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4 お前、本能をどこに忘れてきたんだ……
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「なんで無理矢理襲わなかった」
「……苦手で……。あの、俺、相手が好意持って差し出してくれないと、不味くて食べれなくて……。無理矢理も不味いけど、騙しても……ほら、養殖と天然って、なんかちがうでしょう? そんな感じで興味なくって……。それで、俺、副団長がかまってくれたときの生気が一番好きで、それに気づいたら、俺、副団長のを一番に食べたくて、でも襲って嫌われて、不味くなったら、俺、生きていけない……」
最後まで言うと、またボロボロと泣き出した。
「騎士団なら精気食い放題と思って入ったのにぃ……」
……それは悪かった。
妙な罪悪感が湧く。
お前を守っていたつもりだったんだ……。どうやら、私から守られていたのは、こいつではなく脳筋の団員たちのほうだったらしい。
絶対、私が守ってやる必要ないような奴らばかりだ。余計なことをしたような気がしてならない。
こいつに手を出しそうだった奴らは、ちょっと短絡的すぎるから、いっそ掘られればよかったんじゃないのか? などと不穏な考えがちらりとよぎったが、黙っておいた。
ため息をつくと、恥ずかしそうにもじもじするガチムチが上目がちに見つめてくる。
「なんで女のとこじゃなくて、男所帯で食い放題なんだ……」
「あ、俺、サキュバスなんで入れられる方なんです。突っ込んでも一応食えますけど、あんまり好みじゃないんですよね……中に出してもらうほうが効率いいというか」
……こいつが、アホな脳筋共から犯されて「うまいっすー!」とよろこんでいるのをついうっかり想像して、妙な不快感が湧き上がる。
それはだめだ。
うん、私のやってきたことは間違いじゃなかった。
騎士団の風紀が乱れすぎる。
「よくそんなんで生きてこられたな……」
「……俺、出来損ないというか……エネルギー効率いいというか……人の生気まで奪わなくても、精液だけで生きられるし、数年分は食い溜めできるんで……。相手が気持ちいいだけで、健康被害なく食事できるし……。相手さえ確保できてたら年齢に違和感出るまではひとところで暮らせるんです。それに人が俺に好意持ってくれて手を握ったりするだけである程度はまかなえるし……」
……効率、良すぎないか……?
「俺、あんまり他の魔性とは気が合わなくて、人と話すのが好きで……俺、絶対、人に害なんて与えないんで、だから、だから……副団長のちんちんなめさせてください……! で、できたら精液も……! あのっ、月一回でいんで……あ、いや、年一回で!!」
眉間のシワがどんどん深くなっていく自分を自覚している。それにオロオロしながら彼がすがりついてくる。
月一回? 年一回? それで足りるのか? それで、また人間に変化して紛れるのか……?
こいつの変身は完璧だった。変化が解けるまで魔性だと全く気づかなかった。
本当に弱い魔性が一年もの間、魔性の討伐を行うような騎士団で騙し通せるるものか……?
そもそも弱い魔性が、騎士団などという敵地のど真ん中に乗り込んでこれるものか?
死にに来るようなものだぞ?
……あまりに短絡的過ぎないか……? それともバレない自信がそれだけあったのか。……こいつが?
「……副団長……?」
だめっすか? というように悲しそうに目をうるませる。
無意識にぐりぐりと頭を撫でると、ほわっと彼の表情が緩む。
「副団長、すきぃー」
確信した。
……わかった。ただの考えなしの行動だ。正体がバレてもなおこの様子なのだ。
「……その角と尻尾を隠せ」
どうにも敵として対峙する気になれず、私は思考を放棄して問題を先延ばしにすることにした。
けれど、「無理っす……」と、力ない返事が返ってくる。
「人間の姿は力そをこそこ使うんで、フラフラになって、ぼんやりするから、無理です……。理性とんじゃいます……」
なるほど、あのときの酔っ払ったような様子は理性が飛んでいたのか。
まて。……理性が飛んで、アレなのか……?
「お前、本能をどこに忘れてきたんだ……」
おかしくなってきて、たまらず笑う。
理性が飛んで、魔性が懇願? 襲うでも発狂するでもなく、泣きながら懇願? 魔性の本性は? 淫魔の本性は? その筋肉は? 持ちうるどの力も使わず、泣きながらの懇願が、理性を飛ばした本能丸出しの姿?
