよっこなお前が行ける内容じゃねー!」

フェイ「ヴァル兄誘えば余裕だって!」

ネメシス「あいつならさっき、決闘デュエルしに行ったぞ!諦めな!」

フェイ「そんなぁ......」

ヴェルド「どうしたんだ?依頼書持って父親になんか言われてんのが目に見えたぞー」

フェイ「あ、ヴェル兄」

ヴェルド「魔獣討伐なら、俺が付き合ってやんよ。どうせ暇してたとこだし」

ネメシス「いいのか?ガキ1人抱えてんじゃやりにくいだろ」

シアラ「ヴェールードーさーま!」

ヴェルド「見ての通り、こいつが勝手に付いてくるから、実質3人だろ。討伐対象もそんな強いタイプじゃねぇし、ガキに経験積ませるだけだったらなんも苦労しねぇよ」

ネメシス「そうか。悪ぃな」

ヴェルド「フェイをお前を余裕で超えるレベルまで育ててやっから期待しろや」

フェイ「わーい、ヴェル兄大好きー!」

 ......

 ......

 ......

 こうして、ギルドで1人、静かにしていると、耳の良さから色んな音が聞こえてくる。

 800年前のことを思い出す。あの時も、こうして久し振りに静かにしていると、お約束かのように変な事件が舞い込んでくる。そう、確かあれは、今日みたいに秋風の心地よい、平凡な日のことじゃったかな。

 ......

 ......

 ......

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ゼラ「ヨーミさん、ヨミさんヨミさんヨミさんヨミさんヨミさんヨミさんヨミさんーー」

ツクヨミ「怖い怖い怖い怖い、そんな連呼せんでもここにおるわい」

ゼラ「えっへへー」

 相も変わらず無邪気な笑みを向けてくるゼラ。果たして、今日はどんなとんでも事を持ってきたのじゃろうな。

ゼラ「じゃーん!」

 えーっと、「南の火山郡に生息する狼煙コウモリが農村部を度々遅いに来ている。原因を突き止め、出来ることならば討伐して欲しい。報酬額4000ゼノック」......。

ツクヨミ「火山群?嫌じゃよ、そんな暑苦しい場所。行くならもっと涼しげな北の海洋にしておくれ」

ゼラ「季節的にめちゃめちゃ寒い場所なんですけど、その辺どう考えてます?」

ツクヨミ「寒い場所は平気じゃ」

ゼラ「そういう問題で片付けちゃうんですか......ってそうじゃなくて、この依頼に行きましょうよー」

ツクヨミ「嫌じゃ嫌じゃ。暑いところは嫌いなんじゃー!」

 お互いにガキかと思うレベルで駄々をこねるが、こうでもしなければ本気で火山群に連れて行かれかねない。暑さに滅法弱い妾は、なんとしてでもそれを防がなければ命がない。まあ、死にはせんじゃろうがな。

ラウス「中身ババアのロリと、知識レベル超人のロリ2人揃って何やってんだ」

 空から落ちてくるようにして、妾とゼラとの間に現れた赤髪の男、『ラウス』。口は悪いが、一応はこのギルドの創設に関わった人物。認めたくはないがな。

ゼラ「聞いてくださーい!ヨミさんにこの依頼に行こうって話したら、『暑いから嫌じゃ』って駄々こねて一緒に行ってくれないんですよー!」

ラウス「駄々こねてんのはマスターもだろうが。つか、ヨミさんが嫌がってんなら、行かなきゃいいじゃねぇか」

ゼラ「だって......この農村部に住んでいる人達は、かつて私達がギルドを作る時に資金援助をしてくださった方達ですよ。そんな方達が困ってるのに、一切手を貸さないなんて......私、そんなの......うっ」

 まずい。ゼラが薄らと涙を溜め始めている。泣かれたらもう妾の負けになってしまう......

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 で、ギルド創設に資金援助をしてくれた農村部があるなど、全くもっての嘘であることは分かっていたが、ゼラが涙を溜め始めてしまっては仕方ない。全く、こういう時弱いのは、歳上である妾の方じゃよな。まあ、見た目は10歳程度のロリじゃが。

 それにしても暑い。季節的にこの国は秋じゃが、それでも南の火山郡となると文面だけで「うわっ、暑そう」ってのは容易に想像出来ることじゃろう。つか、なんでそんな場所からの依頼が届くのか。さては前にここらを訪れた時に勝手な約束を取り付けておったな?

 まあ、来てしまったもんは仕方ない。さっさと終わらせて、さっさと帰ろう。それがいい。

ゼラ「うわぁ、道中のコウモリさんも大きかったですけど、長のコウモリさんはもっと大きいですねー。まるで龍みたい」

ツクヨミ「翼龍と呼ばれる型じゃな。恐らく、火山の熱に対応するため、特殊な進化を遂げたのじゃろう。ほれ、首周りに氷っぽい素材で出来た首輪が見えておるじゃろ」

ゼラ「それもそうですけど、ヨミさん、なんかめっちゃ冷気で覆われてるんですけど、大丈夫ですか?」

ツクヨミ「大丈夫なわけなかろう。こんなクソ暑い中に駆り出しおって......一瞬でケリをつけるぞ」

ゼラ「はい!」

 えい!

 バーン!

 とりゃ!

 えいやー!

 ゴッ○ハン○クラッシャー!

