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第0章 【グラン・ゼロ・ストーリー】
第0章19 【結成グランメモリーズ】
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あの戦いから、気づけば1週間が過ぎ去りました。
ヨミさんの体内に溶け込んでしまったグランストーン。頂点に君する組織が消え、争いがさらに激化するステイネス。そして、リーダーを失って、仇討ちも果たしてしまいやる気のなくなったシージュアルの海賊団。
なんか、戦いに勝ったはずなのに不安要素ばかりが残ってしまった気がします。まあ、まだまだドキドキハラハラに満ちていて、私は楽しいんですけどね。それはそうと……
ラウス「ちっ、ステイネスはまだ争い続けてんのかよ」
シャウト「当たり前だ。頂点が無くなれば、その座を奪うために争うのは必死。むしろ、余計なことをしてしまったかもしれんな」
モルガン「余計ではなかろう。あの場で俺達があの影を倒していなければ、世界そのものが支配されていた……かもしれないんだぞ」
私たちは、シージュアルのボロい酒場でくつろぎつつ、ステイネスの情勢についてを話し合っていました。ほとんど意味のない会話というか、新聞を読みながらブツブツ愚痴を言うラウスに付き合ってる状態ですけど。
これが平和ってもんなんですかね。ちょっと退屈です。
ヨミ「バカタレかお主らは。影を倒したのは妾とゼラであり、お主らはただの役立たずだったじゃろうが」
ラウス「うっせーな!誰があそこまで船を出したと思ってんだ!」
ヨミ「その気になりゃ、転移で辿り着けたというのに、役に立たんことが目に見えておる仲間達も仇討ちに向かわせたいと、余計なことを言いおったのはどこのどいつじゃ!オマケに、変な宝石が妾の体に入ってしまうし、報酬もない。ロクでもない戦いじゃったな!」
ラウス「ぐぬぬ……」
すっかり私たちに馴染んでしまったヨミさんは、暇さえあれば愚痴をこぼすようになっていました。しかも、いつもいつもラウスに対して愚痴を吐くので、ラウスは「ババアが転生してきた」と言っています。ちょっとだけ気持ちが分かりますね。
「まだ、宝石出せてないんですか?」
ヨミ「ああ。1週間経ったが、押しても引いても何も起きん。完全に体に溶けてしまったようじゃ。今のところ、体調に変化はないんじゃがな」
ラウス「それって、元から弱っちい体してるから分かんねぇだけじゃねぇのか?」
ヨミ「ギロ……」
ラウス「す、すんません……」
あー、シエルさんと違う点があるとすれば、ヨミさんはキレる前に態度で示すってことですかね。特に眼光がヤバいです。
ラウス「あーあ、毎日暇だなぁ」
シャウト「また宝探しにでも行くか?」
ラウス「宝はもう勘弁だ。ここ最近、宝絡みで嫌な目にしか遭ってねぇ」
モルガン「はは、言えてるな」
3人はもう冒険する気力がないようです。私はまだまだ冒険し足りないというのに。……気持ちは汲み取ってあげますけど。
宝探しじゃなくても、やっぱり私は冒険をしたいです。旅という形じゃなくても、この世界中のものを知りたい。見たい。肌で感じたい。……ちょっと前、影との戦いを終えた晩に、ヨミさんに話したこと。冗談のつもりで言ってみたことですが、ちょっと本気でやってみましょうか?
"ギルド"を結成する。
……無理、なんて考えるのはナシです。今の私は、欲しいものを何でも手に入れられちゃう強欲者なんですから、やるだけやってみましょう。そうとなれば行動あるのみ!
「よし!」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
やりたいことが決まってからの私は、実に行動の早い人でした。早速、ラウスたちに相談し、海賊団に僅かに残ったお金を使って、街にあった使われていないボロ酒屋を買い取りました。
本当にいつ崩れてもおかしくはない酒屋だったので、私が錬金術でちょちょいのちょいと修理はしました。自分でも気づかなかったのですが、いつの間にか大きな錬成もできるようになってたみたいです。
で、ちょっと遠くの街にまで出かけて、ギルド設立の申請書を出し、メンバーも最低限の5人の名前を書いて名目上のギルドは完成です!この間僅か1週間!仕事が早い!
