【完結】スローテンポで愛して

鈴茅ヨウ

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お言葉に甘えて2

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 日和がそう聞くと、副島はニッコリと笑って、
「三上さんがあまりにも真剣に心配してくれるので、タクシーでそのまま病院は行ったんですけど、やっぱり熱中症じゃなかったですよ。とりあえず、カードも止めて、お金盗まれたのとか諸々は警察に届けてあるんで、大丈夫だと思います」
 と言った。
 その笑顔は、それ以上聞いてくれるなというヤツかもしれないので、日和は詳しく聞くのをやめた。
「それは、良かったです…」
「はい。あの、お礼の為に呼びつけてしまったんで、ここまで呼ばれた分も含めて、好きなの飲んでくださいね」
「あ、はい…。あ、でも俺、実はあんまり飲めなくて…」
「そうなんですか? じゃあ、軽めのほうがいいですかね。ウィスキーとかウォッカより、ビールの方が馴染みある感じですか?」
「そうですね」
「わかりました。普段はどれくらい飲まれますか?」
 そう質問をしながら、副島はてきぱきと準備をする。
「居酒屋のビールなら…ジョッキ一杯がやっとって感じです」
「なるほどね…。それ、飲んでる時は楽しいですか?」
「ええ…、まぁ…それなりに…」
 お世辞にも人付き合いが良いと言えない日和は言い淀んだが、副島はにこりと笑った。
「楽しく飲めるなら、それが三上さんの適量ってことじゃないですかね」
 この人は、物事をプラスに捉えるのが上手い人なのかもしれない、と思った。
「そうですかね…」
「ええ。お酒は無理して飲むものじゃないと思うんですよ。嗜好品ですから」
 ビールサーバーからタンブラーにビールを注ぎながら、副島はそう言った。仮にも酒を出す店で働いているのに、欲の無い人だな…と日和は思う。
「これ、ビールをレモンスカッシュで割って作るカクテルで、パナシェっていうんです。フランス語で混ぜ合わせるっていう意味で」
 半分ほどビールが注がれたタンブラーに、静かにレモンスカッシュが注がれていく。
「…見た目はビールとあまり変わらないんですね」
「それがミソです」
 薄い水色のコースターが置かれて、そこに出来上がったパナシェが置かれる。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます。いただきます」
 正直に言うと、未知のものだから一口目は緊張した。飲んでみると、ビールの苦味をレモンスカッシュの爽やかな酸味と甘味が和らげて、炭酸の喉越しがスッキリとした飲み口だ。
「…美味しい」
「お口に合ったみたいで良かったです」
 そう言いながら副島が日和の前に置いた皿には、クラッカーにチーズと生ハムを乗せたものが乗っていた。
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