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第7章 魔法学院の授業風景編
妖精の会話
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ルーシッド達が授業を受けている間、サリーとヒルダは会話をしていた。
妖精達の会話は、人間に聞こえさせようという意思を持って人間に語りかけない限りは聞こえない。
『授業ってのは興味深いわね。こんな風にして魔法を教えていくのね』
『そうじゃな~』
『〈魔法具〉ってのも興味深いわね。いつからあるのかしら?』
『ここ100年くらいと言っておったかの』
『どうりで、どこかから〈妖精音楽〉が聞こえてくると思ってたのよね』
『あぁ、確かに〈妖精音楽〉を使って指示を与えるとは考えたもんじゃな』
『でもなぜ〈妖精語〉を使わなくなったのかしら?』
妖精語とは、魔法界で言うところの古代言語のことである。
『あれは元々書記言語じゃからな。口頭言語とは一致せんから、書き手が失われて文法体系も失われてしまったんじゃろ。まぁ、なくても口で発すれば魔法が発動できるわけじゃし。逆に口頭言語を文字化した魔法界共通語が使われ始めるとともに、その有用性が失われたんじゃろ』
『魔法界共通語…あぁ、この皆が書いている文字の事ね。でもこの魔法具ってのに使うんだったら、妖精音楽より妖精語の方が断然便利よね?魔法陣を書き込めば、こんなめんどくさいことしなくても魔法発動できるのに。てかそれこそ、私のルーン文字の方が絶対便利じゃない』
『まぁ、そうじゃろな…口頭言葉で詠唱文を読み上げるようになったことで、書記言葉によって召喚する必要がなくなり、一度は捨てられた技術の有用性に気づいた時にはすでにその技術は失われていたことで、新たな技術が生まれた…皮肉なもんじゃな』
そう言うと、マリーはふっと笑った。
『でも昨日、あのルーシィって子が使ってたやつ、あれって妖精語よね?』
『お、気づいたか?あやつは魔法界共通語から妖精語への翻訳ができるらしい。残された文献も少なくて、今や古代言語とされている妖精語を独学でじゃぞ?とんでもないやつじゃ』
『でもあの子が魔法を使った時、そこに妖精はいなかったわ…あれは何だったのかしら?』
『うむ……あの子が行っておるのは魔法ではない。あの子が持ってる魔力、この世界では〈無色の魔力〉と呼ばれてるらしいがな。あれはおそらく〈エーテル魔素〉じゃろうな』
『え、エーテル魔素?全ての物質の元になってるあれ?この世界の根幹を成す物質を生み出してるっていうの?それ本当なの?』
『今まで見てきた感じだと多分間違いない…これが単なる奇跡的偶然なのか、それともこの世界の行く末にとって何か意味があることなのか…この世界では無色の魔法使いは出来損ないの代名詞らしいが、いつも世話になってる魔法具にはめこまれている魔法石も、自らが魔法を発動する時に使ってる結晶の指輪も全てエーテル魔素が結晶化したものだということになぜ気づかんのじゃろうなぁ?』
マリーは滑稽だというように笑った。
『まぁ、そのことにはルーシィ自身も気づいていない、いや、どうじゃろうな。やつならもう気づいているのかも知れんな』
『その事を言ってあげなくていいの?』
『そうじゃな…まぁその時が来たら、という感じじゃな。
それに、あやつの場合はどちらかと言えばその発想力の方が異常じゃ。今はまだ身内の中だけで済まされておるからそれほどの騒ぎにはなっておらんが、仮にやつの魔法理論や魔法具が世に出れば、この魔法界の技術は一気に数百年は進むじゃろう。いや、やつがこの世に生まれなければ存在しなかった技術すらあるかも知れん。あの子の才能と力はいずれこの世界にとって必要不可欠な存在となるじゃろう。じゃが、今はまだ世界があの子を受け入れる準備ができておらん。今はまだ〈特殊な魔力〉としておいた方が都合がよいじゃろう。あの子には悪いが、それがあの子のためでもあると思う。
それに…そうなった世界をこの目で見てみたいという気持ちも少なからずある』
『なるほどねぇ』
『それにもう1人、特殊な魔力を持つものがおるしな…そちらの出方次第というところもあるな』
『何よそれ?』
『サラ・ウィンドギャザーというやつじゃ。この世界では〈全色の魔力〉と呼ばれておる魔力を持っておる。あれは〈女王の威厳〉だと思う』
『ぐっ、女王の威厳ぁ?あの妖精の女王が使う、全ての妖精を強制的に従わせる力?』
『あぁ、そうじゃ。まだ完全体ではないのか、それともあくまで部分的な力にすぎないのか、原因は不明じゃが今はまだ法の下にあるからそこまでの力はないがな。今後どうなるかはわからん。
この2人が同じ時代に生まれ、そして出会ったのは偶然か…?この2人の登場がこの魔法界に今後どんな影響を与えることになるのじゃろうなぁ』
マリーの顔は不安というよりも好奇心で満ちていた。
『でもそういう人って今まで一度もいなかったのかしら?』
『確かにな、それも不明じゃな。もしかしたら周期的に世に現れておったのかもしれん。まぁいずれにしろ妖精の女王がこの事を知らないわけはなかろう。我々が心配することでもないんじゃろう。じっくり傍観しようではないか?』