で、以下はギルド設立の申請書を出す際の会話の様子です。
ラウス「ギルド……マスター?ババアみてぇな役職付けなきゃなんねぇのか?」
「当たり前ですよ。一体、誰が暴走する団員を沈めなきゃならないと思ってるんですか」
ラウスの疑問に答えてくれたのは、私たちがギルド設立の申請書を書く際にアドバイスしてくれた、ギルド統括管理局の窓口お姉さん。名前?モブにまで名前つけなきゃならないんてすか?(作者心の声)
ラウス「暴走する前提かよ……」
「まあまあ、早くに決めてしまいましょうよ。ヨミさんにバレる前に」
ラウス「つってもマスターだろ?割と真面目に考えなきゃならねぇところじゃんかよ。シャウトにでもする?」
「あ、シャウトなら『俺は頂点に君する者ではない』とか言って、私たちが出かける前にしれっと断り入れてました」
ラウス「あっそう。んじゃ、ゼラ。お前がやれ」
「……?私!?」
ラウス「当たり前だろ。俺もモルガンもそんな立場になれる奴じゃねぇんだから、あまりもんのお前に回ってくるに決まってんだろ。それに、ギルド作るとか言い出した張本人どこのどいつだよ」
「そ、そうですか……」
うーん?私にマスターなんて立場、ちゃんと出来るでしょうか?不安です。でも、かといってヨミさんに任せることはできませんし(というか、任せたら殺されます)。
まあ、消去法だとしても、私がやるしかないんですね。えい!こうなったら言い出しっぺとしてちゃんと責務を全うしてやります!
「ゼラと」
ギルド管理者のところに私の名前を書き、下にあるその他メンバーのところには、ラウス、モルガン、シャウト、ヨミさんの4つの名前を書きました。
そういや、驚かせるためとは言え、ここまでヨミさんに何も言わずにやってしまいましたが、いざ断られてしまったらどうしましょう?友達だと思っていたのが、実はただの一方通行だったなんてことになったら……まあいっか。どうせヨミさんなら照れ隠しに怒りながらも心の中ではヒャッホーしてくれますよ。
「おや?家名は無いんですか?」
「家名?」
ラウス「お偉いさんが付けてるもんだよ。ほら、この国の王様だったら、ゼフェルト・アランドラルフって、下の方に名前があるだろ?」
「王様そんな名前だったんですか?」
ラウス「……おいおい、そりゃねぇだろ。仮にも組織を作るって宣言してんだから、王様の名前くらい把握しとけよ」
なぜかラウスも窓口のお姉さんも揃って呆れたような顔をしました。名前ってそんなに大事なんですかね?
……とはいっても、私に家名なんてありませんし、ここはどうするべきなんですかね?