「……くくっ、はははは……!」
「……副団長?」
これを笑わずにいられるか。ぐりぐりと彼の頭を撫でる。
……私は、甘いのだろう。
「……食うか?」
私は、愚かなのだろう。
ずっと足にしがみついたままの彼に、軽くズボンを引き下ろして見せる。
彼が淫魔らしからぬ色気のない顔で、ぱぁっと顔を輝かせた。
「……苦手で……。あの、俺、相手が好意持って差し出してくれないと、不味くて食べれなくて……。無理矢理も不味いけど、騙しても……ほら、養殖と天然って、なんかちがうでしょう? そんな感じで興味なくって……。それで、俺、副団長がかまってくれたときの生気が一番好きで、それに気づいたら、俺、副団長のを一番に食べたくて、でも襲って嫌われて、不味くなったら、俺、生きていけない……」
最後まで言うと、またボロボロと泣き出した。
「騎士団なら精気食い放題と思って入ったのにぃ……」
……それは悪かった。
妙な罪悪感が湧く。
お前を守っていたつもりだったんだ……。どうやら、私から守られていたのは、こいつではなく脳筋の団員たちのほうだったらしい。
絶対、私が守ってやる必要ないような奴らばかりだ。余計なことをしたような気がしてならない。
こいつに手を出しそうだった奴らは、ちょっと短絡的すぎるから、いっそ掘られればよかったんじゃないのか? などと不穏な考えがちらりとよぎったが、黙っておいた。
ため息をつくと、恥ずかしそうにもじもじするガチムチが上目がちに見つめてくる。
「なんで女のとこじゃなくて、男所帯で食い放題なんだ……」
「あ、俺、サキュバスなんで入れられる方なんです。突っ込んでも一応食えますけど、あんまり好みじゃないんですよね……中に出してもらうほうが効率いいというか」
……こいつが、アホな脳筋共から犯されて「うまいっすー!」とよろこんでいるのをついうっかり想像して、妙な不快感が湧き上がる。
それはだめだ。
うん、私のやってきたことは間違いじゃなかった。
騎士団の風紀が乱れすぎる。
「よくそんなんで生きてこられたな……」
「……俺、出来損ないというか……エネルギー効率いいというか……人の生気まで奪わなくても、精液だけで生きられるし、数年分は食い溜めできるんで……。相手が気持ちいいだけで、健康被害なく食事できるし……。相手さえ確保できてたら年齢に違和感出るまではひとところで暮らせるんです。それに人が俺に好意持ってくれて手を握ったりするだけである程度はまかなえるし……」
……効率、良すぎないか……?
「俺、あんまり他の魔性とは気が合わなくて、人と話すのが好きで……俺、絶対、人に害なんて与えないんで、だから、だから……副団長のちんちんなめさせてください……! で、できたら精液も……! あのっ、月一回でいんで……あ、いや、年一回で!!」
眉間のシワがどんどん深くなっていく自分を自覚している。それにオロオロしながら彼がすがりついてくる。
月一回? 年一回? それで足りるのか? それで、また人間に変化して紛れるのか……?
こいつの変身は完璧だった。変化が解けるまで魔性だと全く気づかなかった。
本当に弱い魔性が一年もの間、魔性の討伐を行うような騎士団で騙し通せるるものか……?
そもそも弱い魔性が、騎士団などという敵地のど真ん中に乗り込んでこれるものか?
死にに来るようなものだぞ?
……あまりに短絡的過ぎないか……? それともバレない自信がそれだけあったのか。……こいつが?
「……副団長……?」
だめっすか? というように悲しそうに目をうるませる。
無意識にぐりぐりと頭を撫でると、ほわっと彼の表情が緩む。
「副団長、すきぃー」
確信した。
……わかった。ただの考えなしの行動だ。正体がバレてもなおこの様子なのだ。
「……その角と尻尾を隠せ」
どうにも敵として対峙する気になれず、私は思考を放棄して問題を先延ばしにすることにした。
けれど、「無理っす……」と、力ない返事が返ってくる。
「人間の姿は力そをこそこ使うんで、フラフラになって、ぼんやりするから、無理です……。理性とんじゃいます……」
なるほど、あのときの酔っ払ったような様子は理性が飛んでいたのか。
まて。……理性が飛んで、アレなのか……?
「お前、本能をどこに忘れてきたんだ……」
おかしくなってきて、たまらず笑う。
理性が飛んで、魔性が懇願? 襲うでも発狂するでもなく、泣きながら懇願? 魔性の本性は? 淫魔の本性は? その筋肉は? 持ちうるどの力も使わず、泣きながらの懇願が、理性を飛ばした本能丸出しの姿?
「……くくっ、はははは……!」
「……副団長?」
これを笑わずにいられるか。ぐりぐりと彼の頭を撫でる。
……私は、甘いのだろう。
「……食うか?」
私は、愚かなのだろう。
ずっと足にしがみついたままの彼に、軽くズボンを引き下ろして見せる。
彼が淫魔らしからぬ色気のない顔で、ぱぁっと顔を輝かせた。
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