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IIIStorys 【勝利の女神】
第12章7 【同じ顔】
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いやー、ビックリしたな。性転換してるってだけでも驚きだったのに、まさか人外になっちゃってる人がいるだなんて……。
「エフィ。あなたも苦労してますね。最終章ろくに出番が無かったのに、まさかこの章ではこんな扱いだなんて」
エフィ「きゅうん?」
なんて動物に哀れみの目を向けたところで何になるんだろ、と考えつつ私は犬になってしまったエフィを撫で撫でする。
セリカ「その子、初めての人には異常に警戒心見せるんだけど、なんかめちゃくちゃ懐いてんね」
「昔っから、なぜか動物に好かれる体質でして」
そのせいで魔獣の標的が私になることがしばしばだったこともあったなぁ。あ、これゼラ達といた時代の話。
セリカ「で、他なんか気になるとこある?一応街並みもほとんど一緒なんでしょ?」
「ええ。ですけど、街に対して興味があるところは何も無いですね。国の首都になってるってのがまたあれですけど、それさえ除けば何も変わらない穏やかな街です。それに、例え皆さんの性格とか見た目が変わってても、心の奥底にあるものは同じらしいですし、今は帰る手段?が欲しいところですね」
セリカ「あ、そうだね。一応落ちてきたんだから帰りたいって思うのは当然か。……うーん、でもどうやって帰るの?」
「その手段が分かってればこんなところにまで付いてきてませんよ」
我ながら酷い物言いだけど、正直に言えば治療がほぼ終わったところで帰りたい気持ちは十分にあった。でも、向こうの世界への帰り方は分からない。否、帰り方はあるんだけど、その方法はこっちに来た時と同じようにあの崖から飛び降りること。つまり、その崖が無きゃ話にならない。
ーーで、落ちてきた場所がどこなのかは分からないけど、ここは前に私が来た場所とは明らかに違う場所だ。あの崖は創真城の近くにあったし、こっちの世界でも地理が変わらないのならその場所に行けばあるんだけど……
「一応聞いておくんですけど、私が倒れてた場所付近に、下の方が見渡せないくらいに深い崖なんかは?」
セリカ「何も無かったね。見渡す限りただの草原だよ」
「そうですか」
向こうの世界の地理で考えればシグルアの街から創真までは大体直線距離にして……数字にすると途端に分からなくなった。とにかく遠いってことで諦めておこう。
「……あ、そういえば」
今になって、私はここでやるべき事があると思い出した。
「彼を探さなきゃ……」
セリカ「彼?」
「はい。ちょっと記憶があやふやだったんですけど、私がここに落ちてきたのにはちゃんと理由があるんです。過程こそ事故だったと思うんですけど、でも確かにやらなきゃならない事がある。今になって何故か思い出せました」
セリカ「なるほどなるほど。で、彼って誰?こっちの世界にも似たような人いる?」
「えっと、それは……」
もしかしたらと思い、このギルド全体を見渡してみるが、あの墨塗りになった記憶に重なるような面影を持つ人物はいなかった。
「すみません。どこにもいませんでした」
セリカ「そっか……」
「でも、この世界じゃなきゃ手掛かりがないことは確かなんです!だから、何かそれとなく神話的な、この世界に伝わる伝承的なものはありませんか!?」
セリカ「きゅ、急に言われても……うーん。もしかしたらってのはあるんだけど、あれはなぁ」
「この際何でもいいです!」
困ったような表情を浮かべるセリカに、私は一途の望みをかけて頼み込む。
「相変わらず騒がしいですね。もっと騎士らしく静かで謙虚な姿勢を維持出来ないものなんですか」
ーーと、不意に扉が開き、そこから純白の制服(それとなく私が着てるのに似てる)に身を包んだ少女が現れる。そして、その顔を見て私は絶句した。
ライオス「こ、これはこれは王女様。きょ、今日は何用で……」
後ろでうたた寝してたはずのライオス爺ちゃんが一瞬にして『王女』と呼ばれた人の前に跪く。
「ふんっ。ただの老耄が真っ先に膝を着きに来るだなんて、随分と生意気な団員が増えたものですね。まあ、任務さえきっちりこなしてくださればそれで結構ですよ、と」
空気が張りつめる。皆が息を飲んでその人がすること1つ1つに神経を尖らせている。傍から見てもとんでもない状況だってことは分かるけど、私は別の意味でその人の動作に神経を尖らせていた。
「ん?客人ですか。セリカ、あなたが持て成してあげてるのですね」
セリカ「は、はい!たまたま拾……いえ、お招きしましたので!」
今拾ったって言いかけた?