「まあ、家名がある方は、大体貴族とか王族みたいなお偉いさんばかりなので、普通は無いのが当たり前ですよ」
「そうですか」
じゃあ、なんで一々突っかかってきたんですかね。あれですか?組織の頂点にいる人だから、それなりに偉い人じゃないとダメとか?だとしたら、ちょっと腹が立ってきますね表情には出しませんけど。
そんなこんなで、無事に申請書を受理してもらい、晴れてギルド設立!……となれば良かったのですが、まだそうはいかないみたいです。
最後に、ギルドの名前を付けろ、なんて言われました。名前って言われましてもねぇ……。これといっていい名前は思いつきません。まあ、ギルドの名前は後からでも大丈夫とのことなので、向こうが色々準備を終えてしまう前までに決めちゃいましょう。当てがないわけじゃありません。そろそろヨミさんにも話すべきですし、ギルドの名前はヨミさんに決めてもらいましょう(超他力本願)。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「こっちです!こっちこっち!」
ヨミ「分かっておるから、そんなに慌てるでない!でないと、妾の、体が、ぜぇ、ぜぇ......」
シージュアルに戻って来てからすぐの事。
私は、ヨミさんをとっ捕まえて、私たちのギルドとなる酒場に向けて足を走らせていました。でも、やっぱりというかなんというか、ヨミさんの体力が壊滅的で、全然前に進みません。
「もう!だから毎日の全力疾走を欠かさないようにって言ってるじゃないですか!」
ヨミ「そう言われてもめんどくさいから嫌じゃ!ぜぇ......」
「仕方ないですねー。なら、私がおんぶに抱っこしてあげますよ!」
ヨミ「おんぶだけでお願いするのじゃ」
仕方ないので、私はヨミさんをおんぶしてラウスたちを待たせている酒場へと走り出します。そういえば、前はヨミさんが軽いからだと思っていましたが、どうやらヨミさんを軽々と抱えられる理由は、私の力が強いかららしいです。思えば、昔から大木を折るのは得意でしたからね。なんか、女の子って感じがしない鬱陶しい力です。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「じゃじゃーん!」
ヨミ「じゃじゃーん!と言われて何を見れば良いのじゃ。見たところ、ただのボロ酒屋しかないぞ」
「それですよ、それ」
ヨミ「はぁ?」
「なんと私、いえ、私たち、このボロい酒屋を買い取っちゃいました!」
ヨミ「何ともまあ、そこそこに思い切った買い物をしたのう」
「もちろん、ヨミさんの財源からです」
ヨミ「お主、いっぺん地獄の淵ってやつを見てくるか?あぁ?」
「ごめんなさいごめんなさい。もちろん冗談なんですぅ、ちゃんと私たち海賊団の資金から出しましたー!」
ヨミ「ならばよい」
私はヨミさんにどう見てもボロ屋にしか見えない酒場を見せ、じゃーんっと驚かせました。……でも、なんか期待通りの反応とは違います。前に、ギルドを作りたいとか言ったはずなんですけどねー。
ヨミ「で、ここがなんだと言うのじゃ?」
「ギルドです!」
ヨミ「ぎ・る・ど?」
まあ、独り言のように言ってたことですし、ちゃんとした説明をヨミさんにしなければなりませんね。
「はい、そうです!ここにはたくさんの魔法使い達が集まって、この街の人々のためにその力を扱う。そして、いっつもいっつもワイワイガヤガヤしていて、とっても賑やかなギルド!になる予定です」
ヨミ「いや、予定なのか......」
「安心してください!私が望む限り、全ての物は私の物です!」
ヨミ「ジャ○アンみたいなやつじゃな」
「えへへ......。で、ヨミさん!」
ヨミ「な、なんじゃ、急に顔を近づけて......」
「このギルドの名前、ヨミさんが決めてください!」
ヨミ「は、はぁ!?なんで妾が......」
ずっと悩んでいたギルドの名前。それは今、この瞬間にヨミさんが決めてもらうのです。ちょっと引き攣った笑みを浮かべたヨミさんですけど、その後すぐに満更でもなさそうな笑みに変わったので、多分嫌がってはないですね。
「だって、ここまで勝手に巻き込んだのは私達ですし、せめて名前くらいはヨミさんに決めてもらおうかなぁっと」
ヨミ「そ、そういう事か......。仕方ない。妾が名付け親になるとするか」
「はい!よろしくお願いしますよ!」
ヨミ「......そうじゃな......グランメモリーズなんてどうじゃ?」
「グラン、メモリーズ?どういう意味ですか?」