『ま、それもそうね。面白いことなら私も大歓迎だわ』
妖精達の会話は、人間に聞こえさせようという意思を持って人間に語りかけない限りは聞こえない。
『授業ってのは興味深いわね。こんな風にして魔法を教えていくのね』
『そうじゃな~』
『〈魔法具〉ってのも興味深いわね。いつからあるのかしら?』
『ここ100年くらいと言っておったかの』
『どうりで、どこかから〈妖精音楽〉が聞こえてくると思ってたのよね』
『あぁ、確かに〈妖精音楽〉を使って指示を与えるとは考えたもんじゃな』
『でもなぜ〈妖精語〉を使わなくなったのかしら?』
妖精語とは、魔法界で言うところの古代言語のことである。
『あれは元々書記言語じゃからな。口頭言語とは一致せんから、書き手が失われて文法体系も失われてしまったんじゃろ。まぁ、なくても口で発すれば魔法が発動できるわけじゃし。逆に口頭言語を文字化した魔法界共通語が使われ始めるとともに、その有用性が失われたんじゃろ』
『魔法界共通語…あぁ、この皆が書いている文字の事ね。でもこの魔法具ってのに使うんだったら、妖精音楽より妖精語の方が断然便利よね?魔法陣を書き込めば、こんなめんどくさいことしなくても魔法発動できるのに。てかそれこそ、私のルーン文字の方が絶対便利じゃない』
『まぁ、そうじゃろな…口頭言葉で詠唱文を読み上げるようになったことで、書記言葉によって召喚する必要がなくなり、一度は捨てられた技術の有用性に気づいた時にはすでにその技術は失われていたことで、新たな技術が生まれた…皮肉なもんじゃな』
そう言うと、マリーはふっと笑った。
『でも昨日、あのルーシィって子が使ってたやつ、あれって妖精語よね?』
『お、気づいたか?あやつは魔法界共通語から妖精語への翻訳ができるらしい。残された文献も少なくて、今や古代言語とされている妖精語を独学でじゃぞ?とんでもないやつじゃ』
『でもあの子が魔法を使った時、そこに妖精はいなかったわ…あれは何だったのかしら?』
『うむ……あの子が行っておるのは魔法ではない。あの子が持ってる魔力、この世界では〈無色の魔力〉と呼ばれてるらしいがな。あれはおそらく〈エーテル魔素〉じゃろうな』
『え、エーテル魔素?全ての物質の元になってるあれ?この世界の根幹を成す物質を生み出してるっていうの?それ本当なの?』
『今まで見てきた感じだと多分間違いない…これが単なる奇跡的偶然なのか、それともこの世界の行く末にとって何か意味があることなのか…この世界では無色の魔法使いは出来損ないの代名詞らしいが、いつも世話になってる魔法具にはめこまれている魔法石も、自らが魔法を発動する時に使ってる結晶の指輪も全てエーテル魔素が結晶化したものだということになぜ気づかんのじゃろうなぁ?』
マリーは滑稽だというように笑った。
『まぁ、そのことにはルーシィ自身も気づいていない、いや、どうじゃろうな。やつならもう気づいているのかも知れんな』
『その事を言ってあげなくていいの?』
『そうじゃな…まぁその時が来たら、という感じじゃな。
それに、あやつの場合はどちらかと言えばその発想力の方が異常じゃ。今はまだ身内の中だけで済まされておるからそれほどの騒ぎにはなっておらんが、仮にやつの魔法理論や魔法具が世に出れば、この魔法界の技術は一気に数百年は進むじゃろう。いや、やつがこの世に生まれなければ存在しなかった技術すらあるかも知れん。あの子の才能と力はいずれこの世界にとって必要不可欠な存在となるじゃろう。じゃが、今はまだ世界があの子を受け入れる準備ができておらん。今はまだ〈特殊な魔力〉としておいた方が都合がよいじゃろう。あの子には悪いが、それがあの子のためでもあると思う。
それに…そうなった世界をこの目で見てみたいという気持ちも少なからずある』
『なるほどねぇ』
『それにもう1人、特殊な魔力を持つものがおるしな…そちらの出方次第というところもあるな』
『何よそれ?』
『サラ・ウィンドギャザーというやつじゃ。この世界では〈全色の魔力〉と呼ばれておる魔力を持っておる。あれは〈女王の威厳〉だと思う』
『ぐっ、女王の威厳ぁ?あの妖精の女王が使う、全ての妖精を強制的に従わせる力?』
『あぁ、そうじゃ。まだ完全体ではないのか、それともあくまで部分的な力にすぎないのか、原因は不明じゃが今はまだ法の下にあるからそこまでの力はないがな。今後どうなるかはわからん。
この2人が同じ時代に生まれ、そして出会ったのは偶然か…?この2人の登場がこの魔法界に今後どんな影響を与えることになるのじゃろうなぁ』
マリーの顔は不安というよりも好奇心で満ちていた。
『でもそういう人って今まで一度もいなかったのかしら?』
『確かにな、それも不明じゃな。もしかしたら周期的に世に現れておったのかもしれん。まぁいずれにしろ妖精の女王がこの事を知らないわけはなかろう。我々が心配することでもないんじゃろう。じっくり傍観しようではないか?』
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