「ふーん。にしても、私を前にして顔を隠すだなんて、いい度胸をしてますね」
そう言うと、王女は私のフードの頭の部分を掴み、そのまま勢いよく引き剥がした。そして、その直後に王女様も言葉を失って立ち尽くす。なぜならーー
「私が、もう1人いらっしゃる……?」
「……」
その人の顔は毎朝鏡の前で覗く自分自身の顔であり、着ているものだけが違うだけでそれ以外の特徴は全てが同じだった。唯一性格が何だか偉そうな貴族って感じがするけれど、私だってヨミモードに入れば似たようなものになるわけだし、本当に寸分の狂いも無い。
セリカ「え、え、え!?マジだったの!?」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
グリード「大変興味深い素材ですね。まさかまさか、王女様と瓜二つな方がこの世におられるとは。いやはや、私生まれてからのこの一生を研究に注いでますが、こんな事例は初めてですよ」
ネイ「御託がうるさいですよ、グリード。それとあなた達も近い近い!離れなさい!汚らわしい」
ーーその後、私達の異変に気付いたギルドの面々が大集合し、特にグリードだけが目の色をキラキラと輝かせて私達に身体検査を行ってきた。もちろん、傍目から見ても分かるくらいにはそっくりなので、身長体重、スリーサイズ及び精神鑑定等、全部1つの狂いも無く同じだった。
ライオス「ふ、不思議なこともあるもんじゃなぁ。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」
フウロ「誠に面白いことになったな。まさか、影武者なんかじゃねぇだろうな」
ネイ「それはありません!私に影武者などおりませんわ!」
フウロ「と、申しているが、そっちのネイはどんな感じだ?」
「え、えーっと……影武者の依頼を受けて国1個滅ぼしかけたことならありますが」
セリカ「急に怖っ!そっちの世界どうなってんの!?」
あ、そうそう。もうここにいる人達に私の面が割れてしまったため、私がここに来た経緯と目的だけは話しておいてる。まあ、みんなはそんな事よりも今は目の前で起きてる事の方に興味津々っぽいが。
改めて隣に座る王女様(便宜上王女様と呼ぶ)の顔を見てみるが、そこに鏡でも置いたんじゃないかと思うくらいにそっくりだ。
ネイ「全く。世の中傍迷惑なこともありますね」
「何となくセリカさんが私の名前を聞いて驚いてた理由が分かりました」
セリカ「でしょ?最初は記憶喪失かなんかだと思ってたけど、こうして2人並んじゃうとマジで別の世界から来たんだって信じる気になれる」
今まで信じとらんかったんかい!何だよおばあちゃんの話がうんたらかんたらって。その場のノリに合わせとっただけかよ!
グリード「でも、精神鑑定は全くもって同じ結果なのですが、性格だけは全然違うというのが気がかりですね。……えっと、この場は分かりやすくこちらの世界のネイ様を王女様。別の世界から来たネイ様をネイ様とお呼びしますが、ネイ様、もしや私達のこと心の中では軽く罵ってませんか?」
「そう聞かれてイエスって答えられる人は余っ程肝が据わってますよ」
グリード「ですよね。ということで質問しますが、今からこの場でお2人には全裸になってもらうという方向性でよろしいでしょうか」
ネイ「きゅ、急に何を言い出すんですか!」
「ぶっ殺されてぇのかお主!」
2人の声が重なり、私は半ば反射で鞘の剣を抜きかけていた。
「あ……」
グリード「どうやら、芯の部分はやはり同じようですね」
「い、いや、これはその……!」
ネイ「何をしてますの!そこまでした手前、私が許可するのであの者を殺しなさい!」
「え、えぇー!?」
なぜそういう流れに……いや、私がつい素を出してしまったのがいけないんだけど。
ネイ「……で、このままでは話が進みませんから聞きますけど、あなた何なんですの?何が目的でこちらにいらしたんですの?」
「いや、それはさっき言いましたが……」
なんか、自分で発してる声ってわけでもないのに自分で自分に質問してるような感じがする。ヒカリちゃんも私と同じ声であるけど、そういった感じは一切しなかった。なのに何で?やっぱり見た目から同じだから?