ヨミ「うーん、創界の記憶人って意味じゃな。深くは考えるな。こんなのでええならこれにするが」
「じゃあ、これにしましょう!私達のギルド名はグランメモリーズ!今日から活動開始です!」
ヨミ「あ、妾これから昼寝じゃから」
「寝かせません!やるべき事がたくさんあるのですから、どんどん勤勉に行きますよ!」
ヨミ「あぁー......またこうなるのかぁ......」
……
……
……
1000年前のグランアーク王国領シージュアル。ちょっと肌が冷えてくる秋晴れの日。私たちは、魔導士が困っている人たちを助け、ワイワイガヤガヤするためのギルド。『グランメモリーズ』を設立したのでした。
ヨミさんの体内に溶け込んでしまったグランストーン。頂点に君する組織が消え、争いがさらに激化するステイネス。そして、リーダーを失って、仇討ちも果たしてしまいやる気のなくなったシージュアルの海賊団。
なんか、戦いに勝ったはずなのに不安要素ばかりが残ってしまった気がします。まあ、まだまだドキドキハラハラに満ちていて、私は楽しいんですけどね。それはそうと……
ラウス「ちっ、ステイネスはまだ争い続けてんのかよ」
シャウト「当たり前だ。頂点が無くなれば、その座を奪うために争うのは必死。むしろ、余計なことをしてしまったかもしれんな」
モルガン「余計ではなかろう。あの場で俺達があの影を倒していなければ、世界そのものが支配されていた……かもしれないんだぞ」
私たちは、シージュアルのボロい酒場でくつろぎつつ、ステイネスの情勢についてを話し合っていました。ほとんど意味のない会話というか、新聞を読みながらブツブツ愚痴を言うラウスに付き合ってる状態ですけど。
これが平和ってもんなんですかね。ちょっと退屈です。
ヨミ「バカタレかお主らは。影を倒したのは妾とゼラであり、お主らはただの役立たずだったじゃろうが」
ラウス「うっせーな!誰があそこまで船を出したと思ってんだ!」
ヨミ「その気になりゃ、転移で辿り着けたというのに、役に立たんことが目に見えておる仲間達も仇討ちに向かわせたいと、余計なことを言いおったのはどこのどいつじゃ!オマケに、変な宝石が妾の体に入ってしまうし、報酬もない。ロクでもない戦いじゃったな!」
ラウス「ぐぬぬ……」
すっかり私たちに馴染んでしまったヨミさんは、暇さえあれば愚痴をこぼすようになっていました。しかも、いつもいつもラウスに対して愚痴を吐くので、ラウスは「ババアが転生してきた」と言っています。ちょっとだけ気持ちが分かりますね。
「まだ、宝石出せてないんですか?」
ヨミ「ああ。1週間経ったが、押しても引いても何も起きん。完全に体に溶けてしまったようじゃ。今のところ、体調に変化はないんじゃがな」
ラウス「それって、元から弱っちい体してるから分かんねぇだけじゃねぇのか?」
ヨミ「ギロ……」
ラウス「す、すんません……」
あー、シエルさんと違う点があるとすれば、ヨミさんはキレる前に態度で示すってことですかね。特に眼光がヤバいです。
ラウス「あーあ、毎日暇だなぁ」
シャウト「また宝探しにでも行くか?」
ラウス「宝はもう勘弁だ。ここ最近、宝絡みで嫌な目にしか遭ってねぇ」
モルガン「はは、言えてるな」
3人はもう冒険する気力がないようです。私はまだまだ冒険し足りないというのに。……気持ちは汲み取ってあげますけど。
宝探しじゃなくても、やっぱり私は冒険をしたいです。旅という形じゃなくても、この世界中のものを知りたい。見たい。肌で感じたい。……ちょっと前、影との戦いを終えた晩に、ヨミさんに話したこと。冗談のつもりで言ってみたことですが、ちょっと本気でやってみましょうか?
"ギルド"を結成する。
……無理、なんて考えるのはナシです。今の私は、欲しいものを何でも手に入れられちゃう強欲者なんですから、やるだけやってみましょう。そうとなれば行動あるのみ!
「よし!」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
やりたいことが決まってからの私は、実に行動の早い人でした。早速、ラウスたちに相談し、海賊団に僅かに残ったお金を使って、街にあった使われていないボロ酒屋を買い取りました。
本当にいつ崩れてもおかしくはない酒屋だったので、私が錬金術でちょちょいのちょいと修理はしました。自分でも気づかなかったのですが、いつの間にか大きな錬成もできるようになってたみたいです。
で、ちょっと遠くの街にまで出かけて、ギルド設立の申請書を出し、メンバーも最低限の5人の名前を書いて名目上のギルドは完成です!この間僅か1週間!仕事が早い!