ゼラ「中々やるようですね......この龍コウモリさん」

ツクヨミ「自由にあっちこっち飛び回りよって。仕方あるまい、輝月の世界!」

 最初からこうすれば良いんじゃよな。後からどっと体に疲れがやって来るが、こんなクソ暑い場所に留まり続けるよりかは余っ程いいと判断する。

 火山の熱が籠る中で、自らが長としてこの地を支配する龍。人間に比べれば、その生命力は高く、体格は化け物と呼ばれるもので、人などただの虫けらにしか感じん。

 じゃが、相手にする人間がちと悪かったな、翼龍。まさか、自らを討伐しに来たのが怠惰と強欲の二大魔女とは思わんかったじゃろう。

ツクヨミ「紅月・紅桜」

 紅く染まった月に照らされる桜並木の街道。美しき桜も、夜月の紅き光に照らされれば、その色を同じ、紅色に染め上げてしまう。

 コウモリの体が紅く染まり、次の瞬間にはバラバラに散ってゆく。全ての生き物の時間は不平等。しかし、死が必ず訪れる平等はある。なんとも儚き一生じゃ。じゃが、じゃからこそ美しいものもある。この、ひとひらの桜の葉のように。

ゼラ「相変わらず、凄いもの使いますねー」

ツクヨミ「まあな。こうでもせんと......」

ゼラ「あら」

 意識だけはあるのに、体が全く動かんようになる。魔女の中でも、長期戦にさえ持ち込めば倒せる相手とバカにされてはおるが、まず長期戦になる前にやられるじゃろう。はぁ......じゃが、そろそろ真面目に体力作りをした方がええか......嫌じゃなぁ、動きたくないなぁ......

ゼラ「さ、帰りましょうか」

 どこにそんな力が眠っておるのか、妾の体を右腕1本で軽々と持ち上げるゼラ。この剛腕だけが妾の計算式で唯一解けぬ問題。一体どうなっておるんじゃろうな。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 どこか懐かしく、そして寂しさを感じる記憶。ゼラが生きておった頃は、まだ私も正常だった。今が正常じゃないのかって聞かれると、多分正常ではないと思う。

 邪龍になる能力を持つわ、変な人格が現れるわで、もうまともな人間ではないことは誰の目から見ても明らかだろう。

 本当、1度死んでから蘇っただけでも不思議なのに、その上更に不思議なことが重なるなんて......

フウロ「ふっ、ヴァル。お前もまだまだだな」

 あ、決闘デュエルしに行った2人が帰ってきた。

ヴァル「お前ズルいだろ。エグ○ディアをあんな方法で作り出すとか、もうインチキだろうが!」

フウロ「だからまだまだだと言っておるのだ。あの程度の手札が読めんとは、お前には決闘デュエルの必勝法が分かってないようだな」

ヴァル「あんなのインチキ以外の何物でもないだろうが!」

 決闘デュエル決闘デュエルってガキかお主ら......ガキか。

ヴァル「なぁ、ネイ。決闘デュエルの必勝法ってなんかないか?」

ネイ「......ポーカーならありますけど、ちょっとやります?」

ヴァル「おう」

 ヴァルが取り出したトランプを5枚引くと、手札に入ってきたのはA、7、5、10、K。なるほどな。

ヴァル「あぁ、こりゃダメだな」

ネイ「何回でも引き直していいですよ。その場合、私も回数分自由に引き直しますが」

ヴァル「じゃ引き直すわ」

 入れ替えるのは7と5の2枚だけで十分。楽なやり直しじゃな。

ヴァル「おっ......これは」

 どうやら、いいカードを引いたみたいじゃな。なら、妾もやるか。

 すっとカードを引くふりをして、袖口から見えないようにカードを手のひらに差し出す(今日のファッションは裾の長いロング丈のワンピース)。そして、差し出したカードを、まるでドローしたかのように引き、自然と自分の手札に入れ込む。もちろん、妾が呼び出したのはJとQ。これに勝てる手札などワイルドが存在しとらん限りはない。これで勝ちじゃな。

ネイ「はい。ロイヤルストレートーー」

ヴァル「ロイヤルストレートフラッッッッシュ!」

 ???
 ???
 ???

フウロ「ほう、ロイヤルストレートフラッシュが2組もか......どちらかが不正してると見て、ヴァルほどの不器用さでは出来ないことを考えると......」

ネイ「待て待て待て待て!ただ単に奇跡が起きただけとは考えないんですか!?」

ヴァル「まあ、普通に考えて、この組が2つも同時に出るとか有り得ねぇしな......」

ネイ「いや、その有り得ないことが起きただけでしょう!?」

 まずい。まさかのヴァルが豪運を見せたせいで、今まででバレたことのなかったインチキがバレそうになる。昔、これで何人から金をむしり取って来たかは覚えてないけど、流石にこんな事でバレたくはない。

ネイ「だ、第一、証拠とかあるんですか!?私が不正をしたっていう......」

ヴァル「お前、見間違いじゃなけりゃ、なんか袖口からトランプのカードが見えてるんだが」

ネイ「あ......」

ヴァル「ちょっとよく見せろ」

ネイ「わわわ私、用事があるので先に帰らせていただきまーす!」

ヴァル「あ、待てゴルァ!って、これ全部豪華RSFセットじゃねぇか!」

 ハハハ......まあ、世の中真面目より若干不真面目の方が得するって言うし、私はなるべく怠惰に生きたいなぁってね。
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