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7 副団長はかっこいいし、綺麗です!
しおりを挟む「副団長、今日も優しい! 好きです!」
ありがとうよ。
呆れ果てていると、少し落ち着いたのか彼は少し体を持ち上げ、それから私と目を合わせると、両頬を包むように手のひらで触れてきた。
締まりの無い笑みを浮かべているなと思いつつ見ていると、チュッと口づけられる。
「……それは、腹の足しになるのか?」
「めちゃなります!」
キスしても怒られなかった! とキャッキャしている彼を見やる。
さっきもっとすごいことをしたというのに、なんなんだ、この反応は……。
淫魔とはどういう魔性だったか、今、必死で脳内検索を続けている。
妖艶で股間に直撃との情報がよぎったが……、私の股間はもはや既にまったく完全に冷静さを取り戻していた。
彼は私の膝をまたぐように座り込んで、うれしそうに頬を手のひらで優しく包み込み、何度も何度もすりすりと撫で回わしてくる。
「副団長の顔って、きれいですよねー」
ニコニコと笑いながらチュッとまた口付けられる。
顔立ちという点では、若い頃はたしかに「きれい」に分類されていた。線も細く、騎士団では性的に目をつけられ苦労もした。ことごとく返り討ちにしてやったが。おかげで鍛えた体も手に入れ、副団長にまで登りつめるに至った。脳筋は力で抑えつけるにかぎる。だがそれも過去の話だ。二十五を過ぎたあたりから中性的な雰囲気は全くなくなり、男らしいとは言われても、きれいと言われることはなくなった。
だから若い頃の自分と同じような目に合うだろう彼を気にかけていた。大きなお世話だったようだが。
目の前のきれいな顔立ち彼をじっくりと眺める。
「……お前ほどではないように思うが?」
この青年に顔立ちを褒められると、どうにも座りが悪すぎる。
彼は入団した当時は本当に性別さえも迷いそうになる美青年だった。この一年で多少筋張って精悍な顔付きになり、鍛え上げた体に見合う男らしい風貌となったが、それでも整った美しい顔立ちは変わらない。男らしさと美しさが同時に成り立っている。
「いえ、副団長はかっこいいし、綺麗です!」
譲れないと言わんばかりのキリッとした顔で言われたが、お前が今気合を入れて訴えるべきことは、多分そこじゃない。自分の生命の危機より気合が入っているとはどういうことだ。
「ずっと近くで見ていたいです……」
頬を包まれたまま、彼が顔を寄せてくる。そのまま触れた唇は、更に彼に食まれて舌でつつかれた。
誘われている。恋人がするような甘ったるい口づけが何度も繰り返された。
そのことに不思議なほど違和感がない。男からの口づけが嫌ではないということは先ほど気付いていたが、欲の絡む触れ方でさえ嫌悪感どころか驚きも感じない。こうして触れ合うのがなぜかあたりまえのように感じた。端的に言うと、心地よい。
淫魔という性質のせいか、それとも自分がそれだけ彼に気を許しているせいか。
それは今は考えまいと、誘われるままに口を開き、誘ってくる舌を絡め取るように応えた。
「ん……、んふっ、ん、ん」
甘えるように、媚びるように、口づけの合間に彼が吐息を漏らす。
「おいひ……」
とろりと緩んだ顔で「もっと」と顔を寄せ、体をすり寄せ、首に縋り付いて口づけを求めてくる。甘えるように寄せられる体は、ねだるように腰をなすり付け、熱を忘れていた私の下半身を刺激する。
舌を絡めて、唾液をすすり、んくんくと嚥下しつつ、更に求めるようにかぶりついてくる唇は、ひどく熱く、心地よい。なすり付けられる腰つきに刺激された股間は再び熱を持ち始め、むくりと力を持つのが自分でもわかった。
同時に、押し付けられた彼の一物もまた、硬くそそり立ち、自慰でもするかのように私の腹にぐりぐりとこすりつけられていた。
常の自分であれば、そんなことをされれば気持ち悪いと突き飛ばしてもおかしくなかった。
そうと気づくだけの理性は残っているというのに、興奮している彼の様子に満足している自分が、だからどうしたと理性に目隠しをした。
さっきまでの色気のない無邪気な様子とは色を変えた彼が、うるんだ目を向けていた。こんな表情もできるのかと思うほど、壮絶な色気が垂れ流されている。
はぁと、漏らす吐息さえ誘うように響く。
「もっと、ください……」
ちゅ、ちゅ、と軽い口づけを繰り返しながら私の服をはだけていく手際は呆れるほどにいい。
もともと器用なやつだと知っている。けれど、人の服を脱がすという手際の良さを身に付けけていることに、なんとも言えない不快感が込み上げた。
それに気付かれるのも妙にしゃくで、かわりに胸元まで下がってきた彼の頭をゆるゆると撫でることでごまかす。
口づけは喉元をたどり、胸元から腹筋へ、そして、引きずり降ろされたズボンの下から取り出された一物へとたどり着く。
再び熱を持って立ち上がった己の陰茎は、大切そうに触れてきた彼の指先に反応して、ぴくんとはねた。
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