で、以下はギルド設立の申請書を出す際の会話の様子です。
ラウス「ギルド……マスター?ババアみてぇな役職付けなきゃなんねぇのか?」
「当たり前ですよ。一体、誰が暴走する団員を沈めなきゃならないと思ってるんですか」
ラウスの疑問に答えてくれたのは、私たちがギルド設立の申請書を書く際にアドバイスしてくれた、ギルド統括管理局の窓口お姉さん。名前?モブにまで名前つけなきゃならないんてすか?(作者心の声)
ラウス「暴走する前提かよ……」
「まあまあ、早くに決めてしまいましょうよ。ヨミさんにバレる前に」
ラウス「つってもマスターだろ?割と真面目に考えなきゃならねぇところじゃんかよ。シャウトにでもする?」
「あ、シャウトなら『俺は頂点に君する者ではない』とか言って、私たちが出かける前にしれっと断り入れてました」
ラウス「あっそう。んじゃ、ゼラ。お前がやれ」
「……?私!?」
ラウス「当たり前だろ。俺もモルガンもそんな立場になれる奴じゃねぇんだから、あまりもんのお前に回ってくるに決まってんだろ。それに、ギルド作るとか言い出した張本人どこのどいつだよ」
「そ、そうですか……」
うーん?私にマスターなんて立場、ちゃんと出来るでしょうか?不安です。でも、かといってヨミさんに任せることはできませんし(というか、任せたら殺されます)。
まあ、消去法だとしても、私がやるしかないんですね。えい!こうなったら言い出しっぺとしてちゃんと責務を全うしてやります!
「ゼラと」
ギルド管理者のところに私の名前を書き、下にあるその他メンバーのところには、ラウス、モルガン、シャウト、ヨミさんの4つの名前を書きました。
そういや、驚かせるためとは言え、ここまでヨミさんに何も言わずにやってしまいましたが、いざ断られてしまったらどうしましょう?友達だと思っていたのが、実はただの一方通行だったなんてことになったら……まあいっか。どうせヨミさんなら照れ隠しに怒りながらも心の中ではヒャッホーしてくれますよ。
「おや?家名は無いんですか?」
「家名?」
ラウス「お偉いさんが付けてるもんだよ。ほら、この国の王様だったら、ゼフェルト・アランドラルフって、下の方に名前があるだろ?」
「王様そんな名前だったんですか?」
ラウス「……おいおい、そりゃねぇだろ。仮にも組織を作るって宣言してんだから、王様の名前くらい把握しとけよ」
なぜかラウスも窓口のお姉さんも揃って呆れたような顔をしました。名前ってそんなに大事なんですかね?
……とはいっても、私に家名なんてありませんし、ここはどうするべきなんですかね?
「まあ、家名がある方は、大体貴族とか王族みたいなお偉いさんばかりなので、普通は無いのが当たり前ですよ」
「そうですか」
じゃあ、なんで一々突っかかってきたんですかね。あれですか?組織の頂点にいる人だから、それなりに偉い人じゃないとダメとか?だとしたら、ちょっと腹が立ってきますね表情には出しませんけど。
そんなこんなで、無事に申請書を受理してもらい、晴れてギルド設立!……となれば良かったのですが、まだそうはいかないみたいです。
最後に、ギルドの名前を付けろ、なんて言われました。名前って言われましてもねぇ……。これといっていい名前は思いつきません。まあ、ギルドの名前は後からでも大丈夫とのことなので、向こうが色々準備を終えてしまう前までに決めちゃいましょう。当てがないわけじゃありません。そろそろヨミさんにも話すべきですし、ギルドの名前はヨミさんに決めてもらいましょう(超他力本願)。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「こっちです!こっちこっち!」
ヨミ「分かっておるから、そんなに慌てるでない!でないと、妾の、体が、ぜぇ、ぜぇ......」
シージュアルに戻って来てからすぐの事。
私は、ヨミさんをとっ捕まえて、私たちのギルドとなる酒場に向けて足を走らせていました。でも、やっぱりというかなんというか、ヨミさんの体力が壊滅的で、全然前に進みません。
