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第九十七話 どんな思いを
しおりを挟む先ほどの話の全部が本当だと思っていたわけではない。もしそうならば、半年前からいままでにも何度か官憲に赴いて、失踪者の情報が更新されていないか確認していたはずだろう。
おそらく先ほどの話のいくらかは、今回の調査のために事実とは異なったことを話していたはずだ。
とはいえ彼の話す雰囲気から、パーティーメンバーが失踪したこと自体は事実だと思われた。ただロウにはそれを詮索する気はなかったのだが……彼が話したいと言う以上、聞いたほうがいいと思ったのだ。
ややあって、二人は料理屋の隅の席に座っていた。いつものおやっさんの料理屋だ。
ニーサは休みなのでいなく、他の客とも距離が離れていたので、話に集中できそうだった。
カウンターの向こうで料理を作っているおやっさんも、二人が真面目な様子であることに気が付いているのか、いつものように気さくな声を掛けてこようとはしていない。いまの二人にとっては、そのほうがありがたかったが。
「それで……話っていうのは?」
席に座り、注文も済ませてからロウがルタに言う。いつもならここで、そんなに焦るなよ、とか、水くらい飲ませてくれ、とか言ってくるのだが、今日に限ってそのような前置きはなく。
「さっきもちらっと言ったが、官憲のおっさんに話した内容の、本当のところだ」
「…………」
周囲の人とは距離が離れていることを再度確認して、ルタは話し始める。二人がいる場所だけポッカリと切り取られているようで、自然とルタは声を低く重くしていた。
「半年くらい前にパーティーを組んでいたってのは本当だし、奴らが失踪したってのも事実だ。だが、その失踪事件が起きる前、実はおれはそのパーティーを抜けているんだ」
「え……?」
官憲で話したときの口振りでは、ずっとパーティーに在籍していて、自然消滅的な解散だという感じだった。しかしそれは違っていた。
「『おまえみたいなデバフしか使えない奴なんて必要ない。このパーティーから追放してやる』。それがパーティーリーダーがおれに言った言葉だった」
「…………、……なんですか、それ……だって、ルタさんは……」
こんなにも強いのに。
そう言おうとする彼女を遮るように、ルタは言葉を続けていく。
「そいつが言うには、魔物を弱くするだけの奴なんて役立たずもいいとこだ、そんなことしなくても俺達は充分強いし、おまえなんかいなくてもこのパーティーは成立している、とかなんとか言ってきたな」
「……確か、そのリーダーの人は剣術スキルの持ち主でしたよね」
「そうだ」
奇しくも、彼女と同種のスキルである。はたして彼はいままで彼女に対してどんな思いを抱いていたのだろうか。
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