【完結】 『未熟』スキル 最強ではないが相手を最弱にすれば関係ない ~かつてパーティーを追放された者の物語~

はくら(仮名)

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第二十九話 作戦

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 スケルトン化がスピリット系によるものなのかどうか……それを確かめる方法を聞いたロウは目を見開かせた。

「そんなの、危ないですよっ。もし失敗すれば二人とも……」
「だがこれなら一瞬あれば分かる。そしてその一瞬さえしのげば、勝てる可能性は高い。違うか?」
「ですけど……その一瞬はあたし達も危険なことに……」

 作戦のリスクを考えて渋るロウに、しかしルタは不敵な顔を見せて。

「安心しろ。ヘルタイガー、いやスケルトンタイガーか、そいつ、もしくはそいつを操っている奴に突っ込むのは俺がする。あんたはここで防御に徹しながら、スケルトンタイガーの正体を見極めてくれればいい。ま、おれも見極めるつもりではあるけどよ」
「それだとあなたが……」

 彼の身の危険を案じて躊躇する声を出すロウに、彼は不敵に笑んだ。

「心配すんな、おれはそう簡単にやられねえし、あんたも死なせねえ。三秒後に作戦を実行する。おれに任せとけ」
「…………」

 他に良い案を思い付けば、このリスクを伴う方法をしなくても済むのだろうが……とっさにはロウにはそれを思い付くことができなかった。
 ……一。
 ルタが聞こえるか聞こえないかというほどのかすかな声でつぶやく。目の前にいるスケルトンタイガーは確実に距離を縮めてきており、あとほんの少し近付けば、もう一跳びで襲いかかれるところにまで来ていた。
 ……二。
 残り一秒。二人の手が……ロウは剣を握っていないほうの手が……その瞬間に備えるために力を込められ、かすかに手のひらに汗がにじむ。
 失敗は許されない。失敗することは、すなわち致命的な負傷を意味しているから。
 しかしそんな緊張感のなか、少年に失敗の不安も未来もなく、あるのはただ絶対に成功させてみせるという自信だけ。自信に満ちたその顔つきと雰囲気に、少女もまた、彼なら、この人なら本当に大丈夫かもしれないと、無意識のうちに頼もしさを感じていた。
 そして…………三。

「いまだ!」

 ルタの掛け声とともに、二人が瞬時に額に灯していたライトを消す。瞬間、完全な闇。遺跡のなか、太陽の光が届かない暗闇、そのなかをボウッとしたかすかな、それこそ真の闇のなかでなければ分からないような光が浮かび上がる。

「そこだ!」

 刹那、闇のなかをルタが地面を蹴って、猛スピードでその光の元まで迫っていく。
 自分達とスケルトンタイガーの位置関係は頭にたたき込んである。少なくとも暗闇に転じた直後の一刹那であれば、その記憶の位置情報を頼りに行動できる。

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