「もう!だから毎日の全力疾走を欠かさないようにって言ってるじゃないですか!」
ヨミ「そう言われてもめんどくさいから嫌じゃ!ぜぇ......」
「仕方ないですねー。なら、私がおんぶに抱っこしてあげますよ!」
ヨミ「おんぶだけでお願いするのじゃ」
仕方ないので、私はヨミさんをおんぶしてラウスたちを待たせている酒場へと走り出します。そういえば、前はヨミさんが軽いからだと思っていましたが、どうやらヨミさんを軽々と抱えられる理由は、私の力が強いかららしいです。思えば、昔から大木を折るのは得意でしたからね。なんか、女の子って感じがしない鬱陶しい力です。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「じゃじゃーん!」
ヨミ「じゃじゃーん!と言われて何を見れば良いのじゃ。見たところ、ただのボロ酒屋しかないぞ」
「それですよ、それ」
ヨミ「はぁ?」
「なんと私、いえ、私たち、このボロい酒屋を買い取っちゃいました!」
ヨミ「何ともまあ、そこそこに思い切った買い物をしたのう」
「もちろん、ヨミさんの財源からです」
ヨミ「お主、いっぺん地獄の淵ってやつを見てくるか?あぁ?」
「ごめんなさいごめんなさい。もちろん冗談なんですぅ、ちゃんと私たち海賊団の資金から出しましたー!」
ヨミ「ならばよい」
私はヨミさんにどう見てもボロ屋にしか見えない酒場を見せ、じゃーんっと驚かせました。……でも、なんか期待通りの反応とは違います。前に、ギルドを作りたいとか言ったはずなんですけどねー。
ヨミ「で、ここがなんだと言うのじゃ?」
「ギルドです!」
ヨミ「ぎ・る・ど?」
まあ、独り言のように言ってたことですし、ちゃんとした説明をヨミさんにしなければなりませんね。
「はい、そうです!ここにはたくさんの魔法使い達が集まって、この街の人々のためにその力を扱う。そして、いっつもいっつもワイワイガヤガヤしていて、とっても賑やかなギルド!になる予定です」
ヨミ「いや、予定なのか......」
「安心してください!私が望む限り、全ての物は私の物です!」
ヨミ「ジャ○アンみたいなやつじゃな」
「えへへ......。で、ヨミさん!」
ヨミ「な、なんじゃ、急に顔を近づけて......」
「このギルドの名前、ヨミさんが決めてください!」
ヨミ「は、はぁ!?なんで妾が......」
ずっと悩んでいたギルドの名前。それは今、この瞬間にヨミさんが決めてもらうのです。ちょっと引き攣った笑みを浮かべたヨミさんですけど、その後すぐに満更でもなさそうな笑みに変わったので、多分嫌がってはないですね。
「だって、ここまで勝手に巻き込んだのは私達ですし、せめて名前くらいはヨミさんに決めてもらおうかなぁっと」
ヨミ「そ、そういう事か......。仕方ない。妾が名付け親になるとするか」
「はい!よろしくお願いしますよ!」
ヨミ「......そうじゃな......グランメモリーズなんてどうじゃ?」
「グラン、メモリーズ?どういう意味ですか?」
ヨミ「うーん、創界の記憶人って意味じゃな。深くは考えるな。こんなのでええならこれにするが」
「じゃあ、これにしましょう!私達のギルド名はグランメモリーズ!今日から活動開始です!」
ヨミ「あ、妾これから昼寝じゃから」
「寝かせません!やるべき事がたくさんあるのですから、どんどん勤勉に行きますよ!」
ヨミ「あぁー......またこうなるのかぁ......」
……
……
……
1000年前のグランアーク王国領シージュアル。ちょっと肌が冷えてくる秋晴れの日。私たちは、魔導士が困っている人たちを助け、ワイワイガヤガヤするためのギルド。『グランメモリーズ』を設立したのでした。
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