ネイ「そういえばそうでしたわね。なら、あなたの目的を言いなさい!偶然にも私とあなたは瓜二つな人間。これも何かの縁と見て願いの1つや2つくらいなら聞いて差し上げますわよ!もちろん、ここにいる腐った騎士達が」
ヴェルド「腐ったは言い過ぎだろー、王女様……。……?ありゃ?えっと……何だこの状況?」
すっかり変態ナンパ師になってしまったヴェルドが現れ、今の状況にすぐに困惑した態度を示す。
シアラ「ただ今任務から帰還致しました王女……様?」
そして、後ろから現れたシアラも同様の態度を示す。
ネイ「話がややこしくなるのでそちらのお2人は黙って見ていてください。もしくはデートにでも出かけたらどうですか?」
シアラ「こんな男と出かけるくらいならシアラは氷漬けにでもなります」
そう言って、シアラは隅の方に座ってこちらを静観する態度を示した。
ネイ「では、話の続きを」
「あ、はい。えっと、これまたややこしい話になるんですけど」
ネイ「分かりました!全面的に協力致します!」
「え、えぇー!?」
この人私にそっくりで面倒なことは徹底的に避けるタイプだな!いや、何もかもが同じなんだからそうなんだけど!
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ネイ「ーー、一時の感情で流してしまいましたけれど、具体的に私はどうすればいいのでしょうか?その、彼と言う人を救うためにこの世界に来たと言われましても、私にはどうすることも……」
セリカ「そこなんですけど、王女様が持ってる書籍の中に、この世界の中心というか、世界の始まり的なことを書いた本ってありませんか?」
ネイ「ーーありますが、所詮はただの本です。見つかるとは思わないのですが」
そう言いつつ、王女様は私みたいな魔法で異空間から本を取りだし、それを机の上に置いてページをさっさと捲り出した。
フウロ「それ、読んでるのか?」
ネイ「高速で読んでます。大丈夫です。内容は全て入ってきてますから」
……こういうところは何だか私だなって思える。今本を取りだした感じも、どことなく世界の書庫で本を取り出してる時みたいな感じがしたし、本を読むスピードだって私とほとんど変わらない。
ネイ「なるほど。大体分かりました」
やがて、数分としないうちにあれだけ分厚かった本を読み終えてしまった王女様は、決め顔で途中のページを指さし、自信満々に話し出す。
ネイ「確かにこの世界には伝承があります。世界の中心と呼ばれる場所には、この世界の創造主と話を出来る場所があると」
セリカ「……それだけ?」
ネイ「それだけです!場所がどこなのか、信憑性はあるのかについての情報は0です!」
そんな事を自信満々に言われてもな……。この辺の自意識の高さは……もう、全くもって私そのものだ。
ネイ「とりあえず、今はこの騎士団の総力をもってして世界の中心を探すことが先決です!いいですか、これは王女直々の命令です。断ることなど許しません!手の空いてるものは直ちに取り掛かりなさい!さあ今すぐ!」
王女様が手を叩き、それを合図に皆が一斉に駆け出した。この辺は狂っても王女様ってことか。なんか偉そうで嫌だけど、思い返してみれば昔の私もギルドのカウンターに座って偉そうにあーだこーだ言ってたな。そう考えれば何も言えなくなる。
ネイ「さて、ここで出会ったのも何かの縁。ちょっとお付き合いくださるかしら」
「え、はい?」
「エフィ。あなたも苦労してますね。最終章ろくに出番が無かったのに、まさかこの章ではこんな扱いだなんて」
エフィ「きゅうん?」
なんて動物に哀れみの目を向けたところで何になるんだろ、と考えつつ私は犬になってしまったエフィを撫で撫でする。
セリカ「その子、初めての人には異常に警戒心見せるんだけど、なんかめちゃくちゃ懐いてんね」
「昔っから、なぜか動物に好かれる体質でして」
そのせいで魔獣の標的が私になることがしばしばだったこともあったなぁ。あ、これゼラ達といた時代の話。
セリカ「で、他なんか気になるとこある?一応街並みもほとんど一緒なんでしょ?」
「ええ。ですけど、街に対して興味があるところは何も無いですね。国の首都になってるってのがまたあれですけど、それさえ除けば何も変わらない穏やかな街です。それに、例え皆さんの性格とか見た目が変わってても、心の奥底にあるものは同じらしいですし、今は帰る手段?が欲しいところですね」
セリカ「あ、そうだね。一応落ちてきたんだから帰りたいって思うのは当然か。……うーん、でもどうやって帰るの?」
「その手段が分かってればこんなところにまで付いてきてませんよ」
我ながら酷い物言いだけど、正直に言えば治療がほぼ終わったところで帰りたい気持ちは十分にあった。でも、向こうの世界への帰り方は分からない。否、帰り方はあるんだけど、その方法はこっちに来た時と同じようにあの崖から飛び降りること。つまり、その崖が無きゃ話にならない。
ーーで、落ちてきた場所がどこなのかは分からないけど、ここは前に私が来た場所とは明らかに違う場所だ。あの崖は創真城の近くにあったし、こっちの世界でも地理が変わらないのならその場所に行けばあるんだけど……
「一応聞いておくんですけど、私が倒れてた場所付近に、下の方が見渡せないくらいに深い崖なんかは?」
セリカ「何も無かったね。見渡す限りただの草原だよ」
「そうですか」
向こうの世界の地理で考えればシグルアの街から創真までは大体直線距離にして……数字にすると途端に分からなくなった。とにかく遠いってことで諦めておこう。
「……あ、そういえば」
今になって、私はここでやるべき事があると思い出した。
「彼を探さなきゃ……」
セリカ「彼?」
「はい。ちょっと記憶があやふやだったんですけど、私がここに落ちてきたのにはちゃんと理由があるんです。過程こそ事故だったと思うんですけど、でも確かにやらなきゃならない事がある。今になって何故か思い出せました」
セリカ「なるほどなるほど。で、彼って誰?こっちの世界にも似たような人いる?」
「えっと、それは……」
もしかしたらと思い、このギルド全体を見渡してみるが、あの墨塗りになった記憶に重なるような面影を持つ人物はいなかった。
「すみません。どこにもいませんでした」
セリカ「そっか……」
「でも、この世界じゃなきゃ手掛かりがないことは確かなんです!だから、何かそれとなく神話的な、この世界に伝わる伝承的なものはありませんか!?」
セリカ「きゅ、急に言われても……うーん。もしかしたらってのはあるんだけど、あれはなぁ」
「この際何でもいいです!」
困ったような表情を浮かべるセリカに、私は一途の望みをかけて頼み込む。
「相変わらず騒がしいですね。もっと騎士らしく静かで謙虚な姿勢を維持出来ないものなんですか」
ーーと、不意に扉が開き、そこから純白の制服(それとなく私が着てるのに似てる)に身を包んだ少女が現れる。そして、その顔を見て私は絶句した。
ライオス「こ、これはこれは王女様。きょ、今日は何用で……」
後ろでうたた寝してたはずのライオス爺ちゃんが一瞬にして『王女』と呼ばれた人の前に跪く。
「ふんっ。ただの老耄が真っ先に膝を着きに来るだなんて、随分と生意気な団員が増えたものですね。まあ、任務さえきっちりこなしてくださればそれで結構ですよ、と」
空気が張りつめる。皆が息を飲んでその人がすること1つ1つに神経を尖らせている。傍から見てもとんでもない状況だってことは分かるけど、私は別の意味でその人の動作に神経を尖らせていた。
「ん?客人ですか。セリカ、あなたが持て成してあげてるのですね」
セリカ「は、はい!たまたま拾……いえ、お招きしましたので!」
今拾ったって言いかけた?
「ふーん。にしても、私を前にして顔を隠すだなんて、いい度胸をしてますね」
そう言うと、王女は私のフードの頭の部分を掴み、そのまま勢いよく引き剥がした。そして、その直後に王女様も言葉を失って立ち尽くす。なぜならーー
「私が、もう1人いらっしゃる……?」
「……」
その人の顔は毎朝鏡の前で覗く自分自身の顔であり、着ているものだけが違うだけでそれ以外の特徴は全てが同じだった。唯一性格が何だか偉そうな貴族って感じがするけれど、私だってヨミモードに入れば似たようなものになるわけだし、本当に寸分の狂いも無い。
セリカ「え、え、え!?マジだったの!?」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
グリード「大変興味深い素材ですね。まさかまさか、王女様と瓜二つな方がこの世におられるとは。いやはや、私生まれてからのこの一生を研究に注いでますが、こんな事例は初めてですよ」
ネイ「御託がうるさいですよ、グリード。それとあなた達も近い近い!離れなさい!汚らわしい」
ーーその後、私達の異変に気付いたギルドの面々が大集合し、特にグリードだけが目の色をキラキラと輝かせて私達に身体検査を行ってきた。もちろん、傍目から見ても分かるくらいにはそっくりなので、身長体重、スリーサイズ及び精神鑑定等、全部1つの狂いも無く同じだった。
ライオス「ふ、不思議なこともあるもんじゃなぁ。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」
フウロ「誠に面白いことになったな。まさか、影武者なんかじゃねぇだろうな」
ネイ「それはありません!私に影武者などおりませんわ!」
フウロ「と、申しているが、そっちのネイはどんな感じだ?」
「え、えーっと……影武者の依頼を受けて国1個滅ぼしかけたことならありますが」
セリカ「急に怖っ!そっちの世界どうなってんの!?」
あ、そうそう。もうここにいる人達に私の面が割れてしまったため、私がここに来た経緯と目的だけは話しておいてる。まあ、みんなはそんな事よりも今は目の前で起きてる事の方に興味津々っぽいが。
改めて隣に座る王女様(便宜上王女様と呼ぶ)の顔を見てみるが、そこに鏡でも置いたんじゃないかと思うくらいにそっくりだ。
ネイ「全く。世の中傍迷惑なこともありますね」
「何となくセリカさんが私の名前を聞いて驚いてた理由が分かりました」
セリカ「でしょ?最初は記憶喪失かなんかだと思ってたけど、こうして2人並んじゃうとマジで別の世界から来たんだって信じる気になれる」
今まで信じとらんかったんかい!何だよおばあちゃんの話がうんたらかんたらって。その場のノリに合わせとっただけかよ!
グリード「でも、精神鑑定は全くもって同じ結果なのですが、性格だけは全然違うというのが気がかりですね。……えっと、この場は分かりやすくこちらの世界のネイ様を王女様。別の世界から来たネイ様をネイ様とお呼びしますが、ネイ様、もしや私達のこと心の中では軽く罵ってませんか?」
「そう聞かれてイエスって答えられる人は余っ程肝が据わってますよ」
グリード「ですよね。ということで質問しますが、今からこの場でお2人には全裸になってもらうという方向性でよろしいでしょうか」
ネイ「きゅ、急に何を言い出すんですか!」
「ぶっ殺されてぇのかお主!」
2人の声が重なり、私は半ば反射で鞘の剣を抜きかけていた。
「あ……」
グリード「どうやら、芯の部分はやはり同じようですね」
「い、いや、これはその……!」
ネイ「何をしてますの!そこまでした手前、私が許可するのであの者を殺しなさい!」
「え、えぇー!?」
なぜそういう流れに……いや、私がつい素を出してしまったのがいけないんだけど。
ネイ「……で、このままでは話が進みませんから聞きますけど、あなた何なんですの?何が目的でこちらにいらしたんですの?」
「いや、それはさっき言いましたが……」
なんか、自分で発してる声ってわけでもないのに自分で自分に質問してるような感じがする。ヒカリちゃんも私と同じ声であるけど、そういった感じは一切しなかった。なのに何で?やっぱり見た目から同じだから?
ネイ「そういえばそうでしたわね。なら、あなたの目的を言いなさい!偶然にも私とあなたは瓜二つな人間。これも何かの縁と見て願いの1つや2つくらいなら聞いて差し上げますわよ!もちろん、ここにいる腐った騎士達が」
ヴェルド「腐ったは言い過ぎだろー、王女様……。……?ありゃ?えっと……何だこの状況?」
すっかり変態ナンパ師になってしまったヴェルドが現れ、今の状況にすぐに困惑した態度を示す。
シアラ「ただ今任務から帰還致しました王女……様?」
そして、後ろから現れたシアラも同様の態度を示す。
ネイ「話がややこしくなるのでそちらのお2人は黙って見ていてください。もしくはデートにでも出かけたらどうですか?」
シアラ「こんな男と出かけるくらいならシアラは氷漬けにでもなります」
そう言って、シアラは隅の方に座ってこちらを静観する態度を示した。
ネイ「では、話の続きを」
「あ、はい。えっと、これまたややこしい話になるんですけど」
ネイ「分かりました!全面的に協力致します!」
「え、えぇー!?」
この人私にそっくりで面倒なことは徹底的に避けるタイプだな!いや、何もかもが同じなんだからそうなんだけど!
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ネイ「ーー、一時の感情で流してしまいましたけれど、具体的に私はどうすればいいのでしょうか?その、彼と言う人を救うためにこの世界に来たと言われましても、私にはどうすることも……」
セリカ「そこなんですけど、王女様が持ってる書籍の中に、この世界の中心というか、世界の始まり的なことを書いた本ってありませんか?」
ネイ「ーーありますが、所詮はただの本です。見つかるとは思わないのですが」
そう言いつつ、王女様は私みたいな魔法で異空間から本を取りだし、それを机の上に置いてページをさっさと捲り出した。
フウロ「それ、読んでるのか?」
ネイ「高速で読んでます。大丈夫です。内容は全て入ってきてますから」
……こういうところは何だか私だなって思える。今本を取りだした感じも、どことなく世界の書庫で本を取り出してる時みたいな感じがしたし、本を読むスピードだって私とほとんど変わらない。
ネイ「なるほど。大体分かりました」
やがて、数分としないうちにあれだけ分厚かった本を読み終えてしまった王女様は、決め顔で途中のページを指さし、自信満々に話し出す。
ネイ「確かにこの世界には伝承があります。世界の中心と呼ばれる場所には、この世界の創造主と話を出来る場所があると」
セリカ「……それだけ?」
ネイ「それだけです!場所がどこなのか、信憑性はあるのかについての情報は0です!」
そんな事を自信満々に言われてもな……。この辺の自意識の高さは……もう、全くもって私そのものだ。
ネイ「とりあえず、今はこの騎士団の総力をもってして世界の中心を探すことが先決です!いいですか、これは王女直々の命令です。断ることなど許しません!手の空いてるものは直ちに取り掛かりなさい!さあ今すぐ!」
王女様が手を叩き、それを合図に皆が一斉に駆け出した。この辺は狂っても王女様ってことか。なんか偉そうで嫌だけど、思い返してみれば昔の私もギルドのカウンターに座って偉そうにあーだこーだ言ってたな。そう考えれば何も言えなくなる。
ネイ「さて、ここで出会ったのも何かの縁。ちょっとお付き合いくださるかしら」
「え、はい?」
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